あらすじ
第一章(第1巻)
ある日、大塚京はクラスメートの三木のシャンプーの匂いが変わっていることに気づく。三木が自分にどこか変わったことがないかと高崎博文に尋ねるが、博文はまったく気づいていない様子だった。人の感情を読み取ることができる能力を持つ京は、翌日には三木のシャンプーの匂いが元に戻っていたことで、彼女に彼氏ができたのではないかと思って落ち込んでしまう。しかしその後、博文からの情報で三木に彼氏はいないということが判明し、またなぜか三木がよく話し掛けてくるようになる。そんなある日、CDショップで黒田が、三木は最近京のことが気になっているらしいとの話を聞き、三木は自分のことが好きなのではないかと淡い期待を寄せる。そんな中、三木に対して意を決してシャンプー「ビリアン」の話をするが、三木がシャンプーを変えたのは、不登校になっている宮里の誤解を解き、そして学校に来させるための行動だった。そして三木の好きな相手は、自分ではなく博文であることを知ってしまう。
第二章(第2巻)
三木は、他人の感情のバロメーターを見る能力を持つことから人間関係には悩まずにいたが、進路については悩みを抱えていた。三木は文学部に進学する夢を持っていたが、やんわりと担任に否定されたことで落ち込む中、学校では文化祭が開かれる。三木のクラスでは、黒田の主導のもと、ヒーローショーをやることになっていた。三木は主役の豪傑勇士ブレイバンを演じ、舞台は順調に進むが、最後のシーンで三木は緊張から頭が真っ白になり、わずか三行の台詞を言えなくなってしまう。舞台は黒田のアドリブで事なきを得てなんとか幕は下りるが、三木はクラスメートに謝罪して号泣するのであった。
登場人物・キャラクター
大塚 京 (おおつか きょう)
高校生の男子で、第一章の主人公を務める。他人の頭の上に、その時の感情を反映した記号を見ることができる特殊能力を持つ。三木に思いを寄せているが、内気な性格が災いして告白には至っていない。宮里が不登校になった原因は自分にあると考え、思い悩んでいる。ヒーローショーでは脇役の「生徒B」を演じた。趣味は音楽鑑賞。
三木 (みき)
高校生の女子で、第二章の主人公を務める。他人の心臓の位置に、感情を反映したプラスとマイナスを表すバーを見ることができる特殊能力を持つ。ヒーローにあこがれる活発な性格で、プロレスが大好き。高崎博文に思いを寄せており、大塚京が自分に寄せる恋愛感情にはまったく気づいていない。ヒーローショーでは主役の「豪傑勇士ブレイバン」を演じた。「ミッキー」というあだ名は博文が付けたもので、実は本名の三木とはまったく関係なく、とある架空のキャラクターに由来する。好きな科目は古典で、文学部を志望している。
高崎 博文 (たかさき ひろふみ)
三木と同じ中学校出身で、非常に仲がいい高校生の男子。明るい性格で、クラスの人気者。学年が上の女性と付き合っていたが、最近ふられた。大塚京の好きな女性が三木であることをただ一人知っている。ヒーローショーでは撮影係を担当した。中学生の頃、女性とまちがえられるようなかわいい容姿だったため、三木から宝塚をもじった「ヅカ」というあだ名を付けられた。
黒田 (くろだ)
天真爛漫かつ破天荒な性格の、高校生の女子。他人の感情を反映したバーを見ることができる特殊能力を持つ。三木が見ると、そのバーがつねにプラスとマイナスで回転している状態にある。ヒーローショーの提唱者で監督役を務め、さらに出演もして悪のボス役を演じた。
宮里 (みやざと)
大塚京と1年生の時から同じクラスの、高校生の女子。内気な性格で、クラスでも目立たない存在。ビリアンというシャンプーを使っていたが、そのことをたまたま京に指摘され、からかわれたとカンちがいして一時不登校となる。エルというあだ名は、セサミストリートのキャラクターをモチーフに三木が名づけた。裁縫が得意。
その他キーワード
ビリアン
大塚京らが中学生の頃に流行っていたシャンプーの銘柄。ちょっと背伸びしてお洒落をしたいときに使うシャンプーとして知られているが、宮里はビリアンを使っていたことを大塚京に指摘され、恥ずかしさのあまり不登校に陥ってしまう。
ヒーローショー
大塚京たちのクラスが高校の文化祭で行った出し物。クラス会議で黒田が提案したところ、全員の賛同を得て行われることとなった。主役のヒーロー「豪傑勇士ブレイバン」は三木が演じ、悪のボス役は演じる予定だった生徒が直前にケガをしたため、全員の役を練習していた黒田が急遽ピンチヒッターとして演じた。
クレジット
- 原作
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住野 よる
書誌情報
か「」く「」し「」ご「」と「 全5巻 新潮社〈バンチコミックス〉
第4巻
(2023-09-08発行、 978-4107726438)
第5巻
(2023-09-08発行、 978-4107726445)