概要・あらすじ
飛行機事故を生き延びたみどりと坂口は助けを求めて植物に覆われた世界を進む。そして衝撃的な事実を知るのだった。人類滅亡後の世界を進む男女と、不思議なジャングルを描いたSF短編。
登場人物・キャラクター
みどり
若い女性。乗っていた飛行機が事故で雪山に墜落。坂口五郎と自分の二人だけが生き残る。救助を求めるため山を下りるが、みどり達が目にしたのは、ジャングルに覆われた東京の姿だった。廃墟にあった新聞から、この世界が細菌兵器によって滅びたことを知る。ショックに耐えられなかった坂口は、奇声を上げ走り去ってしまう。 残されたみどりは、ジャングルに覆われた東京を一人歩き、遂に懐かしの我が家へたどり着く。しかし、その時すでにみどりは、家族の後を追って死ぬことを決めていた。そして身なりを整えた後、カミソリで手首を切るのだった。
坂口 五郎 (さかぐち ごろう)
みどりと同世代の男性で、同じ飛行機に乗り合わせていた。感情の起伏が激しく、自分のミスを認めない性格。川を下るためにいかだを作るなど、行動力はあるが、靴擦れで遅れるみどりを罵ったり、些細なことで怒るなど、旅のパートナーとしては非常につらい人物。
白河 貴志 (しらかわ たかし)
物腰の柔らかい小太りの男性。元P・B・Pテレビのアシスタントディレクター。自殺を図ったみどりを発見し、介抱する。そしてみどりが目を覚ますと、この世界の驚くべき秘密を語って聞かせるのだった。
場所
ジャングル
細菌兵器で人類が滅んだ後の世界は、気温が高く、あちこちがジャングルに覆われていた。しかしそれは通常のものとはまったく違い、非常に不思議なものだった。みどり達が空腹のときは、果物のある場所へ誘導し、おぼれた時はツタが引き上げ、怪我をするとコケが一晩で治してしまう。そして、落ち込んでいるときには慰めるかのようにきれいな花まで咲かせ、まるでみどりたちを守っているかのようであった。