あらすじ
第1巻
末広しろは引っ込み思案な性格から誰とも会話ができず、高校に入学したものの、いつも一人で読書をしていた。そんなある日、しろは高砂が所属するグループの雑談から、高砂がしろにウソの告白をするという罰ゲームを課せられていることを知る。そして高砂は、クラスメートたちの前で実際にしろに告白するが、しろはきっぱり断る。さらに、この告白が罰ゲームだと知った周囲は、陽キャラによる陰キャラへのいじめだと騒ぎ出し、いたたまれない気持ちになった高砂は、しろと本気で交際すると宣言。こうして高砂はしろに接近し、いつの間にか彼女の不器用ながらもまっすぐなところに心惹かれていく。一方のしろも、最初は自分とかかわるなと突き放していたが、高砂が自分と真剣に向き合っている姿を見て、次第に好意を抱くようになる。そんな中、高砂はしろに、部活動に入ってもっと人とかかわるべきだとアドバイスする。それを受けてしろは、入学当初、文芸部に入部したかったものの、結果的に廃部になってしまった後悔の思いを語る。その話を聞いた高砂は文芸部の復活のために動き出す。
登場人物・キャラクター
末広 しろ (すえひろ しろ)
高校1年生の女子で、非常に内向的でおとなしい性格の持ち主。自分の感情を表に出せない不器用なところがある。中学2年生の時まで父親の都合で転校を繰り返しており、友達のつくり方がわからずにいる。高校生になってからも、人の輪の中に入っていくことができず、教室の隅で一人読書を続ける日々を過ごしていた。高砂から罰ゲームでウソの告白を受け、最初は高砂を拒絶。しかし、高砂が罰ゲームと明かしたあとも、自分と真剣に向き合う姿にほだされ、正式に交際をスタートさせる。文芸部に所属しており、副部長を務める。好きな本は寿ミチルの「流星の森」。
高砂 (たかさご)
高校1年生の男子で、末広しろのクラスメート。高い身長に整ったルックスの美男子。何もしなくても人が集まってくるような明るくて気さくなタイプで、男女問わず人気が高い。亀田、つるちんなどの目立つグループに所属しており、毎日を適当に過ごしていた。グループメンバーとのゲームで負けてしまい、罰としてしろに告白することになる。罰ゲームであることを知ったしろから拒絶され、同時に周囲からも陽キャラによる陰キャラへのいじめだと非難され、いたたまれない気持ちになったため、本気でしろと交際することを宣言する。最初はあくまで罰ゲームとしてしろに接近を試みたが、不器用ながらも素直なしろの性格に触れ、徐々に恋心を寄せるようになる。しろが本当は文芸部に入部したかったものの勇気が出せず、のちに廃部になってしまったという後悔を聞き、文芸部を復活させる。以降、文芸部の部長を務めているが、ほとんど読書をしたことはない。中学時代は野球部に所属し、ピッチャーとして将来を有望視されていたが、肩の故障によって断念する。
八千代 (やちよ)
高校1年生の男子で、末広しろのクラスメート。大人びたミステリアスな雰囲気を漂わせており、人と群れずに単独で行動している。本が好きなこともあり、高砂が立ち上げた文芸部の新入部員第一号となる。明言はしないものの、八千代自身が作家の寿ミチルであるとほのめかすことが多い。
亀田 (かめだ)
高校1年生の男子で、末広しろのクラスメート。高砂、つるちんたちと、学校内でも目立つグループに所属している。明るい性格のお調子者で、仲間内の罰ゲームで高砂がしろに告白したのも、彼の発案によるもの。高砂がしろと交際をするようになってからは、自分に構ってくれなくなった高砂に対して寂しさを覚えている。また、文芸部にも興味がある素振りを見せているが、高砂から入部を拒否されている。
つるちん
高校1年生の女子で、末広しろのクラスメート。高砂、亀田たちと、学校内でも目立つグループに所属している。黒髪ロングヘアの清楚な雰囲気を漂わせており、悪気なく辛辣な言葉を発する悪癖を持つ。しろと高砂が交際した際も、一人ぼっちで寂しそうな彼女に、高砂が同情しているだけだと口にして、しろを傷つける。
友引 (ともびき)
末広しろたちが通う高校の男性教師。野球部の顧問も務めており、中学時代に高砂が野球部で活躍していたことを知っている。高砂が自らの勤務する高校を受験することを知り、入学前から熱心に野球部への勧誘を続けていた。しかし野球部に入部せず、亀田たちとふざけ合ったり、読書好きでもないのに文芸部に入部したりと、気ままに振る舞う高砂を快く思っていない。高砂が肩を故障し、ボールが投げられなくなったことは知らない。
寿 ミチル (ことぶき みちる)
人気小説家で、性別など詳しいプロフィールは不明。代表作に「流星の森」があり、末広しろの一番好きな本でもある。主人公が苦悩し続けていく重い話で、高砂はまったく共感できなかった。
集団・組織
文芸部 (ぶんげいぶ)
末広しろたちが通う高校にある部活動の一つ。入学当初、しろが入部しようとしていたが、勇気を出せずに行動を起こせずにいた。当時、引退する3年生しか在籍していなかったため、新1年生の入部者が一人もいなかったことで、あっさりと廃部になってしまう。しかし、のちに高砂の働きかけによって復活を果たす。現在の部長は高砂、副部長はしろが務める。高砂目当ての女子生徒や冷やかしを防ぐため、真の本好きであることを証明する必要があり、厳しい条件をクリアしないと入部できない。
書誌情報
きみと青い春のはじまり 5巻 講談社〈KC デザート〉
第1巻
(2019-12-13発行、 978-4065180600)
第2巻
(2020-05-13発行、 978-4065195338)
第3巻
(2020-10-13発行、 978-4065209745)
第4巻
(2021-03-12発行、 978-4065226339)
第5巻
(2021-09-13発行、 978-4065248195)