少年メイド

少年メイド

母親を亡くした孤独な少年の小宮千尋は、叔父の鷹取円に引き取られてメイドとして家事全般を担うことになった。千尋と円の日常や、周囲の人々との交流を描いたホームドラマ。「Comic B's-LOG」2008年4月号から2012年11月号、「B's-LOG COMIC」2013年Vol.1から2017年Vol.50にかけて掲載された作品。2016年4月にTVアニメ化。

正式名称
少年メイド
ふりがな
しょうねんめいど
作者
ジャンル
執事・メイド
レーベル
B's-LOG COMICS(KADOKAWA)
関連商品
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あらすじ

メイド生活の始まり

不器用な母親の小宮千代と二人暮らしで、家事全般を完璧にこなす少年の小宮千尋は、ある日突然、千代が亡くなり一人ぼっちとなってしまう。千代が遺した能天気な内容の遺書に行き場のない怒りと孤独感を覚える千尋は、周囲に相談しながらも今後のことに頭を悩ませていた。そんな千尋の前に現れたのは、千代の弟で叔父の鷹取円だった。そのまま円の豪邸に向かうことになった千尋は、千代の過去と鷹取家の事情を知るが、円の世話になることを嫌い、反発して部屋を飛び出してしまう。屋敷の台所にこもった千尋は悲しみに暮れるが、そこはゴミだらけで惨憺(さんたん)たる状態だった。勢いで台所の掃除を済ませて外に出た千尋は、屋敷全体が悲惨な状況であることに気づく。あまりの汚さに耐え切れずに大掃除を始めた千尋の姿を見た円は、ある提案を思いつく。それは千尋に不自由のない生活環境を提供する代わりに、円が苦手な家事全般を任せるというものだった。その提案を承諾した千尋は、そのまま鷹取家に住むこととなるが、円に渡されたのはメイド服のようなフリル付きの制服だった。こうして千尋は、円の豪邸に住まわせてもらう代わりに、家事いっさいを引き受けメイドとして新しい生活を始めるのだった。苦労性でしっかり者の千尋は、財力はあるものの私生活がだらしない円を母親のように叱り、世話を焼くようになる。しばらく学校を休んでいた千尋はクラスメートにも事情を説明し、鷹取家にも慣れた頃、家出した鳳美耶子が屋敷に訪ねて来る。円を「兄様」と呼ぶ美耶子は彼の許嫁でもあり、美耶子の父と将来のことで喧嘩して家出をして来たのだ。そんな美耶子は父親に認めてもらうため、千尋に弟子入りして家事を学ぶことにする。千尋のもとで順調に家事を学ぶ美耶子だったが、実は彼女にはひそかに片思いしている男性がいた。

子犬の里親探し

家事に関してプロ級の腕前を持つ小宮千尋は、掃除、洗濯、炊事を幅広くこなす少年メイドとして、鷹取円の屋敷で忙しくもにぎやかな日々を過ごしていた。千尋は「働かざるもの食うべからず」という信念のもと、生活力のまったくない家主の円を叱ったり呆れたりしながら、メイド仕事に精を出していた。そんな中、千尋は学校の帰り道に捨てられた子犬を発見し、飼うことはできないとあきらめて帰ろうとしたが、助けを求めるような子犬の鳴き声に耐えかねて結局は拾ってしまう。円が犬にトラウマを抱える大の犬嫌いなことを知りながらも、こっそり屋敷へ連れ帰った千尋は、ひとまず子犬を自室のタンスの中で飼うことにする。次の日、改めて円の犬嫌いを再確認した千尋は、学校で子犬の引き取り手を探し始めるが、なかなか簡単に見つけることはできなかった。そんな千尋の様子が変だと感じ始めた円が篠崎桂一郎に調べるよう命じたことで、千尋が子犬を飼っていたことがバレてしまう。桂一郎に諭された千尋は、円に小犬のことを打ち明けたうえで、これまで隠していたことを謝罪する。そして、円と桂一郎の了承と協力を得られることになった千尋は、子犬の引き取り手が見つかるまでは部屋で飼うことを許される。その後、子犬は鳳美耶子に引き取ってもらえることになり、問題は無事に解決。しかし、子犬がいたことで円に迷惑をかけたと反省した千尋は、円に何かお礼がしたいと考えていた。

千尋の休日

家事を完璧にこなす少年メイドの小宮千尋は、生活力の乏しい叔父の鷹取円の身の回りの世話をする生活にも慣れ、早くも彼の屋敷にやって来て半年を迎えようとしていた。時にはケンカをしたりぎくしゃくしたりしつつも、少しずつ家族と呼べる関係となり、信頼関係を築いていく。さらに千尋は友人も増え、学校生活でも楽しい日々を過ごしていた。そんなある日、学校の階段で転んで足を捻挫してしまった千尋は、足が治るまで家事を休むように篠崎桂一郎から言い渡される。代わりに家事をやると言い出した円に気が気ではない千尋は、いつものように掃除をしたい気持ちと、円が家中を無茶苦茶にするのではないかという不安から落ち着いて休むことができなかった。そんな千尋をよそに張り切って慣れない家事に精を出す円は、千尋の様子を心配してやって来た鳳美耶子と、食事作りを始める。うまく作れるのかと心配する千尋だったが、意外と問題なく昼食を作った二人の様子を見て安心する。しかし夕食の時間を迎えると、焦げ臭さと二人の騒ぐ声に千尋は思わずキッチンに駆けつける。洋食作りが得意な美耶子だったが、円といっしょに慣れない和食に挑戦し、料理を黒焦げにしてしまったのである。だが、自分のために二人が一生懸命に食事を作ってくれたことに、千尋は素直な気持ちを二人に伝える。

みんなで別荘

ぎこちないながらも鷹取円と温かい関係を築いていた小宮千尋は、クリスマスプレゼントに欲しかった最新式の掃除機をプレゼントされ大はしゃぎしていた。円は遊び道具を買おうかと迷っていたが、千尋が最新掃除機での掃除に夢中になっている姿を見て安堵(あんど)する。家中の大掃除を始めた千尋のもとに鳳美耶子日野祐司篠崎桂一郎もやって来たことで、家の中は大にぎわいとなる。そんな中、円は日頃から家事をがんばっている千尋のために、ひそかにある計画を立てていた。それは年末に千尋たちを連れて、円の別荘に行ってみんなで年末を過ごすというものだった。暖炉もある快適な円の別荘で、美耶子や祐司たちと束の間の休暇を楽しむことになった千尋は、屋敷のことが気になりながらもみんなとスケートに出掛ける。その後、別荘の管理人が用意してくれた鍋を食べることになるが、美耶子は円の労をねぎらうために張り切っていた。

祐司の兄妹ゲンカ

ある日、日野祐司の幼い妹の日野花子が泣きじゃくりながら、鷹取円の屋敷に飛び込んで来た。小宮千尋になだめられながらも、祐司とのケンカで家出したと言い張る花子は、迎えに来た祐司を拒絶しながら屋敷内を走り回っていた。一方、大好きな花子とケンカしてしまった祐司は、珍しく気落ちしていた。祐司が謝るまで帰らないと泣き叫ぶ花子の様子を心配した千尋は、二人を仲直りさせようと悪戦苦闘するが、円はなぜか冷静で吞気な様子を見せる。円の様子を不思議に思いながらも、千尋は祐司に兄妹ゲンカの理由を聞くと、それは花子が友人と交わしている交換日記を、祐司が勝手に見てしまったことが原因だった。一方、拗(す)ねたまま作業部屋に逃げ込んで疲れて眠ってしまった花子を、円は今夜一晩預かることにする。花子を連れて帰るのを一旦あきらめた祐司は、勝手に見てしまった花子の交換日記を千尋に預け、寂しさ漂う背中を見せながら帰宅する。その日の夜、屋敷で過ごしていた花子は祐司に酷(ひど)いことを言ってしまったと、後悔の気持ちを千尋に吐露する。

花見と新入生

時にはすれ違いながらも、小宮千尋鷹取円は少しずつ本物の家族としての絆を築いていた。そんなある日、千尋と円が千尋の父小宮千代の墓参りに行くと、千尋がこれまで何度か会ったことのある、おばあさんも来ていた。そして円の反応からそのおばあさんの正体が、千尋の祖母、鷹取一砂であることを知る。昔から千代と一砂は馬が合わず、絶縁された千代が亡くなったこともあって、円は一砂に大きな不満と不信感を抱くようになり、千尋の前に突然現れた彼女に警戒心を強める。この日以来、千尋も一砂に対して複雑な思いを抱き、円も悩む様子を見せるようになる。春休みが近づいた頃、千尋を元気づけようと、日野祐司鳳美耶子は彼を花見に誘う。花見当日、墓参りでの出来事を思い出していた千尋は、一砂のことが憎み切れずにいた。その日の円との会話の中で、千尋は鷹取家の本家に抱いていた冷酷なイメージとは異なる温かみを一砂から感じ取ったことを、彼に打ち明けるのだった。そして春休みが終わった頃、無事に6年生に進級した千尋は新入生たちの面倒を見ていたが、新入生との名刺交換会で出会った三浦政宗は、かなりの問題児だった。その後、千尋が登校するたびに、政宗が上履きに仕掛けた謎のトラップに悩まされることとなる。

思い出のウェディングドレス

大量のウェディングドレスの注文と複数のトラブルが重なり、仕事が一気に忙しくなった鷹取円は、食事もまともに摂(と)れずに多忙な日々を送っていた。小宮千尋が心配する中、不摂生と無理が祟(たた)った円はとうとう熱を出して寝込んでしまう。篠崎桂一郎と千尋の協力もあって仕事は一段落するも、円の体調はなかなか回復しなかった。そんな円の健康を取り戻すために、冷感シートや解熱剤を買いに出かけていた千尋は、公園で猫と戯れている鷹取一砂に出会う。一砂と円の関係が悪いことを気にする千尋だったが、まだ彼女との会話はぎこちないものだった。さまざまな心配を抱えながら帰宅した千尋は、作業部屋で大量の荷物に囲まれる円と話すが、彼の目の前には何度も直した様子のある一着のウェディングドレスがあった。それは円がかつて小宮千代のために作っていたウェディングドレスで、円は千尋にこのドレスにまつわる千代との思い出を語り出す。数日後、円もすっかり調子を取り戻し、千尋は小学生最後の夏を迎えていた。千尋は町内会の夏祭りに修学旅行と盛りだくさんの行事を楽んでいた。にぎやかな日常を送る中で、千尋はもどかしい気持ちを抱えながらも、一砂との距離をまた少し縮めていく。

秋は楽しい運動会

修学旅行の土産(みやげ)を友人たちに渡していた小宮千尋は、ようやく「お祖母ちゃん」と呼べるようになった鷹取一砂と連絡を取ろうとしていた。鷹取円には聞きづらいため、母親を通して一砂と付き合いがあった鳳美耶子に相談すると、すぐに一砂の連絡先を教えてくれた。一砂との関係に悩む千尋の様子を日野祐司と共に見守ってきた美耶子は、千尋と一砂の距離が少しずつ縮まっていることに安堵する。再び公園で一砂に会った千尋は、以前受け取っていたお餞別(せんべつ)のお礼も兼ねて、彼女に土産のかんざしを贈る。秋の運動会が近づいていた千尋は、一砂に運動会に来て欲しいと告げたうえで帰宅する。一方、昔から運動音痴で走るのも苦手な円は、千尋のために運動会の保護者競技に出場したいと張り切っていた。一砂に見に来て欲しいと思いつつも、円との仲が微妙な状態なままで彼女が来てくれるかと心配しながらも、千尋は友人たちとの練習を重ねて運動会の準備に励んでいた。そんなある日、やけにそわそわしている円の様子がおかしいと気づいた千尋は、円がまたしても自室に野良猫を連れ込んでいたことを知る。猫アレルギーを防ぐためにガスマスクをしてまで猫を連れ込む円にあきれつつも、千尋はあちこち毛だらけになったシーツや衣類をすべて回収し、部屋の大掃除と洗濯を開始する。

桂一郎の秘密

修学旅行やハロウィンを終えた小宮千尋は、相変わらず猫を拾ってくる鷹取円にあきれつつも、鷹取一砂との距離を縮めていた。そして冬が近づいてきた頃、円は冬用の新しいコートを鳳美耶子にプレゼントする。新しいコートがすっかり気に入った美耶子は、篠崎桂一郎に家まで送ってもらい、週末に千尋と約束していた豚の角煮作りに参加して欲しいと桂一郎を誘う。その申し出を快諾した桂一郎だったが、帰宅した彼は一本の電話を受けたことで週末の予定が大きく変わり、体調不良を理由にしばらく休ませて欲しいと円に連絡を入れる。一人暮らしで、仕事以外の私生活が謎に包まれているうえに、円の秘書として苦労させられている桂一郎のことを心配する千尋だったが、桂一郎の家に行ったことがないと語る円は、心配する様子を見せることはなかった。疑問に思いながらも桂一郎のことが気になった千尋は、美耶子に相談して週末の予定を変更して桂一郎の家に見舞いに行くことにする。後日、桂一郎の家の前まで来ていた千尋と美耶子は、近くの掲示板の貼り紙に桂一郎の電話番号が書かれていることに気づく。

プレゼントの悩み

クリスマスが近づいてきたある夜、自室で寝ている小宮千尋が机に置いていた最新家電のカタログを、鷹取円がこっそりと見ていた。翌日、円の考えをすぐに察した千尋は、カタログを見ていただけで今欲しい家電はないと円にはっきりと伝える。だが円のことを気にするあまり、千尋はクリスマスプレゼントに何をもらうべきかという変わった悩みを持つようになる。一方、千尋の無欲さにショックを受けた円は、プレゼントを何にするべきかわからなくなってしまう。そんな中、またしても公園で鷹取一砂に出会った千尋は、クリスマスプレゼントについての悩みを彼女に打ち明ける。一砂のアドバイスで、かつて円への誕生日プレゼントに悩んでいたことを思い出した千尋は、一砂と日野祐司の意見をすり合わせながら、円に何をリクエストすべきか考え直す。そして迎えたクリスマスの朝、千尋のベッドに置かれていたのは立派なスノーブーツだった。一砂から受け取ったプレゼントも開封した千尋は、マフラーといっしょに入っていた大人サイズの手袋を円に手渡す。こうして楽しいクリスマスが終わり、年賀状の準備を始める千尋は、一砂にも年賀状を送るために電話で住所を聞くことにする。そして、今年の年末と正月も別荘でお泊り会をすることが決まり、円たちはさっそく準備を始めるが、これを楽しみにしていたはずの千尋は、どこか落ち着かない様子だった。千尋は一砂を通して、正月に直接挨拶に来るよう鷹取家の本家に招かれていたのだ。別荘で過ごす中で千尋が悩んでいる理由を知った円も動揺を隠せなくなり、二人を心配した祐司と鳳美耶子は事情を尋ねる。

メディアミックス

TVアニメ

2016年4月から6月にかけて、本作『少年メイド』のTVアニメ版『少年メイド』が、TBS、CBCほかで放送された。監督は山本裕介、キャラクターデザインは石田可奈が務めている。キャストは、小宮千尋を藤原夏海が、鷹取円を島﨑信長が演じている。

小説

本作『少年メイド』を原作とする、藤咲あゆなの小説『少年メイド スーパー小学生・千尋におまかせ!』が、2014年9月に角川つばさ文庫から刊行された。イラストは乙橘が担当している。

登場人物・キャラクター

小宮 千尋 (こみや ちひろ)

冨士見小学校に通う男子。初登場時は小学5年生。母親似の中性的な見た目で、しっかり者だがふだんは強気な態度を取ることが多い。愛称は「ちーちゃん」。千尋の父は小宮千尋が生まれてすぐに亡くなり、あまり生活力のない小宮千代との二人暮らしで、家事全般を担当している。しかし、千代も突然亡くなって天涯孤独の身となり、途方に暮れていたところで叔父の鷹取円に引き取られる。当初は円に反発していたが、家がゴミ屋敷と化している惨状を放っておけず、小宮千尋が大掃除する姿を見た円の提案により、屋敷の家事全般を担当する代わりに快適な生活環境を提供してもらうギブアンドテイクの関係を築く。ゴミ屋敷に住むのが嫌なこともあり、掃除はもちろん円の身の回りの世話も積極的に行なっている。この際に円からメイド服のような制服を渡され、当初は嫌がっていたものの動きやすさや機能性のよさもあって身につけている。家事のまったくできない千代の代わりに家事全般をこなしているため、プロ級の腕前となり、掃除しがいのある部屋を見ると目を輝かせ、ゲームや勉強よりも家事に没頭し、主夫業は半分趣味と化している。円には辛らつな態度を取るなど対等な関係を築く一方、なかなか素直になれないため、いつも我慢して悩みを一人で抱えがち。ツンデレなところもあるが根はまじめで、繊細な一面もあってウソやごまかしは得意ではない。昔から甘え下手で人に甘えることはなかったが、円や学校の友人との新しいつながりを得た生活の中で成長を遂げていく。家事をひたむきにがんばる姿や、健気な性格から周囲の好感度は高く、円や友人はもちろん近所の人、特に年配者から好かれている。当初は千代と絶縁した祖父母に不満を抱いていたが、鷹取一砂と出会ってからはそんな気持ちもなくなり、少しずつ交流を深めていく。苦手なものはホラー映画。誕生日は1月19日で、血液型はO型。

鷹取 円 (たかとり まどか)

小宮千尋の叔父。鷹取家の長男で、小宮千代の弟。年齢は20代後半。生前の千代との約束を果たすべく、孤独の身となった千尋を引き取る。元は鷹取の本家から離れた屋敷で一人暮らしをしながら、篠崎桂一郎の世話になっていた。あまり物事に執着せずにおおらかで楽天的な性格ながら、意外と頑固な一面もある。幼少期から慕っていた千代の面影を千尋に見ており、彼に対してとにかく構いたがり、家事と身の回りの世話を任せている。家事は壊滅的で自堕落な生活を送っており、放っておくと食事をあまり摂らないなど、不摂生が目立つ。千尋にうるさく言われるうちに無精が改善されていくが、相変わらず片付けが苦手でさまざまな物を溜め込む悪癖がある。料理はできないが菓子作りだけは得意で、仕事の気晴らしに作ることもある。年齢の割に子供っぽいところがあり、千尋や桂一郎を中心にたびたび周囲を振り回している。一方で直感力に優れており、ふつうは気づかないような細やかな点にも目を配り、特に千尋については些細(ささい)な変化にも気づいている。ニートに見えるが実は衣装デザイナーで、服飾関係の知識、技術共に優れており、さまざまなデザインの服を作ることができる。しかし自分の服装にはかなり無頓着で、ワイシャツにズボンというシンプルな格好をしていることが多い。基本的には作業のすべてを屋敷の作業部屋で行っており、作業に没頭するとふだんからは想像できないほどに真剣な顔となる。家にこもりがちなため人見知りで、初対面の相手とは目を合わすことができないうえに人ごみも苦手。昔から体が弱く、猫好きながら猫アレルギー体質。千尋と桂一郎からは止められているが、捨て猫を放っておけず内緒で拾って来ては千尋に怒られ、桂一郎に里親探しを任せている。幼少期のトラウマから犬は苦手で、子犬や犬型のロボットにすら怯える。千代と絶縁した鷹取本家を快く思っておらず、千代が亡くなったこともあって両親と不仲関係で、千尋と接触する鷹取一砂には警戒感をあらわにする。誕生日は11月22日で、血液型はO型。

篠崎 桂一郎 (しのざき けいいちろう)

鷹取円の秘書を務める男性。眼鏡をかけている。円とは父親同士が主従関係で、たまたま円と同級生だったため、幼少期から鷹取家に仕えてきた。まじめな性格で、仕事はもちろんプライベートな場でもスーツを着用している。円の生活全般の面倒を見ていたが家事が苦手なため、屋敷内はいつも散らかっていた。円に引き取られた小宮千尋のサポートをしながら、彼の新生活と円の仕事を支え続けている。ペット可のマンションに一人暮らしをしているが、プライベートは謎が多い。仕事をサボったり、猫を拾って来る円を叱りつけ、容赦のない辛らつな言葉を投げたりすることもあるが、結局は彼に甘いところがある。写真が趣味で、手帳にはたくさんの写真を入れている。また、いざという時のために、円の幼少期の女装写真を持っている。幼少期から円の付き添いや世話などを務めてきた苦労人で、円が海外に留学した際はやっと解放されると喜んだが、結局は放っておけずいっしょについて行くなど、なんだかんだで彼を心配している。仕事以外の私生活は謎に包まれており、円すらも自宅を知らなかったほど。立場上は鷹取本家を無視できず、円が疎遠になっている本家と連絡を取り、円に申し訳ないと思いつつも小宮千代の墓を鷹取一砂に教えていた。スーツを着ていることが多いのは、過去に円から私服が似合わないと言われたためで、ジャージ姿すらレアになっている。鳳美耶子に思いを寄せられているが、自分への好意には鈍感なタイプで、まったく気づいていない。一方で美耶子からもらったバレンタインデーのチョコは食べる前に撮影して毎年専用フォルダに保存するなど、彼女の好意がまったく届いていないわけではない。誕生日は4月28日で、血液型はA型。好物はプリンと寿司で、円の作ったプリンで釣られることも多い。黒猫の黒豆を飼っており、とてもかわいがっている。

鳳 美耶子 (おおとり みやこ)

鷹取家と古くから親交のある名家、鳳家の娘。初登場時は高校1年生。栗色のロングヘアをツインテールにまとめているお嬢様で、優しく気配りもできる面倒見のいい性格をしている。礼儀正しく、丁寧な口調で話す。鷹取円の祖父と鳳の先代が親友同士だったため、16歳になったら円と結婚させられる予定になっている。しかし、あくまで円のことは兄のように慕っているだけで本命の彼氏がいるため、美耶子の父の無理な押しつけに反発して家出をした。この時に円の屋敷に逃げ込んだため、円と契約を結んだばかりの小宮千尋と出会う。幼少期から家出するたびに小宮千代に味方になってもらっていたため、彼女を姉のように慕っており、息子である千尋のことも気に入っている。円との婚約は、円の策略により美耶子の父を怒らせたことで回避し、さらに千尋の家事の腕に感動して教えを請い、父親を納得させるべく苦手な家事を克服しようと修行を始める。このため円の屋敷に頻繁に出入りしているが、単に千尋に家事を教わるだけでなく、何かと悩みを抱えがちな千尋の相談に乗り、弟のように気にかけている。円を通して知り合った篠崎桂一郎に昔から恋心を寄せており、必死に隠しているつもりだが態度がわかりやすいため、円はもちろん千尋にもすぐに気づかれている。桂一郎には照れたり緊張したりしながらも、プレゼントを贈るなどアプローチを続けているが、肝心の桂一郎本人にはまったく気づかれていない。過去に円から菓子作りを教わったが、料理は洋食しか作れない。円からはメイド服やコートなど、さまざまな服を作ってもらっている。動物好きでもあり、千尋から引き取った子犬に「餡太郎」と名づけてかわいがっている。母親の鳳佳耶子を通して鷹取一砂とも親交がある。誕生日は9月20日で、血液型はB型。

日野 祐司 (ひの ゆうじ)

冨士見小学校に通う男子。小宮千尋のクラスメートで親友。大家族の次男として生まれ、六人きょうだいの真ん中で、さらに犬を3匹飼っている。灰色の短髪で、ラフな格好をしていることが多い。個性的なきょうだいに囲まれて育ったために面倒見がよく、年齢の割にしっかり者で大人っぽいところがある。千尋とは1年生の時からの付き合いで、昔から家に招いて遊んだり泊まってもらったりする仲。天涯孤独になった千尋を心配していたが、鷹取円に引き取られた千尋の様子を見て安心し、千尋のメイド服にも瞬時に理解を示した。千尋を通して知り合った円や鳳美耶子とも親しくなり、頻繁に連絡を取り合っている。また竜児とは、いっしょにゲームをして遊んでいる。何かと大人の真似をして飲酒をしようとしているが、さりげなくに千尋に止められている。日野耕司と日野葉子、日野美枝には厳しく、特に葉子と美枝には幼少期にさんざんいじられていた過去がある。一方で日野花子のことはシスコンと言われるほどにかわいがっており、花子が葉子や美枝のようにならないよう警戒している。二人の姉を持つことから、年上の女性の扱いには慣れている。基本的には冷静沈着なサバサバした性格で、悩みの多い千尋の相談に乗って助言もするが、花子とケンカした時は珍しく凹んでいた。周囲への観察眼に優れ、千尋が悩みを抱えていることを瞬時に察して、美耶子と共に見守っている。誕生日は10月1日で、血液型はAB型。好物は辛口のカレーと塩味の卵焼き。

小宮 千代 (こみや ちよ)

小宮千尋の母親。鷹取家の長女で、鷹取円の7歳上の姉。黒髪のロングヘアで顔は千尋とよく似ている。天然でおっとりしたのんびり屋ながら、家族思いな性格をしている。元はお嬢様だったため生活力が乏しく、家事はほとんど千尋に任せっきり。千尋の父が亡くなってからは女手一つで千尋を育てたが、無理が祟って身体を壊し、勤務先で突然の心不全を起こして命を落とした。両親に結婚を反対され、千尋を産むために家を出奔し、鷹取家とは絶縁状態だったため生活に困窮していた。自分に何かあった時のために千尋への遺書を遺していたが、いい加減で奔放な内容だったため、読んだ千尋を落胆させてしまう。千尋はもちろん円からも慕われており、死後も彼らの回想に頻繁に登場し、千尋の夢に出てくることもある。料理は下手ながら卵焼きだけは得意で、これは円が失敗しても嬉しそうに食べるのが悔しくて、特訓を重ねたためである。このため、千尋と二人暮らしになってからも卵焼き作りだけは譲らず、うまく焼けるコツも教えていなかった。幼少期は体の弱い円の面倒を見て励ましながら支え続け、彼が留学することになった時は、いつか自分がダメになった時は千尋を助けてあげて欲しいと約束を交わしていた。ウェディングドレスや結婚式にあこがれを抱き、いつか母親の鷹取一砂のような、きれいなウェディングドレスを着たいと円に話していた。千尋と同様にホラーが苦手。

黒豆 (くろまめ)

篠崎桂一郎の飼っている黒猫。元は鷹取円の拾い猫で、里親が見つからなかったためにペット可マンションの桂一郎の部屋でこっそり飼われている。猫アレルギーの円が見に来るのを避けるため、桂一郎に飼われていることは秘密となっている。気まぐれでそっけないところがあり、目付きは少々鋭い。飼い主の桂一郎にかわいがられており、写真を撮られることも多く、彼によって撮り溜められた写真は円のモチベーションを上げるのに活用されたり、製本されて誕生日プレゼントとして贈られている。桂一郎からは甘やかされがちだったが、太ったことでエサがダイエットフードに変わり、それが気に入らなかったためにマンションから逃げ出した。この際に桂一郎を心配した小宮千尋と鳳美耶子に、黒豆を飼っていることを知られることになる。その後、千尋と美耶子の協力を得て無事に保護された。

鷹取 一砂 (たかとり かずさ)

鷹取円と小宮千代の母親。小宮千尋の祖母にあたる。藤色の着物を着用している中年女性で、厳しそうに見えるが実は温厚で家族思いな性格をしている。古くから鳳家とは親交があるため鳳美耶子や鳳佳耶子とは仲がいいが、鷹取家の本家から離れた円とは不仲状態が続いている。円に引き取られた千尋とは美耶子の家で出会い、当初は千尋のことをお手伝いさんと思っていたが千代の息子であると知り、彼に助言をしたりお茶を奢(おご)ったりと、親交を深めていく。その後も公園で猫と戯れているところで千尋に遭遇し、祖母と名乗ることなくさまざまな相談に乗っていた。円と同様に犬が苦手で、猫好きながら懐かれずにいつも逃げられている。千尋が千代の墓参りのことで悩んでいた時に、相談に乗ったのがきっかけで疑問を抱かれるようになる。そして、千尋が円と墓参りに来ていた時に出会い、円の母親で千尋の祖母であることを明かした。しかし、千尋が抱いていた鷹取本家の冷淡なイメージとは異なることから、特に嫌な感情を抱かれることもなく、時おりメールのやり取りをするなど、ぎこちないながらも交流を続ける。もともと千尋に対しては、会った時に少しでも祖母らしいことをしてやりたいと考えており、実際に会ったあとは千代がいい子を産んで育ててくれたと、安心していた。千尋に運動会に誘われた時は訳あって千尋には会わなかったが、遠くからオペラグラスでこっそり覗いていた。ほかにも修学旅行前に千尋小遣いをあげたりと、距離を縮めていく。千代を慕っていた円からは快く思われておらず、千尋に会うたびに警戒されているが、千代が家出した際にはその意思を尊重し、彼女が家を出る手助けもしていた。しかし、千代とはそれっきり会うことがなく、亡くなったと知った際は強く後悔することとなった。その一方で、千尋を見るたびに千代が幸せな人生を送っていたことを感じ取っている。

祐司の祖父 (ゆうじのそふ)

日野祐司の祖父。日野家の家父長で、日野造園で棟梁を務めており、通称「日野のおじいちゃん」。ふだんは作業服姿で、頭にタオルを巻いている。豪快で気っ風もよく、たくさんの家族に囲まれて面倒見がいい。昔から祐司が家に連れて来ていた小宮千尋と小宮千代とは面識があり、千尋からも懐かれていた。千尋をかわいがっており、千代が亡くなった時は孤独の身となった彼を引き取ることも考えていた。また、鷹取家の庭の手入れをしていたため、鷹取円とも面識がある。円のことは変わった若者という印象を抱いていたため、彼が千代の弟と知った時は驚いていた。毎年のバレンタインには、家族とどのくらいチョコレートをもらえるか競い合っているが、チョコレートを茶飲み友達の老人や近所の女の子まで幅広く受け取るなどかなりの猛者。悪さをした家族に対し、愛のある拳骨(げんこつ)で叱る役割を担っており、祐司たちにラスボス扱いされている。

餡太郎 (あんたろう)

小宮千尋が学校帰りに拾った犬。柴犬に似た雑種の子犬で、カフェオレ色の毛色を持つ。千尋に拾われてしばらくは彼の部屋で世話をされていたが、鷹取円が犬嫌いのため、最終的には鳳美耶子に引き取られた。美耶子からは温泉饅頭(まんじゅう)みたいと言われたことで「餡太郎」と名づけられ、その後も大切に飼われている。

美耶子の父 (みやこのちち)

鳳美耶子の父親。鷹取円からは「鳳の小父さん」と呼ばれている。美耶子を溺愛しており、誕生日プレゼントに専用のキッチンルーム付きの家をプレゼントしたこともある。しかし昔から美耶子に構いすぎるために反発されがちで、家出もされたことがある。16歳を迎えたら美耶子を円と結婚させようとしていたが、円の策略により円が娘の夫としてふわさしくないと思うようになり、縁談を破談にした。

竜児 (りゅうじ)

有頂天BOYSのメンバーの少年。元気キャラ担当で、年齢は16歳。当初はソロで活動し、相方を探す中で伊吹と隼人の有頂天BOYSに加入した。天然で少々鈍感なところがあり、年下の小宮千尋より子供っぽい性格をしている。ファンからもメンバーからもかわいがられているが、いじられキャラで特に伊吹からよくからかわれている。アイドル活動は順調ながらも、衣装担当の鷹取円が作る衣装にひそかに不満を抱き、直接相談に向かった際に千尋と日野祐司に遭遇する。円の作る短パン衣装が子供っぽいことを気にしており、ダンスをかっこよく決めてもかわいいとしか評価されないことにも悩んでいる。これらの悩みを円に直談判するも一蹴されるが、円から筋肉の付いた脚を褒められ、それぞれのメンバーの個性に合った衣装をデザインしていると説明されたことで認識を改め、自分の衣装に自信を持つようになる。料理番組にも出演しているが料理の腕は壊滅的で、周囲からはバイオテロ呼ばわりされるほど。伊吹に馬鹿にされたのが悔しくて千尋に料理を教わるが、米を洗剤で洗ったり包丁の扱いが危なかったりと、千尋を驚愕させた。友人となった祐司とはよくゲームをしている。誕生日は6月24日で、血液型はA型。

伊吹 (いぶき)

有頂天BOYSのメンバーの青年。完璧な王子様タイプで、笑顔が爽やかなイケメン。しかしファンがいない場所では、笑顔で嫌味な言葉を放つ皮肉屋なところがある。陰で努力をしているが、器用で飲み込みも早いため、料理から女装まで大抵のことはそつなくこなす完璧主義者。人見知りで繊細なところがあり、加入したばかりの竜児に初対面で女性と間違えられたことから、彼への印象は最悪でしばらくは険悪な関係が続いていた。当初は竜児の加入にも反対していたが、彼の明るく一生懸命な姿に感動し、徐々に打ち解けていく。今でも時おり衝突しているが、竜児のひたむきでまっすぐなところはしっかり認めている。撮影のために隼人と共にテーマパークを訪れた際に、修学旅行中の小宮千尋と出会う。オフの時や変装している時でも人気アイドルのオーラが強く出ているため、ふだんよりかえって目立つなど変装と相性が非常に悪い。実は寝相がかなり悪く、寝起きのドッキリ企画にはうまく対応できずにいた。誕生日は7月29日で、血液型はAB型。

隼人 (はやと)

有頂天BOYSのリーダーを務める青年。おとなしい性格ながらしっかり者で、個性の強い伊吹と竜児のまとめ役を担っている。面倒見がよく几帳面でメンバーの心身をつねに気にかけ、伊吹が寝ているあいだにパックで肌を整えたり、竜児が寝ているあいだにアザに湿布を貼ったりしている。二人の性格はもちろんプライベートでの癖なども細かく把握している。オンとオフのギャップが激しく、伊吹とは真逆に変装すると完全にアイドルオーラが消え、周囲になんの違和感もなく溶け込んでいる。猫好きで、以前飼っていた白猫の写真を携帯電話の待ち受け画面にしている。誕生日は5月12日で、血液型はA型。

日野 耕司 (ひの こうじ)

日野祐司の兄で、日野家の長男。初登場時は大学生で、愛称は「耕ちゃん」。年齢の割に子供っぽく明るい性格の持ち主。個性的な弟妹を持つことから面倒見がよく、祐司が悪さをして祐司の祖父に拳骨を食らわされた時はいっしょに謝ったり、祐司の授業参観では大学の授業を休んで足を運ぶなど、弟思いな一面もある。年の離れた妹の日野花子とは、いっしょに子供向けアニメを楽しんだり、魔法少女ごっこに付き合ってあげたりしていた。バレンタインデーの成果を家族と競い合っている。祐司が昔からよく連れて来ていた小宮千尋をかわいがっており、千尋からお兄ちゃんと呼ばれたい願望があり、小宮千代が美人なこともあって、彼を弟にしたいと考えたこともある。毎回突拍子もない言動や行動に走るため、祐司たちから疎まれることも多い。ハロウィンでは千尋たちと共にランタン作りに参加し、千尋にもっと頼って欲しいと声をかけていた。

日野 葉子 (ひの ようこ)

日野祐司の姉で、日野家の長女。初登場時は短大生。幼少期から日野美枝と共に祐司をからかってきたため、彼からは苦手意識を持たれている。祐司がよく連れて来ていた小宮千尋をかわいがっており、千尋からお姉様と呼ばれたい願望がある。初めて鷹取円の屋敷を訪れた時は、初対面の円に対して変な人だけど美形という印象を抱いていた。家族のバレンタインデー対決ではジャッジ係を務めている。趣味は歌劇団やアイドルの追っかけ。

日野 美枝 (ひの みえ)

日野祐司の姉で、日野家の次女。初登場時は高校2年生。幼少期から日野葉子と共に祐司をからかってきたため、彼からは苦手意識を持たれている。祐司がよく連れて来ていた小宮千尋をかわいがっており、千尋からお姉様と呼ばれたい願望がある。初めて鷹取円の屋敷を訪れた時は、初対面の円に対して美形だけど人見知りという印象を抱いていた。葉子と同様に、趣味は歌劇団やアイドルの追っかけ。

日野 花子 (ひの はなこ)

日野祐司の妹で、日野家の三女。初登場時は幼稚園児。ふだんは祐司にかわいがられているが、友人のあゆみとの交換ノートを祐司に見られたことに怒って家出した。鷹取円の屋敷へ駆け込み、連れ帰ろうとした祐司をよそに泊まることになった際に、円に魔法少女風のドレスを作ってもらう。また、祐司に酷いことをしてしまったと不安な気持ちを小宮千尋に打ち明け、後日迎えに来た祐司と仲直りをした。のちに冨士見小学校に入学し、あゆみと同じクラスになる。服を作ってくれた円に懐いているため、時おり祐司を不安にさせている。

日野 慎司 (ひの しんじ)

日野祐司の弟で、日野家の三男で末っ子。初登場時は1歳の赤ん坊。顔は祐司や日野耕司とよく似ている。末っ子ということで両親や祖父はもちろん、きょうだいから非常にかわいがられており、優しい家族に囲まれてすくすく育っている。まだ言葉は話せないが、家族の心の変化には敏感に反応する。

祐司の父 (ゆうじのちち)

日野祐司の父親。ふだんは日野造園の庭師を務めている。日野家で悪さをした者を最初に叱る役割を担っており、祐司たちからは中ボス扱いされている。妻の祐司の母とは新婚のように仲がいい。祐司の授業参観を楽しみにしていたが、当日はぎっくり腰で行けなかった。運動会には行くことができたが、ジャンケンに負けて親子競技に参加できずに悔しがっていた。

祐司の母 (ゆうじのはは)

日野祐司の母親。少々天然気味なおっとりした美人で、夫の祐司の父とは新婚のように仲がいい。祐司の授業参観を楽しみにしていたが、当日は肩こりで行けなかった。小宮千尋が祐司に誘われて初めて家に遊びに来た時、千尋のあまりの行儀のよさに衝撃を受けていた。祐司や祐司の祖父と同様に千尋のことを気にかけており、お彼岸用のぼた餅の作り方を教え、運動会では千尋たちといっしょに食べるために弁当も多めに作っていた。円が日野花子に作った魔法少女風のドレスをひそかに鏡の前で合わせるなど、お茶目な一面がある。

天原 雪人 (あまはら ゆきと)

小宮千尋のクラスメートの男子。元気一杯の明るい性格で、成績はあまりよくない。千尋と仲のいいクラスメートの中でも、特にやんちゃで子供っぽいところがある。基本的に運動音痴だが、走るだけなら誰にも負けない。動物好きながらマンションに住んでいるため、千尋が捨て犬の引き取り手を探していた時は引き取るのをあきらめた。

竹井 宏 (たけい ひろし)

小宮千尋のクラスメートの男子。眼鏡をかけている。まじめな性格のしっかり者で成績も優秀ながら、千尋にはかなわない。小学1年生の時に天原雪人に消しゴムを半分あげたことで、あだ名が「消しゴム神」になりかけたことがある。家では寝ぼけ癖のある猫を飼っている。

乃村 夕 (のむら ゆう)

小宮千尋のクラスメートの女子。千尋に好意を抱いているが、恥ずかしがり屋でおとなしいためにアプローチできずにいる。掃除の時間に千尋に親切にされたことをきっかけに、彼にバレンタインのチョコレートを渡そうとするが学校では渡すチャンスを逃し、家まで行って手渡すことに成功する。チョコには犬を描いたつもりだったが、絵心がないため怪獣のような絵になり、千尋にも気づいてもらえず、鷹取円からはナスカの地上絵だと思われていた。このため千尋からは怪獣好きと勘違いされ、ホワイトデーに彼から手作りマカロンと、怪獣柄の手作り巾着をもらった。千尋に好意があることを隠しているつもりだったが松木ともえたちからは気づかれており、たまたま遭遇した鳳美耶子にもすぐに気づかれた。時おり友人や美耶子から後押しされ、千尋と共に行動している。夏祭りでは焼きそば屋台の看板娘を務め、迷子になった三浦政宗を千尋と二人で捜しに行った。運動が苦手で運動会は雨天中止を願っていたが、ともえが応援団に立候補したことで晴れを願って、てるてる坊主をたくさん作っていた。

松木 ともえ (まつき ともえ)

小宮千尋のクラスメートで、乃村夕と仲のいい女子。ポニーテールの髪型で、愛称は「ともちゃん」。快活で友人思いの優しい性格をしている。町内会の夏祭りでは、夕や中島昌と共に看板娘を務めた。夕が千尋に好意を寄せていることを知り、控えめな彼女を後押ししている。運動会では小学校の思い出作りのため、日野祐司といっしょに応援団で活動した。

中島 昌 (なかじま あきら)

小宮千尋のクラスメートで、乃村夕と仲のいい女子。ショートカットで前髪をヘアピンで留めている。愛称は「あっちゃん」。夕が千尋に好意を寄せていることを知り、控えめな彼女を後押ししている。町内会の夏祭りでは、ぎっくり腰で来られなくなった父親の代わりに焼きそば屋台を営むことになり、鷹取円に保護者役を頼んだうえで、夕や松木ともえと共に看板娘を務めた。

千尋の父 (ちひろのちち)

小宮千代の夫で、小宮千尋の父親。千尋が生まれてすぐに亡くなり、千尋も覚えていないため写真でしか知られていない。しかし写真嫌いだったため、顔がぼやけたり見えなかったりと、顔がまともに写っている写真が残っていない。生前は孤独の身で、放っておけなくなった千代が家族になりたいと思ったのが、結婚のきっかけだった。千代の死後は彼女と同じ墓に眠っている。

坂本先生 (さかもとせんせい)

小宮千尋のクラスの担任教師を務める女性。生徒思いの優しい性格で、小宮千代の死で大きく家庭環境の変わった千尋を心配して気にかけていた。しかし、のちの授業参観日の三者面談で、千尋が鷹取円と仲のいい様子を見て安心するが、円が鷹取家の子息であることは知らない。乗り物酔いしやすく、修学旅行ではバスに酔ってぐったりしていた。

あゆみ

日野花子の友人の少女。初登場時は幼稚園児で、小宮千尋が6年生に進級した年に新入生として入学し、花子と同じクラスになった。花子とは秘密の交換日記を交わすほど仲がよく、この交換日記を見られたことが原因で、彼女と日野祐司がケンカしたこともある。

三浦 政宗 (みうら まさむね)

冨士見小学校の新入生の男子。小宮千尋が6年生に進級した時に入学した。日野花子とクラスメート。身軽で身体能力が非常に高いが極度の人見知りで、人とコミュニケーションを取るのが苦手。6年生と新入生の交流会で千尋と出会って以降、なぜか彼の上履きに虫やカエルを入れて困らせていた。しかし、それは大好きな千尋に構って欲しいという気持ちの表れで、それを知られたことで彼と打ち解ける。千尋に諭されてからはイタズラもしなくなるが、彼に構って欲しくて何かと絡むようになる。夏祭りでは政宗の父と屋台を見て回っていたが、人ごみの中で迷子となり、いきなり木から飛び降りて来たところを千尋と乃村夕に発見される。

政宗の父 (まさむねのちち)

三浦政宗の父親。顔と髪型が政宗によく似ている。政宗が小宮千尋にイタズラをしていた時に、千尋が保護者に対して書いた手紙を政宗を通して受け取り、千尋のことをしっかりした小学生だと感心していた。政宗を連れて夏祭りに来た時に、初めて千尋と顔を合わせる。

鳳 佳耶子 (おおとり かやこ)

鳳美耶子の母親。鷹取一砂とは友人同士で、彼女よりも11歳年下。明るく社交的でおおらかな性格をしている。一砂とは愛称で呼び合う仲で、時おりお茶会を開いてはお互いの近況を報告し合ったりしている。また、小宮千尋との関係に悩む一砂にアドバイスを送っている。

鷹取 真角 (たかとり ますみ)

鷹取円と小宮千代の父親で、小宮千尋の祖父。オールバックの髪型で、非常に無口な中年男性。妻の鷹取一砂とは異なり、孫の千尋に会うことはなかったが、彼が初めて鷹取家本家を訪れた時に顔を合わせた。帰ろうとする千尋を車に乗せ、少しだけ話をしたあとに円の家まで送って行った。千尋に対しては千代とよく似ている印象を抱き、千代が亡くなったあとも元気に暮らしている様子を見て安心していた。初めて会った時の千尋からは、ちょっと怖いけどかっこいい人という印象を抱かれている。

集団・組織

鷹取家 (たかとりけ)

鷹取円と小宮千代の実家。資産家として知られている。千代は結婚のために家出して、円も別の屋敷に住んでいるため、使用人以外で本家にいるのは鷹取一砂と鷹取真角のみとなっている。鳳美耶子の実家、鳳家とは昔から親交がある。本家は母屋(おもや)とは別に、大きな離れの洋館があるほどの広い敷地を持つ。離れにも料理人やメイドが常駐し、料理人は幼少期の円にお菓子作りを教えていた。そのほかに別荘をいくつも所有し、円の別荘には顔を見たことのないという管理人が常駐している。

有頂天BOYS (うちょうてんぼーいず)

人気アイドルグループ。メンバーは伊吹、隼人、竜児の三人で、鷹取円が有頂天BOYSの衣装を担当している。当初は隼人と伊吹だけだったが、ソロ活動をしていた竜児があとから加入した。事務所の用意したマンションで、メンバー三人による共同生活を送りながら活動している。衣装全般についてはデザインから制作まで円がすべてを担当しており、全体的にフリル付きの衣装が多い。

関連

少年メイド外伝 有頂天BOYS (しょうねんめいどがいでん うちょうてんぼーいず)

乙橘の『少年メイド』のスピンオフ作品。アイドルグループ「有頂天BOYS」メンバーのアイドル活動の日々、そしてほかのアイドルやファンとの交流を描いた日常コメディ。「B's-LOG COMIC」2017年... 関連ページ:少年メイド外伝 有頂天BOYS

書誌情報

少年メイド 特装版 6巻 KADOKAWA〈B's-LOG COMICS〉

第6巻

(2013-04-01発行、 978-4047288478)

少年メイド 全10巻 KADOKAWA〈B's-LOG COMICS〉

第1巻

(2008-12-01発行、 978-4047340015)

第1巻

(2008-12-01発行、 978-4757745995)

第2巻

(2009-06-01発行、 978-4047340022)

第2巻

(2009-06-01発行、 978-4757749399)

第3巻

(2010-02-01発行、 978-4047262195)

第4巻

(2011-02-28発行、 978-4047270572)

第5巻

(2011-12-29発行、 978-4047277151)

第6巻

(2013-04-01発行、 978-4047288461)

第7巻

(2014-02-01発行、 978-4047294301)

第8巻

(2014-11-01発行、 978-4047300255)

第9巻

(2016-04-01発行、 978-4047340268)

第10巻

(2017-04-01発行、 978-4047345522)

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