概要・あらすじ
蓮見高校の3年C組を受け持つことになった不破エイジ。彼が担任する私立文系コースは、ほとんど2年生から持ち上がりの生徒が多いなか、香坂愛だけが理系から進路変更のために1人編入してきた。親に見捨てられ、友達ともうまくいかない愛は、矢崎トオルと知り合い、彼が店長をしている女性専用のマンガ喫茶に出入りするようになる。
だがそこは店内のマジックミラー越しに男性客が待ち受ける、売買春の温床と呼ばれる場所だった。
登場人物・キャラクター
不破 エイジ (ふわ えいじ)
蓮見高校3年C組の担任で英語教師。教師という職業の難しさに戸惑いながらも、生徒が起こす問題に全力でぶつかっていく熱血漢。乾由希子と付き合っているが、仕事に気を取られ過ぎて結婚には至っていない。ちなみに由希子とは、同じアパートの隣同士。
乾 由希子 (いぬい ゆきこ)
蓮見高校の教師で学年主任。過去に矢崎トオルを傷つけてしまい自責の念を引きずっていたが、不破エイジが矢崎と関わるようになったことで、気持ちが落ち着いてきた。シングルマザーで一人息子の乾卓也がいる。エイジを愛していて、彼のことをいつも心配している。
乾 卓也 (いぬい たくや)
乾由希子の一人息子。小学校1年生で野球チームに所属。不破エイジによく懐いていて、「エイジ」と呼び捨てにしているほど。普段は明るく子供らしいが、観察力に優れ、大人の表情をよく見ている。まだまだ甘えん坊なところがある。
大島校長 (おおしまこうちょう)
元大手商社の営業部長。充実した日々を送っていたが、ふとした時に虚しさを感じ、人を教育することに関わりたいと考えるようになり、蓮見高校の校長に転職した。不破エイジを教師として採用した人物。学生時代は柔道の強化選手だったこともあり、エイジを投げ飛ばすこともある。3人の息子がいるが、次男は行方知れず。
梶井先生 (かじいせんせい)
蓮見高校の化学の教師。不破エイジと親しくしている同僚で、たまに生徒の情報を教えてくれる。職員室の雰囲気になじめずに化学準備室で過ごすことが多かったが、最近は距離を取りつつも職員室にいることが増えてきた。
香坂 愛 (こうさか あい)
蓮見高校3年C組の生徒。元々理系志望だったが、進路を文系に変更して不破エイジのクラスに編入してきた。兄である邦ちゃんとの関係が上手くいかず、両親にも見放され、よく家出をする。性格はしっかりしているが、まだまだ考えの甘いところがある。
矢崎 トオル (やざき とおる)
元蓮見高校の生徒。第一希望の高校に落ちて失意のなか、蓮見高校に入学してきた。親に見放されリストカットを繰り返すが、ただ1人心配してくれた教師の乾由希子を当時慕っていた。根は優しいが現在は裏社会に半分足を踏み入れている。マンガ喫茶の店長を務めているが、その実態は違法ギリギリの店舗である。
邦ちゃん (くにちゃん)
香坂愛の兄。オカマバーでバイトをしている。常連客である梶井先生と仲がいい。妹思いで愛を猫可愛がりしているが、どこかピントはずれで、その関係はいつも空回りしている。
ルカ
矢崎トオルの恋人。明るく前向きな性格で姉御肌。人生に絶望し、自殺しようとビルの上にたたずんでいた矢崎に声を掛けて救った過去がある。矢崎の心の闇を理解していて、自分が側に寄り添う覚悟を決めている。
市川 比呂志 (いちかわ ひろし)
不破エイジの従兄。両足が不自由で車椅子で生活している。優しく穏やかな性格で、蓮見高校のカウンセラーを務めている。元蓮見高校の生徒で、カウンセリングの常連であった佐藤唯と結婚の約束をし、同棲している。恋愛に不器用で気持ちをさらけ出せず、唯を悩ませている。
佐藤 唯 (さとう ゆい)
元蓮見高校の生徒で、卒業後は看護学校に通っている。高校時代にお世話になったカウンセラーの市川比呂志と結婚を前提に同棲している。素直で一途に市川を愛しているが、「同棲」というより「同居」でしかない今の自分たちの関係に悩みを持ち、不破エイジに相談する。
永岡 圭太 (ながおか けいた)
蓮見高校3年C組の生徒。母親が離婚して家を出て行き、有名商社の支店長補佐である父親とも折り合いが悪く1人で暮らしている。中学時代までは成績優秀だったが高校に入ってから落ちこぼれ、劣等感を持つようになる。夢も希望もなく現実逃避のため大麻に手を出し、事件を引き起こす。
安住 光太郎 (あずみ こうたろう)
蓮見高校にやってきた教育実習生。3年生の英語を担当し、指導教師の不破エイジが行う英語のみの授業に感動する。熱く純朴な性格で教職に誇りを持ち、何事にも一生懸命。原田雄一に永岡圭太のことを相談され、自分で解決しようとして事件に巻き込まれてしまう。
原田 雄一 (はらだ ゆういち)
蓮見高校3年C組の生徒で、永岡圭太とは1年生の時から同じクラス。圭太から大麻を貰い、動揺するまま安住光太郎に相談して事件に巻き込まれる。自分では圭太とは軽口を叩き合える親友だと思っているが、少し上から目線で自分本意なところがある。
橋爪 (はしづめ)
生活安全課の刑事。乾由希子の元夫で乾卓也の父親。以前のトラブルの影響で不破エイジに警戒されていたが、蓮見高の生徒である永岡圭太の名前が麻薬リストに上がっているのをエイジに教え、解決の道を探らせた。頭に血がのぼったエイジの怒りを鎮める役回りで、冷静沈着。
不破 哲治 (ふわ てつじ)
不破エイジの父親。エイジが小さな頃に、経営していた会社が倒産。その頃からエイジの母親に暴力を振るい、家庭を崩壊させてしまう。エイジが高校の時に家を出ていってから行方不明となりホームレスとして暮らしていたが、そこで事件を起こし逃げてきた永岡圭太と偶然に出会う。