概要・あらすじ
怪我をした父親や食べ盛りの弟たち、そして病弱な妹のために、お金を必要としていたアップルビー・ローチは、給金の高さに惹かれ、森の奥に住む偏屈な男性のもとに、短期のメイドとして働きに出る決意をする。森のような大きな庭を抜けた先には、荒れ果てて埃だらけの屋敷があった。その屋敷に住む青年は、雇うつもりはないとアップルビーに告げるが、アップルビーは、彼の父親から前払いでもらった給金分だけでも働く、と食い下がる。
登場人物・キャラクター
アップルビー・ローチ (あっぷるびーろーち)
ローチ家の長女。大工の父親とたくさんの弟に1人の妹、そして犬と暮らしている。気風の良い女性。家族のために、ジョシュア・グリーンウィルズの屋敷で、住み込みメイドとして働いている。妹が病弱なため、掃除は得意でしっかり行う。大人数の食事作りも得意だが、繊細なお菓子作りは、レシピがあっても失敗してしまうほど苦手。主人相手でも物おじせずに言い合いをする、威勢の良い女性。
ジョシュア・グリーンウィルズ (じょしゅあぐりーんうぃるず)
森の奥に暮らす青年。「大旦那」と呼ばれる富豪の父親の家を出て、隠れ住むように暮らしている。丸眼鏡をかけた非常に偏屈な男性で、大旦那に雇われて派遣されたアップルビー・ローチを、最初は不要だと切り捨てた。病弱だが、夜が遅く朝寝坊をする不健康な生活をしており、本や物語を好む。偏食で、甘いものばかり好んで食べている。
執事 (しつじ)
ジョシュア・グリーンウィルズの執事の男性。屋敷で10年以上共に暮らしている。表情豊かではないが、主人を大切に思い、その体を心配している。部屋の掃除はできず、料理をしようとしては鍋やヤカンを焦がしている。庭の手入れは好きで、庭師の代わりもする。
クラリンダ・ローチ (くらりんだろーち)
アップルビー・ローチの妹。病弱な母親に似て体が弱い。赤髪のアップルビーとは異なり、蜂蜜のような綺麗な色の髪をしている。汚れた空気を吸うと咳が止まらなくなるため、アップルビーに、日頃からまめに掃除をしてもらっていた。