ぼっけさん

菩怪と呼ばれる神の一族の少年が、南区の菩怪が企てた人間の殲滅計画を阻止するために戦い続ける和風妖怪ファンタジー。「週刊少年ジャンプ」2009年3号から22・23合併号にかけて掲載された。

あらすじ

第1巻

物静かな高校生・火ノ宮満は、物体を触れずに動かせる超能力者だった。しかし、それを周囲に悟られないように、喋るのは幼なじみの少女・尾白白湯のみという、目立たずに暮らす日々を送っていた。そんなある日、彼らが住んでいる北区の「松露葉北団地」で、女性が身体を引きちぎられて殺されるという凄惨な事件が発生する。事件現場を見た刑事・矢野は、これは人にあらざるもの、神の一族・菩怪の仕業であると看破する。その頃、学校からの帰宅途中に白湯の家に立ち寄った満は、「松露葉北団地バラバラ殺人事件」の生き残りである少女・美美に遭遇する。彼女を助けようとした矢先に、美美を追って来た菩怪・輪愚難波のコンビに襲われてしまう。輪愚の攻撃によって命を落としかけた白湯を救うため、我を忘れて突撃した満は、突如として菩怪に覚醒する。鋭い爪による攻撃で輪愚を圧倒し、難波ともども撤退に追い込むことに成功する。その後、警察に事情を聞かれ、美美を警察に保護してもらった満と白湯は、菩怪のことを調べるために、図書館へと急行する。そこで司書をしていた菩怪・阿部翔に遭遇し、成り行きから戦闘になるも、菩怪化した満はこれに勝利する。降参した翔から、自身が「眠狐神」であることを教えてもらうのだった。自分が人外であることを知り、インチキ超能力者として迫害を受けた過去を思い出した満は、ショックのあまり走り出し、謎の路地に迷い込んでしまう。追って来た白湯とともに謎の菩怪に襲われ、ほうほうのていで逃げ出した満は、自分が「神の町」にいることを再認識する。その後、菩怪の増殖で事件が頻発するようになった北区の現状と、事件のトラウマから1日20時間を眠り続けるようになった美美の様子を知り、自分を取り巻く環境が急変したことを悟る満。変わりつつある状況の中、高校の同級生である菩怪・雨女池に襲われた満は、辛くもこれを撃退する。菩怪絡みの事件が続くことに苦悩し、自暴自棄になっていた雨女池の心情を知った満は、さらに詳しい菩怪の情報を得るために翔のもとへ向かう。翔は菩怪が「八百万の神」であること伝えたうえで、力の制御を失った菩怪は人間の姿に戻れなくなるという、衝撃の事実を明かすのだった。その後、雨女池と友人になり、菩怪の力を制御するため、一緒に特訓を始めた満は、突如として現れた菩怪・梅煙の襲撃を受けてしまう。煙の身体を持つ梅煙に苦戦を強いられた満だったが、雨女池とのコンビネーションでこれを撃破する。しかし、勝利もつかの間、梅煙を上回る謎の強大な菩怪が現れ、学校ごと破壊することを宣言する。それを見た雨女池は、自らの命を捨て、満たちを守るために謎の菩怪に飛び掛るのだった。

第2巻

学校を破壊しようとする謎の菩怪の剣筋を身を挺してそらし、重傷を負った雨女池。圧倒的な力の差の前にその場を動けなかった火ノ宮満ともども、現場に乱入した阿部翔によって救出され、北区の隠れ里「怪物園」へと逃げ込むことになった。しかし、瀕死の重傷を負っていた雨女池は衰弱し、状態を回復させることなく、そのまま命を落としてしまう。初めての菩怪の友人を失い傷心する満に対し、怪物園の園長・木悶は、菩怪復権を掲げる南区が、人間との共存を選んだ北区を淘汰する計画を進めていることを告げる。それを知った満は、圧倒的に不利な状況を認識しつつも、北区の人間を守ることを決意するのだった。その後、状態が回復した美美を見舞いに、警察署へと出向いた満と尾白白湯が見たのは、学校で遭遇した菩怪・黒兎と、その傍らにいる阿部翔の姿だった。満は、美美の正体が天変地異を引き起こす強大な菩怪・紅牛であること、そして翔が南区のスパイであることを知ってしまう。増長する人間を紅牛の力で滅ぼそうとする、四人組と呼ばれる強大な菩怪の1人である黒兎は、計画の邪魔になる満を始末するために、配下の翔を仕向ける。しかし、満たちと行動をともにしたことで情が移ってしまった翔は本気を出せず、満をかばって黒兎に重傷を負わされてしまう。その直後、瀕死となった翔の姿を見た美美が紅牛となって力を解放し、翔は一命を取り留めるのだった。霧散した紅牛の力を目の当たりにし、怒りに震えて菩怪化した黒兎は、満たちを殺害するために襲い掛かかるものの、満に一瞬のスキを突かれ、撃破される。紅牛の力が消滅したことで南区の計画は白紙に戻り、松露葉街に平穏が戻るのだった。そんなある日、芸能レポーターの富瓜が満に接触する。満が本物の超能力者であるという証拠を掴んだ富瓜は、満の行方不明になった兄のことも聞き出そうとする。そんな折、姿をくらましていた菩怪・輪愚難波が南区に再臨する。消えた紅牛の力が白湯に乗り移ったことを知った四人組が、再び北区殲滅に向けて動き出すのだった。さらわれた白湯を救うため、四人組と対峙した満だったが、突如として輪愚が暴走する。四人組と難波を一撃のもとに葬り去った輪愚は仮面を外し、自身の正体が行方不明になっていた満の兄であることを明かす。満のヒーローになるために南区に行き、苦しい修行の末に菩怪となった輪愚は、紅牛の力を満に与えようとしていた。松露葉の呪縛から兄を解放するため、満は静かに兄に近づくのだった。

登場人物・キャラクター

火ノ宮 満 (ヒノミヤ ミツル)

アパートで一人暮らしをしている男子高校生。松露葉北校に通っている。物体を触らずに動かすことができる超能力を使う。過去に観覧車から落ちた尾白白湯を超能力で救ったことがあり、超能力少年としてメディアで話題になった。しかし、超能力特番の出演時に緊張で超能力を発揮できなかったことから、周囲にインチキ超能力者のレッテルを貼られ、激しくいじめられていた辛い過去を持つ。 そのトラウマから、現在は「空気」のようになって目立たずひっそりと暮らしている。日々の生活で喋ることはほとんど無く、唯一言葉を交わす相手は白湯のみ。物静かで感情表現も乏しいが、それはあくまで表面的なもので、内面はごく普通の多感な少年そのもの。美少年なため、女生徒には非常に人気があるが、男子生徒からは嫉妬による攻撃の対象になっている。 白湯からは親しみを込めて「ヒノ」というあだ名で呼ばれている。ある日、白湯の家に立ち寄った際、菩怪の輪愚と難波に襲われ、白湯を救うために立ち向かった結果、火ノ宮満自身も菩怪として覚醒する。その後、図書館の司書・阿部翔から自分が八百万の神の一員で、「眠狐神」であることを教えられる。 満本人は自身が人間以外の存在であることに苦悩していたが、多く菩怪との出会いを経て、徐々にその事実を受け入れるようになり、他人との会話もできるようになる。菩怪に変化すると頭に猫耳がつき、指先に鋭い爪が生える。戦闘の際は、爪としなやかな身体能力を駆使して敵を圧倒する。小学生の時に行方をくらました兄がおり、今も行方を捜している。

尾白 白湯 (オジロ サユ)

松露葉北校に通う、溌剌とした性格の女子高生。明るく朗らかな美少女で、クラスの人気者。愛称は「サユ」。火ノ宮満の幼なじみで、幼少の頃に観覧車から落ちた所を満に助けてもらったことがある。インチキ超能力者扱いされ、いじめられていていた満を何かとかばい、仲のいい友人としてプライベートを過ごしている。満が本物の超能力者であることを知っており、彼とコンタクトが取ることができる唯一の人物でもある。 満のことを憎からず想っているが、それを素直には表現できずにいる。菩怪であることが判明した満を心配し、ずっと寄り添っている。「松露葉北団地バラバラ殺人事件」の被害者である美美が紅牛の力を解放した後に、次の紅牛となってしまい、四人組から狙われることになる。

阿部 翔 (アベ カケル)

北区の図書館に勤めている司書。左目に眼帯をしたロングヘアの男性。ロックスターを気取っており、会話の端々に英語を混ぜ込むのが特徴。実は「氷髯」という菩怪で、氷を自在に操って対象を攻撃することができる。自身のことは名前をもじって、「アベル」と自称している。同じ菩怪である火ノ宮満に菩怪の詳細な情報を教え、満が四人組の黒兎に襲われた際も、すぐに現場に駆けつけて満を救出していた。 正体は北区の人間の抹殺を狙う南区のスパイで、紅牛である美美を探すための活動に従事していた。満と過ごすうちに情が移ってしまい、満をかばって黒兎の攻撃をその身に受け、瀕死の重傷を負うが、紅牛の力を解放した美美によって命を救われる。

雨女池 (アマイケ)

松露葉北校に通う男子高校生。愛称は「メケ」。写真部に所属しているが、水泳部を盗撮してガムテープで身体を巻かれたこともある問題児。尾白白湯の熱烈なファンで、彼女の写真も大量に盗撮しており、白湯といつも一緒にいる火ノ宮満に嫉妬している。正体は「万手蛙」という菩怪で、松露葉町で菩怪絡みの事件が多発したことで自分が持つ力が恐ろしくなり、ヤケクソになって満に襲い掛かったが、返り討ちにされて改心する。 絵画や写真に手を突っ込み、写った対象に触ることができる能力の持ち主。満とは菩怪の苦労を知る者同士として仲良くなるも、松露葉北校を破壊しようとした黒兎の攻撃を身を挺して止め、命を落とす。

美美 (ミミ)

北区の団地に住んでいた幼女。親子でごく普通の生活を営んでいたが、突如として現れた菩怪の輪愚と難波に襲われ、母親を惨殺される。母親が発動させた最期の力で難を逃れ、逃げ惑っている最中に火ノ宮満と尾白白湯に出会い、警察に保護されることになる。事件のことがトラウマになっており、1日20時間を眠って過ごすようになる。 実は天変地異を引き起こす紅牛という強大な菩怪。その力を悪用し、北区の殲滅を狙う四人組から狙われる。

輪愚 (リング)

仮面をかぶり、大柄な体格をした菩怪の男性。通称は「リング」。四人組の配下として活動しており、紅牛である美美の身柄を確保するため、彼女の住む団地に乗り込んで、母親を殺害する。人体を軽く引きちぎれるほどの凄まじいパワーを誇る。正体は行方不明になった火ノ宮満の兄で、満を守るヒーローになるために単身で南区に行き、苦しい修練の末に菩怪となる。 紅牛が宿った尾白白湯の力を、満に渡そうとする。

難波 (ナンバ)

小さな身体に似つかわしくない、大きな顔をした菩怪の老婆。通称は「ナンバ」。常に配下である輪愚の肩口にしがみついている。四人組の命を受け、紅牛である美美の身柄を確保するために活動する。語尾に「~だよう」と付ける喋り方が特徴。

木悶 (デモン)

メガネをかけた菩怪の男性で、北区の隠れ里である「怪物園」の園長。表向きは「婆羅島亜門」を名乗り、北区の商店街にある文具店バラジマの店主として静かに暮らしている。菩怪化すると複数の腕が生え、傘を使って自在に空を舞うことができる。黒兎に襲われていた火ノ宮満を阿部翔と力をあわせて救出し、怪物園へと呼び込む。

黒兎 (コクト)

南区で暮らす菩怪の男性で、最高幹部である四人組の一員。菩怪と人間が共存する北区の殲滅を目指す計画の中心的存在。所持した鋭い刀剣ですべてを切り裂くことができる強大な菩怪で、完全体に変身すると獅子のような姿になる。裏切り者には一切の容赦をしない苛烈な性格。人間化すると女性になるのが大きな特徴。

紅牛 (アカベコ)

強大な力を秘めた菩怪。性別は不詳。天変地異をもたらすとされており、江戸時代に「天保の大飢饉」や「宝永の大噴火」を引き起こした凶悪な殺戮兵器。その力を人類淘汰に使おうとした四人組によって狙われる。力を使うたびに宿り先を移る流浪の菩怪で、長い年月に渡って人から人へと移り続けてきた歴史を持つ。現在の紅牛は美美だったが、力の解放後に宿り先を移し、尾白白湯が新たな紅牛となる。

満の兄 (ミツルノアニ)

小学生の男子。火ノ宮満の兄で、出稼ぎに出たきりの父親に代わり、満の面倒を見ていた。身体を張って満を守るヒーローとして大いに尊敬されていたが、満が作文コンクールで取った金賞の賞状を破り捨てるなど、満の自主性を許さない異常性を併せ持っていた。超能力者として満が注目されだした頃に「お前にマツロバをくれてやるんだ」という手紙を残して失踪し、輪愚に成り果ててしまう。

梅煙 (バイエン)

煙のような姿をした奇妙な菩怪。四人組の命を受け、火ノ宮満を倒すために松露葉北校に姿を現す。直接攻撃がまったく通用しないため、満と雨女池を大苦戦させるも、貯水槽の水によって撃退される。

富瓜 (トミウリ)

アナウンサーの女性。「松露葉北団地バラバラ殺人事件」の取材をするために北区を訪れた際に、プロデューサーが殺害されたことがきっかけとなり、火ノ宮満に目星を付けて事件を追っていた。一連の事件が解決に向かった後に満が超能力者であるという証拠を掴み、満に直接提示する。

矢野 (ヤノ)

松露葉北署の男性刑事で、役職は警部。物静かでクールな雰囲気を漂わせており、北区の団地で起きた「松露葉北団地バラバラ殺人事件」の現場を一目見ただけで、犯人が菩怪であると看破する。事件の被害者を追っているうちに、美美を保護した火ノ宮満に興味を抱く。

カニ (カニ)

松露葉北署の男性刑事。本名は不詳。やや背が低い。ダイブツと共に「松露葉北団地バラバラ殺人事件」の担当となる。プライベートで尾白白湯と火ノ宮満からボーリング勝負を持ちかけられるも、完敗する。

ダイブツ (ダイブツ)

松露葉北署の男性刑事。本名は不詳。額の中心にホクロがあるのが特徴。カニと共に「松露葉北団地バラバラ殺人事件」の担当となる。プライベートで尾白白湯と火ノ宮満からボーリング勝負を持ちかけられるも、完敗する。

キモ岡 (キモオカ)

松露葉北校の男性教師。本名は不詳。容姿が若干気持ち悪く、さらに言動があまりにもエクセントリックなため、生徒から「キモ岡」というあだ名で呼ばれている。火ノ宮満をいたく気に入っていることから、「ホ○岡」とも呼ばれている。

集団・組織

四人組 (ヨニングミ)

南区に住む菩怪の最高幹部。黒兎、銀針、六骨、棟念という4体の菩怪で構成されている。北区のおよび人類淘汰のために、強大な力を持つ紅牛の力を欲し、美美を手中に収めようとしている。メンバーはいずれも菩怪の力で長寿を保っているため、その力を奪われると急速に老いてしまう。

場所

北区 (キタク)

松露葉町の中心部を流れる川から見て、北側の地区。人間との共存を選んだ平和主義の菩怪が暮らしている。南区の菩怪からは、その人間と迎合する姿勢を憎まれ、街を焼き討ちされるなどの攻撃を受け続けている。

南区 (ミナミク)

松露葉町の中心部を流れる川から見て、南側の地区。菩怪の復権を狙っており、人間と共存する北区を激しく憎んでいる。四人組を頂点とした組織を作り上げ、人類の淘汰を計画する。なお、松露葉町にいる菩怪の95%は南区に住んでいる。

その他キーワード

菩怪 (ボッケ)

松露葉町が深い森林に覆われていた江戸中期までいたとされる神の一族。氷を自在に操れたり、鏡や虚像を通じて対象に触ることができるなど、超能力じみた力を使うことができる妖怪に近い存在の神。本体そのものは人間で、任意に菩怪化できるが、力を制御できなくなると二度と人間には戻れなくなる。忍者が扱う忍術も菩怪から伝承されたと噂されている。

SHARE
EC
Amazon
無料で読む
マンガリスト
logo