概要・あらすじ
伊藤優太は12歳の誕生日の夜に、病に冒された母からある「お願い」をされる。それは「自分が死ぬまで動画で撮影し続けてほしい」というものだった。母の願いを聞き入れた優太は、それ以来、スマートフォンで母を撮影し続ける。そして動画データが100時間を超えた頃、母はいよいよ最後を迎えることになった。「死ぬ瞬間まで撮影してほしい」という母の願いを叶(かな)えるため、優太は父に連れられて病院に向かう。しかし優太は母の死を撮ることができず、病院から逃げ出した。すると、走る優太の背後の病院は爆発してしまう。ここで舞台は学校の体育館に転換。これまでの物語は、文化祭で上映されていた優太製作の映画『デッドエクスプローションマザー』だったのだ。優太の映画を見た生徒や先生の反応は「母の死を冒瀆している」「不謹慎」「最悪」「クソ映画」など散々だった。それを聞いた優太は自殺を決意し、母が死んだ病院の屋上へと向かう。するとそこに一人の少女がいた。彼女の名は絵梨。屋上に現れた少年が、『デッドエクスプローションマザー』を作った優太だとわかると、絵梨は彼の手を取り、とある廃墟へと連れていく。勝手に持ち込んだという携帯映写機で、優太に映画を見せた後、絵梨は『デッドエクスプローションマザー』が最高に面白かったと告白する。そして、たくさんの映画をインプットしたうえで、もう一度映画を製作しようという。今度こそ文化祭で全員を泣かせる映画を作ろうという絵梨の誘いを、優太は受け入れた。こうして二人は廃墟で映画を見続け、やがて本格的に映画製作を始めるのであった。
登場人物・キャラクター
伊藤 優太 (いとう ゆうた)
目の前の問題を客観的に見てしまう癖を持った少年。12歳のとき、母親にスマートフォンを買ってもらい、病に冒された母が死ぬまでのセミドキュメンタリー映画を製作。学校の文化祭で発表するが、母の死を冒瀆するような、病院が爆発するラストシーンが不評を買い自殺を考える。その後出会った同級生の絵梨とともに、新たな映画製作に乗り出す。
絵梨 (えり)
伊藤優太の同級生の少女。くせ毛のショートヘアが特徴。映画マニアで、優太が製作した『デッドエクスプローションマザー』を気に入り、優太に誰もが泣ける作品を作らせようとする。