あらすじ
第1巻
小さな男の子とその母親の二人連れが、冠綾子の冠時計店を訪れる。母親は、男の子が棚の上から落としてしまったことで壊れた、亡くなった祖父の形見である腕時計の修理依頼しにやってきたのだ。修理を無事に成功させた綾子は、いずれは男の子がこの時計を譲り受けることを知り、そっと微笑むのだった。(第1話「いらっしゃいませ」。ほか、6エピソード収録)
登場人物・キャラクター
冠 綾子 (かんむり あやこ)
時計職人を生業としている若い女性。お人好しな性格をしている。冠時計店を経営しており、時計職人としての技術は一流で、師匠である一ノ倉瀬名から仕込まれた。しかし、時計以外のことに関してはからきしで、料理も苦手。隣人の笹倉雪枝と仲がいい。
笹倉 雪枝 (ささくら ゆきえ)
冠綾子の隣人にして友人の若い女性。時計以外のことには無頓着な綾子のことを心配して、ふだんから食べ物の差し入れなどをしている。笹倉雪枝が持っていた古い腕時計を修理してもらい、お礼にクラムチャウダーを御馳走したことがきっかけで綾子と親しくなった。
一ノ倉 瀬名 (いちのくら せな)
冠綾子の師匠にあたる時計職人の若い女性。冠時計店が現在の名前になる以前の店主を務めていた。放浪癖があり、綾子も一ノ倉瀬名の現在の居場所は把握していないが、今でも綾子のことを気にかけており、さりげなく彼女に仕事を振ったりしている。
古島 寧々 (ふるしま ねね)
冠時計店の常連客の少女。最初は母親の付き添いで冠時計店にやってきたが、その後は機械式時計に興味を持ち、自分から足を運ぶようになった。「鳴子」というボーイフレンドがおり、鳴子にプレゼントされた冠綾子謹製の時計を肌身離さず身につけている。
場所
冠時計店 (かんむりとけいてん)
冠綾子の経営する時計店。建物は3階建で屋根裏部屋付き。2階から上は居住スペースで、1階に店と工房がある。もともとの店名は「一ノ倉時計店」だったが、店主の一ノ倉瀬名が放浪癖をこじらせて帰ってこなかったため、綾子が店名を「冠時計店」にして店を引き継いだ。