この手をはなさない

この手をはなさない

小花美穂による初期の作品。運命に翻弄される光部由香子と、由香子を一途に想い続ける中野恒のせつないラブストーリー。全2巻構成で、それぞれの巻末には読み切り『無期限のしあわせ』と『そんなロマンス』も収録。

正式名称
この手をはなさない
ふりがな
このてをはなさない
作者
ジャンル
恋愛
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

光部由香子は、中野恒が小学4年生の時、隣のアパートに引っ越してきた。彼女は多額の借金を残して亡くなった父のせいで母子そろって苦労していたが、勉強もスポーツも万能で、恒はそんな由香子に尊敬の念を抱き、いつしかそれは恋心に変わっていく。しかし悪質な借金取りのせいで由香子は母と夜逃げし、恒にとっては苦い初恋の思い出となった。

時は過ぎ、高校3年生になった恒は、妙子という年上の彼女との日々を過ごすうちに昔のことは忘れていた。ところが、ある日コンビニで万引きをしている由香子に遭遇する。恒はそんな由香子を放っておけず、すべてを賭けてでも由香子を助けたいと強く思うのだった。

登場人物・キャラクター

中野 恒 (なかの こう)

高校3年生。幼いころ母を亡くして苦労しているせいか、大人びた性格の少年。異性にモテる方で、周囲からは女好きと思われているが、実は一途な性格。高校へは特待生として合格し、奨学金で通っている。光部由香子は特別な存在で、由香子ためなら自分の夢さえも犠牲にする覚悟がある。普段は温厚だが、由香子のことになると冷静でいられなくなり、彼女が2度目の失踪をした時は、不確かな情報を頼りにバイクで探しに行くほど。

光部 由香子 (みつべ ゆかこ)

父が多額の借金を残して亡くなったせいで、母と共に苦労してきた少女。小学校6年生の時に夜逃げし、中野恒の前から姿を消す。その後、母に無理心中を仕掛けられたが一命をとりとめた。不遇のせいで中学からグレてしまうが、本当は恒の知っているころの自分に戻りたいと思っている。頭が良く、やると決めると人並み以上の能力を発揮する。 恒が自分のために土地を売ったことを聞き、もう恒のもとにはいられないと、置手紙を残して再び姿を消してしまう。

妙子 (たえこ)

中野恒の年上の彼女で大学生。恒以外にも付き合っている男性がいて、そのことは恒も知っている。割り切った付き合いがしたいと大人ぶっているが、光部由香子の出現で恒から別れを切り出されると態度が豹変。別れたくないと食い下がり、恒と由香子の仲を裂こうとする。恒が父の残してくれた土地を、由香子の借金を返すために売ってしまったことを、由香子本人に明かしてしまう。

ハルキ

光部由香子の母、百合子とつき合っていた。父親は国会議員。その父がひそかに百合子に手切れ金を渡したせいで別れることになり、このことを根に持っている。やっと百合子の行方をつきとめた時は、すでに彼女が自殺した後だった。残された由香子を引き取り、一緒に生活するが、仕事もせず1日家でだらだら過ごしている、謎の多い人物。

淳也 (じゅんや)

光部由香子がグレていたころにつきあっていた元カレ。中野恒や由香子より1つ年下。お金持ちのボンボンで父親の金でいい高校に入るも、勉強せずに遊んでいたせいで留年。由香子に一方的に別れを切り出されたため未練が残っており、しつこく追いかけて復縁を迫る。

塚田 (つかだ)

国会議員であるハルキの父の雇われ運転手。幼いころからハルキが唯一心を開いていた相手。中野恒曰く「花輪くんちのヒデじい」。収入のないハルキに少額ながら生活費を工面していた。礼儀正しく低姿勢だが、ハルキのことを悪く言われると冷静でいられなくなる。

中野 陽 (なかの よう)

中野恒の兄。恒の父の後を継いで、パブのマスターをしている。幼くして母を亡くし、後に父も亡くしたあとは頼る親戚もなく兄弟2人だけで頑張ってきた。温厚な性格で、恒が子供の頃からずっと光部由香子を一途に想っていることを理解し、いつも応援している。

辻井 かおり (つじい かおり)

中野陽の恋人。中野恒がアルバイトで出ている時は、代わりに陽の店を手伝っている。陽と共に、恒と光部由香子のことを理解し、見守っている存在。由香子が二度目の失踪をした時の原因を作ってしまったことを後悔する。妙子に頼まれ、連絡役を引き受ける。

パトラッシュ

中野家で飼われている犬。あだ名は「パト」。2本足で立ち上がることもできるし、人間の言葉も理解できる。失踪した光部由香子を探す際、その嗅覚を頼りにされる。2丁目のハナちゃんが好き。

SHARE
EC
Amazon
logo