概要・あらすじ
治ヶ浦高校の新任教師・拝一穴は、赴任の挨拶でいきなり壇上で土下座を行い、生徒たちに衝撃を与える。以後、問題行動を起こす生徒たちに対し、拝は懇切丁寧に言葉を重ね、土下座という行為によって彼らの悩みを解きほぐしていく。拝に影響された数名の生徒たちはクリスマスの日に校庭に集まり、サンタクロースがやって来て、校庭から飛び立ったように見えるミステリーサークルを制作して、他の生徒たちをあっと言わせるのだった。
登場人物・キャラクター
拝 一穴 (おがみ いっけつ)
治ヶ浦高校の若い男性教師。担当は現代国語。代々続く、土下座を生業とする家系の生まれであるが、その詳細は不明。性にまつわることを堂々と公言したりと、教師としての常識を逸脱した言動が多いが、不思議なカリスマ性があり、多くの生徒たちから慕われている。
寒村 東吉 (さむら とうきち)
治ヶ浦高校3年の男子生徒。自分は容姿も頭も悪いため、女にモテない、幸せになれないと悩んでおり、実際に周囲からも馬鹿にされている。拝一穴は寒村東吉のために自分ができることは祈ることだけだと、目の前で土下座をしようとしたが、寒村に全力で止められた。以後心を入れ替え、努力して生きることを決意する。
宮内 さくら (みやうち さくら)
治ヶ浦高校の女子生徒。現役の女子高生でありながら、売れっ子のスーパーモデルとして活躍している。気の強い性格で、赴任して来たばかりの拝一穴に喰ってかかったが、逆に言い負かされて以降、拝を教師として慕うようになる。クリスマスに校庭にミステリーサークルを作る計画に参加した1人。
峰 明日香 (みね あすか)
治ヶ浦高校の女子生徒。毎朝、正確に1分間だけ遅刻してくることから、生徒指導部から問題視されている。そのことに対して叱責ではなく、毎朝同じ時間に学校へ来ることへの感謝として土下座をした拝一穴に心打たれ、以後早起きして学校に通うようになる。クリスマスに校庭にミステリーサークルを作る計画に参加した1人。
益田 (ますだ)
治ヶ浦高校3年C組の男子生徒。格別不良っぽくはないが、こっそり自宅で「ラッキーストライク」を吸っており、匂い消しのガムを噛んで登校している。しかし拝一穴に土下座されて以後、煙草をすっぱりとやめる。クリスマスに校庭にミステリーサークルを作る計画に参加した1人。
足立 和美 (あだち かずみ)
治ヶ浦高校の拝一穴のクラスの女子生徒。不登校児で、荒れ果てた自室に引きこもっていたが、自宅に訪問に来た拝の土下座に涙するほど感動し、以降は学校に通うようになる。画家のクリスチャン・ラッセンの大ファン。
須山 (すやま)
治ヶ浦高校の男子生徒。路上で托鉢をしていた僧侶・木村空観をからかい、いろいろな悪戯を仕掛けたが、偶然それを見かけた拝一穴に説教され、謝罪する。のちに、クリスマスに校庭にミステリーサークルを作る計画の中心人物となり、拝に影響された数名の生徒たちを誘い、計画を実行に移す。
木村 空観 (きむら くうかん)
厳しい修行を修め、高い地位にある老僧。たまたま路上で托鉢をしている際に拝一穴と遭遇した。治ヶ浦高校の不良生徒にからかわれ、1枚だけが本物であとは紙切れのニセ札束を渡されるが、不良生徒たちは拝に諭され、拝とともに土下座して謝罪。それを見た木村空観は、本物である1枚の1万円札に感謝を捧げてにっこり笑い、拝を誘って酒を飲みに行った。
園 正義 (その まさよし)
拝一穴の教育実習生時代の教え子。現在はおむつメーカーの社長を務めている26歳の男性。小学生の時に人前で失禁してしまったことがあり、以後「尿ボーイ」と呼ばれ、いじめられていた。拝の「お前にしか歩めない人生を歩め」という言葉と、彼の土下座に感銘を受け、以来おむつの開発に人生を捧げている。
集団・組織
中村屋 (なかむらや)
東京の日本橋にある老舗の呉服屋で、洋装も手掛けている。拝家とは2世紀にわたる商売上の付き合いがあり、拝一穴もこの店でスーツを仕立てている。拝のスーツは、土下座した時のしわの美しさが非常に丁寧に考えられている。その仕立ての良さは、この店の技術の賜物でもある。
その他キーワード
土下座 (どげざ)
拝一穴がたびたび行っている、膝を折り頭を地面につけて礼をする行為。拝は場面に応じて「座礼」という呼び方をすることもある。拝の行う土下座は、ごく一般的な意味の謝罪として行われることもあるが、基本的には「祈りの所作」であり、何がしか大いなるものに感謝を捧げたり、あるいは他人の心を背中から押すための振る舞いである。
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