ねがい

ねがい

恐怖と悲しみが交錯する傑作ホラー短編集。「少年サンデー」1975年16号に掲載された、少年の移ろいやすい心が引き起こす悲劇的な怪異を描いた表題作の「ねがい」を含む、7つのエピソードが収録されている。収録エピソードのうち「ねがい」「DEATH MAKE」「絶食」「プレゼント」は「楳図かずお恐怖劇場」という題名で、2005年に映画化もされている。

正式名称
ねがい
ふりがな
ねがい
作者
ジャンル
ホラー
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
関連商品
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概要・あらすじ

友達のいない小学生、はある日ゴミ置き場から人間の頭の形をした木片を持ち帰る。等はその木片で人形作りに没頭し、出来上がった人形に「モクメ」と名付けていつも側に置いていた。両親は気味悪がって注意するが等は聞き入れない。そんななか、等は友人から願いを叶えるには宇宙のエネルギーに働きかければいいと教えてもらう。(エピソード「ねがい」)

登場人物・キャラクター

(ひとし)

エピソード「ねがい」に登場する。友達がいない孤独な小学生。ゴミ置き場から拾ってきた木片で人形を作りモクメと名付ける。モクメが人間のように動けるようにと願いをかけるが、転入生の浦野智子と仲よくなるにつれ、モクメに興味を示さなくなる。

少女 (しょうじょ)

エピソード「DEATH MAKE」に登場する。女子中学生。友人の付き添いでビデオ部のマスク制作を見学するが、時間が遅くなったから帰ると言い出し、ひんしゅくをかう。出来の良過ぎるホラー・マスクに対して、あまりにもリアル過ぎなのではないかとの不安を覚える。

知子 (ともこ)

エピソード「絶食」に登場する。あきらに太っていることをなじられ、こっぴどくふられた女子学生。あきらが自分の悪口を言っているのを聞いてしまい、絶対にあきらを振り向かせようと、過酷なダイエットに取り組む。

まなぶ

エピソード「Rôjin」に登場する。20歳が寿命である世界に暮らす5歳の少年。穴の中に落ちてしまったロウジンを見つけ怪物だと思ってしまうが、石をぶつけた際に血が出たのを見て驚き、しだいにロウジンの話に耳を傾けるようになる。

優子 (ゆうこ)

エピソード「プレゼント」に登場する。良介に想いを寄せる若い女性。仲間が集まるクリスマス・コンパに良介と参加するが、良介に渡そうと思っていたカードを友人たちに読まれてしまう。大人しい顔をしているが、男性を手玉に取る性悪女の一面を持っている。

田代 敬一 (たしろ けいいち)

エピソード「蛇」に登場する。好奇心旺盛な小学生だが、気の弱い性格。友人と大蛇がいると噂されている家に忍び込み、その姿を目の当たりにする。その大蛇が逃げたことを知り恐怖にかられる。父親の留守中に訪ねてきた、新しい母親と名乗る葉山かおりに言い知れぬ不安を感じる。

理美 (りみ)

エピソード「鎌」に登場する。父親とともに祖母の家を訪れた、幼さの残る少女。到着した時には祖母は既に亡くなっており、衝撃を受ける。そんな折、山崩れのために父親が現場へ駆り出され、不慣れな祖母の家に遺体と共に1人残され、途方に暮れる。

お母さん (おかあさん)

エピソード「ねがい」に登場する。等の母親で、モクメを気味悪がっている。等に友達がいないことを気にしており、モクメに熱中する等が心配でたまらない。等に浦野智子というガールフレンドができたことをとても喜ぶ。

モクメ

エピソード「ねがい」に登場する。等がゴミ置き場から拾ってきた木片で造った人形。友達のいない等の溺愛を受け、モクメが人間のように動き回れるよう等に願いをかけられる。浦野智子と仲良くなった等に飽きられ、ビル建設予定地に捨てられてしまう。

小岩 (こいわ)

エピソード「DEATH MAKE」に登場する。男子中学生でビデオ部の中心人物。ホラー・マスクを制作した張本人で、完成度の高さに大満足している。帰り際、ホラー・マスクをかぶって皆を驚かそうとするが、顔に張り付き取れなくなってしまう。

ロウジン

エピソード「Rôjin」に登場する。70年生きたという老人。子供の頃に遊んだ場所が懐かしくなり来てみたが、穴に落ちて出られなくなる。見つけてくれたまなぶに助けを求めるが、怪物だと思われてしまう。まなぶと言葉を交わすうちに、世の中に自分のような老人が存在しなくなったことに気づく。

良介 (りょうすけ)

エピソード「プレゼント」に登場する。優子が狙っている若い男性。優子のクリスマスカードに書かれた「プレゼントは私自身」という言葉を聞かされてすっかりその気になり、酒を大量にガブ飲みし、下品な下心をあらわにする。

葉山 かおり (はやま かおり)

エピソード「蛇」に登場する。田代敬一の父親が再婚しようとしている女性。父親が葉山かおりを家に連れて来るため出かけた日に、父親と行き違いになったと敬一の家を訪ねてくる。自分がここに来ていることは誰にも言わないでくれと、敬一に釘を刺す。

(てつ)

エピソード「鎌」に登場する。理美の父親。東京に出てから故郷にはまったく戻っていない親不孝な面がある。理美を連れての久しぶりの帰郷に胸を高鳴らせていたが、実家に到着した時には自分の母親が既に亡くなっており、悲しみに暮れる。

書誌情報

ねがい 小学館〈ビッグ コミックス〉

(2005-07-29発行、 978-4091878922)

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