あらすじ
お見合い相手は教え子
高校教師の斉川菜乃は、多くの生徒に慕われて順調な教師生活を送る一方で、クラスの問題児である久我宗二に手を焼いていた。プライベートでは奥手でなかなか恋愛と縁がなかった菜乃はある日、父親の友人である高宮弘宗の紹介でお見合いをすることになる。見合い相手は弘宗の息子の高宮宗一郎で、初めての見合いに気乗りしない菜乃は不安ばかり抱いていたが、見合いは順調に進んでいく。宗一郎の優しい態度に少しずつ打ち解けていく菜乃は、彼を素敵な男性だと思う一方で、どこかで会った覚えのある相手だとも感じていた。二人きりの時間を過ごすうちに、菜乃は宗一郎となら婚約してもいいと考え、いいムードになっていくが、彼の正体が兄に変装した宗二であることが判明。相手が教え子の一人だとわかったことで、菜乃は縁談を断ろうとするものの、両親はすっかり宗二を気に入り、とても断れる雰囲気ではなかった。さらにはこれをきっかけに、宗二は学校で菜乃に会うたびに、所構わずアプローチするようになる。宗二の言葉や行動の真意がわからず、からかわれているだけかもしれないと困惑する菜乃だったが、彼のことをきっぱりと拒否できずに悩むようになる。そんな中、屋上でこっそり勉強していた宗二と再び遭遇した菜乃は、宗二から数年前のある出来事をきっかけに、ずっと思いを寄せていたことを告げられる。
三角関係の始まり
久我宗二への気持ちを自覚した斉川菜乃は、彼と体も重ね合い、満ち足りた日々を送っていた。それでも、教師として宗二の将来を考える彼女は、彼にはっきりと自分の言葉を伝えられないでいた。そんな中、学校で宗二が女子生徒と抱き合っている姿を偶然目撃した菜乃は、彼への恋心と教師の立場に挟まれ、葛藤を抱えるようになる。そんな中、菜乃は街中で偶然会った高宮宗一郎にバーに誘われ、学校での出来事を彼に相談する。宗二への恋心で悩む菜乃に対し、本音を抑えられなくなった宗一郎は、幼少期に初めて会って以来、初恋の相手として菜乃を思い続けていたことを告白する。宗一郎からも思いを寄せられていることを知った菜乃は複雑な三角関係に悩むが、それでも宗二を好きな気持ちは変わらないままだった。それから数日後、学園祭で菜乃のクラスは喫茶店を出店していたが、そこに宗一郎が遊びにやって来る。宗一郎と菜乃が名前で呼び合っているのを見た生徒たちは、二人が恋人同士であると誤解。その状況に複雑な思いを抱いた宗二は、宗一郎が生徒たちに囲まれているあいだに、菜乃を教室の奥に呼び出す。宗二と二人きりで話した菜乃は、彼とある約束を交わす。文化祭のあとの時間を楽しみにしていた菜乃だったが、宗二に片思いする香山美穂に頼まれて、彼を別の場所に呼び出すことになってしまう。生徒を思う教師として美穂の頼みを断れず、結果的に宗二との約束を破ってしまった菜乃は、後悔と彼への罪悪感で苦しむ。そんな菜乃を見た宗二も、自らの思いを抑えられずにいた。
菜乃と宗二の温泉旅行
斉川菜乃が自らの気持ちを告げたことで、久我宗二と本当の意味で両思いとなった。二人が教師と教え子の関係だという事実は変わらず、何度かすれ違いを起こすこともあったが、正式に婚約者同士になれた二人は、学校ではその関係を隠すことを条件に愛を育んでいた。そんな中、菜乃は生徒たちの進路相談で仕事量が増え、宗二との時間をなかなかつくれなくなってしまう。以前から約束していた旅行が延期になる中、菜乃は宮越諒助から家の都合で学費を払えなくなったという相談を受ける。料理人を目指す諒助が志望していた大学に進学できない危機に立たされたことで、菜乃はその対応に追われることになる。菜乃が諒助といっしょに過ごす時間が増えたことで宗二が複雑な思いを抱く中、彼女の奮闘もあって諒助は入学費免除の大学を探し出す。喜んだ勢いで諒助は思わず菜乃のことを抱きしめるが、その場面を宗二に目撃されてしまう。菜乃はメールで弁解するものの、宗二の態度はなんとなくそっけなく、彼女は強い不安を覚える。しかし、それは仕事が忙しいことを心配する宗二が、彼女を大切に思うが故の行動だった。宗二の優しい言葉に心から安堵する菜乃は、ちょっとしたことで不安になるほどに、彼を愛しているとあらためて自覚する。そして数日後、菜乃は予定が延びていた温泉旅行に行くために、地元から離れた駅で宗二と待ち合わせをする。
冬の強化合宿と二人への試練
両親との約束で志望校合格を本格的に目指すことになった久我宗二は、斉川菜乃のもとを離れてゼミの合宿に参加し、しばらくのあいだは勉強に集中することになった。そんな中、菜乃はストーカーの気配に恐怖を感じており、それに気づいた宮越諒助に助けられる。諒助の家にかくまってもらった菜乃は彼に思いを告げられるが、彼女は好きな人がいるからと告白を断る。菜乃は宗二と久しぶりに電話でストーカーの件を相談しようとするが、忙しそうな彼の負担を増やしたくないと、相談をためらってしまう。次の日、一人で帰宅中に再びストーカーに遭遇した菜乃は、男に体を触られてピンチに陥る。そこへ駆けつけた諒助に助けられるものの、逃げた男を追い掛ける諒助を追って、道路に出た菜乃は交通事故に遭ってしまう。幸い足の軽いケガだけで済んだ菜乃は、諒助の連絡を受けて駆けつけた宗二と久しぶりに再会。そして、病室で菜乃と宗二がキスしている姿を目撃した諒助は、彼女が好きな相手が宗二だったことを知り、ショックを受ける。これが原因で宗二は諒助と口論になり、二人の友人関係には亀裂が入ってしまう。これ以来、菜乃とも宗二とも気まずくなった諒助は二人を避けるようになり、さらには菜乃が教頭に呼び出され、男子生徒と親密な関係にあるとの密告があったことを告げられる。何者かに宗二との関係をバラされたのではと不安になった菜乃はその夜、宗二に相談するために公園で待ち合わせをする。
メディアミックス
TVアニメ
2017年10月から12月にかけて、本作『お見合い相手は教え子、強気な、問題児。』のTVアニメ版『お見合い相手は教え子、強気な、問題児。』が、TOKYO MXで放送された。監督はみうらさぶろう、総作画監督はびんめが担当した。キャストは、斉川菜乃を本泉莉奈が、久我宗二を白井悠介が演じている。
登場人物・キャラクター
斉川 菜乃 (さいかわ なの)
高校教師の女性で、担当科目は歴史。年齢は25歳。両親と三人暮らしをしている。茶髪のロングヘアをバレッタでまとめた、スタイル抜群の美女。清楚な服を着ているためにあまり目立たないが、隠れ巨乳の持ち主。超難関校であるS大学卒で、まじめで優しい先生として多くの生徒から慕われているが、恋愛には奥手。非常に生徒思いでおとなしい性格ながら、芯はしっかりしている。一方でやや押しに弱いところがあり、生徒の頼みを断ることができず、相手を気遣うあまり大事な相談をうまく応えられないこともある。教え子の久我宗二に手を焼く中で、家族ぐるみの付き合いがある高宮宗一郎を通してお見合いをすることになり、相手を気に入るが、それは変装した宗二だった。家族がこの見合いに乗り気なのをわかっているものの、教師と教え子という関係から宗二との見合い話を断ろうとするが、彼に告白されて交流を繰り返すうちに、ついに肉体関係を持つようになる。数々の葛藤に苛まれながらも宗二への恋心を自覚し、彼に思いを伝えて正式に婚姻関係を結ぶ。ただし、公私混同を避けるために学校で宗二と触れ合うことや、恋人として接することは避けている。大学受験に向けた強化合宿で宗二が不在の中、ストーカー被害に遭い、それを助けた宮越諒助に告白される。その後もストーカー被害に悩んでいたが、諒助や宗一郎の助けによって解決した。婚約を交わしたあとも、卒業まで宗二との関係が教師と生徒であることは変わらず、さまざまな障害や試練に悩まされて何度かすれ違いを繰り返すものの、彼の夢を尊重しながら愛を育んでいる。趣味は読書。身長は156センチで、血液型はA型、誕生日は3月20日。好きな色は淡いピンクで、好きな食べ物は卵料理と桜スイーツ。
久我 宗二 (くが そうじ)
斉川菜乃のクラスに在籍する高校生男子で、彼女が少々手を焼いている不良生徒。一見、クールで不愛想だが端正な容姿のイケメンで、女子からの人気は高い。眼鏡を掛けて髪型を変えると、兄の高宮宗一郎と瓜二つになる。入学したばかりの頃の出来事をきっかけに菜乃に思いを寄せるようになり、彼女が宗一郎と見合いすることを知って、彼に変装して見合いに参加。当初は正体を知った菜乃に見合い話を断られたが、二人きりになるたびに彼女にせまり、肉体関係を持つに至る。その後、ずっと思いを寄せていたことを菜乃に告げ、正式に婚約する。ただし、学校では恋人として接しないという約束を菜乃と交わしているため、学校ではあくまで教師と生徒の関係を保っている。昔は父親の高宮弘宗と母親の久我雪子、宗一郎と共に家族四人で暮らしていたが、両親の離婚後は母親の雪子が親権を持ったことで、彼女と二人で暮らしている。中学生まではバスケットボール部に所属していたが、協調性のなさから周囲に疎まれて孤立し、高校進学後も授業をサボり気味になっていた。しかし根はまじめな努力家で、家族や菜乃の前では子供っぽい一面を見せる。恋愛には一途だが、たまに暴走することもある。卒業後は父親の会社を手伝うつもりだったが、菜乃との交流を経て大学進学を目指すようになる。当初は経済学部志望だったが、菜乃が生徒のために奮闘する姿を見る中で、彼女のような教師になることを決意。父親に進路を告げると、S大学教育学部に現役合格するように言われ、脱走者が続出することで有名な丹波受験研究ゼミナールを受講して、勉強に力を入れるようになった。趣味は洋画鑑賞。身長は178センチで、血液型はA型、誕生日は1月29日。好きな色は藍色で、好きな食べ物はエビフライやエビ天などのエビ料理。
高宮 宗一郎 (たかみや そういちろう)
久我宗二の兄で、年齢は25歳。斉川菜乃と同い年。紳士的で高潔なエリートサラリーマンで、眼鏡を掛けている。陽気に見えるがミステリアスな一面を秘めており、非常に家族思いな優しい性格をしている。旧姓は「久我」。両親の離婚後、父親の高宮弘宗が親権を持つこととなり、彼と二人暮らしをしている。弟の宗二とは離れて暮らしているものの、よく互いの家を行き来するなど兄弟仲は良好。幼少期に出会った菜乃は初恋の相手であり、優しく可憐な彼女のことを天使のように思い続けていた。昔から宗二の短絡的な行動を叱ったり咎めたりするときもあるが、本心ではつねに彼のことを気に掛けている。端正な容姿から女性にモテて仕事もできるため、宗二からは尊敬されていると同時に、何もかも完璧で一生敵わない相手だと思われている。弘宗の勧めで菜乃と見合いをする予定だったが、宗二が代わりに参加したことで彼の思いを知り、一度は彼女に告白するが二人が両思いなのを悟って身を引いた。これ以降は宗二と菜乃の仲を気に掛けつつ、相談に乗ったり協力したりしている。恋心はあきらめたものの菜乃を溺愛する気持ちは変わらず、宗二と菜乃が正式に婚約を交わしたあとは、いずれ彼女が義妹になることを楽しみにしている。のちに菜乃がストーカーに狙われた際には、犯人を確保して警察へ連行した。唯一酒だけは苦手で、洋酒入りのマドレーヌを口にしただけでも倒れてしまうほどの下戸。趣味はドライブと野球観戦。身長184センチで、血液型はAB型、誕生日は5月11日。
高宮 弘宗 (たかみや ひろむね)
高宮宗一郎と久我宗二の父親で、会社を経営している中年男性。若い頃の容姿は宗二に瓜二つ。昔からマイペースな性格で、どこか抜けたところがある。斉川春人とは学生時代からの親友で、彼と家族ぐるみの付き合いを続けている。学生時代は生徒会長を務め、ラグビー部に所属していた。昔から春人の一人娘である斉川菜乃を本当の娘のように溺愛し、天使のように思ってかわいがっている。宗二が宗一郎と代わって見合いをしたことを知りつつも、菜乃と宗二の結婚を歓迎して後押しした。昔は家族四人で暮らしていたが、妻の久我雪子と離婚しために現在は彼女と宗二とは離れ、宗一郎と二人暮らしをしている。ただし雪子とは不仲が原因で別れたわけではなく、仕事に集中したい彼女をサポートするためでもあった。楽天的に見えて息子たちと菜乃の将来は真剣に考えており、宗二には高校卒業後に自分の会社に入社させるつもりでいたため、正式に婚約を交わした宗二が教師を目指すと告げた際には厳しく反対した。宗二の強い決意を確かめるべく、結婚と教職の夢を許す条件として、超難関校であるS大学教育学部への現役合格を命じた。
久我 雪子 (くが ゆきこ)
高宮宗一郎と久我宗二の母親。下着や化粧品を扱うメーカーの社長を務めている。実年齢よりも若く見える美女で、クールな性格から大学時代は高嶺の花と見られていたが、高宮弘宗の熱烈アピールを受けて結婚。だが結婚後は、無理な働き方で体調を崩したことを気遣ってくれた弘宗の優しさを申し訳なく思い、離婚した。不仲が原因で別れたわけではないため、現在も家族のことは大切に思っている。もともとキャリアウーマンでますます仕事に力を入れ、離婚後は自らの会社を急成長させた。現在は宗二と二人暮らしだが、仕事が忙しく海外に出張することも多いため、家にはほとんど帰らずに宗二と過ごす時間をあまり取れていない。このため、家族からは働き過ぎなことを心配されている。宗二と正式に婚約を交わした斉川菜乃と初めて会った際には、彼女を試すような厳しい態度を取るが、二人の結婚は認めている。
斉川 春人 (さいかわ はると)
斉川菜乃の父親。眼鏡を掛けた壮年男性で、大学教授をしている。高宮弘宗とは高校時代からの親友で、当時は生徒会副会長として彼を支え、文芸部に所属していた。現在でも弘宗とは、家族ぐるみの付き合いを続けている。弘宗を通して菜乃に見合い話を持ち掛け、本来の相手である高宮宗一郎に代わって久我宗二が見合いをしたと知ってからも、彼女と宗二の婚約を後押しする。
菜乃の母 (なののはは)
斉川菜乃の母親。娘の菜乃に劣らぬ美人で、昔は体育教師をしていた。高宮弘宗を通して菜乃に見合い話を持ち掛け、本来の相手である高宮宗一郎に代わって久我宗二が見合いをしたと知ってからも、夫の斉川春人と共に二人の婚約を後押しする。一途に菜乃に思いを寄せる宗二のことを非常に気に入っている。
香山 美穂 (かやま みほ)
久我宗二のクラスメートの女子高校生。茶髪のロングヘアをお団子頭にまとめている。担任の斉川菜乃を「ちゃん」付けで呼び、友人のように慕っている。彼氏と別れてからは宗二のことが気になっており、文化祭で告白しようとしたが断られる。宗二と菜乃が両思いなことを知ってからは素直に身を引き、二人の恋仲を応援しながら新しい恋を探している。
宮越 諒助 (みやこし りょうすけ)
久我宗二のクラスメートの男子高校生。明るく無邪気な性格で、クラスのムードメーカー的な存在。料理人を目指しているが、実家が貧しく入学費の支払いが困難になったことから、一時は目標だった大学進学への道が閉ざされそうになっていた。相談を受けた斉川菜乃が奔走した結果、入学費免除の大学を受験することになり、再び料理人の夢を目指せるようになる。親身に相談に乗ってくれた菜乃に感謝するとともに、あこがれと恋心を抱くようになる。また、いくつかの出来事をきっかけに宗二と親しくなり、山田太一を加えた三人で行動を共にするようになる。ストーカー被害に遭った菜乃をかくまったのをきっかけに彼女に告白するが、好きな人がいるからと断られる。のちに菜乃の恋人が宗二だと知った際は嫉妬に駆られて口論に発展するが、ストーカー騒動の解決後は彼と和解した。身長183センチで、血液型はA型、誕生日は8月2日。
宮越 玲奈 (みやこし れな)
宮越諒助の妹で、小学生。セミロングヘアをツーサイドアップにまとめた少女。ストーカー被害に遭った斉川菜乃を諒助が家にかくまった際に、彼女と知り合う。この時は菜乃のことを歓迎していたが、のちに諒助が気落ちしているのを見て、彼が菜乃に誑(たぶら)かされたと誤解してしまう。学校に菜乃が特定の男子生徒と付き合っているという偽の密告書を出すが、諒助に知られたことでただのイタズラとして処理された。菜乃と諒助のことを誤解していたと深く謝罪したあとは、彼女を慕うようになる。
山田 太一 (やまだ たいち)
久我宗二のクラスメートの男子高校生。宮越諒助の親友。サバサバした男らしい性格をしている。諒助の進学騒動をきっかけに、彼を通して宗二と親しくなった。これ以降は諒助と宗二の三人で行動を共にすることが多くなり、時折勉強の息抜きとしてバスケットボールを楽しんでいる。身長は170センチで、血液型はA型。