ふぁんたじあ

ふぁんたじあ

竹書高校に通う高校2年生の大月秋広は、魔法人達が住むファンタジアの護り人であるマロンと、いきなり同居生活を送る羽目になった。ファンタジアの滅亡やマロンの命を狙う敵との戦いに巻き込まれていく秋広の姿を描く、ドタバタファンタジーラブコメディ。「コミックガンマ」1992年春号から1996年no.31にかけて掲載された作品で、コミックス第1巻から第4巻までは、描き下ろしの番外編も収録されている。

正式名称
ふぁんたじあ
ふりがな
ふぁんたじあ
作者
ジャンル
ファンタジー
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あらすじ

第1巻

絨毯の中にある異世界、ファンタジアに住む魔法人の女の子、マロンは、人間に迫害され、絨毯の中に逃げ込んだ仲間達を守る護り人として、56年間、人間界で過ごす事を義務付けられていた。高校2年生の大月秋広の家を安全な場所として選んだマロンは、半ば強引に居候として暮らし始める。しかし、そんなマロンのもとに、ファンタジアから追放されたエクレアの孫、ロールが姿を現す。彼は祖父の恨みを果たすために、ファンタジアを消滅させようと、マロンやマロンの友人、ショートモンブランに攻撃を仕掛ける。(第1話「とびらをあけて」)

ロールを撃退した翌朝、学校にいる間だけでも厄介事を持ち込むマロンと離れる事ができると喜ぶ秋広。しかし、物心ついた時から両親や兄弟がいなかったマロンは、一人になる事を嫌がり、秋広の通う竹書高校に登校し始める。魔法の力を使い、登校初日から騒動を起こしてしまうマロンだったが、当の本人はその状況を楽しんでおり、ついには休日の遊びにまで秋広について回るようになる。挙げ句の果てには、秋広が思いを寄せるクラスメイトの田仲美幸とのデートにも付いていき、二人の仲を邪魔してしまう。(第2話「学校へ行こう??」、第3話「プレイランドパニック」)

美幸とのデート中にマロンが口にした、「レア」という人物が気になって仕方がない秋広は、ロールから「どんな質問でも答えるようになる指輪」を買い取り、マロンにプレゼントする。秋広からの初めての贈り物に喜ぶマロンだったが、ロールの話は真っ赤なウソで、その指輪には魔法力を封じる力があった。こうしてマロンからは魔法力が失われる事となり、ロールと手を組んで自分の事を陥れた秋広に失望したマロンは、護り人役を降りたいと言い始めてしまう。指輪を外すためにもファンタジアに帰る必要があり、誤解が生じたままマロンは秋広のもとを去ってしまう。(第4話「大月君のワナ!?」、第5話「大月君の一番長い日!?」、第6話「真夏の夜の夢」)

第2巻

和解した大月秋広マロンは、再び日本で過ごす事になる。そんなある日、秋広とマロンが通う竹書高校に転入して来たロールは、ファンタジアの滅亡をあきらめ、人間の生活をしてみたいと語る。だが、そんな言葉とは裏腹に、ロールは二人のスキをついて学校全体を巻き込む仕掛けを施す。そしてロールは、秋広達の命とファンタジアのどちらかを選ぶよう、マロンに迫るのだった。(第7話「ロール君の第逆襲」)

祖父の遺言をなかなか遂行できないロールに代わり、彼の妹、シフォンが秋広の前に現れる。そしてシフォンは、釘を使って秋広をあやつり人形にしてしまう。シフォンの命令に逆らえなくなってしまった秋広を救うため、マロンは自分の命を交換条件として差し出し、囚われの身となる。(第8話「はじめまして」)

秋広に対する特別な気持ちを自覚した田仲美幸。しかし、抜け駆けはしたくないという思いから、恋敵であるマロンにバレンタインが、女の子にとって特別な日である事を教える。バレンタイン当日、美幸とマロンは秋広に手作りチョコレートを渡すが、どちらのチョコレートを先に食べるかで揉めてしまう。(第9話「ハッピー・バレンタイン」)

ある日、ファンタジアの巫女、クレープからマロンあてに伝言が届く。伝言の内容は、マロンの母親、フロマージュの消息に関するもので、ロールの父親、トルテが鍵を握っているという事だった。マロンはロールに懇願し、なんとかトルテに会わせてもらったものの、トルテ自身は何も知らないと言う。しかし、トルテの父親であり、ロールの祖父であるエクレアに引き合わせてもらえる事となり、マロンはエクレアの精神が封印されているという地下室に案内される。そして、封印から解き放たれたエクレアからは、マロンの両親とマロンの生い立ちを聞かされ、マロンの父親、井田隼人の形見を渡される。(第10話「マロンのヒ・ミ・ツ」、第11話「グッドモーニング・エクレア」、第12話「物語」)

第3巻

大月秋広は、将来、田仲美幸を自分の女にすると豪語していた。しかし、美幸かマロンのどちらかを選ばなくてはいけない水着コンテストでは、はっきりと態度で示す事ができなかったりと、優柔不断な面を見せていた。そんな中、竹書高校の七不思議に巻き込まれたマロンは、別人格に乗っ取られて暴れ始めてしまう。彼女を救うために駆り出された秋広は、うまく救出する事ができず彼女に大ケガを負わせてしまう。これによりマロンを失いかけて初めて、秋広は自分がマロンに惹かれている事に気づく。(第13話「太陽に吠えろ!!」、第14話「竹書高校七不思議」)

一方、新しく赴任して来た美術の先生は、モンブランあてに書いたロールのラブレターを自分あてのラブレターだと勘違いしてしまい、同性である事も気にせずロールに恋してしまう。美術の先生のあまりに熱烈な愛情表現にたじたじになるロールは、モンブランとの仲を深めるどころの騒ぎではなくなってしまう。(第15話「ゴートゥーザヘル!!」)

年が明け、美幸やロール、シフォンも含め、秋広達と初詣に行ったマロンは、マロンの命を狙うレアに見つけられてしまう。歴然とした力の差を見せつけるレアの前になす術もない一行だったが、力のコントロールができなくなったマロンの強大な力が、レアの力を退け、追い詰める。結局、今一歩のところで取り逃がしてしまったが、レアからは「プレゼントだ」と言ってマロンの母親、フロマージュの亡き骸と再会させられる。(第16話「まえぶれ」、第17話「マロンの想い」、第18話「ずっと……」)

第4巻

井田隼人の形見がフロマージュを生き返らせるという奇跡を起こし、マロンは無事に母親と再会する事ができた。そしてマロンは、大月秋広の家族といっしょに花見を楽しんだりと、幸せな日々を過ごす。高校3年へと進学した秋広も、クラス委員長の座をかけてロールと野球で勝負したりと、学生生活を満喫していた。そして、高校最後の夏、田仲美幸と海の思い出をつくりたい秋広は、小づかい稼ぎのためにアルバイトを始める。しかし、マロンとショートの邪魔が入り、アルバイト先を潰されるという災難な目に遭う。(第19話「春の嵐」、第20話「勝つのはどっちだ!?」、第21話「バイト㊙大作戦!?」)

アルバイト代を貰い損ねた秋広は、少ない小づかいで美幸をプールに誘ったり、キャンプに連れて行ったりするが、デート先でもマロンやショート、モンブランに邪魔をされてしまう。そして、遅れてキャンプに参加して来たロールは、「ファンタジアを滅亡させてほしい」というエクレアの遺言がトルテの聞き間違いであったという事実を知り、マロンに1対1の最後の勝負を挑む。(第22話「愛がなくちゃね♡」、第23話「ロールのギワク!?」)

「町のどこかに高価な宝石が隠されている」という噂を耳にした美幸は、宝石探しに勤しんでいた。ある時、秋広、マロン、ショート、そしてモンブランは、そんな彼女を手伝う事となる。五人は調査の末、以前マロンが召喚した守護神の胃の中にあるものが、お目当の宝石ではないかと推測。こうして、秋広は魔法で小さくなり、胃の中まで取りに行く事になったが、エクレアがファンタジアから盗んで来たというその宝石は、秋広をそのままファンタジアの世界に連れて行ってしまう。(第24話「危険な予感」)

第5巻

一向に人間界に戻って来る様子のない大月秋広を追って、マロンショートモンブラン、そしてエクレアファンタジアへと向かう。一行は暗雲が立ち込め、異様な雰囲気に包まれるファンタジアに降り立つが、モンブランがみんなとはぐれてしまう。さらに、モンブランは一足先にレアに捕らえられている秋広を発見するものの、レアに見つかってあやつり人形にされてしまう。一方、自らの手でレアを倒すと心に誓うマロンは、ようやく見つけたレアに直接対決を仕掛ける。互角に渡り合うマロンとレアだったが、一瞬だけ見せたレアのもう一つの顔が忘れられない秋広はマロンを制止。このせいでマロンは、レアから致命的な攻撃を受けてしまう。(第25話「とらわれの秋広」、第26話「想い出のバショで」、第27話「とおい昔」)

レアからの攻撃で致命傷を負ったマロンを助けるため、秋広はレアの相手をショートに任せ、その場から一時退却。運よく治癒魔法が使えるクレープと再会した秋広は、一命を取り留めたマロンをクレープに預け、一人で戦うショートを助けに、再びレアのもとに向かう。だがその時には、モンブランと同様にショートもレアの手に落ちて洗脳されており、秋広を攻撃し始める。モンブランとショートの連携攻撃に窮地に陥る秋広だったが、そこにロールシフォンが駆けつけ、モンブラン達を撃退。そして秋広達はエクレアの助言を頼りに、レアではない真の敵を探して、暗雲の中心に位置する城を目指すのだった。(第28話「真実の地へ」、第29話「レア」、最終話「やさしい心」)

登場人物・キャラクター

大月 秋広 (おおつき あきひろ)

竹書高校に通う2年生の男子。年齢は17歳。絨毯の中に凝縮されたファンタジアという世界に住む魔法人のマロンに見初められ、彼女との同居生活が強引に始まる。根っからの女好きで浮気性だが、クラスメイトの田仲美幸の事を特別に思っており、将来自分の女にしようとしている。しかし、マロンが人間界にやって来てからは、美幸とのデートを邪魔されたり、ショートとモンブランといっしょに問題を起こすマロンにばかりかまけてしまったりと、二人の仲が険悪になる事が増え、危機的状況に陥っている。 一方、そんなマロンを疎ましいと感じながらも、なんだかんだ心配したり助けたりと、強く突っぱねられない自分に動揺を感じるようになる。マロンか美幸の、どちらかを選ばなければならない場面に陥ると硬直してしまい、結果どちらとも取れない行動を起こし、二人から呆れられてしまうほど優柔不断なタイプ。 一時の感情に任せてマロンに罵声を浴びせてしまったり、うまい話に騙されて敵対しているロールに力を貸してしまったりする単純な性格。その反面、ロールの妹、シフォンの策略にハマり、危機的状況に陥ったマロンを救い出したり、力が必要な時には、敵対している相手でも土下座して頼み込んだりと、いざという時に男気を見せる事もある。 弟に大月冬馬がいる。

マロン

ファンタジアの護り人として、人間界にやって来た魔法人の女の子。人間界で56年間、ファンタジアの世界が凝縮されているという絨毯を守らなければならない役目を担っている。占いで安全だと出た大月秋広の家に上がり込み、本人の意向を無視して居候を始める。父親の顔を知らず、母親とは幼い時に別れ、物心ついた時から独り身だったため、孤独になる事を嫌い、秋広の学校や出掛け先など、あらゆるところに出現してはトラブルを起こす問題児。 人間との混血のため、魔法人が持つコアがないと言われていたが、ファンタジアの滅亡を企むロールとの戦いの中でコアが出現。さらには、月や星よりも強い太陽のコアを持つロールでさえ力負けするほどの魔法力を発揮する。なお、コアのコントロールに慣れていないため、必要以上の魔法力を周囲に放出してしまう事もある。 ファンタジアに住んでいた頃は、「混血」を理由にクラスメイト達からいじめられる事もあったが、同じクラスメイトのショートとモンブランとは仲がいい。また、他所からの流れ者であるレアには特別な感情を抱き、心を許していたが、ある出来事をきっかけに命を狙われる立場になってしまう。 一つ目のスライム状の生き物、ベムランをかわいがっており、事あるごとに魔法で出しては周囲の人を混乱させる。ロールからは「アーバー娘」と呼ばれている。

ショート

マロンがファンタジアで暮らしていた時にクラスメイトだった女の子。モンブランを含め、三人で仲よくしていた。勝気な性格で血の気が多く、売られた喧嘩はすぐに買ってしまうタイプ。後先考えずに動いてしまうので、周りに迷惑をかけたり、ケガしてしまう事も多い。魔法の力を増大させる、月のコアを持つ。昼間は、大月秋広やマロンの通う竹書高校に通わず、モンブランといっしょに遊園地でアルバイトをしている。 ファンタジアで暮らしていた頃、「人間との混血」を理由にほかのクラスメイトからいじめられていたマロンの事をつねづね気にかけており、マロンが悲しむような事、傷つくような事をしようものなら、相手が誰であろうと容赦しない。男好きで、すぐに口説く癖があるため、敵であるロールに対しても初対面時に口説いており、彼からは「売女」と呼ばれている。

モンブラン

マロンがファンタジアで暮らしていた時にクラスメイトだった女の子。ショートを含め、三人でなかよくしていた。ファンタジアの村長の娘で、普段は温和な性格だが、怒りが爆発すると手がつけられなくなるほど怖い。マロン、ショート、モンブランの三人の中では一番の常識人で、周囲に迷惑がかかる事やフェアじゃないやり方を嫌う。 魔法の力を増大させる、星のコアを持つ。昼間は、大月秋広やマロンの通う竹書高校には通わず、ショートといっしょに遊園地でアルバイトをしている。ショートと行動を共にしている事が多く、マロンの事となればすぐに駆けつけてくる。マロンと正々堂々と戦わないロールに対し、最初は快く思っていなかったが、注意をすれば素直に言う事を聞く彼に対して徐々に好感度を高めていき、嫉妬したり心配したりする程度には、ロールの事を特別に思うようになる。 盆栽が趣味で、泳ぐのが苦手。

ロール

エクレアの孫で、トルテの息子。ファンタジアから追放され、ファンタジアを憎んでいた祖父のエクレアの「ファンタジアを滅亡させて欲しい」という遺言を果たすべく、ファンタジアの護り人が現れるのを待っていた。それ故、ファンタジアを狙って、マロンやショート、モンブランと常々交戦している。通常、人間と魔法人の混血は魔法力を増大させるコアを持たないとされているが、故郷への思いが強ければ強いほど魔法人の血が強く受け継がれるため、太陽のコアを持つ。 星や月のコアよりも太陽のコアの方が優位であり、ショートやモンブランの魔法力を凌駕する。ファンタジアを滅亡させるためには手段を選ばない性格で、大月秋広を利用してマロンを陥れたり、秋広やマロンの通う竹書高校に転入し、二人のクラスメイトとして仲よくなったスキを狙ったりするが、今一歩のところでマロンに負けてしまう。 挙句、正々堂々と戦わない姿勢をモンブランに指摘され、性根を叩き直される。それ以降、モンブランに特別な思いを抱くようになる。竹書高校の女子生徒にファンクラブを結成されるなどモテるタイプだが、シャイであがり症。 言葉で伝えられない代わりにとモンブランあてにラブレターを書いた事もあるが、ベルサイユ一平ルーブルあてだと間違われ、ベルサイユから執拗に追いかけ回されるようになる。また、ベルサイユには愛称として「モナム」と呼ばれている。妹にシフォンがいる。

田仲 美幸 (たなか みゆき)

竹書高校に通う2年生の女子。大月秋広のクラスメイト。日頃から秋広のラブコールを受けており、本人も満更ではなかったが、ほかの女子生徒にも同じように接する秋広を見て呆れている。さらに、マロンが人間界にやって来てからは、田仲美幸に対し「マイスイートハニー」と言う一方で、マロンの心配をしている秋広の煮え切らない態度に不満を抱くようになる。 マロンやショート、モンブランが起こすあらゆる騒動に秋広と共に巻き込まれて疲弊するものの、徐々にその環境に慣れていき、三人のいない日常を寂しく思う時もある。秋広への好意を自覚してからは、マロンの事を恋敵と認識し、フェアであろうとする真っ直ぐな性格。魔法人であるロールの事を素手で一発KOさせるなど、怒ると怖い面も持つ。

エクレア

ロールとシフォンの祖父。トルテの父親。ファンタジアの掟を破り、人間界へと追放された魔法人。ファンタジアと人間界の時間の流れは異なっており、ファンタジアの1年は人間界でいう56年に値する。そのため、ファンタジアの世界でエクレアが追放されたのは3年前の話だったが、マロンが護り人として人間界に来た時にはすでに亡くなっていた。 息子であるトルテに、「フロマージュという女に会ったら起こしてほしい」という遺言を残し、ファンタジアの秘術を使って精神だけ玉に封じ込めていた。精神解放後は、シフォンのかわいがっていたプリンという猫に憑依している。フロマージュとは友人関係ではあったが、本人はそれ以上の感情を抱いていた。

シフォン

トルテの娘で、ロールの妹。ファンタジアの掟を破り、人間界へと追放された祖父のエクレアの遺言を守り、兄といっしょにファンタジアの滅亡を狙っている。魔法人と人間の混血だが、兄のロールと同じく魔法の力を扱えるほか、人の心をあやつる釘や未来の容姿がわかるルーペなど小道具を用いる。大月秋広を囮にしてマロンを捕まえたり、兄と二人掛かりでマロンを攻撃したりと、目的のためなら手段を選ばない。 また、「秋広やマロンを助けてほしい」と田仲美幸に頼まれた際には、金銭を要求するなど現金な性格をしている。敵対しているにもかかわらず、モンブランに弱い兄にヤキモキしている。

レア

マロンの夫。「人間との混血」を理由に、複数のクラスメイトから追いかけ回されていたマロンを助けた恩人。マロンやショート、モンブラン達が暮らしている村にひょっこり現れた流れ者で、マロン達と出会う前の記憶がいっさいない。「誰かを待っているのかもしれない」「何かを思い出すかもしれない」と、記憶の片鱗を見つけようとしていたところ、母親の帰りを待つマロンから「いっしょに待ちたい」と提案され、共に時間を過ごすようになる。 天涯孤独の身同士、寄り添い合った二人は出会って1か月で結婚を決めるが、挙式を境に温厚だった性格が急変して暴力的になり、執拗なまでにマロンの命を狙うようになる。

フロマージュ

マロンの母親で、井田隼人の妻。ファンタジアの護り人として、その任務をはじめて担った。だが、人間とのあいだに子供を授かったとして、娘と共にファンタジアに連れ戻され、隼人と引き離される事となった。2年後、友人のエクレアの協力を得て娘といっしょに人間界に戻るが、すでに魔法の力によって人間界の時間の流れを変えられており、夫との再会は果たせなかった。 その後、再度ファンタジアに連行されてしまうが、追っ手から逃れるために幼いマロンを森に隠し、そのまま消息が絶つ。

井田 隼人 (いだ はやと)

マロンの父親で、フロマージュの夫。石田光成の家来で、徳川家と一戦を交えた1600年の関ヶ原の合戦で行き倒れそうになっていたところを、護り人として日本にやって来たフロマージュに助けられた。その後、二人は結ばれ、マロンが生まれる。家族三人幸せに暮らしていたが、魔法人を迫害した人間とのあいだに子供を授かった事をよく思わないファンタジアの王族に、フロマージュとマロンを連れ戻されてしまう。 妻子が連れ去られてから15年後、再び徳川家と戦う事になり、1615年の戦で命を落としてしまうが、己の死期を悟った井田隼人は、フロマージュとマロンにあてた手紙を残していた。

クレープ

精霊の祝福を受けたファンタジアの巫女。三人しかいない巫女のうちの一人で、ほかの二人の巫女はすでに絶命している。魔法人が人間に迫害され、窮地に追いやられていた時、人々の怒りを鎮め、絨毯の中の異世界に移住する事を提案した人物でもある。マロンをはじめ、ショートやモンブラン達が扱えない回復魔法が使える貴重な存在。 マロンを護り人に任命して、命を狙うレアから遠ざけたり、大月秋広に杖を持たせ、敵地の内部で結界を張ってマロンを守ったりと、物事を先読みできる力も持つ。マロンの出生の秘密やレアの本来の姿など重要な事を知ってはいるが、マロン達に話すタイミングをうかがっている。ショコラという小動物を飼っており、伝達役として遣わせる事がある。

トルテ

エクレアの息子で、ロール、シフォンの父親。「ばんぶぅらぁめん」というラーメン屋を営む、江戸っ子気質の40歳男性。魔法人であるエクレアと日本人の女性とのあいだに生まれたハーフで、魔法人の特徴である尖った耳は遺伝したが、魔法の力は受け継がなかった。日本で生まれ育ったので、ファンタジアには足を踏み入れた事がない。 エクレアからの伝言を覚えまちがえて子供に言い聞かせたり、他言無用の宝石の話を店の客に誇張して話したりと、話を厄介な方に展開していく性質。

大月 冬馬 (おおつき とうま)

大月秋広の弟。秋広とマロンが初めて出会った電車の事故に巻き込まれ、しばらく入院していた。退院後、両親に連れて行かれた海でマロンと出会い、一目惚れする。女の尻を追いかけ回している兄の秋広に対し嫌悪感を抱いており、兄と同じような人間になるまいと、日々勉強に励んでいる。未来の容姿がわかるルーペで覗かれ、将来イケメンになる事を知ったシフォンに目をつけられ、迫られるようになる。

鯛野 尾頭付 (たいの おかしらつき)

大月秋広、マロン達の通う竹書高校の数学教師の男性。秋広、マロン、田仲美幸、ロールのクラスの担任でもある。「教師生活3年目にして、最大の不幸は秋広の担任になった事」と断言するほど、トラブルメーカーである秋広に手を焼いている。「にしんちゃん」という愛称で呼んでいるフィアンセが、同じ竹書高校に教師として勤務しており、窮地に陥ると彼女の名前をつぶやく癖がある。

ベルサイユ 一平 ルーブル (べるさいゆ いっぺい るーぶる)

大月秋広、マロン達の通う竹書高校に赴任して来た美術講師の男性。年齢は27歳。フランス人の父親と日本人の母親を持つハーフで、容姿が美しく、赴任初日から女子生徒達の人気を得る。田仲美幸も、煮え切らない秋広の態度に愛想を尽かし、ベルサイユ一平ルーブルに乗りかえようとしたほど。モンブランに渡そうとしたロールのラブレターを、自分あてのものだと勘違いし、ロールに熱い思いを寄せるようになる。 ラブレターを受け取って以来、ロールを目ざとく見つけては、執拗に追いかけ回す。

ファンタジアヌ ナポレオン

ファンタジアを治める王様。魔法人が人間に迫害された際、ファンタジアの民の統率を取る事ができず、対策を講じる事もできず、ただ、巫女であるクレープの意思に従うしかなかった。娘である王女が禁忌を犯してしまい、彼を追い詰める一因となる。

場所

ファンタジア

マロン、ショート、モンブランなど、魔法を扱える魔法人達が住む世界。以前は人間も魔法人も関係なくいっしょに仲よく暮らしていたが、魔法の力を妬む人間達から魔法人達は迫害され、俗にいう「魔女狩り」が始まってしまう。「魔女狩り」からなんとか生きながらえた魔法人達は、人間達が再び自分達を受け入れてくれる優しい心を取り戻すまで、異世界に移住する事を決意。 千の呪文で住民ごと土地を小さな空間に凝縮し、布としての形態に保たれた絨毯を住処とした。ファンタジアから人間界に一度来てしまうと、通常10年は戻れないとされているが、緊急時には「ジャックの豆」を使用して帰る事ができる。

その他キーワード

コア

魔法人が所有している触覚。頭頂部に2本生えており、この部分から星や月、太陽などの力を得て、魔法力を引き上げる役目を果たす。通常は頭髪の中に隠れているので見えないが、強い魔法を使用する時に出てくる。マロンやロール、シフォンなど、人間の血が混ざってしまった魔法人はコアを持たないとされている。

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