概要・あらすじ
椚(くぬぎ)の木山商店街を抜けた坂道の途中、山の麓にビスポーク靴店「good luck」はある。天才靴職人を父に持つ縫ヶ屋結は、中学3年生ながら、靴職人として活躍していた。靴作りに情熱を注ぐ結は、睡眠を削って仕事に没頭、ソファーで朝を迎えることもしばしばであった。彼の幼なじみ・源わさびは、毎朝「good luck」を訪ねては、結をたたき起こし、朝ごはんを食べさせるのが日課となっていた。わさびは商店街の寿司屋「源」の娘だが、幼い頃に交通事故で父を亡くし、母に捨てられたという過去を持つ。寿司屋「源」は父方の実家であり、伯父に引き取られて育ったのだ。結はわさびが抱えるトラウマを知り、幼い頃から彼女を支え続けてきた。そしていつの間にか、お互いに依存し合う関係になっていた。まもなく卒業を迎える結は、イギリスへの留学を考えていた。しかし、わさびを失うことを恐れ、心の奥底で停滞を望む自分に気づいていた。
登場人物・キャラクター
縫ヶ屋 結 (ぬいがや むすぶ)
中学3年生の男子。学校に通いながら、ビスポーク靴店「good luck」で靴職人としても働く。仕事中は作務衣を着ており、長髪を後ろで結んでいる。父はイギリスでの修業後、「good luck」を開業した天才靴職人。母はカリスマスタイリストのイギリス人。源わさびとは幼なじみで、食事をはじめ、何かと世話を焼いてもらっている。
源 わさび (みなもと わさび)
中学2年生で、ショートカットが特徴の元気な女の子。椚(くぬぎ)の木山商店街にある寿司屋「源」の娘。幼い頃、交通事故で父を亡くし、父方の実家である「源」で、母親と一緒に暮らすことになる。しかしすぐに母親は失踪。わさびは伯父に引き取られ、「源」の娘として育てられる。縁日の夜、母親に置き去りにされた際、縫ヶ屋結に救われて以来、結を慕うようになる。