概要・あらすじ
天王洲あいるは、小学校まで普通に育ち、普通の公立中に進学しようと思っていた少女。だが母親から、自分が魔女のような能力を持つ家系と聞かされ、一方的に真秀等場学園の中等部へ編入させられてしまった。そこが、全ての生徒が魔法のような能力「マホ」を使う学園と知り、戸惑うあいる。だが、入学初日に一目惚れした出雲三成や、面倒見のいい級友に受け入れられ、やがて自分が運をつかさどる「ラッキーのマホ」を持つと知る。
登場人物・キャラクター
天王洲 あいる (てんのうず あいる)
普通の小学校に通い、友達と一緒に普通の公立中に進学するはずだったが、真秀等場学園中等部へ編入することになった少女。いて座のO型。自分がマホを使えないと思い込んでいたが、実は運をつかさどる「ラッキーのマホ」を持っており、幼い頃から危険に遭遇する事が多かったが、間一髪で助かっていたのはそのため。 そういった経験からか楽天的な性格で、全員がマホを持つ真秀等場学園の中でも、物怖じせず級友たちに接していた。編入当初から出雲三成に恋心を抱いており、後に両想いとなる。学園の敵であったナコや、恋敵といえる井川さくらの不遇を見逃せず救おうとするなど、立場に関係なく誰に対しても思いやりを持つ。
出雲 三成 (いずも みつなり)
真秀等場学園中等部に通う、天王洲あいるの同級生。初対面のあいるが見とれるほどのイケメンの少年だが、人の心を読むマホを持つため、周囲の生徒たちからは敬遠されていた。その能力のため何事にも消極的で人間不信気味だったが、裏表のないあいると接し、少しずつ心を開く。人の心を読むときは左目で相手と目を合わせ、逆に右目を合わせると自分の心が相手に伝わってしまう。 そのため、普段は前髪で右目を隠している。爬虫類やそれに似たものが苦手で、あいるのそばにリューコやナコがいると近づけないという弱点がある。おうし座のAB型。
丹後 由良 (たんご ゆら)
真秀等場学園中等部に通う、天王洲あいるの同級生。初対面のあいるが「わっ キレーな子ぉ!」と感嘆するほどの美少女で、長い黒髪をポニーテールにしている。風のマホを使い、あいるの編入当初は指導役としてきつく接するが、本来は真面目でロマンチスト。ギャグキャラめいたツッコミ役に回ることも多い。 初等部入学以来、秘かに武蔵大和へ片思いしていたが、井川さくらが調合した薬の作用で告白してしまい、両思いを確認する。ふたご座のA型。
武蔵 大和 (むさし やまと)
真秀等場学園中等部に通う、天王洲あいるの同級生の少年。空間を操るマホを使い、瞬間移動のように出没する。自分以外の物体も移動させることができるが、移動先から代わりとなる物体を入れ替えねばならず、単純に消す、または発生させることはできない。女性と見れば年齢・容姿を問わず口説くことをマナーとしているプレイボーイだが、丹後由良に対しては拒絶されることを怖がり、初対面以降はずっと友人の一人として接していた。 由良の退学騒動をきっかけに両思いであることを確認するが、その後も女性を口説く癖は変わっていない。てんびん座のO型。
近江 舞子 (おうみ まいこ)
真秀等場学園中等部に通う、天王洲あいるの同級生。水のマホを使う、物静かな少女。教師からも一目置かれているという博識な優等生で、その思考はレベルが高すぎるため、出雲三成の心を読むマホでも読み取りきれない。常に無表情でクールと周囲に思われているが実はダジャレに弱く、ツボに入ったときほどなぜか不機嫌そうに見えてしまう。 かに座のB型。
リューコ
真秀等場学園で天王洲あいるの同級生として登場するが、正体は学園の校長にして、ドラゴン。校長・九頭竜湖として人前に立つことはほとんどなく、丹後由良たちも初等部入学から一度も姿を見ていなかった。生徒・リューコとしては小柄な目立たない少女だったが、あいるたちに正体を明かしてからは大人びた口調になっている。 ドラゴンの時はあいるの肩に乗る程度の小さな生き物の姿で、体はウロコに覆われている。マホを使えないと思われていたあいるが、実は運をつかさどるマホの持ち主だと初めて見抜いた。ドラゴンの姿の時は火を吐き、人間の姿の時も火のマホを使うと思われる。
ナコ
リューコと対をなすドラゴンで、野放しにすれば破壊と殺戮に明け暮れ、地上を邪悪な気で満たす破壊神と言われている。リューコによって真秀等場学園地下のダンジョンに封印されていたが、封印の弱まる時期を狙い、天王洲あいるを依り代として地上に出ようとした。あいると同じ姿のドッペルゲンガーとして地上に現れたが捕えられ、再度封印されるところをあいるの頼みで救われた。 その際、二度と悪い事はしないという約束を交わし、以後、約束の相手であるあいるに懐く。ドラゴンとしての姿はリューコと同様に小さな生き物で、人間・奥浜名湖としては髪の長い女生徒の格好をしている。ドラゴンには、はっきりとした性別がなく、性別への意識も弱い。 そのため、女生徒の格好をしているが、人間の姿で裸になった際の体は、男子のものである。恋愛感情や一般常識への理解が乏しく、あいるを惑わす存在として出雲三成を敵視する。ドラゴンと人間、いずれの姿でも氷のマホを使う。
井川 さくら (いかわ さくら)
真秀等場学園に通う女生徒で、丹後由良たちの同期だったが、三年前にナコの依り代にされかけ、自分もろとも封印を仕掛けて同じ空間に閉じ込められた。そのため三年間、行方不明とされていた。かつては出雲三成と仲が良く、周囲から公認のカップルのような関係だった。天王洲あいるによって救出され、もともと学業優秀であったため、ブランクによる問題もなく、あいるたちの同級生となる。 調合のマホを持ち、封印の効果を持つ「札薬」など魔法薬の調合を得意とする。普段は可愛げのある態度で振舞っているが、独り、またはあいるの前だと攻撃的な面が出る。救出されてからも三成に好意を示し、あいるとは恋敵になるが、後に恋人同士にはなれない関係と判明する。
和賀 仙人 (わか せんと)
真秀等場学園の教師で、天王洲あいるたちのクラス担任。物を復元するマホを使う。物腰の柔らかい青年に見えるが、あいるの母によると彼女の在学中も教師として居り、当時から自分のマホで肉体を若く保っていると噂されていた。よく生徒の校則違反を注意するが厳しくはなく、自らも内緒で抵触行為を行うことがある。
早月 加積 (はやつき かづみ)
真秀等場学園の教師で、音楽担当にして吹奏楽部顧問。色気のある大人の女性で、アルトフエールを吹く仕草には、多くの男子生徒が見惚れた。
東 あずま (ひがし あずま)
真秀等場学園に赴任した教育実習生で、学園の卒業生。催眠術のような「催眠のマホ」を持っており、その能力で生徒にマホを使えなくさせたり、記憶を操作したりすることができる。優しい好青年として生徒の人気を集めたが、秘かに全校生徒を記憶喪失にさせる計画を立てていた。動機は、在学中の恋人が、マホを失い退学になったため。 特に恋人同士を標的にしたが、キーワードによって催眠が解除されるようにするなど、恋人同士の絆を試そうとする節があった。
場所
真秀等場学園 (まほらばがくえん)
『まほちゅー!』の舞台のひとつ。魔法に似た特殊な能力・マホを持つ生徒が通い、その能力を使いこなすための教育を施す私立校。ほとんどの生徒は初等部からの持ち上がりで、天王洲あいるのような編入生は12年に一度という希少な存在。教室内で教師の許可なくマホを使うこと、校内で私利私欲のためのマホを使用することは禁じられている。 またマホが不安定な女子には、コントロール装置としてリボン着用を義務づけている。国語など通常の授業や部活動もあり、運動部は試合でマホを使わないという条件で対外試合を行っている。
その他キーワード
マホ
『まほちゅー!』に登場する用語。いわゆる「魔法」や「超能力」に似た能力で、個々人が「風を操る」「人の心を読む」など特定の物に働きかけることができる。もちろん一般社会には認知されていない。基本的に、元々ある物に作用する能力のようで、何もない所から物を発生させるようなことはできない。天王洲あいるの母親によれば突然変異のようなもので、マホが発現しやすい家系でも、必ず発現するとは限らないという。
アルトフエール
真秀等場学園の中等部から使われる教材で、好きなメロディを吹くといわゆる「魔法のステッキ」のような形に変形する。早月加積の説明によると、こういった棒状の物を持つことで精神が高揚して神経が研ぎ澄まされ、いつも以上の力を引き出せたり調節したりしやすくなるという。天王洲あいるは最初マホを自覚しておらず、自覚した後も意図的に使うことはなく、アルトフエールを用いる機会はなかったが、ナコが強化してからは乗って飛行できる杖状のアイテムに変型するようになる。 この改良版をナコは「アルトツエーナ」と命名した。