概要・あらすじ
ある日、小山笹舟は、祖父が隠し持っていた明治時代の作家・雪村千鳥の行方不明原稿を見つける。ところが、「架空亭」と題されたその物語を読んだ途端、笹舟は物語世界の中に入り込んでしまう。「架空亭」の住人たちは、その物語を読んだ人物を客人とし、生気を取り込むことで日々の食事を作っていた。しかし、病弱な笹舟は満足に生気を渡すことができない。
そこで、笹舟は次の「客人」を探すことになる。
登場人物・キャラクター
小山 笹舟 (こやま ささふね)
雪村千鳥に続く、郷土で2人目の小説家。雪村の研究者である元国語教師の祖父を持ち、子供の頃から祖父の蔵書であった雪村の本を読んで育った。病弱ですぐに倒れてしまうため、人の生気を吸い取る「架空亭」に長く滞在することも、食事を出すこともできずに、次の取り憑く先を探すことになる。
甘喃 (あまなん)
雪村千鳥の未完の小説「架空亭」に出てくる登場人物の女性。「架空亭」を読んだ人が取り込まれる異世界「架空亭」の主でもある。若く美しい姿をしていて、常に着物を着ているが、長い髪は日本髪ではなくルーズにまとめている。
雪村 千鳥 (ゆきむら ちどり)
小山笹舟の郷土で最初の小説家となった病弱な男性。明治時代に活躍していたが、29歳という若さで亡くなった。死の床で書いていたという小説は未完のまま長らく行方不明になっていたが、実は笹舟の祖父が手に入れていた。
柄井 真向 (からい まこう)
雪村千鳥に憧れて作家になった男性。作家らしくなく、スポーティで健康的。雪村に最も影響を受けた若手男性作家同士ということで、小山笹舟とは、一定の付き合いがある。健康であることから、笹舟から「架空亭」の次の客人として目をつけられる。
その他キーワード
架空亭 (かくうてい)
異世界に存在する旅館のような建物。明治時代の作家・雪村千鳥が書いた小説と同名である。小説を読むことで、「架空邸」の「客人」とみなされ、現世と自由に行き来できるようになる。ただし、客人とみなされるのは常に一人で、新しく小説を読んだ者がいた場合、それまでの客人は二度と架空亭には行けなくなる。