無限の住人

不老不死の身体を持つ男が、両親を亡くした少女の用心棒となり、少女の仇を討つため戦う冒険活劇。「月刊アフタヌーン」1993年8月号から2013年2月号にかけて連載された。

正式名称
無限の住人
ふりがな
むげんのじゅうにん
作者
ジャンル
アクション
 
グロテスク・エログロ
 
時代劇
 
和風ファンタジー
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
全30巻完結
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作品誕生のいきさつ

沙村広明はコミックス最終巻である第30巻のあとがきで、本作『無限の住人』誕生のいきさつを語っている。もともと、沙村広明は学生時代、日本史も世界史も好きではなかった。しかし大学時代に目にした、志村立美が描いた丹下左膳のイラストに強く心惹かれたことと、『無限の住人』の初代担当となった「アフタヌーン」の編集者に「時代劇を描いてみないか」と打診されたことがきっかけで、本作の執筆に至ったという。

あらすじ

江戸時代中期。剣道道場の一人娘である浅野凜は、14歳の誕生日に逸刀流と名乗る謎の剣客集団に目の前で両親を殺されてしまう。逸刀流の統主である天津影久に復讐を誓った凜は、それから2年後に八百比丘尼と名乗る老婆から、腕利きの剣士で、しかも不死身の肉体を持つ万次という男の存在を知らされる。過去に犯した重罪から「100人斬り」の異名を持つ万次は、その贖罪のため、自らの判断で決めた1000人の悪党を斬らなければならないという。凜は万次を自らの用心棒に雇い、影久打倒のため、その足取りを追うことを決める。

メディアミックス

TVアニメ

2008年7月から12月にかけて、AT-Xにて真下耕一監督によるTVアニメ版が放送された。シリーズ構成は川崎ヒロユキ、脚本は川崎ヒロユキと金巻兼一、キャラクターデザインは山下喜光が手掛けた。万次役を関智一、浅野凜役を佐藤利奈、天津影久役を野島裕史が演じた。

舞台

2016年2月、TVアニメ版で万次役を務めた関智一主演・演出による舞台が、全労済ホールスペース・ゼロにて上演された。脚本は島田朋尚が手掛けた。浅野凜役を福圓美里、天津影久役を浪川大輔が演じた。

実写映画

2017年4月より三池崇史監督による実写映画版が公開された。脚本は大石哲也、音楽は遠藤浩二が手掛けている。万次役を木村拓哉、浅野凜役を杉咲花、天津影久役を福士蒼汰が演じた。

評価・受賞歴

本作『無限の住人』は、 1997年、第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している。

作家情報

沙村広明は、主に青年誌で活躍中の漫画家。1970年生まれで千葉県出身。1993年、本作『無限の住人』が「アフタヌーン四季賞 夏のコンテスト」にて四季大賞を受賞しデビュー。代表作は本作『無限の住人』で、他の作品には『ベアゲルター』『ブラッドハーレーの馬車』などがある。

登場人物・キャラクター

万次 (まんじ)

右目が見えない隻眼で、顔に大きな傷があり、背中に「卍」模様の入った着流しを着た若い男性。前髪を真ん中で分けて目が隠れそうなほど伸ばし、肩につくほどまで伸ばした長髪をパイナップルのように放射状に立てたポニーテールヘアをしている。もともとは、旗本・堀井重信に仕える同心であったが、重信の不正を知り彼を殺し、さらに追っ手99人を返り討ちにしたことから「百人斬り」の名で呼ばれる。 その後、八百比丘尼と出会い、彼女によって体内に血仙蟲を埋め込まれたことで、不老不死の身体となった。自らの罪を償うため、悪党を1000人斬らなくてはならないと考えており、浅野凜と出会ったのを機に凜の用心棒となり、ともに打倒逸刀流を目指して戦うことになる。 面倒くさがりでぶっきらぼうに見えるが、実際は心優しく世話焼きな性格。特に凜のことは、自分のせいで亡くなった妹の町に雰囲気が似ていたことから、妹のように大切に想っている。

浅野 凜 (あさの りん)

剣道道場「無天一流・浅野道場」の一人娘。年齢は16歳。前髪を目の上で切り、胸まで伸ばしたロングヘアを2本の三つ編みにして、毛先を白い輪っかの髪飾りでまとめている。14歳の誕生日に、父親の浅野虎厳と母の浅野時を、天津影久ら逸刀流に目の前で殺され、以来、影久に復讐を誓っている。2年間の修業を経て16歳となり復讐を実行しようとした際、八百比丘尼から万次の存在を教えられ、万次を用心棒として雇い、ともに戦うことになる。 明るく気が強い性格で、やや無鉄砲なところがあり、しばしば無茶な行動をしては万次を困らせるが、仲は非常に良く、万次に対して、父親のような兄のような、心揺さぶられる異性のような複雑な感情を抱いている。やがて影久と知り合い、両親の仇でありながらも時に対話したり協力したりする関係を築き、影久の思想を知ってからは、本当に影久を殺し復讐を果たすことが正しいのかどうかを考えるようになっていく。 主な武器は小刀で、何本もの小刀を同時に相手に投げつける「殺陣・黄金蟲(さつじん・おうごんちゅう)」が得意技。

天津 影久 (あのつ かげひさ)

逸刀流の2代目統主で22歳の男性剣士。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸まで伸ばしたストレートロングヘアを後ろで1つに結んでいる。女性のように細身で美しい容姿をしているが、「天才」と評されるほどの剣の腕前を持つ。生真面目で沈着冷静な理想主義者で、勝つことこそが剣の道であるという考えの持ち主。統主に就任後、「あらゆる流派の統一」を掲げ、その一環として「無天一流」の浅野道場を襲い、浅野凜の両親を仲間たちに斬殺させた。 しかし、その後自分を殺しにやって来た凜とは奇妙な縁で結ばれており、行く先々でなぜか対話したり協力することになる。自身のはとこにあたる乙橘槇絵のことは、剣士として尊敬していたが、次第に女性としても意識し、親しくなっていく。

凶 戴斗 (まがつ たいと)

逸刀流に所属する若い男性剣士。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を後ろに流してツンツンに立てた髪型をしている。覆面をし、常に口元を隠している。硬派で義理堅い性格で、敵同士ではあるものの、必要とあれば浅野凜や万次と協力することもある。もとは農民だったが、妹を侍に殺されて以来、武士階級を憎むようになり、逸刀流に加わった。 しかしある日、逸刀流が幕府の傘下に入るかもしれないことを知り、侍の味方はできないと、逸刀流を抜けようと考える。しかしその直後に、妹同然に想っていた遊女・恋を尸良に惨殺されたことで逸刀流に戻り、尸良への復讐を誓う。仕込み刀の使い手。

乙橘 槙絵 (おとたちばな まきえ)

逸刀流に所属する若い女性剣士。前髪を目の上で切ったショートカットヘアをしている。天津影久とははとこの関係にあたり、遊女として暮らしていたところを、影久に身請けされる形で逸刀流にやって来た。幼少時の影久を野犬から救ったことがあり、影久からは師と仰がれるほどの腕前の持ち主。しかし10歳の時に兄を剣術で破り、結果的に自死に追いやったことで、母親とともに家から追放され、ともに遊女になる他なかった過去から、自らの剣の腕前を前向きにとらえることができずにいる。 影久とは次第に親しくなり、恋仲になっていく。

尸良 (しら)

無骸流に所属する若い男性。前髪を眉上で短く切った毛量の少ないショートカットヘアをしている。もともと人殺しを生業にしており、百琳より後に無骸流に加わった。非常に残虐なうえ、倒錯した性的嗜好の持ち主。狙った人間の四肢を切断して動けなくしてから嬲り殺すことを好み、特に女性を凌辱しながらむごたらしく殺すことに強い性的興奮と快楽を感じている。 万次や浅野凜と出会った当初は、逸刀流を壊滅させるという共通の目的から行動をともにしていたが、尸良のあまりにも残酷で狂った嗜好が原因で次第に敵対するようになる。凶戴斗が妹同然に想っていた遊女・恋を殺した犯人でもあり、戴斗からは仇として狙われている。

百琳 (ひゃくりん)

無骸流に所属する若い女性。前髪を真ん中で分けて右側だけ目が隠れそうなほど伸ばし、胸まで伸ばした金髪ストレートロングヘアをしている。金髪は染髪したもので、地毛は黒髪。普段は黒髪のかつらをかぶっている。真理路には「姐さん」と呼ばれている。 真理路と組んで逸刀流を狩っており、同じ打倒逸刀流を目指す万次と浅野凜を無骸流にスカウトしにやって来る。 明るく肝の据わった世話焼きな性格で、ふざけた態度を取って隠しているが、非常に真面目で義理堅い性格。「にゃはは」という特徴的な笑い方をする。かつては武士の早川霞江斎の妻であったが、夫が将来を悲観して病弱な息子を殺害したことで錯乱し、夫を殺して死罪人となる。しかしそこを吐鉤群に救われ、鉤群の命令によって無骸流に所属することになった。 弓の扱いに長け、折りたたみ式のボウガンを武器としている。

真理路 (しんりじ)

無骸流に所属する若い男性。前髪の一部だけおろして斜めに分け、残りは後ろで1つにまとめた髪型をしている。百琳と組んで逸刀流を狩っており、母親の面影がある百琳を「姐さん」と呼び慕い、想いを寄せている。もとは呉服問屋で丁稚として働いていたが、金銭を盗んだことで死罪となるところを拾われる形で無骸流に加わった。

偽一 (ぎいち)

無骸流に所属する若い男性。スキンヘッドに丸いサングラスをかけ、顎ひげを生やしている。寡黙なうえ、サングラスで表情が見えないため考えが読みにくいが、不器用で情に厚い性格。しかし敵である逸刀流には容赦がなく、鎖鎌を武器に淡々と狩っていく。もとは船大工として働いていたが、病に侵された息子の薬代のために窃盗をし、死罪となるところを拾われる形で無骸流に加わった。 百琳を非常に大切に想っており、自分が逸刀流壊滅に貢献することで、自分だけでなく百琳も罪状放免にしたいと考えている。

宗理 (そうり)

町絵師を務める中年の男性。浅野凜の父親である、浅野虎厳の幼なじみでもある。前髪を上げて額を全開にし、髪をオールバックにして撫でつけている。その正体は幕府の隠密で、虎厳をも超える剣の使い手。芸術を真剣に愛しており、鎖国下において西洋の絵画を入手するために隠密となった。逸刀流打倒のために旅に出る凜と万次に、仲間に加えてもらう見返りに、金銭的援助をすることになる。 百琳の亡くなった夫である霞江斎元京とは友人だった。

吐 鉤群 (はばき かぎむら)

幕府の新番組頭を務める中年の男性。ちょんまげを結って口ひげを生やしている。表向きは逸刀流に友好的で、天津影久に逸刀流を幕府の講剣女の師範に召し抱えたいと持ち掛けるが、裏では自らの配下である無骸流を使って、逸刀流を撲滅するべく逸刀流剣士を次々に殺させていた。「逸刀流にとって危険な人物」として、逸刀流側に「アカギ」という誤った名前で知られたため、正体が判明するまでは、作中で便宜上「アカギ」と呼ばれている。 自らも逸刀流撲滅に積極的に動き、逸刀流幹部が一堂に会した際には彼らをことごとく斬殺し、逸刀流に壊滅的打撃を与えた。万次の不死の力に関心を抱いており、綾目歩蘭人らにその解明を命じる。

伊羽 密花 (いばね ひそか)

剣術道場「心形唐流」の創始者である伊羽軒秋の孫で、現在の総帥伊羽研水の義理の娘である若い女性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、ロングヘアを後ろで1つにまとめている。口元のほくろが特徴。物静かで儚い雰囲気の人物で、身体が弱く、常用している薬の副作用により視力が弱くなっている。心形唐流が逸刀流に加わるための交換条件として、逸刀流統主である天津影久と結婚することになる。 実の両親は早くに亡くしており、両親の願いにより研水の義理の娘となった。そのため、血の繋がりがないにもかかわらず常に自分のために心を砕いている研水に恩と申し訳なさを感じており、自分の身が役に立つならと、結婚にも前向き。

入谷 (いりや)

剣術道場「心形唐流」に所属する若い男性剣士。前髪を目の上で切って真ん中だけ残し、残りは撫でつけて肩まで伸ばしたセミロングヘアをしている。顎から鼻の下にかけて、一本線の大きな傷跡がある。伊羽密花に想いを寄せており、「心形唐流」が逸刀流に加わることも、そのために密花が天津影久と結婚することにも納得していない。 そのため、道場を訪れた影久に勝負を挑む。

馬絽 祐実 (ばろ すけざね)

逸刀流に所属する剣士の若い男性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、後ろで1つにまとめている。顔の中心に横一本線の大きな傷跡がある。もともとは「志田祐実」という名で武士として生きていたが、すべてを捨てて逸刀流に入門した。吐鉤群が逸刀流を襲撃し幹部の多数を殺した時は、天津影久の命令により乙橘槙絵を探しに行っていたため生き残り、10人だけ生き残った残党の1人となった。

吉乃 瞳阿 (よしの どうあ)

逸刀流に所属する剣士の少女。前髪を眉上で短く切ったショートカットヘアをしている。目が小さく細くつりあがっている。もともとは蝦夷地の出身で、日本人だがアイヌ人の両親に育てられた。本名は「クイチル」だが、蝦夷地を出る際に、同時に旅立った八苑狼夷作に「大人の名前を付けてほしい」と頼み「湖畔」という意味の「トワ」と名付けられ、それが転じて現在は「瞳阿」という名で呼ばれるようになった。 凄腕の剣士で気が強く生意気な性格だが、極度の人見知りで内弁慶。そのため家族同然の存在である夷作のような特に親しい人物か、慕っている天津影久以外の相手とは口をきこうとしない。吐鉤群が逸刀流を襲撃し幹部の多数を殺した事件の後、10人だけ生き残った残党の1人となるが、泊まる場所にも困っていたところで、浅野凜と知り合う。 以来、凜と反発しあいながらも奇妙な友情を育むようになっていく。

八苑狼 夷作 (やそのおおかみ いさく)

逸刀流に所属する剣士の若い男性。前髪を上げて額を全開にし、肩に届くほどまで伸ばしたセミロングヘアをしている。非常に大柄で筋肉質。もともとは異国の宣教師の息子。吉乃瞳阿とは、少年時代に蝦夷地に住んでいた頃に、自宅にお腹をすかせた瞳阿が食べ物を盗みに入ったのがきっかけで知り合い、親しくなった。瞳阿が蝦夷地を去る際に「一緒に旅に出ないか」と誘われたのがきっかけで同行し、現在に至る。 吐鉤群が逸刀流を襲撃し幹部の多数を殺した事件の後、10人だけ生き残った残党の1人となった。本名は「フェニーチェ・イサーク・カルワーリョ」だが、長い名前で覚えづらいという理由から瞳阿からは「イサク」と呼ばれるようになり、さらに蝦夷地を去る際に父親から「耶蘇の大神」という意味で「八苑狼」という姓を授けられ、現在の「八苑狼夷作」という名前になった。 素朴で心優しい性格で、やや気が小さい。そのため瞳阿の傍若無人な振る舞いのフォローをすることが多い。瞳阿のことは家族同然に想っている。

阿葉山 宗介 (あばやま そうすけ)

逸刀流に所属する剣士の65歳の男性。前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばした長髪を後ろで1つに結んでいる。右目の脇に縦一本線の大きな傷跡があり、右腕を失っており左腕のみの隻腕となっている。天津影久の父親である天津三郎の友人で、影久の後見人。そのため、影久不在の際には統主代行を務める。吐鉤群の策略で逸刀流が壊滅的打撃を受けた際、10人だけ生き残った残党の1人となる。 失った右腕に仕込んだ鎖と両刃の短剣を使った波状攻撃を得意とする。

果心居士 (かしんこじ)

逸刀流に所属する年老いた男性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどのボブヘアをしている。眼鏡をかけ、口ひげとあごひげを長く伸ばしている。普段は江戸市中で「水科」という名で薬屋として働いているが、そのかたわら密かに諜報活動を行っている。

怖畔 (おずはん)

逸刀流に所属する剣士の若い男性。お面をかぶって素顔を隠し、奇妙な装束をまとっている。素性などは一切不明で、首から下げた特殊な笛の音で敵を混乱させ、その隙をついて攻撃するという独特の戦闘スタイルを持つ。怖畔自身は笛の音に耐性があるが、他の者ではそうではないため、逸刀流内では「一緒に戦いたくない剣士ナンバーワン」と評されている。 言葉は一切発さないが、吉乃瞳阿などとはジェスチャーを用いて意思疎通ができる。吐鉤群が逸刀流を襲撃し幹部の多数を殺した事件の後、10人だけ生き残った残党の1人となる。

綾目 歩蘭人 (あやめ ぶらんど)

医師として働く若い男性。前髪を右寄りの位置で斜めに分けて左目が隠れそうなほど伸ばし、後ろの髪は耳の下あたりまで伸ばしている。医師として生真面目で志高い人物で、西洋医学を学びたいと考えるあまり、鎖国令を破って7年間異国を放浪していた。帰国後、投獄されていたところを吐鉤群に見出され、鉤群の命により、万次の身体の不死の理由を解明するため万次を監禁し、万次と死罪人を用いて人体実験を行うことになる。

山田浅右衛門吉寛 (やまだあさえもんよしひろ)

罪人の斬首を代々請け負う山田家の、4代目の男性。前髪を眉上で短く切って真ん中で分け、ロングヘアを高い位置でポニーテールにしてまとめている。目がぎょろぎょろと大きく、両頬が垂れ下がっている。その職業から「首斬り浅右衛門」と呼ばれている。吐鉤群の命により、綾目歩蘭人が万次と死罪人を用いて行う人体実験の手伝いをすることになる。

荒篠 獅子也 (あらしの ししや)

六鬼団に所属する若い男性。頭部の中心に大きな傷跡があり、頭頂部はスキンヘッド、耳の上から肩につくほどまで伸ばした髪の毛を縦ロールにしている。非常に大柄で、カイゼルひげとあごひげを生やしている。もともとはオランダの商船の船員として働いており、本名は「レウ」。罪人をかばったことで仲間から私刑を受けて海に放り出されたが、吐鉤群に助けられた。 重さ30キロの斧を両手に持ち、敵を胴ごと寸断する力技を得意とする。また、全身に鉄鎖を何重にも巻き付けており、ほぼ完璧な防御を誇っている。

杣 燎 (そま りょう)

六鬼団に所属する少女。吐鉤群の隠し子でもある。前髪を左寄りの位置で斜めに分けて額を見せたショートカットヘアをしている。罪人ではないが、六鬼団に欠員が出たため、自ら志願する形で加入した。鉤群を武士として尊敬する真面目で一本気な性格だが、実戦経験には乏しく、他の六鬼団メンバーに比べると腕はやや劣る。

八百比丘尼 (やおびくに)

血仙蟲を身に宿し、800年間生き続けている謎の尼僧。万次の体に血仙蟲を埋め込み不老不死とした張本人でもある。非常に小柄な老婆の姿をしており、額と両頬に渦巻き模様の入れ墨が入っている。 天津影久に復讐を誓う浅野凜に万次の存在を教え、凜に万次を用心棒として雇い、ともに影久を狙うことを勧める。

黒衣 鯖人 (くろい さばと)

逸刀流に所属する剣士の男性。逸刀流には天津影久の幼少期から所属する古株。鎧兜を着込み、両肩に布で覆われた大きなこぶのような不自然なものを背負っている。容姿からは年齢を判別しづらいが、兜の下は頭部全体に大きな傷がいくつもあるスキンヘッドをしている。倒錯した性的嗜好を持ち、気に入った女性の頭部を剥製にし、自分の身体に直接縫い付ける形で保存しており、これが両肩のこぶの正体である。 布で隠された右肩にはかつての妻、左肩には浅野凜の母親である浅野時の頭部が縫い付けられている。凜のことも気に入っており、凜の14歳の誕生日から2年間ずっとラブレターを送り続けている。

閑馬 永空 (しずま えいくう)

逸刀流に所属する剣士の男性。前髪を目が隠れるほど伸ばした長髪をおろしている。一見若い男性に見えるが、実際は万次と同じく、体内に血仙蟲を埋め込まれた存在で、実年齢は200年近い。同じ境遇の万次と自分が組めば最強であると考えており、万次に逸刀流の乗っ取りを持ちかける。血仙蟲の動きを止め、肉体の再生を妨げる「血仙殺」という薬を所持している。

川上 新夜 (かわかみ あらや)

逸刀流に所属する剣士の男性。2年前、浅野家を襲った逸刀流一味の1人で、浅野時を凌辱した張本人でもある。前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばしたストレートロングヘアをしている。妻に逃げられ1人で暮らしていたが、1年半前に妻が亡くなり、息子の川上練造が自分を頼ってやって来てからは、練造と2人で暮らしている。 練造のために逸刀流を抜け、別の仕事をして生きようとしていたが、そんな折に浅野凜と知り合い、過去を忘れるために凜を殺そうとする。逸刀流に所属するかたわら、自作のお面を売るお面売りをしており、独特のセンスは練造にも受け継がれた。

川上 練造 (かわかみ れんぞう)

川上新夜の息子。前髪を目の上で切ったショートヘアの少年。ある日、町でもめごとを起こし、斬り殺されそうになっていたところを浅野凜に助けられたのがきっかけで親しくなり、凛を家に招く。しかしその後、家にいた新夜が凜の正体を知って凜を殺そうとし、駆け付けた万次に返り討ちにされて死ぬのを目撃してしまう。その際に凜がついた嘘から、父親の正体を知らないまま万次と凜を強く恨むようになる。 やがて尸良と行動をともにしながら、万次と凜の命を狙うようになる。

(まち)

万次の妹。23歳で故人となる。前髪を眉上で切り揃え、耳の下で切り揃えたボブヘアをしている。雰囲気が浅野凜に似ている。斎藤応為辰政と結婚し、勝川家の同心の妻として生きていたが、目の前で万次に辰政を殺されて以来、ショックで精神退行し、幼児のような言動をとるようになってしまった。その後、万次を弟の仇と狙う相手に人質にとられ、万次の目の前で斬られて亡くなった。

斎藤応為辰政 (さいとうおういたつまさ)

町の夫で故人。ちょんまげを結っている。勝川家の同心として働いていたが、ある日通りで偶然出くわした万次が、旗本である堀井重信を斬った犯人と知り、戦いを挑む。しかし万次に敗北し、斬られる姿を町に目撃されてしまい、それ以来、町は精神に異常をきたすこととなった。

浅野 時 (あさの とき)

浅野凜の母親で、浅野虎厳の妻。故人。日本髪を結っている。凜の14歳の誕生日に天津影久ら逸刀流一派に襲われ、虎厳が殺された後、凜の目の前で凌辱された挙句殺された。非常に美しい容姿をしていたことから黒衣鯖人に気に入られ、死後、その頭部を鯖人の左肩に縫い付けられた。

集団・組織

逸刀流 (いっとうりゅう)

50年ほど前、剣道道場「無天一流・浅野道場」を破門になった天津三郎が興した流派。2代目である天津影久が流派を継いで以降、「国中の剣という剣を滅ぼし、あらゆる流派の垣を取り除いてみせる」という願いのもと、あらゆる流派に「服従か死か」の選択を突き付け、逸刀流に加わらなかった流派は根絶やしにするという過激な方法で、門下生を急速に増やしている。 一定の奥義や格式といったものは存在せず、強い人間であれば誰でも入門でき、「必ず一対一で戦うこと」ということのみを身上としている。そのため、一対一でさえあれば武器の種類は問わず、剣以外を用いても良いとしている。しかし、その入門条件や門下生の集め方ゆえに、黒衣鯖人のような人間的・社会的に問題のある剣士も多い。

無骸流 (むがいりゅう)

吐鉤群によって作られた、反幕府的因子を抹殺するための地下組織。現在は主に逸刀流の撲滅を目的とし、あらゆる手段を用いて逸刀流剣士を殺している。「流派」と名乗ってはいるが道場や師範や門下人はなく、構成員は百琳ら8名しかいない。また、重罪を犯して、本来であればすでに死罪となっているはずの人間のみで構成されている。 構成員たちは、逸刀流を1人倒すごとに1.5両が与えられ、それが合計50両に達して上納すれば無罪放免となる。

六鬼団 (ろっきんだん)

吐鉤群が無骸流の解散後に、新たに創設した私兵集団。逸刀流の残党狩りを目的としており、無骸流と同様に、杣燎を除いた多くが罪人によって構成されている。いずれも腕利きの剣士たちで、強者ぞろいの逸刀流残党とも渡り合った。

その他キーワード

血仙蟲 (けっせんちゅう)

ラマ僧が生んだ究極の延命術。人生の目的なかばで死ぬ人間たちを救うために生まれた。正体は宿主が傷を負った際に現れて即座に患部の再生を行う泡状の謎の物質。万次は八百比丘尼により、身体の少なくとも6か所に、この血仙蟲を生み出す肉塊「血仙基(けっせんき)」を埋め込まれている。血仙基を身に宿した人間は、どんな怪我を負っても、血仙基から飛び出す虫たちを軸に血仙蟲を用いた再生行為を行い、瞬時に傷は修復されるため、事実上の不死身の肉体を手に入れる。 また、血仙基たちは、宿主が血仙蟲を埋め込まれた時点の身体、たとえば宿主が20歳であった場合は20歳の時の身体を忠実に再生しようと活動するため、宿主は不老にもなる。しかしそれはあくまで血仙蟲の力によるものであるため、身体にある血仙蟲がすべて消滅した場合、宿主は普通の人間に戻る。 また、血仙蟲は傷の再生のみを行うため、たとえば長期にわたり宿主が呼吸や食事ができない状態にさらされたり、非常に暑い・寒い等の人間が生きていけない環境に置かれたり、再生が追い付かないほどの速度で身体を破壊された場合には、宿主は死亡する。

書誌情報

無限の住人 全30巻 講談社〈アフタヌーンKC〉 完結

第1巻

(1994年9月発行、 978-4063140903)

第2巻

(1994年12月15日発行、 978-4063141016)

第3巻

(1995年4月17日発行、 978-4063141092)

第4巻

(1995年10月18日発行、 978-4063141191)

第5巻

(1996年8月発行、 978-4063141375)

第6巻

(1997年6月発行、 978-4063141511)

第7巻

(1997年10月発行、 978-4063141658)

第8巻

(1998年7月発行、 978-4063141832)

第9巻

(1999年6月発行、 978-4063142105)

第10巻

(2000年4月発行、 978-4063142389)

第11巻

(2001年1月発行、 978-4063142594)

第12巻

(2002年2月19日発行、 978-4063142686)

第13巻

(2002年11月発行、 978-4063143065)

第14巻

(2003年7月発行、 978-4063143263)

第15巻

(2004年1月発行、 978-4063143379)

第16巻

(2004年5月発行、 978-4063143485)

第17巻

(2004年11月発行、 978-4063143638)

第18巻

(2005年6月発行、 978-4063143805)

第19巻

(2006年4月発行、 978-4063144093)

第20巻

(2006年10月発行、 978-4063144307)

第21巻

(2007年6月発行、 978-4063144550)

第22巻

(2007年12月発行、 978-4063144802)

第23巻

(2008年6月発行、 978-4063145090)

第24巻

(2009年2月発行、 978-4063145489)

第25巻

(2009年9月発行、 978-4063145915)

第26巻

(2010年5月発行、 978-4063106541)

第27巻

(2011年1月発行、 978-4063107227)

第28巻

(2011年10月発行、 978-4063107753)

第29巻

(2012年5月発行、 978-4063878189)

第30巻

(2013年2月発行、 978-4063878691)

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