るみちゃんの恋鰹

るみちゃんの恋鰹

花も恥じらう高校2年生の女子・郁野るみの通っている女子校が、突如としてとなりの男子校と合併した。誰もが浮かれる共学生活を全力で駆け抜ける、るみの摩訶不思議でパワフルな活躍を描いた不条理系ギャグコメディ。「週刊ビッグコミックスピリッツ」2015年第20号から2016年第47号にかけて掲載の作品。

正式名称
るみちゃんの恋鰹
ふりがな
るみちゃんのこいがつお
作者
ジャンル
不条理・シュール
関連商品
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あらすじ

私立花ヶ岡女子高等学院と、そのとなりにある男子校の松田高が合併することになった。合併初日に男女生徒の誰もが浮かれる中、遅刻してきた女子高校生の郁野るみは、学ランを着込んだバンカラな恰好で教室に姿を現し、「合併や!」と激を飛ばす。教師に厳しく注意されたるみは、やむなくバンカラの恰好をやめるが、その後の席替えのやり方を決める話し合いで奇抜なアイデアを次々と提案。生徒たちが席を奪い合い、グラウンドも含めた敷地内全域に席を配置し、特製の蜜を机に塗って一番虫が集まっている席を勝ちとするなど、るみのユニークな席替えアイデアは尽きるところを知らない。最終的に席を縦に積むという案を屈託なく提案するるみに対し、ほかの生徒がドン引きする中、一人の男子生徒がるみの案に賛成する。しかしその途端、るみは自分が提案したにもかかわらず、突然強い反対の意を示すのだった。(第1話「凶学の幕開け」)

ラーメン通の男性・わたなべは、街中で見つけた本格ラーメンの店「鉄のごとし」の暖簾をくぐる。その店はるみが店員として働いており、やたらとこだわりの強いラーメン屋だった。メニューが存在しない、「呼吸禁止」の謎のルール、大将は創業以来ラーメンを一度も作ったことがないなど、こだわりが強すぎる店に困惑しきりのわたなべだったが、紆余曲折の末、得体の知れないラーメンを提供される。そのままラーメンを食べることはラーメン通の名が廃ると考えたわたなべは、思い切って麵を「このやろめ」にしてもらうことを依頼。しかし、「このやろメーン」と叫ぶるみから、顔面に麵を叩きつけられてしまう。(第24話「みんな大好き! ラーメン!!」)

五月病でまったくないやる気のないるみは、帰宅中に友人・吉田くみこの家に立ち寄り、そこでくみこの兄・吉田あきらと出会う。役者として成功を夢見るあきらは、願掛けの鯉のぼりを立てるため、くみこに鯉のぼりの購入代金を無心する。そんなあきらの必死な姿にるみは協力を約束し、くみこを説得して彼女の貯金で鯉のぼりを購入する。そして、念願の鯉のぼりを立てることに成功するものの、いつまで経っても鯉のぼりがなびくことはなかった。失望したあきらは鯉のぼりを地中に埋めて供養し、役者の道をあきらめるが、その直後にミュージシャンを目指すことを宣言するのだった。(第46話「昇れ! 俺の夢!!」)

登場人物・キャラクター

郁野 るみ (いくの るみ)

私立花ヶ岡女子高等学院に通う2年生の女子。黒髪を胸元まで伸ばしている。一見するとおしとやかで少女漫画に出てきそうな美少女だが、感性のみで生きており、あちこちで摩訶不思議な奇行を繰り返している筋金入りの変人。発想が並外れて奇抜で、席替えの際に椅子を縦積みにすることを提案したり、学校と結婚しようとしたり、鍋パーティーの代わりにウンコパーティーを企画したりするなど、その言動は誰にも理解できない。課外活動にも熱心で、こだわりの強いラーメン店で働いていたり、プロレスラーのセコンドを務めていたりする。これまでの人生で人に感謝したことは一度もないと断言するほど、唯我独尊な人物でもある。

吉田 くみこ (よしだ くみこ)

私立花ヶ岡女子高等学院に通う2年生の女子。茶髪のショートヘアで、優しくておとなしい性格をしている。郁野るみの親友で、日々エキセントリックな言動を繰り返す彼女のツッコミ役を担っている。当初こそツッコミも控えめだったが、慣れとともに徐々にツッコミのスキルを向上させていく。大学生の中村優と付き合っている。

なほちゃん

私立花ヶ岡女子高等学院に通う2年生の女子。ショートヘアで、眼鏡をかけている。言動が全体的にふわふわしている不思議ちゃん。クラスメートの郁野るみとは何かと波長が合い、二人のあいだでしか通じない意味不明なやりとりを繰り返している。

中村 優

吉田くみこの彼氏で、大学生の青年。茶髪で長身のイケメン。優しくて頼りがいのある性格をしており、くみこの友人・山内早人もかわいがっていた。一見するとわずかなスキもない常識人だが、郁野るみの気を引くために極端な奇行に走る早人を黙って見守り続けるなど、少しずれたところがある。

山内 早人 (やまうち はやと)

私立花ヶ岡女子高等学院のとなりにある松田高に通う2年生の男子。爽やかな風貌で穏やかな性格の常識人。母校が私立花ヶ岡女子高等学院と合併するのに伴い、郁野るみのクラスメートとなる。合併当初からるみに思いを寄せており、勉強や課外活動で彼女にいいところを見せようと奮闘している。しかし、るみの感性が常人とあまりにもかけ離れていることから、なかなかうまくいかずにいる。のちに愚直なアプローチが身を結び、徐々にるみの心をつかんでいく。

あり王

あり界の王様で、丸い体に二本の角が生えた謎の生命体。いつもニコニコと笑顔を浮かべ、語尾に「~やん」を付けて話す。かわいい容姿に似合わず、思ったことはズバズバと言う毒舌家。大地を掘って進むのを得意としている。郁野るみの知り合いで、時折いっしょに遊んでいる。

わたなべ

眼鏡をかけているラーメン通の男性。街中で見かけたこだわりのラーメン屋に入った際、店員の郁野るみと出会った。異様なこだわりを持ち、見たこともないラーメンに困惑しつつも、その味の真髄を見極めようと必死に食す。

高田 修 (たかだ おさむ)

私立花ヶ岡女子高等学院の教師を務める男性。生徒指導も担当している。短髪でヒゲが濃く、眼鏡をかけている。生真面目な性格で校則には厳しいが、生徒思いの熱血漢。学校内で奇行に走る郁野るみをいつも厳しく指導しており、彼女の行き過ぎた暴走を未然に防いでいる功労者でもある。

富田 けえ子

私立花ヶ岡女子高等学院の教師を務める女性。パーマをかけている。直情的な性格で、非常に口が悪い。性欲中心の生活を送っており、生徒の前であっても平然とエグイ下ネタを披露する。郁野るみのよき理解者でもある。高田修に思いを寄せているが、彼の前では素直になれない。

しず子

私立花ヶ岡女子高等学院に通う2年生の女子。黒髪のショートヘアで、眼鏡をかけている。呼吸していることを悟られるのが恥ずかしいと思うほどのシャイガールで、学校内でも目立たないように心がけている。しかし、シャイな性格のあまり、海水浴場に全身にタオルを巻いた姿でやって来るなど、万事において極端な行動に走りがち。

吉田 あきら

吉田くみこの兄で、役者志望の青年。年齢は26歳。つねにヒマを持て余しており、目標を達成するための努力は苦手だが、願掛けなどの神頼みに向ける情熱は人一倍。役者として成功するように、くみこのお金で鯉のぼりを購入して、庭に立てて願掛けしようとしていた。のちに役者はあきらめ、ミュージシャンになることを決意する。

とおる

私立花ヶ岡女子高等学院のとなりにある松田高に通う2年生の男子。小太りの体型で、度の強い眼鏡をかけている。母校が私立花ヶ岡女子高等学院と合併するのに伴い、郁野るみのクラスメートとなった。休み時間中も熱心に勉強に取り組んでいるガリ勉で、東大を目指している。勉強もせずに破天荒な言動を繰り返するみを見下していたが、彼女の出題した問題が解けなかったことがきっかけとなり、るみに惹かれていく。また、なんでもない言葉をすぐに性的にとらえてしまうなど、ムッツリスケベでもある。

小宮 りゅうじ (こみや りゅうじ)

私立花ヶ岡女子高等学院のとなりにある松田高に通う2年生の男子。茶髪にパーマをかけ、チャラい恰好をしている。母校が私立花ヶ岡女子高等学院と合併するのに伴い、郁野るみのクラスメートとなった。遅刻の常習犯で、つねにたばこやメリケンサックを持ち歩いている不良。ピリピリした雰囲気を漂わせており、合併当初は誰も寄せ付けない威圧感を放っていたが、るみやあり王と出会ったことで、徐々に本来の優しい性格を表すようになる。

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