たまちゃんハウス

たまちゃんハウス

落語家の家に生まれた丸山珠子が、その環境にうんざりしつつも、周囲の魅力的なキャラクターたちと織り成していくハートフルな日常を描いた人生劇場。作者の逢坂みえこの落語への思い入れたっぷりに、代表的な小噺のあらすじや魅力について描き下ろしたおまけページも充実している。「コーラス」2006年7月号から平成2009年9月号にかけて連載された作品。

正式名称
たまちゃんハウス
ふりがな
たまちゃんはうす
作者
ジャンル
落語
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概要・あらすじ

落語家の家に生まれた丸山珠子は、落語だらけの生活にうんざりしていた。自分が本当にのめりこめるものを探したいと常々思っていた珠子だったが、熱しやすい割に飽きっぽい性格が災いし、1つのことが長続きしないでいた。一方、内弟子である桜花亭春々は、いつも落語のことで頭がいっぱいで、夢中になると他のことを忘れてしまう。

そんな桜花亭春々のことを、珠子は当初、単なる頼りない男性だと思っていたが、夢を追いかける彼の姿を見るにつけ、次第に惹かれていくのだった。

登場人物・キャラクター

丸山 珠子 (まるやま たまこ)

落語家である桜花亭春福の娘で、18歳の大学1年生。甘ったれのお嬢さま育ちで、世間知らず。熱しやすく、飽きっぽい性格。自分の周囲にはいつも住み込みのお弟子さんたちがおり、落語一色の家庭環境に嫌気がさしていた。しかし桜花亭春々たちと触れ合ううちに、少しずつ芸の世界に興味を持ち始める。

桜花亭春々 (おうかていしゅんしゅん)

桜花亭春福に弟子入りして5年目の落語家の男性。本名は「池沢良」。イケメンながらあがり症で人見知り、かつ陰気な性格のため、いまだに落語家として明確な結果を残せていない。一方で非常に努力家で、調子が乗ってくるとお客をぐいぐい惹きつける素晴しい話術を披露する。松之家吉兆に憧れており、かつて弟子入りしようとしたが、結局弟子入り先には桜花亭春福を選んだという過去がある。

桜花亭白春 (おうかていはくしゅん)

桜花亭春福に弟子入りして3年目の落語家で、19歳の男性。テレビのバラエティー番組に引っ張りだこの人気者だが、自分の本分である落語の勉強も人一倍しっかりとやっている努力家。一人っ子で、ギャンブル好きの両親に放置されて育ったためグレていたが、テレビで落語を見て感動し、その世界へと足を踏み入れた。

桜花亭早春 (おうかていそうしゅん)

桜花亭春福に弟子入りして5年目の落語家の男性。本名は「藤本清一郎」。テレビ番組の司会やドラマなどにも出演する売れっ子。子供の頃から落語が大好きで、ひたすら落語の道を目指してきた。成績優秀で国立大学にも入学したが、中退する覚悟で弟子入りを志願していた。結局は桜花亭春福に説得され、大学の卒業を待って正式に入門した。きちんとしすぎているせいで、今一つ独自の味がないのが欠点となっている。 いじられキャラでもある。

桜花亭春福 (おうかていしゅんぷく)

丸山珠子の父親にして、落語の師匠。本名は「丸山繁男」。5代目桜花亭春福の名前を引き継ぎ、桜花亭春々、桜花亭白春、桜花亭早春の3人の弟子を抱えている。酒好きで、酔って弟子にからんだり無神経な発言をすることもあるが、芸に対してはストイックで、自分の知名度がどれほど上がっても、常に学ぼうとする姿勢を忘れない。 人情に厚く、弟子たちを身内のように思っている。

珠子の母 (たまこのはは)

丸山珠子の母親で、桜花亭春福の2番目の妻。もとはお茶屋さんで「菊奴」という名で芸妓をしていたが、当時既婚だった桜花亭春福に惚れていた。のちに妻を亡くした桜花亭春福と結婚し、珠子をもうけた。

松之家吉兆 (まつのやきっちょう)

ベテランの落語家の男性で、桜花亭春福の往年のライバル。年を重ねてもなお、落語の勉強を忘れず自分に厳しいストイックな一面を見せるが、他人に対してはいつも穏やかで優しい人格者。

松之家小吉 (まつのやこきち)

松之家吉兆の息子で、本名は「吉田太郎」。16歳の時から入門と破門を繰り返し、一度は完全に落語家の道を諦めて髪の毛を金髪にしたり青いコンタクトを入れたりと派手な格好をしていた。現在は考えを改め、本気で落語家を目指して父親の弟子となっている。

(たえ)

松之家吉兆の家で働いている女性。もともと、妙の祖母が松之家吉兆の家のばあやとして働いていた縁で、引退するばあやの代わりに勤め始めた。落語が大好きで心から松之家吉兆を尊敬しており、恵まれた環境に生まれながらも努力しようとしない丸山珠子や松之家小吉に対しては辛口。しかし、心に思ったことをストレートには口に出さない食わせ者でもある。

千秋 (ちあき)

桜花亭早春の同居人であり、大学生時代の落語研究会の先輩の女性。消防士として エネルギッシュに仕事をこなしている。サバサバした、非常に男っぽい性格。桜花亭早春とは男女の関係にありながら、お互いに自分の気持ちを伝えあったことがない。落語が大好き。

一福 (いっぷく)

大学を卒業して桜花亭春福のもとに弟子入りしたばかりの男性。ぱっちりした目の美少年。二福、三福とともに、ドジでおバカで可愛いキャラクターとして、桜花亭春福や珠子の母に可愛がられている。

二福 (にふく)

大学を卒業して桜花亭春福のもとに弟子入りしたばかりの男性。背が高く、体格が良いのが特徴。一福、三福とともに、ドジでおバカで可愛いキャラクターとして、桜花亭春福や珠子の母に可愛がられている。

三福 (さんぷく)

大学を卒業して桜花亭春福のもとに弟子入りしたばかりの男性。目が細いのが特徴。一福、二福とともに、ドジでおバカで可愛いキャラクターとして、桜花亭春福や珠子の母に可愛がられていたが、プロの落語家になることへのプレッシャーに耐えきれずに逃げ出してしまう。

田沼 (たぬま)

国会議員を務める男性で、桜花亭春福のタニマチ。酒癖が悪く、酔うとしつこくからんで来る。特に気の弱い桜花亭春々をターゲットにしており、無理難題をふっかけることもある。桜花亭白春のことがお気に入り。

アーちゃん

桜花亭春福の最初の妻だったが、すでに亡くなっている。桜花亭春福より7歳年上で、子供っぽいところがある桜花亭春福を大らかに受け入れていた懐の深い女性。病気で亡くなる直前に、珠子の母を枕元に呼び、自分の代わりに桜花亭春福一門のおかみさんになるように頼んだ。

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