やさしい新説死霊術

やさしい新説死霊術

魔術学府に入学し、魔術の勉強をする少女リンリの日常をコミカルに描いた4コマ漫画。病弱な妹のために死霊術師を目指すソレイユとの関係を中心に、ハートフルな物語が展開される。「まんがタイムミラク」2015年6月号から2016年11月号にかけて連載された作品。

正式名称
やさしい新説死霊術
ふりがな
やさしいしんせつしりょうじゅつ
作者
ジャンル
ファンタジー
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あらすじ

第1巻

死霊術師になるために魔術学府に入学した少女ソレイユは、同じ教室で学ぶリンリ蘇芳倉子となかよくなり、共に死霊術師ダスク・メメントに師事して魔術を学んでいた。そんなある日、ソレイユは召喚術によって精霊魂ゴース子を呼び出すが、逃げられてしまう。この時、リンリはゴース子を捕まえるために攻撃魔術を使用する。しかし、ゴース子にはまったく通用せず、リンリは自分の攻撃魔術の弱さを思い知らされる。リンリにその事を相談されたダスクは、彼女に攻撃魔術の才能がない事を告げる。ダスクは落ち込むリンリに対し、代わりに音響魔術の才能を伸ばすよう勧めるのだった。

第2巻

ソレイユは病弱な妹セレニのために、もし彼女が死んでも死者蘇生で生き返らせるべく、死霊術師になる事を目指していた。そんな中、トネリコの街にメイプリーフ・ラグ・ネクロシスがやって来て、ソレイユと再会。ソレイユは死者蘇生を完成させるために、メイプリーフに自らの身体を明け渡す。しかしリンリは、ソレイユを取り戻すためにメイプリーフと対峙。補助的な魔法や転移術を活かしてメイプリーフに接近し、メイプリーフの中にいるソレイユに語り掛け、彼女を呼び戻す事に成功。そして、魂を引きずり出されたメイプリーフは成仏しかけるも、ダスク・メメントの力によって、その魂を現世に留まらせる事になる。それから6年の月日が経ち、ソレイユによる治療を施されたセレニは、すっかり元気になってトネリコの街を訪れていた。一方、成長を遂げていたリンリは、護衛魔術師となってセレニの旅の護衛を務めていた。そんな中、治癒魔術の使い手として各地を旅していたソレイユは、セレニやリンリに会うためにトネリコの街に帰って来るのだった。

登場人物・キャラクター

リンリ

魔術学府で魔術の勉強をしている少女で、現在はソレイユと同じ部屋で暮らしている。青髪のショートヘアで、恰好いいものに対してのあこがれが強い。特に魔剣に対して強い好奇心を抱き、その気持ちが強すぎるあまり剣を舐めるといった問題行動を起こす事もある。未開拓領域にいる父親のもとに行く事を志願しており、そのために攻撃的な魔術を覚えたいと考えている。 しかし、魔力がソレイユや蘇芳倉子よりも劣っており、攻撃的な魔術の才能には若干欠けている。その反面、遠くまでよく響き渡る声をしているため、音響魔術を使うには非常に有利。また、体術や剣術などに長けており、それらを活かすための重力緩和や空間転移術などの補助的な魔術を得意としている。魔術学府を卒業したあとは旅をする者を護衛する、護衛魔術師の職に就いている。

ソレイユ

魔術学府で魔術の勉強をしている少女で、リンリと同じ「ダスク教室」で学んでいる。現在はリンリの実家に居候している。ピンク色のロングヘアで、胸が大きくプロポーション抜群。初対面の相手であっても気兼ねなくしゃべる事のできる、明るく前向きな性格。その一方で、少々マイペースなところがある。病弱な妹セレニの事を心配しており、彼女が死んだとしても生き返らせる事ができる死霊術師になる事を志願している。 死霊術師としての適性は高く、魔術学府に在籍していた時から回復などの魔術に長けていた。その後、メイプリーフ・ラグ・ネクロシスに身体を明け渡す事により完全な蘇生術を試みるが、リンリの説得を受けてほかの方法でセレニを救う事を決意し、回復魔術を磨く事により、セレニには体調管理などの刻印魔術を施している。 魔術学府を卒業したあとは、治療術を活かすために各地を旅して回っている。

蘇芳 倉子 (すおう くらこ)

魔術学府で魔術の勉強をしている少女で、リンリと同じ「ダスク教室」で学んでいる。緑色のロングヘアで、一部の髪を頭の横で束ねている。胸が大きいが、お腹が出ている事を少し気にしている。おっとりとした性格ながら、押しが強くスキンシップ過多な傾向がある。また、世話好きでややお節介なところがあり、特にトア・メメントの世話を焼く事が多い。 タブーバードからトアとの関係に依存していると指摘された際は、激昂してタブーバードを魔術で消し飛ばそうとした。魔術学府を卒業したあとは、魔術学府で講師を務めている。そこでは魔術を教えながら、生徒達といっしょに好物の煎餅を作って販売している。

トア・メメント (とあめめんと)

魔術学府で魔術の勉強をしている少女で、リンリと同じ「ダスク教室」で学んでいる。ダスク・メメントの娘。金髪のロングヘアで、頭にはトアのうさみみを付けている。幼い外見をしており、子供っぽく見られる事を若干嫌がっている。天の邪鬼な性格ながら、根は心優しい人物。蘇芳倉子とは幼なじみの関係で、倉子を姉のように慕っていた。 しかし、倉子から世話を焼かれ過ぎるあまり反抗心が芽生え、魔術学府の授業には参加せずにネーベル・ミストラルのもとで魔術を学んでいた。倉子と仲直りしたあとは、魔術学府で魔術の勉強に励んでいる。同年代の中では桁外れの魔力を有しているほか、トアのうさみみなどで補助を受けているために攻撃魔術の威力は非常に高い。 魔術学府を卒業したあとは、魔術学府での講師を務めている。小さかった身体は大きく成長し、眼鏡をかけた知的な容姿となっている。

東雲 茜子 (しののめ あかねこ)

魔術学府で魔術の勉強をしている少女で、ポニーテールの髪型をしている。男勝りな口調でしゃべるため、魔術学府での親友ミヤ・エンダイブとちょっとした行き違いで喧嘩をしてしまう。その喧嘩の発端となった攻撃魔術が人を傷つけるためだけの魔術でない事を証明するため、空煌く巨連星を使ってミヤと仲直りしようとした。その際、自分の声量と魔力では出力不足であった事から、魔力に秀でているトア・メメントの助けを借りている。 結局ミヤとは仲直りをしたが、この一件でミヤからは告白されたと勘違いされている。その後、ミヤからは友人以上のスキンシップを取られているが、東雲茜子本人はそれを友情の延長線上だと考えている。魔術学府を卒業したあとは、ミヤといっしょに街の案内人を務めている。

ミヤ・エンダイブ (みやえんだいぶ)

魔術学府で魔術の勉強をしている少女で、東雲茜子と同じ「ブレア教室」で学んでいる。入学して初めてできた友人である茜子の事が大好きで、他人にも茜子の話ばかりしている。ある日、攻撃魔術を暴走させて茜子を傷つけた事から、それにショックを受けて魔術学府を辞めようとした。そんな中、茜子の放った攻撃魔術「空煌く巨連星」を見た事で、魔術が人を傷つけるだけではないとわかって茜子と和解。 この茜子との一件で、彼女から告白を受けたものだと勘違いしており、それ以来茜子とは友人以上のスキンシップを取っている。魔術学府を卒業したあとは、茜子といっしょに街の案内人を務めている。

ダスク・メメント (だすくめめんと)

魔術学府で講師を務めている女性で、教え子であるトア・メメントの母親。金髪のロングヘアで、頭からは角が生えている。眼鏡をかけた知的な外見で、プロポーション抜群。魔術の中でも死霊術を主に専攻しており、不老不死の魔術を使って肉体の成長を緩やかに停滞させている。そのため、肉体年齢は20代後半ほどだが、実年齢は90歳ほど。 人の枠から外れた魔女に近い存在で、その証として頭からは角が生えている。穏やかな口調でしゃべる優しい性格。生徒達と接する時は若干キャラクターを作っているところがあり、戦闘を行う際には顔付きが険しいものとなる。80年以上前にメイプリーフ・ラグ・ネクロシスに弟子入りしているが、その後メイプリーフとは決別。その際にメイプリーフの意志を継ぐ事を決意しており、彼女と再会する事を目標に不老不死の力を使って延命を試みている。 のちにメイプリーフと再会したあとに、彼女の魂を死霊術でつなぎ止めている。

ネーベル・ミストラル (ねーべるみすとらる)

ミストラル魔術薬剤店の店主を務めている女性。青髪のロングヘアで、頭の上に王冠の形をしたティアラを付けている。巨乳でプロポーションが非常にいい。かわいいものが大好きで、店のアルバイトを募集する際にも「かわいい女の子」を募集条件に記載している。その昔、リンリの父親に恋心を抱いていた事から、リンリの事が大好き。リンリと二人きりの時には関係を迫った事もある。 またコスプレ趣味もあり、一人でこっそりと楽しんでいる。コスプレしている事がソレイユにバレてからは、ソレイユといっしょにコスプレをして夜の街を散歩している。魔術の先にある魔法の領域に近づいたといわれている指折りの魔術師で、トネリコの切り札である事から「青霧の魔女」の名で呼ばれている。

メイプリーフ・ラグ・ネクロシス (めいぷりーふらぐねくろしす)

かつてトネリコの街で暮らしていた「黒滅の魔女」と呼ばれる死霊術師。現在はトネリコの街を裏切った罪で行方を眩ませている。ピンク色の髪をロングヘアにしている。穏やかな性格ながら、少々だらしないところがある。トネリコの街で暮らしていた頃に、幼いダスク・メメントを弟子にしていた。死霊術師である自分を師事したために、ダスクが周囲から煙たがられる事に心を痛め、死霊術師がみんなから祝福されるよう死者蘇生の開発を目指していた。 しかし、死者蘇生の開発を行うにあたって必要な魔女の遺産の貸与をトネリコに申請したところ却下され、これを理由にトネリコを裏切る事を決意。アーキテクト・アーティファクトと戦った結果、アーキテクトによって滅ぼされている。 その後、死霊術を使用して魂を現世につなぎとめており、ソレイユを自らの身体にしようとした。しかし、リンリによって企みを阻止され、そのあとはダスクといっしょに暮らしている。

アーキテクト・アーティファクト (あーきてくとあーてぃふぁくと)

雑貨屋の店主を務めている女性で、「赤砦の魔女」という異名で呼ばれる凄腕の魔術師。ピンク色のロングヘアで、眼鏡をかけた知的な外見をしている。その正体はかつて魔法が存在した時代から生きている魔女の一人で、数々の魔女の遺産を生み出した。メイプリーフ・ラグ・ネクロシスとは旧知の間柄で、かつて街を裏切ったメイプリーフと戦っている。 その際には三日三晩続く戦闘になり、その死闘の果てにメイプリーフを滅ぼした。その後、80年の月日が経ってから霊体となったメイプリーフと再会する。その際にはメイプリーフと雑談しつつ、彼女に対して警告を行っている。

セレニ

ソレイユの妹で、身体が弱くて病気がち。そう長くは生きられないと言われている事もあってか「くたばる」が口癖。また笑う事も少なく、後ろ向きな考え方をしている。魔術学府で魔術の勉強をしているソレイユの事を心配している。その後、死霊術師として成長を遂げたソレイユによって、体調管理と治療の刻印魔術を施されており、へその下など身体中に刻印をつけている。 それで身体機能が強化され、病気がちな身体も快復している。

ゴース子 (ごーすこ)

ソレイユによって召喚された精霊魂。魂魄の形をしており、丸目で口がある。ソレイユによって新たに血の貸与が行われてからは、しゃべれるようになった。また嚙みつき癖があり、口も少々悪い。マスターであるソレイユの事をアホだと罵る事が多く、見下している。一方で、トア・メメントには非常に懐いており、彼女に気に入られるためにネーベル・ミストラルの力を借りて一時的ながら人間の姿を手に入れている。 その際はソレイユの記憶をたどって、セレニの容姿をベースとしている。人間の姿の時にはトアといっしょに街に出かけ、彼女と親交を深めている。ソレイユを馬鹿にする一方で敬意も払っており、彼女がメイプリーフ・ラグ・ネクロシスに身体を乗っ取られた際には、ソレイユの身体からメイプリーフを引き剝がす手助けをした。

タブーバード

開拓地の原生生物で、召喚円の玄室で蘇芳倉子により召喚された小鳥。身体にバツ印が付いている。人の心を読み取って、的確に嫌な事を言う性質を持つ。倉子に召喚された際には、彼女の世話好きを他人に依存していると見抜き、彼女を激昂させている。

場所

召喚円の玄室

魔術学府の地下深くにある特別講堂で、魔術学府が保持する最大級の魔女の遺産「召喚円」が保存してある。ここには起動者の魔力に応じて開拓地の原生生物を召喚する機能があり、召喚術の講義に使用されている。リンリの講義でも使われており、その際はタブーバードや開拓地の捕食植物、上位存在などの召喚に成功した。なお、召喚には召喚者の身体から出た対価を必要とする。

その他キーワード

魔女の遺産 (うぃっちあーてぃふぁくと)

開拓地にかつて存在した魔法の力をあやつる魔女が、魔法の力を用いて生み出した不思議な道具の総称。魔術では、再現の難しい機能などが備わっている事が多い。開拓地から発掘された場合は、貴重品としてトネリコの街の管理下に置かれる事となる。一部解析済みの魔女の遺産は、個人で買い取る事も可能で、トネリコの街はこの発掘により賑わっている。

魔術 (まじゅつ)

かつての魔女達が持っていた魔法に少しでも近づくために編み出された技術で、大きく分けて音響魔術と刻印魔術が存在している。音響魔術は声のみでの発動を可能としているが、音の届く範囲内の短い時間でしか効力を発揮する事ができない。一方、刻印魔術は構成陣を用意するために時間がかかるものの、構成陣が消えない限り半永久的に効力を継続させる事ができる。 よって、音響魔術は主に戦闘面などでの素早い発動を必要としている者向け、刻印魔術は戦闘以外の転用が主な研究者向けの魔術とされている。ちなみに音響魔術の場合は、音が出せるのであれば音の内容にはこだわらない。ただし多くの場合、術者は一定の呪文を決めておくのが一般的とされており、武器の名前や花の名前など人によって呪文はさまざま。

死霊術師 (ねくろまんさー)

魔術師の中でも特に異端とされている魔術師で、ソレイユやダスク・メメント、メイプリーフ・ラグ・ネクロシスなどが、それに該当する。死者の魂などを呼び出して命なき躯を使役する禁忌の魔術を扱う事から、畏怖を込めて「死霊術師」と呼ばれている。その極致には治療と蘇生があるとされており、死者蘇生が死霊術師の悲願とされている。 また、その派生として召喚術も行う事が可能で、精霊や魂の召喚なども得意としている。ただし禁忌の魔術を扱う事から、心ない人達から嫌悪される事もしばしば。

トアのうさみみ

うさみみの付いたカチューシャで、装備者の魔力および声量を増幅する事のできる魔女の遺産。声量の小さなトア・メメントが音響魔術を使う際の補助として使用している。これによって魔力に恵まれたトアの放つ攻撃魔術は必殺の威力となっている。もともとはダスク・メメントからトアに譲渡されており、トアが成長したあとは彼女の生徒達に譲渡されている。

倉子号 (くらこごう)

蘇芳倉子謹製の空飛ぶモップで、魔術によって飛行できる。重量緩和の刻印魔術を施す事により、人を乗せて宙に浮く事が可能で、その最大積載量はおよそ100キロ。モップの先から放つの事のできる攻撃魔術を推進力としている。ただし、落下防止の力場生成などの安全を保障する機能は何も付いておらず、運動神経のいいリンリにしか乗りこなす事ができない。

星の牙 (ほしのきば)

伝説の騎士リコリスの愛剣。かつては長剣だったが、戦いで破損したあとに短剣として打ち直されている。また、伝説の騎士の魂が込められており、剣を鞘から抜いた場合は自然と剣を構えるポーズを取ってしまう。その事から魔女の遺産ではないかと考えられていた。その真偽を確かめるために、ソレイユによって魂を召喚された結果、ソレイユの身体に魂が入り込んでしまう。 その後、リコリスの事や自身の事を伝えたのちに、ソレイユに身体を返還。魔女の遺産ではないと判明してからは、リンリに譲渡されている。リンリは星の牙を武器として使用する以外にも、包丁として利用している。武器としての切れ味は鋭く、メイプリーフ・ラグ・ネクロシスの放った攻撃魔術を斬り払う事も可能。

空煌く巨連星 (すたーれいん)

東雲茜子によって開発された攻撃魔術の一種。ただし、殺傷力がほとんどなく、巨大な光と爆発を巻き起こす効果を持つ。茜子はこの空煌く巨連星を夜の空に打ち上げる事により花火の代わりとして、ミヤ・エンダイブに魔術は人を傷つけるだけのものではない事を証明した。その後、リンリもこの魔術を、メイプリーフ・ラグ・ネクロシスに対する目くらましとして使っている。

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