シェアファミ!

シェアファミ!

各々の異なる事情から、シングルファーザーとして子供を育てている遠藤匠、吉井、甲斐直継が、育児をシェアするために一つ屋根の下で暮らし、奮闘する姿を描いたヒューマンドラマ。妻と別居するまで育児に非協力的だった匠の後悔、死別した亡き妻への思いを抱きながら生活している吉井、離婚により出世コースから外れてしまった直継など、大人のさまざまな事情も丁寧に描かれている。タイトルの「シェアファミ」とは、「シェアファミリー」の略。「Palcy」で2018年1月から配信の作品。

正式名称
シェアファミ!
ふりがな
しぇあふぁみ
作者
ジャンル
家族
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊5巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

双子の遠藤太郎遠藤花の父親である遠藤匠は、積極的に育児に手を貸そうとせず、ついに妻の遠藤明日美は育児ノイローゼに陥ってしまう。子供を連れて実家に帰るという明日美に対し、匠は意地で双子を引き取ると宣言して、そのまま別居することになる。しかし現実はそう甘くなく、匠は日々の生活に忙殺され、ぼんやりと将来に不安を覚え始める。そんな中、匠は二人の子供と夜遅くに商店街を散歩していると、吉井から声を掛けられる。お互いシングルファーザーとしての利害関係が一致したことで、二人は育児のシェアをすることになった。さらに同じくシングルファーザーの甲斐直継も加わり、どうせならいっしょに住んだ方が効率的だと、3家族での同居がスタートする。最初は小さな揉めごともあったものの、気軽に育児の相談ができる相手がいることに安心感を覚え、3家族は絆を深めていく。そんなある日、子供も大人もインフルエンザを患い、次々とダウンする非常事態に陥る。直継からの連絡を受けた実母の甲斐小百合が、3家族の住居に手伝いに訪れたものの、几帳面なうえにまじめな性格の小百合にみんなは困惑する。

第2巻

遠藤匠吉井甲斐直継は3家族で育児をシェアしながら、慌ただしいながらも楽しい生活を送っていた。そんな中、直継の元妻であるすみれが突然自宅を訪れ、甲斐春道を引き取りたいと言い出す。しかし3家族での共同生活の中で、楽しそうな表情を見せる春道を見たすみれは、引き取ることをあきらめる。そしてすみれは直継に対して、今後は戸籍上の家族ではなく一つのチームとして、力を合わせて春道を育てていこうと提案する。一方の匠は、別居中の妻、遠藤明日美に連絡をしてもなんの返信もないことに不安を募らせ、一人明日美の実家へと向かう。久しぶりに会った明日美は以前よりも極端に太り、さらにうつ病を発症していた。そして明日美は匠に、自分は遠藤太郎遠藤花の母親でいる自信がないと訴える。

第3巻

ある日、遠藤匠が五人の子供を近所の公園で遊ばせていたところ、不審者だと思われ警察に通報されてしまう。店を経営している吉井はともかく、地域とのつながりが薄いことが問題だと感じた匠と甲斐直継は、休日に開催される町内の一斉清掃に参加する。そこで、地域の人たちと交流を深めた二人は、次は保育園のママたちとも知り合いになろうと意気込む。宮田をはじめ保育園のママ友たちのおしゃべりに圧倒されつつも、匠、吉井、直継は今度開催される町内の祭りの運営委員を引き受ける。その中で性格の合わない直継と宮田は衝突を繰り返すも、最終的にはお互いのよいところを認め合い、良好な関係を築いていく。ある日の休日、直継はすみれと共に甲斐春道吉井果子吉井実を連れて映画に行き、匠は一人仕事へ向かう。遠藤太郎遠藤花を預かった吉井だったが、洗濯物を干しに庭に出たあいだにカギをかけられ、外に取り残されてしまう。偶然やって来た森川小椿のおかげで窮地を脱した吉井は、お礼に小椿を自宅へと招く。以前から吉井に好意を抱いていた小椿は、その場の勢いで告白するのだった。

登場人物・キャラクター

遠藤 匠 (えんどう たくみ)

派遣の介護士を務める男性。遠藤太郎と遠藤花の父親。双子の世話に疲れ果てた妻の遠藤明日美から、もっと育児に参加して欲しいとたびたび訴えられていたものの、自分の仕事が忙しいからと真剣に取り合わずにいた。耐え切れずに育児ノイローゼになった明日美が家を出て別居しようと言い出した際、意地で太郎と花を引き取り、一人で育てることを宣言する。しかし、一人で働きながらの双子の育児は困難を極め、将来に不安を覚えていたところ、偶然にも吉井と出会う。お互いに利害関係が一致したこともあり、2家族で育児のシェア生活を開始。のちに同じくシングルファーザーの甲斐直継も合流し、どうせならみんなで協力し合った方が効率的だと、3家族で同居することになる。明日美とはあくまで別居状態であり、離婚しているわけではない。明日美に対しては複雑な思いを抱えつつも、離婚には消極的な姿勢を見せる。

遠藤 太郎 (えんどう たろう)

遠藤匠の息子。年齢は1歳。遠藤花とは双子のきょうだいで、いっしょに保育園に通っている。花と瓜二つの顔立ちをしている。いたずら好きではないものの、物を壊したりと、トラブルメーカーぶりを遺憾なく発揮している。

遠藤 花 (えんどう はな)

遠藤匠の娘。年齢は1歳。遠藤太郎とは双子のきょうだいで、いっしょに保育園に通っている。太郎と瓜二つの顔立ちをしており、つねに髪の毛を花モチーフのピンで留めている。太郎よりもおしゃべりするようになったのが少しだけ早く、一生懸命に言葉で気持ちを伝えようとする。

遠藤 明日美 (えんどう あすみ)

遠藤太郎と遠藤花の母親で、遠藤匠の妻。双子の子育てに悩み、何度も匠に訴えていたものの聞き入れてもらえず、育児ノイローゼに陥る。匠と離婚して実家に戻ることを決意し、太郎と花を連れて行こうとしたが、匠の希望により二人を任せることになる。現在は匠と別居し、実家で父親といっしょに生活している。匠と暮らしていた時にはスマートな体型だったが、もともと太りやすいこともあり、別居をしてからはぽっちゃり体型となり、同時にうつ病も発症している。穏やかで素直な性格ながら、死んだ母親との確執から、自分を追い込んでしまう癖を持つ。匠とは正式に離婚はしていないが、自分がいなくてもなんとかなっているのであればいいと考えており、匠と暮らす意思はあまりない。

吉井 (よしい)

パン職人を生業とする男性。吉井果子と吉井実の父親。妻の吉井実果とは事故によって死別している。一軒家の1階をパン屋、2階を住居として使用している。なかなか遠藤太郎と遠藤花が泣き止まず、行くあてもなく商店街を散歩していた遠藤匠を目撃し、声を掛けたことで知り合う。お互いに利害が一致することもあり、匠と育児のシェア生活を開始する。のちに同じくシングルファーザーの甲斐直継も合流し、どうせなら3家族で協力し合った方が効率的だと、3家族で同居することになり、自宅を3家族の住まいとして提供する。大柄で筋肉質なことから、一見怖い人に見えるが、すぐに感動して涙を流す優しい性格の持ち主。また、口下手で接客も苦手ながら、果子と実のために頑張っている。未だに実果のことが忘れられず、寂しい思いをしている。

吉井 果子 (よしい かこ)

吉井と吉井実果の娘。実果とは死別している。弟の吉井実といっしょに保育園に通っている。同居している遠藤匠一家と、甲斐直継一家の子供の中では何かにつけてリーダー的な役割を担っているが、マイペースな性格のために脱線することが多い。お姫様やメイク道具、おままごとなどの女の子らしいおもちゃを好む。遠藤太郎と遠藤花の面倒を見ようとするお姉ちゃん気質。

吉井 実 (よしい みのる)

吉井と吉井実果の息子。実果とは死別している。姉の吉井果子といっしょに保育園に通っている。甲斐春道と非常に気が合い、いっしょに悪ふざけをしていることが多い。

吉井 実果 (よしい みか)

吉井の妻で、吉井果子と吉井実の母親。数年前に交通事故に遭い、亡くなる。吉井が自分の店を持つ前に勤務していたパン屋の同僚で、吉井実果自身もパン職人だった。独立を迷う吉井に突然逆プロポーズをし、交際もしないままに結婚した。非常に豪快かつ大胆な性格で、優しさ故に優柔不断になりがちな吉井の背中を押して元気づけていた。吉井からは「自分の人生を照らす光」だと心から愛されていた。

甲斐 直継 (かい なおつぐ)

有名企業に勤める会社員の男性。甲斐春道の父親。春道の母親のすみれとは離婚している。家のすぐ近くの公園で遊んでいた遠藤匠一家と吉井一家を春道が見て、楽しそうだと勝手に家を飛び出したことで、2家族と知り合う。2家族の育児のシェア生活に自分も加わりたいと話を切り出し、3家族で同居することになる。几帳面かつまじめな性格で、やや融通が利かないところがある。職場では高い能力を認められており、本来ならばエリートコースに乗っていたが、すみれと離婚して春道の親権を持ったことにより、コースからは外れることになる。出世していく同期たちの姿に心が揺れながらも、3家族で過ごすのんびりとした生活もいいものだと、前向きに考えている。

甲斐 春道 (かい はるみち)

甲斐直継とすみれの息子。保育園に通っている。すみれと離婚した直継に引き取られて二人で暮らしていた際に、近所の公園で見かけた遠藤匠一家、吉井一家の楽しそうな様子にひかれて家を飛び出したことで、直継が匠たちと出会うきっかけを作った。同居している3家族の子供の中では一番の年長者。吉井実と非常に気が合い、いっしょに悪ふざけをしていることが多い。すみれからは「春」と呼ばれている。

すみれ

甲斐直継の元妻で、甲斐春道の母親。歌手を生業にしており、全国各地で音楽活動を行なっている。共通の知人の結婚式で直継から一目ぼれをされ、結婚をしたのちに春道を出産する。穏やかな生活の中で育児だけに縛られず、歌手活動も積極的に続けていきたいという気持ちが強くなり、直継に親権を渡して離婚した。これは歌手活動と育児が両立できないと考えた末の行動であり、春道に愛情がないわけではない。姑の甲斐小百合とは折が合わずに苦労していた。

甲斐 小百合 (かい さゆり)

甲斐直継の母親。年齢は63歳。遠藤匠一家、吉井一家、そして直継と甲斐春道も次々とインフルエンザを患って倒れていく中、直継から連絡を受けて新幹線で3家族が住む家に手伝いにやって来た。直継と同じく几帳面かつまじめな性格の持ち主で、融通が利かないところがある。表には出さないものの、息子の直継のことがかわいくて仕方がない。一方で元妻のすみれのことは快く思っておらず、ずっと結婚を反対していた。

森川 小椿 (もりかわ こはる)

遠藤匠たちが住む街のスーパーに勤務している独身女性。年齢は33歳。家を勝手に抜け出して買い物にきていた吉井果子と吉井実を保護した縁で、吉井と知り合う。大柄でがっしりとした筋肉質な体型ながら、性格は穏やかで天然気味の癒し系タイプ。最初は理想のお父さん像として吉井を見ていたが、シングルファーザーであることを知り、吉井に恋心を抱くようになる。宮田は学生時代の後輩で、同じソフトボール部に所属していた。宮田からは「森パイセン」と呼ばれている。

宮田 (みやた)

保育園に通う娘のひなたと、小学生の息子を持つ母親。娘が遠藤匠の子供と同じ保育園に通っている縁で、遠藤一家、吉井一家、甲斐直継一家と知り合う。また、匠たちと同じ町内に住んでいる。子供はできるだけルールで縛ることなく、のびのびと育てたいと考えている。宮田自身もおおらかで裏表のない明るい性格で、時にはデリカシーに欠けた一面をのぞかせることもある。まじめで融通の利かない直継とは何かと意見が対立する関係ながら、宮田自身はまったく気にせず、むしろ自ら直継にかかわろうとしている。森川小椿は学生時代の先輩で、同じソフトボール部に所属していた。保育園の関係者からは娘の名前にちなんで、「ひなちゃんママ」と呼ばれている。

ひなた

宮田の娘。遠藤匠の子供と同じ保育園に通っている。子供はのびのびと育てる方針の母親の影響を受け、非常にやんちゃな性格をしている。甲斐春道と気が合い、いっしょに遊ぶようになる。周囲からは「ひなちゃん」と呼ばれている。

岩井 (いわい)

甲斐直継と同じ会社に勤務している同僚の男性。直継とは同期なこともあり、入社してから親しくしている。仕事ができて周囲からも認められている直継を心から尊敬しており、直継が離婚して子供を引き取ったことでエリートコースを外れてしまってからも、自分より仕事のできる奴だと信頼している。

坂野 (さかの)

遠藤匠たちが暮らす町内で、自治会長を務める男性。匠たちとは、町内の一斉清掃に参加したことで顔見知りとなる。町内では自らの役割から「組長」と呼ばれているが、坂野が強面ということもあり、知らない人たちからはヤクザの「組長」なのかと誤解されることもある。しかし性格は穏やかにして実直で、匠たちにも好意的に接している。最近離婚して実家に戻ってきた娘がいる。

書誌情報

シェアファミ! 5巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2019-11-13発行、 978-4065176603)

第2巻

(2019-12-13発行、 978-4065176627)

第3巻

(2020-05-13発行、 978-4065196380)

第4巻

(2020-12-11発行、 978-4065217986)

第5巻

(2021-05-13発行、 978-4065233641)

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