概要・あらすじ
漫画家を目指す女子高生・渡瀬かおるは、ある日念願の「奨楽社新人コミック大賞」で大賞を受賞。しかし、受賞作冊子を見てかおるは仰天。そこに載っていたのは自分の作品ではなかったのだ。しかも、その内容は自分の作風とは真逆のBLマンガ。その場は賞を受け取りつつも、釈然としない気分のかおるは兄・渡瀬弦太郎に今日のいきさつを話したところ、意外な事実が発覚。
受賞した作品を描いたのは実は弦太郎であった。事情を担当編集の八反田に打ち明けようとするが言い出せず、少女マンガ雑誌「フローラ」でのデビューはとんとん拍子に動き出す。仕方なしに、玄太郎が漫画を描いて時間をかせぎつつ、その間かおるは大賞受賞者にふさわしい実力を身につけるという作戦に出ることに。
周囲には秘密のまま、兄妹の漫画家生活はスタートするのだった。
登場人物・キャラクター
渡瀬 かおる (わたせ かおる)
少年漫画家志望の女子高生。渡瀬弦太郎の妹。ペンネームは「わたせウネリ」感情の起伏が激しく、玄太郎に対する当たりもきつい。「荒○弘」のような漫画家を目指し、投稿を繰り返していたが、勢いまかせで話運びが乱暴、という欠点のため、毎回選外だった。ある日、兄が自分の名前を使って描いたBL風少女マンガ「でぃす×こみ」が「奨楽社新人コミック大賞」少女まんが部門で大賞を受賞。 自分が受賞したと勘違いし、授賞式に出席してしまう。担当編集の八反田に真実を伝えようとするが言い出せず、身代わりとして少女マンガ誌「フローラ」でデビュー。兄との二人三脚でBL漫画を描きつつ、自分の実力をつけるべく努力していく。
渡瀬 弦太郎 (わたせ げんたろう)
大学生。渡瀬かおるの兄。就職活動の合間に初めて描いたBL漫画「でぃす×こみ」が「奨楽社新人コミック大賞」少女まんが部門で大賞を受賞。描きあがった作品が「渡瀬玄太郎」という名前では合わないと感じたため、妹の「渡瀬かおる」の名で投稿していた。それが原因でかおるが受賞者と勘違いされてしまった。 昔からかおるの漫画を手伝わされており、漫画の描きかたはそこで覚えた。自分が書いたのがBLというジャンルであることも知らなかったが、ストーリー作りには天才的な才能を持つ。自分の身代わりとなったかおるに共に、漫画家として取り組んでいく。表向きはかおるのマネージャー兼アシスタントということになっている。
八反田 (はったんだ)
少女マンガ誌「月刊フローラ」の女性編集者。渡瀬かおるの担当。かおる(渡瀬弦太郎)の才能を見込み、編集長の反対を押し切って「でぃす×こみ」の掲載を決めた。
及川 ナナオ (おいかわ ななお)
「月刊フローラ」に連載を持つ漫画家。タカラヅカのようなルックスと振る舞いの男装の麗人。三人の女性アシスタントを持つ。八反田の提案でアシスタント体験をすることになったかおるを受け入れた。
岡部 (おかべ)
渡瀬かおるの同級生。「でぃす×こみ」を気に入り、高村の母が学校に文句を言いにきたときは、「渡瀬から漫画を取り上げたら何も残らない」と。かおるを擁護した。
高村 要輔 (たかむら ようすけ)
渡瀬かおるの同級生。「でぃす×こみ」に情熱を感じて惹かれ、雑誌を切り抜いてスクラップしていた。成績の悪化を危惧した母親が学校に来た際も、渡瀬の次の作品が読みたい、と彼女を擁護した。
高村の母 (たかむらのはは)
高村要輔の母。息子の部屋でスクラップされていた「でぃす×こみ」を発見し、「いかがわしい漫画」のせいで息子や周囲に悪影響がでていると、渡瀬かおる漫画を描くことをやめるよう言いにきた。実はBL好きの様子。
飯坂 一 (いいざか はじめ)
「月刊フローラ」の編集者。配属されたばかりの新人で、「女の園」である職場になじめないでいる。
その他キーワード
でぃす×こみ
『でぃす×こみ』に登場する漫画作品。渡瀬弦太郎が渡瀬かおるの名で投稿し、「奨楽社新人コミック大賞」少女まんが部門で大賞を受賞した。姉を失った少年・幸多と、その同い年の従兄弟で彼に惹かれている優等の切なくも美しい物語を描いたBL漫画。
書誌情報
でぃす×こみ 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2015-01-09発行、 978-4091867209)
第2巻
(2017-01-30発行、 978-4091894380)
第3巻
(2018-01-12発行、 978-4091897763)