ゆきのいろ

ゆきのいろ

日本画家の大家である老人に、画家としての才能を見出された若い女性が、とまどいながらも「自分の色は何色か」を模索しながら、絵を描くことと向き合っていく心温まるヒューマンドラマ。

正式名称
ゆきのいろ
ふりがな
ゆきのいろ
作者
ジャンル
職人・芸術家
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概要・あらすじ

絵画展に行った青木ゆきは、特選の絵を見てつい「なんかパッとしない」と口に出してしまう。隣にいた老人も同調するが、突然その老人が倒れてしまったため、ゆきは自分の部屋に連れて行き、介抱する。その老人は、日本画の大家である本田源太郎だった。後日、本田はゆきが風俗嬢として働くファッションヘルスまでやって来て「絵のモデルになってほしい」と願い出る。

ゆきはモデルになることを了承したが、「完成するまで店に通う」と言っていた本田は、いつしか姿を見せなくなってしまう。それからしばらくして、大神明という男が現れ、本田に頼まれたからと、彼が入院する病院にゆきを連れて行く。やがて本田の素性と、大神とのただならぬ関係性を知ってしまったゆきは、本田を自分の故郷である北海道へと連れて逃げるのだった。

登場人物・キャラクター

青木 ゆき (あおき ゆき)

北海道出身の若い女性。お人好しで正直な性格。幼なじみの男性と東京に出て来たが、お金を持ち逃げされ、風俗で働くことになってしまう。源氏名は「さゆり」。ウブなため、風俗嬢としてはまともに働いていない。絵画展で知り合った日本画の大家である本田源太郎に、絵の才能を見出される。

本田 源太郎 (ほんだ げんたろう)

日本画壇の中心的存在である老画家の男性。消息を絶って10年後、絵画展で青木ゆきと知り合う。病気に侵されているのだが、自分の初恋の人に似ているゆきを見て創作意欲が甦る。ゆきとの交流の中で、彼女の絵の才能を見出し、ゆきが自発的に画家を目指すよう尽力する。

大神 明 (おおがみ あきら)

本田源太郎の弟子で、今では日本画壇の若手№1といわれている青年。10年前に自分を公の場でこきおろし、画壇を去った本田を逆恨みしている。実は本田とはこの件以外にも、深い因縁がある。

青木 (あおき)

青木ゆきと青木勇次の父親。北海道でニシンの加工工場を営んでいる。実はゆきとは血が繋がっていない。勇次の命の恩人の娘であるゆきを大切に育ててきたが、それがゆきを縛っていることに気づいていない。ゆきの幸せ捜しの手助けをしてあげたらどうか、と本田源太郎に言われ、考え方を改める。

ゆきの母 (ゆきのはは)

青木ゆきと青木勇次の母親。青木が営むニシンの加工工場を手伝っている。実はゆきとは血が繋がっていない。成人式の着物を予約したりとゆきを大事にしており、故郷に帰って来てほしいと思っているが、絵描きをやりたい、というゆきの気持ちを知って応援する。

青木 勇次 (あおき ゆうじ)

青木ゆきの兄だが、血は繋がっていない。幼い頃から健気だったゆきが、両親の犠牲になって家に縛り付けられないよう、実家を出て自由に生きてほしいと願っている。本田源太郎からゆきに絵の才能があると聞き、両親を説得する妹思いな青年。

田中 (たなか)

中学校で美術教師を務める中年男性。青木ゆきの中学時代の担任教師。生徒に友達のように接するフレンドリーで明るい先生で、かつての生徒たちには未だに慕われている。妻が出て行ってしまったため落ち込んでおり、絵も教師も辞めようかと思い悩んでいる。

古棚 (ふるだな)

青木ゆきが通うようになった札幌の美術学校の生徒。芸大志望4浪目の青年。技術は一流で、「本物の芸術」を目指しており、妥協は許さない性格。人の心をとらえる何かが足りないと教師に指摘され、悶々としている時、下手だが味のある絵を描くゆきに興味を持つ。

似顔絵書き (にがおえかき)

街角で似顔絵書きをしている中年男性。似顔絵の書き方を学びたいと、青木ゆきにまとわりつかれて迷惑していたが、内心ではゆきの描いた絵を気に入っている。本田源太郎のファンであり、本田が倒れて危篤という情報をゆきに伝える。

坂本 大助 (さかもと だいすけ)

北海新聞帯広支局に勤める若い男性新聞記者。本田源太郎の危篤記事を書いたことから青木ゆきと知り合う。老画家と風俗嬢のスクープを狙う野心家。しかし、文句を言いながらも、本田とゆきに協力を惜しまない、2人の良き理解者。

立花 あやめ (たちばな あやめ)

15年前に歌姫と言われていた女性演歌歌手。マネージャーが愛想をつかして辞めてしまい、たまたまそばにいた青木ゆきを、強引にマネージャーとして雇った。荒んでいた自分の心を見透かしたかのようなゆきの絵を破り捨てる、プライドの高い人物。

古我 (こが)

本田源太郎の古い友人の男性。本田の死後、まだ誰も見たことがない本田の絵を見せる、と坂本大助に連絡をよこす。青木ゆきが本田の本当の弟子だと分かるまで、絵を見せようとしなかった偏屈な老人。本田とは過去にある女性を巡って争った間柄。

おばあさん

スランプになった青木ゆきが、山奥の畑で出会った老婆。夫に先立たれ、息子たちは街へ出て行ったため、畑仕事をしながら1人で暮らしている。「人にはそれぞれ自分の居場所がある」と、自分の居場所で生きる幸せをゆきに気づかせる。

スタイナー

ニューヨークで画商をしている金髪の男性。世界的な画商で、青木ゆきの絵を気に入り契約する。商業的に成功する画風を優先させる営利的な人間で、ゆきが本当に描きたい絵の良さは理解できない。

お姉さん (おねえさん)

ファッションヘルスで働く若い女性。同僚の青木ゆきを居候させている。人を疑うことを知らず、田舎から出て来て男に金を持ち逃げされたゆきを心配している。口は悪いが、明るく面倒見がいい。

ヤス子 (やすこ)

青木ゆきの学生時代の同級生。実家の花屋を手伝っている恰幅のいい女性。仕切りたがりなところがあり、やや強引な性格。ゆきが連れて来た本田源太郎に、田中先生の還暦祝いの絵を描いてほしいと頼む。

清水 (しみず)

大神明の取り巻きの画商の男性。青木ゆきと北海道に行った本田源太郎を、大神と追っている最中にゆきの絵を見る機会があった。しかし、その才能にまったく気づかなかった。ゆきが成功してからは、ゆきに取り入ろうと必死になる。

佐藤 (さとう)

画商の男性。青木ゆきが日本画壇に認められて以降、マネージャー的存在となった。ゆきに商業的に成功する路線で絵を描かせようとする。入選すると莫大な富と名声が約束されるが、落選すると地獄を見ると言われる「ディオニッソス展」に、興味を示しているゆきを心配している。

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