さくらん

さくらん

江戸吉原の遊郭に引き取られ、遊女として育てられた主人公きよ葉の恋愛と生き様を描く時代劇風の恋愛ストーリー。

正式名称
さくらん
ふりがな
さくらん
作者
ジャンル
時代劇
 
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概要・あらすじ

北国の田舎から江戸吉原の遊郭玉菊屋に連れて来られた少女が、吉原一の花魁として知られる遊女きよ葉として成り上がっていく姿を描く。遊郭で日々を過ごしながらきよ葉は、男性客をもてなす手練手管を学んだり、先輩や同僚の遊女と衝突したり、男性客と恋に落ちたりしながら、遊女として成長していく。

登場人物・キャラクター

きよ葉 (きよは)

幼少の折、女衒の虎次により玉菊屋に連れてこられ、遊女の下働きをする「禿」となりとめきと名付けられる。容姿に優れているが跳ねっ返りで、玉菊屋および吉原からの逃亡を図るなど、さまざまな騒動を起こす。少女に成長してからはおりんと名を変え、引込禿として芸を仕込まれる。やがて新造出しを経て遊女として座敷に上がるようになり、後に吉原一の花魁として知られるようになる。 座敷に上がるようになってからは、その突飛な行動と、客に「にやり」と呼ばれた蠱惑的な微笑みで人気を集める。若狹屋の紹介で出会った惣次郎と恋に落ちる。

清次 (せいじ)

きよ葉らが在籍する遊郭玉菊屋の見世番として、遊女たちの世話をする男。きよ葉のことは幼少時より面倒を見ており、生意気がたたって周囲からいじめられたり、朋輩を失って落胆していたきよ葉を励ますなど、遊女たちの精神的な支えともなっている。

粧ひ (しょうひ)

きよ葉(当時の名前はとめき)が幼少時に玉菊屋に在籍していた先輩遊女。当時、玉菊屋で一番の売れっ子で、美人で気が強く、機転が利いて床上手。とめきら、目下の者には厳しく接するが、愛用のかんざしを盗んだ疑いをかけられたとめきをかばうなど、包容力も見せる。材木問屋の若旦那に身受けされて夫婦となり、玉菊屋を去る。

お染 (おそめ)

きよ葉(当時の名前はおりん)と修行を共にした、遊女見習いの引込禿で、松葉屋という郭に所属する。登場時の年齢は13歳で、おりんの一つ年上。人あしらいがうまく、将来を嘱望される。おりんと共に芸事の修練に励むが若くして死亡する。死因は「はやり病」とされたが、真相は不明。

若狭屋の旦那 (わかさやのだんな)

遊郭玉菊屋に通う客。御用商人であることをかさに着て強引な態度を見せることがある。座敷に忍び込んできて無礼を働いた、遊女見習いの「引込禿」であったころのきよ葉(当時の名前はおりん)を気に入る。きよ葉の水揚げ(初めての性交)の相手となろうとするが、高野屋文左衛門にさらわれてしまう。 後にきよ葉の想い人となる惣次郎を引き合わせる。

三雲

遊郭玉菊屋の遊女で花魁。かつては粧ひとは対立していたが、やがて成長したきよ葉に目をかける。きよ葉が座敷に上がる遊女となる「新造出し」のさいには、そのために必要な諸費用を肩代わりするなどの世話を焼く。静かで何を考えているか分からないところがあり、そこを高野屋文左衛門に気に入られている。

高野屋文左衛門 (こうのやぶんざえもん)

遊郭玉菊屋に足繁く通う飄々とした遊び慣れした老人。三雲の名代として座敷にやってきたきよ葉に「新造嫌いの新造好き」と皮肉られるが、きよ葉の生意気さ加減と聡明さを気に入る。三雲の上客だが、彼女の前できよ葉を賞賛することで嫉妬心を煽るなど、いたずら心を見せる。後にきよ葉の水揚げを行い、初めての性交相手(初客)となる。

梅葉 (うめは)

遊郭玉菊屋の遊女できよ葉の先輩。花屋に惚れ込んでいる。やがて花屋はきよ葉に惚れてしまうが、その姿を見て嫉妬に狂って錯乱。小指を小刀で切断して花屋に送りつけ、誓いを立てようとする騒動を起こす。その騒動の折り、きよ葉に自分の小指を切り落とすための手伝いをさせようと迫る。

花屋 (はなや)

遊郭玉菊家に通う男性客。梅葉の客で、梅葉は彼にぞっこん惚れ込んでいる。やがて玉菊家で見かけたきよ葉に惚れてしまい、店の外で彼女を待ち伏せるなど恋慕を見せるようになる。その姿を見た梅葉は錯乱して騒動を起こす。

惣次郎 (そうじろう)

遊郭玉菊家に通う男性客。若狹屋の甥っ子で、三松屋という商家の総領息子。最初は若狹屋に連れられて玉菊屋を訪れるが、そこで出会ったきよ葉を見初め、彼女目当てに玉菊屋に通うようになる。きよ葉は彼への恋慕に身を焦がすが、彼は一度店に来るとその後10日程度は店に来ない。

若菊 (わかぎく)

遊郭玉菊家の遊女できよ葉の同僚。惚れた客(間夫)に入れ上げるあまり、座敷を休みがちになり、金策に困窮したところをきよ葉に助けられる。後に惣次郎に対して操を立てようとするきよ葉が売れっ子のままでいることに嫉妬を抱くようになる。

坂口 (さかぐち)

遊郭玉菊家の客で、身分の高い大名。三雲ときよ葉を同時に座敷に呼び競わせた結果、きよ葉を気に入り、やがて玉菊屋に足繁く通うようになる。しかし惣次郎を想うきよ葉は、何かと理由をつけては坂口の座敷を避けるようになり、それを知った坂口は激怒する。

浅黄裏 (あさぎうら)

遊郭玉菊家の客で、参勤交代で江戸に滞在している田舎侍。粧ひに想いを寄せるが、醜い容姿や流行遅れの着物を着た野暮さなどのせいで、粧ひは彼を袖にし続ける。しかし彼から菓子をもらったとめきのせいで、粧ひは彼と一夜を共にしなければならない羽目に陥る。「腎張」と呼ばれる疲れ知らずの精力の持ち主で、同衾した粧ひは夜通しクタクタになるまで責め抜かれてしまう。

場所

玉菊屋 (たまぎくや)

『さくらん』に登場する遊郭で、所在地は江戸吉原。きよ葉粧ひ三雲らの遊女たちが所属し、男性客たちに酒食や性的接待を提供している。強欲な主とやり手婆、見世番の清次らによって切り盛りされている。遊女たちは花形的存在である「花魁」や「新造」、見習いである「引込禿」、下働きの童子である「禿」などに分かれている。 遊女たちが粗相したり脱走しようとすると折檻を加えるなど、遊郭街の掟に従った運営されている。

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