とらわれの身の上

とらわれの身の上

長年の行方不明から生還したお嬢さま・昂上鈴花と、その忠実な下僕である黒石恵のラブストーリー。両想いでありながら、先祖から続く呪いのせいで結ばれることのないジレンマに悩む2人の姿を描く。「ララ」1999年4月号から2002年2月号にかけて連載された作品。

正式名称
とらわれの身の上
ふりがな
とらわれのみのうえ
作者
ジャンル
執事・メイド
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概要・あらすじ

黒石恵は先祖代々、昂上家に仕える黒石家の血を引いている。仕えるべき主人である昂上家は、14年前に一家3人で中国へ旅行に行ったきり行方不明になっていた。昂上家の財産を引き継いで悠々自適な生活を送っていた恵だったが、なんと一人娘の昂上鈴花は生きており、久しぶりの再会を果たすこととなる。実は黒石家には昂上家に絶対服従の呪いがかかっており、恵は鈴花の目を見たとたんに、意思に反して下僕になってしまうのだった。

やがて2人の間には主従関係ではなく恋心が生まれるのだが、呪いの力が邪魔をして、2人が本当の意味で結ばれることはない。思い余った鈴花は、黒石家の呪いを解く方法を探し始める。

登場人物・キャラクター

黒石 恵 (くろいし めぐみ)

大学生の青年。先祖代々昂上家に仕えてきた黒石家の者。昂上家の者に身も心も捧げて死ぬまで仕えなくてはならない、という呪いがかかっている。3歳の時に行方知れずになった昂上鈴花と14年ぶりに再会してから、彼女の目を見ると、意思に反して下僕のようにひれ伏してしまう。

昂上 鈴花 (こうがみ すずか)

17歳の美しい少女。黒石家が仕える昂上家の末裔。3歳の時に両親とともに中国に旅行に行き、そのまま長い間ずっと行方不明になっていた。お嬢様育ちなうえに日本に戻って間もないので、少々世間知らずなところがある。優しい心を持っており、呪いのせいで自分に服従しなくてはならない黒石恵を不憫に思っている。

黒石 嘉 (くろいし よしみ)

黒石恵の父親。昂上家に執事として仕えてきた。最初は呪いのせいで服従してきたのだが、次第に本気で昂上の主人を尊敬するようになり、執事を生きがいと感じるようになった。主人を亡くし、遺産を相続しつつも、昂上家の者が生きていることを信じて、死亡届を出さずに待ち続けた。執事として常に冷静沈着で、優雅に知的に振る舞うことをモットーとしている。

獅子井 恵都 (ししい けいと)

黒石恵の生みの母親。、黒石嘉の戸籍には入っていない。インターポールで働いており、主に組織的な人身売買犯罪の担当をしている。命知らずで身体能力に優れ、職務においてもあまりにも有能すぎるため、周囲からは「インターポールの雌ライオン」として恐れられている。

昂上 世悟 (こうかみ せいご)

昂上鈴花の父親。黒石嘉を深く信頼しており、単なる使用人ではなく、友達として親しく接していた。黒石家にかかった昂上家への絶対服従の呪いを解く方法を探して中国に渡ったが、そのまま行方不明となった。その後、10年以上経ってから死亡が確認されたが、仮死状態になる薬を飲まされていただけで、実際は生きている。

昂上 香澄 (こうかみ かすみ)

昂上鈴花の母親。昂上世悟の妻。夫の良き理解者で、黒石家にかかった昂上家への絶対服従の呪いを解きたいと願う世悟の力になろうとし、その方法を求めて一緒に中国に渡ったが、そのまま行方不明となった。その後、10年以上経ってから死亡が確認されたが、仮死状態になる薬を飲まされていただけで、実際は生きている。

桜山 留衣 (さくらやま るい)

昂上家でかつて働いていた古株のメイドの娘。16歳ながら、プロのメイドである。昂上鈴花が行方不明となっていた間、黒石恵の淋しさを埋めるために、恵にとても可愛がられていた。また、桜山留衣自身も恵に想いを寄せていた。だが、帰還した鈴花と恵の仲を知り、悔しいながらも身を引く。

相楽 剛志 (さがら ごうし)

黒石恵と同じ大学に通っている青年。戸籍は男性だが心は女性、というトランスジェンダーで、見た目と言葉遣いは女性そのもの。恵とは高校の時からの友達で、当時は普通に男同士として接していた。大学に入って様子が変わった相楽剛志に、最初は戸惑いながらも、最終的には友人として受け入れてくれた恵のことを、深く信頼している。

鷹司 比流 (たかつかさ ひりゅう)

昂上鈴花と同じ高校に通っている男子。鈴花よりも1つ年下の16歳。多くの企業を子会社に持つ「鷹司グループ」の御曹司。鈴花に想いを寄せ、結婚したいと願っている。「鷹司グループ」の跡取り候補の中では唯一の男子であり、周囲の期待に応えたいと思っている。

紫端 湊 (しばた みなと)

「鷹司グループ」で働いており、鷹司比流のお目付け役をしている男性。祖母が昂上家出身のため、昂上鈴花にとってはまたいとこにあたる。比流の家政婦として働いていた母親が、仕事中に突然心不全で倒れた。その際、比流がとっさに応急処置を施し、素早く病院に入院させてくれ、母親が一命を取り留めた、という過去がある。そのため、比流には深く恩に感じている。

アルジュナ=リドリー

インドからの交換留学生。日本語が堪能だが、なぜか関西弁を話す青年。子供の頃に人身売買の組織に囚われていたことがあり、その時に檻の中で昂上鈴花と出会った。捜査をする獅子井恵都に協力するため、鈴花とともに人身売買組織のボスの顔を思い出そうとする。

おばば

竜神による呪いをかけられている占い師の老婆。その昔、竜神に救ってもらった村人の末裔で、呪いにより、夜になると姿が変化して獣になってしまう。そのため隠れ里に潜んで生きているが、なんとかして呪いを解きたいと思っている。

黒石 嵐 (くろいし あらし)

室町時代に都を荒らしていた盗賊。通称は「黒猫丸」。黒石恵にとっては先祖にあたる。昂上家に伝わる宝物「昇竜の掛軸」を盗み出そうとして忍び込み、そこで出会った美しく気の強い姫君に惹かれた。予定通りに「昇竜の掛軸」を盗み出したものの、姫君のことが忘れられず、のちに掛軸を返しに戻る。その後、竜神の力で、子々孫々百代先まで昂上家に仕える呪いをかけられてしまう。

昂上 早矢 (こうかみ はや)

室町時代に生きていた姫君。昂上家の祖先。父親が亡くなった後、唯一の跡取りとして、亡き父が選んだ男性と結婚することを決意。しかし、意に染まない男性の妻となることに苦しんでいる。黒石嵐に出会い、自分を盗み出してほしいと願っていたが、最終的には自らの恋心よりも、家を大切にする気持ちの方が勝った。矢を射られそうになった嵐を身を呈してかばい、自分が死にそうになるが、竜神の力で助けられる。

翡翠 (ふぇいつい)

その昔、山の中の小さな村に住んでいた占い師の女の子。心優しく歌が上手で、竜神の化身である昂と心を交わしていた。村人たちに翡翠が殺されそうになった際、昴が村人に、夜になると動物に変化する呪いをかけたため、命は救われた。しかし、これをきっかけに気持ちがすれ違っていくようになる。やがて異国で幸せな家庭を持ち、天寿をまっとうするが、魂は今でも昂を求めている。

(あん)

その昔、山の中にいた竜神の化身。人間の姿になることも可能で、その時には少年の姿をとる。翡翠と心を交わし、大切に想っていた。だが、翡翠を殺そうとした村人に、お仕置きをするつもりで呪いをかけた。これが原因で、翡翠と気持ちがすれ違うようになった。さらに力の源である宝玉をなくし、その力も弱体化してしまった。現在も昂上家に伝わる宝物「昇竜の掛軸」の中で生きており、昂上家を守るために力を振るう。

その他キーワード

昇竜の掛軸 (のぼりりゅうのかけじく)

昂上家に代々伝わる掛軸。竜の絵が描かれている。普段はしっかり巻いて厳重に縛ってあり、昂上家ではない者が開くと死んでしまう、という言い伝えがある。中に描かれている竜神によって、黒石嵐を含む黒石家の者は、子々孫々まで昂上家に絶対服従するという呪いをかけられた。

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