概要・あらすじ
高藤家の長女の高藤苺は、1年間のイギリス留学を終え、久しぶりに実家に帰ってきた。一年前、家族総出で盛大に見送ってもらった苺は、家族との再会を楽しみにしていた。玄関先には、友人を待つ弟の凛悟がいたが、その態度はそっけなかった。みんなは朝食の最中だと聞いた苺は、勢い込んで食堂の扉を開けた。そこには、父母、妹、叔父、祖母がそろっていたが、静かに食事を続けるだけで、苺には目もくれない。異様な雰囲気に驚く苺に話し掛けてきたのは、執事の九鬼清十郎だった。苺が留学後、高藤家に仕えることになったという。とりあえず朝食の席につく苺。父も母も、九鬼にうながされ、挙手してからしか発言しない。叔父に至っては、フォークを落としただけでうろたえ、土下座して九鬼にあやまる始末。食事が終わり、ほかの使用人に聞いても、九鬼が完璧な執事だと言うばかり。「みんな九鬼に洗脳されている」、そう考えた苺は「家族に何をしたのか」と九鬼に詰め寄る。しかし九鬼は不敵に笑い「親睦が深まると、みんな九鬼に依存し、操り人形のようになるのだ」と答えた。そこに友人を連れた弟の凛悟がやって来る。朝食に凛悟がいなかったことに気づいた苺は、彼がまだ洗脳されていないのではないかと考え、凛悟を味方につけようとする。しかしその努力も虚しく、友人とのトラブルが発生した際、体を張って自分を救ってくれた九鬼に、凛悟は心酔してしまう。どうしたら九鬼を追い出すことができるのか、家族を元どおりにすることができるのか。この日から苺の人生は、洗脳執事の九鬼によって大きく変わることになった。
登場人物・キャラクター
高藤 苺 (たかとう いちご)
超セレブな高藤家の長女。私立の中高一貫校に通う16歳。学業、部活動ともに優秀で、クラスの人気者。近所でも、気さくでいい子だと評判がよい。1年間のイギリス留学を終えて自宅に戻ると、家族全員が、執事の九鬼清十郎によって洗脳されており、愕然とする。九鬼を追い出し、家族を元に戻そうと奮戦する。
九鬼 清十郎 (くき せいじゅうろう)
高藤家に仕える執事で、24歳の男性。金髪のマッシュルームカットが特徴。品がよく気がきいて、完璧に仕事をこなす。かかわった人間は、どんどん九鬼に依存するようになり、ついには彼の操り人形のようになってしまう。ベニコンゴウインコのベニさんをペットとして飼っており、ベニさんが唯一心の内を話せる友達。実は寂しがり屋で、人間の友人が欲しいと考えているらしい。