概要・あらすじ
高校3年生の佐藤太郎は、ふざけて人を笑わすことに一所懸命だった。笑われ役を買って出れば敵を作らない。「ひょうきん」であることは彼の処世術だった。ところがある日、太郎は友人たちの陰口を耳にしてしまう。「騒がしい」「面白いというより下品」など、友人たちは、太郎のことを嘲笑していた。太郎は人を笑わせていたわけではなく、笑われていただけなのだ。気落ちしながら新宿を歩く太郎に声をかけたのは、寄席の呼び込みだった。初めて寄席に足を踏み入れた太郎は、そこで俊足亭ユリシーズという落語家の噺に爆笑し、感銘を受ける。そして、一旦は就職を決意する太郎だったが、結局ユリシーズへの弟子入りを願う。太郎の弟子入りを断るユリシーズは、出待ちや車を全速力で追いかけてくる太郎の熱意に負け、弟子入りを許す。その後、反対する母も説き伏せ、高校卒業後に太郎はユリシーズの弟子になった。こうして太郎は「与太郎」という名前をもらい、内弟子修業に励むことになった。やっと落語ができると思っていた太郎だったが、「見習い」である太郎の仕事は、家事や雑用だけだった。そして弟子入りから4か月がたった。要領が悪く、雑用でも失敗が多い太郎の扱いに困っていたユリシーズは、彼を部屋に呼びつけ、落語を一席やれという。これで師匠に気に入られなかったら、破門かもしれない。太郎は腹を決めて「船徳」というネタを披露するのであった。
登場人物・キャラクター
佐藤 太郎 (さとう たろう)
初登場時は高校3年生。茶髪にソバカスが特徴の青年。「ひょうきんでいることが処世術」を信条にしていたが、ある日友人たちからバカにされているだけだということに気づく。そんな時に出会った、俊足亭ユリシーズの落語に惹かれ、彼に弟子入する。不器用で、素質もセンスも運もないと自覚しているが、熱意だけは一人前以上。
俊足亭ユリシーズ (しゅんそくていゆりしーず)
落語家の中年男性。ボサボサ頭に無精ひげ、ギョロッとした大きな目玉が特徴。事務所に履歴書を送ってきた佐藤太郎の弟子入りを一度は断るが、その熱意にほだされて内弟子にする。酒とタバコが好き。
クレジット
- 監修
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入船亭小辰