あらすじ
鈴原泉水子は、両親と離れ、山奥にある自宅の神社と学校を往復する目立たない暮らしを送っていた。しかし、「絶対に髪の毛を切ってはいけない」という周囲からの言いつけを破った日から、身の回りに不思議な出来事が起きるようになる。やがて自らが「姫神」と呼ばれる特別な存在を憑依させられる「世界遺産」にも等しい稀有な力を持つことを知った泉水子は、自分の力を理解するため、地元を離れて、特別な力を持つ人間が集まるという鳳城学園高等部への入学を決める。
単行本の装丁
コミックスの各巻の本体裏表紙には、おまけの4コマ漫画が掲載されている。主に本編を補足する内容だが、本編に比べてコメディタッチの内容となっている。そのため、琴音らんまるによる「キャラクターの性格が違うこともあるのでお許しください」との注釈が入っている。
関連作品
電子書籍「小説屋sari-sari」2017年7月号から、本作『RDG レッドデータガール』の原作小説の新シリーズ『氷の靴 ガラスの靴~宗田真響高一の冬~』の連載がスタートしている。こちらは一度完結した原作小説のその後を描いた作品となり、宗田真響にスポットを当てたものとなっている。
メディアミックス
TVアニメ
2013年4月から6月にかけて、篠原俊哉監督によるTVアニメ版が放送された。シリーズ構成と脚本は横手美智子、キャラクター原案は岸田メルが担当している。鈴原泉水子役を早見沙織、相楽深行役を内山昂輝が演じた。なお、漫画版である本作『RDG レッドデータガール』は、酒井駒子による「銀のさじ」レーベルと角川文庫版のキャラクターデザインではなく、TVアニメ版の岸田メルのデザインをもとに制作されている。また、TVアニメ放送後の2013年10月には原作小説の角川スニーカー文庫版が刊行されており、こちらでは岸田メルがイラストを担当している。
作家情報
漫画
琴音らんまるは漫画家・イラストレーター。漫画作品においては主に原作付き作品を多く手掛けており、代表作は『君の名は。』(原作:新海誠)、『夜は短し歩けよ乙女』(原作:森見登美彦)などのコミカライズ版がある。
原作
荻原規子は4月22日生まれの小説家。主にファンタジー小説を執筆している。1988年『空色勾玉』でデビューし、代表作は『空色勾玉』『白鳥異伝』『薄紅天女』 の「勾玉」シリーズ3部作。他の作品に『西の善き魔女』シリーズなどがある。
キャラクター原案
岸田メルはイラストレーター。主にゲームやアニメのキャラクターデザイン、ライトノベルの挿絵を担当している。代表作はPlayStation3用ゲームソフト 『ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術士~』『トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~』『メルルのアトリエ ~アーランドの錬金術士3~』。挿絵を担当したライトノベルには、五代ゆうの『パラケルススの娘』などがある。
登場人物・キャラクター
鈴原 泉水子 (すずはら いずみこ)
栗谷中学校に通う3年生の女子。卒業後は鳳城学園高等部に進学した。1年C組で、生徒会執行部と日本史研究会に所属する。前髪を目の上で切りそろえ、腰まで届くほど伸ばしたストレートロングヘアを2本の三つ編みにしてまとめている。中学校時代は眼鏡をかけていたが、高校進学後は外すようになった。物静かで引っ込み思案な、目立たない性格。 そのうえ極度の人見知りで、人付き合いが苦手。さらに電子機器に手を触れると、突然エラーが起きたり壊れてしまうという特異体質の持ち主で、パソコンや携帯電話が使えず悩んでいる。相楽深行と再会するまでは、山深い玉倉山の玉倉神社で祖父やお手伝いさんとともに暮らしており、家と中学校の往復のみ、両親にもめったに会えないというごく限られた範囲で生活を送っていた。 そのためかなりの世間知らずで、浮世離れした雰囲気がある。ある日、周囲の言いつけを破って生まれてから一度も切ったことのなかった髪の毛を切ったのがきっかけで、自分は「世界遺産」と呼ばれるほど稀有で特別な力を持ち、身体に「姫神」という存在を憑依させられることを知る。そして、「姫神」についてもっと知るため、深行とともに鳳城学園高等部への進学を決意する。
姫神 (ひめがみ)
未来を予見する力を持つ神霊。現在は姫神憑きの一族である鈴原泉水子の身体を借りて降臨する。泉水子の身体を使って行動するため容姿は不明だが、姫神が泉水子に降りる際は、普段は三つ編みにしている泉水子の髪がほどけ、泉水子とはまるで違う神秘的で凛とした雰囲気をまとう。
相楽 深行 (さがら みゆき)
鈴原泉水子の幼なじみの少年。相楽雪政の息子で、山伏の家系に育った。栗谷中学校3年生として転校して来たのち、卒業後は鳳城学園高等部に進学し、1年A組で、生徒会執行部に所属する。前髪を右寄りの位置で斜めに分けたショートカットヘアで、美しい顔立ちをしている。「みゆき」と下の名前で呼ばれるのを嫌がるため、周囲には基本的に名字で呼ばれているが、宗田真夏と宗田真澄からは「深行」を音読みした「シンコウ」と呼ばれている。 凛とした雰囲気に加え成績も優秀で、山伏としても13歳で羽黒での峰入り修行を果たした非常に有能な人物。しかし他人にも自分にも非常に厳しく、はっきりとものを言う性格のため、やや言動がきつくなるきらいがあり、敵を作りやすい。 泉水子とは、小学校入学前後に、雪政とともに玉倉神社で3か月ほど暮らした際に知り合った。当初は泉水子の消極的な性格を好きになれず、中学3年生になって再会した直後も、当時と変わらない泉水子に厳しく当たっていた。しかし、泉水子が自らの境遇を知って変わろうと決意した際には見直し、鳳城学園高等部に進学後は良き協力者として一緒に行動するようになる。 雪政のことを一方的に嫌っており、雪政を見返したいという意識が非常に強い。特技は弓道。
宗田 真響 (そうだ まゆら)
鈴原泉水子の友人。鳳城学園高等部1年A組で、生徒会執行部と日本史研究会に所属する女子。宗田真澄と宗田真夏は三つ子の弟にあたり、真響が長女。母親は宗田静枝。学生寮内では泉水子のルームメイトでもある。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどのボブヘアにしている。成績優秀、容姿端麗に加え明るくサバサバした性格の自信家。 そのため、クラスでも中心的存在。泉水子とは寮のルームメイトになったのがきっかけで親しくなる。鳳城学園高等部を牛耳ろうとする高柳一条を快く思っておらず、村上穂高に打ち勝つことでその野望を阻止しようとしている。出身地は長野県戸隠で、忍者と深いかかわりのある戸隠神社の祭司の家系の血を引いている。
宗田 真夏 (そうだ まなつ)
宗田真響と宗田真澄の三つ子の弟で、鳳城学園高等部1年C組、生徒会執行部と馬術部に所属する男子。三つ子の中では1番下の次男にあたる。母親は宗田静枝。前髪を額が見えるほど短く切っている。明るく正直な、思ったことをはっきり言う素直な性格。人懐っこいが人間よりも馬に関心があるという大の馬好き。流鏑馬を嗜んでおり以前はジョッキーを目指していたが、馬にかかわる仕事につければ何でもよいと考えている。 勉強は苦手。出身地は長野県戸隠で、忍者と深いかかわりのある戸隠神社の祭司の家系の血を引いている。
宗田 真澄 (そうだ ますみ)
宗田真響の三つ子の弟、宗田真夏の三つ子の兄で故人。母親は宗田静枝。6歳の頃に心不全で亡くなったが、その後戸隠の神霊となり、真響と真夏の持つ特殊な力により呼び出すことができる。生きていた頃は男性だったが、神霊となった現在では厳密には特定の性別はない。そのため顔立ちは真響と真夏にそっくりだが容姿を自由に変えることができ、初めて鈴原泉水子と出会った際は胸までのロングヘアの女子の格好をしていた。 自由で清らかな雰囲気を持ち、明るく振る舞っている。しかし、本心では三つ子のうち自分だけが亡くなったことを淋しく思っており、真響と真夏を案じ、会いたがっている。
和宮 さとる (わみや さとる)
鈴原泉水子と渡辺あゆみと三田春菜のクラスメイトで、栗谷中学校に通う3年生の男子。前髪を目の上で切り揃えたおかっぱヘアにしている。一見普通の中学生男子に見えるが、その正体は玉倉山の神霊で、姫神の使いでもある。玉倉山から離れた外の世界に関心を持つ泉水子に腹を立て、泉水子の旅立ちを止めようとする。しかしその後泉水子に諫められ、泉水子が鳳城学園高等部に入学した後は、少年からカラスの姿に容姿を変えて現れ、泉水子と相楽深行をサポートするようになる。
相楽 雪政 (さがら ゆきまさ)
相楽深行の父親で、鈴原大成の友人の33歳の男性。前髪を真ん中で分けたウルフカットの髪型をしている。華やかで美しい容姿に加えて年齢よりはるかに若く見え、さらにスマートで話し上手なため女性から非常にもてる。しかし息子の深行には一方的に嫌われており、親子仲は良くない。鈴原泉水子たちが鳳城学園高等部に進学後、英会話の非常勤講師としてやって来る。 泉水子の身体を借りて降臨する姫神を、将来的に自分のものにしたいと考えている。
鈴原 大成 (すずはら だいせい)
鈴原泉水子の父親で、鈴原紫子の夫。前髪を額が見えるほど短く切った、ぼさぼさの髪の毛に丸眼鏡をかけ、和服を着ている。コンピュータープログラマーとしてアメリカのシリコンバレーにあるIT企業に勤めており、泉水子とは離れて暮らしている。そのため泉水子の保護者面談にも参加できないほどだったが、ある日泉水子の不思議な力により、パソコンの授業中に突然インターネットでビデオ通話が繋がったことで会話することとなった。 この時、泉水子に鳳城学園への進学を進めたが、これが彼女の運命を変える大きな一歩となった。
鈴原 紫子 (すずはら ゆかりこ)
鈴原泉水子の母親で、鈴原大成の妻。前髪を真ん中で分けて額を見せ、肩につかない長さのボブヘアにしている。男性のような口調で話す。警視庁に勤めているが、実際は時に顔も名前も消して影ながら活動しているためいつも足取りがつかめず、泉水子もめったに会うことができない。
渡辺 あゆみ (わたなべ あゆみ)
鈴原泉水子と三田春菜の友人で、栗谷中学校に通う3年生の女子。前髪を目の高さで切ったショートカットにしている。泉水子と春菜からは「あゆ」と呼ばれている。明るく活発な性格。部活動はバスケットボール部に所属しており、外津川高校進学後も続けたいと考えている。
三田 春菜 (みた はるな)
鈴原泉水子と渡辺あゆみのクラスメイトで、栗谷中学校に通う3年生の女子。前髪を目の上で切りそろえ、顎の高さまで伸ばした外はねボブヘアをヘアピンでまとめている。泉水子とあゆみからは「春っち」と呼ばれている。パソコンの授業では、電子機器に触れると壊してしまう泉水子のために、代わりにパソコン操作をして手伝うこともある。 恋愛に憧れがあるが、栗谷中学校には好みの男子がいないと思っている。そのため地元の高校である外津川高校に進学し、進学後に新しく知り合った男子と恋愛をしたいと思っている。
越川 美沙 (こしかわ みさ)
鈴原泉水子と渡辺あゆみと三田春菜のクラスメイトで、栗谷中学校に通う3年生の女子。校内では生徒会長を務めている。前髪をヘアバンドで上げて額を全開にし、胸まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。自立心あふれる性格のため、泉水子の引っ込み思案で、パソコンの操作すら友人任せな生活態度を快く思っておらず、意地悪を言う。
野々村 慎吾 (ののむら しんご)
鈴原泉水子の家である玉倉神社の神官を務める若い男性。坊主頭にがっしりとした身体つきをしている。寡黙で落ち着いた性格。家から中学校まで距離がある泉水子のために、中学校時代までは毎日車で送り迎えしていた。泉水子の力についても把握しているが、周囲との相談により詳しく話さないようにしている。
末森 佐和 (すえもり さわ)
鈴原泉水子の家である玉倉神社で働き、泉水子と一緒に暮らしている中年の女性。癖のある前髪を右寄りの位置で分け、顎の高さまで伸ばしたボブヘアをしている。やや太目。おおらかな明るい性格で、両親と離れて暮らしている泉水子にとってはお手伝いさんというよりも、家族に近い存在。泉水子の力についても把握しているが、周囲との相談により詳しく話さないようにしている。
高柳 一条 (たかやなぎ いちじょう)
鳳城学園高等部1年A組に所属する男子。前髪を目の上で切りそろえ、段をつけて切って顎の下まで伸ばしたボブヘアにしている。なぜか容姿の雰囲気が和宮さとるによく似ている。陰陽師の御曹司で、式神を操る力を持つ。非常に優秀でプライドが高く、鳳城学園高等部を支配したいと考えており、式神を用いて校内で暗躍している。そのため、宗田真響とは敵対関係にある。 一方で危機に陥ると急に臆病になる一面がある。配下の式神には、リカルドなどがいる。
如月・ジーン・仄香 (きさらぎじーんほのか)
鳳城学園高等部の生徒会執行部で生徒会長を務める女子。外国人とのハーフで、前髪を額が見えるほど短く切った癖のある金髪のショートカットヘアにしている。女子だが男子の服装をしており、髪も短いことから一見男子に見えるが女子。生徒会執行部に入った鈴原泉水子に関心を持ち、村上穂高を紹介する。
秋乃川 玲奈 (あきのかわ れな)
鳳城学園高等部の生徒会執行部に所属する女子。前髪を真ん中で分け、肩につくほどのセミロングヘアをツインテールにしている。如月・ジーン・仄香とは非常に親しく、大切に想っている。今年度新たに生徒会執行部に入った鈴原泉水子と宗田真響のことを快く思っておらず、特に真響に関しては、校内で強い影響力を持つ生徒会執行部を将来的に私物化しようとしているのではと怪しんでいる。
村上 穂高 (むらかみ ほだか)
鳳城学園高等部において「裏の生徒会長」と呼ばれている男子。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどのボブヘアにしている。梨園の人間で、1年のうち半分は歌舞伎の舞台に出ているため、学校にはあまり出席できない。そのため出席日数が足りず、本来ならば高等部を卒業している年齢にも関わらず、現在も在籍している。穏やかで物腰も丁寧で、村上穂高と知り合った人間は男女問わず魅了されてしまうといわれている。 如月・ジーン・仄香の紹介でやって来た鈴原泉水子と知り合い、泉水子の力を見抜き気に入っている。
両国 瑞彦 (りょうごく みずひこ)
鳳城学園高等部2年B組に所属する男子。癖のある髪を、額が見えるほど前髪を短く切ったショートカットヘアにしている。かなり太目の体型で、眼鏡をかけている。「宗田真響 ファンクラブ」の異名を持つ日本史研究会の代表取締役を務めており、ファンとして真響の写真を撮る傍ら、真響と親しい鈴原泉水子の存在を知り泉水子に関心を持つ。 将来はジャーナリストを目指しており、撮影技術向上のために隠し撮りばかりしていたが、泉水子が「日本史研究会に入会する代わりに隠し撮りをやめてほしい」と頼んだことから隠し撮りをやめ、泉水子を含めた会員たちと、本来の日本史研究活動に注力することになる。
リカルド
鳳城学園高等部1年C組に所属する男子。ブラジル人留学生として鳳城学園高等部に入学し、他の生徒には色黒で長身の癖っ毛の男子に見えている。しかし、なぜか鈴原泉水子の目には顔に黒いもやがかかったように見え、さらに写真にも写らないという不気味な存在。正体は高柳一条が作り出した式神で、正体を怪しむ泉水子に襲い掛かる。
宗田 静枝 (そうだ しずえ)
宗田真響、宗田真澄、宗田真夏の母親。前髪を左寄りの位置で斜めに分けたショートカットヘアにしている。明るく親しみやすい性格で、鈴原泉水子たちには「静枝さん」と名前で呼ぶように言っている。娘、息子たちのような特別な力はない普通の人間。また、戸隠内では神霊となった真澄の存在はタブーであるため、存在を隠し「自分たちの子供は三つ子ではなく双子」としている。
中山 瑞穂 (なかやま みずほ)
鈴原紫子の友人で、病院で科学者として働く女性。前髪を右寄りの位置で分け、ウェーブがかったロングヘアを後ろで1つにまとめ、眼鏡をかけている。紫子との縁から鈴原泉水子の定期検診を担当している。泉水子の電子機器を壊してしまう特異体質についても研究とサポートを行っており、その原因は泉水子がまだ自分の力をコントロールできず、精神的な問題から不本意に力を発揮してしまうから、と捉えている。 そのため、泉水子が自分自身への理解を深められるように、日記を書くことを勧める。
集団・組織
日本史研究会 (にほんしけんきゅうかい)
鳳城学園高等部にある部活動の1つ。宗田真響が高柳一条に対抗するため設立した組織で、一条の術に耐性のある人間で構成されている。そのため表向きは「日本史研究会」を名乗っているが、裏では「宗田真響ファンクラブ」あるいは「そうだ」「まゆら」「ふぁんくらぶ」の頭文字を取って「SMF」と呼ばれている。また、その別名の通り会員は真響のファンということもあり、密かに彼女を隠し撮りしていたりもする。
クレジット
- 原作
-
荻原 規子
- キャラクター原案
-
岸田 メル