あらすじ
第1巻
サンクトペテルブルクで暮らすロシア人青年のマルコ・ロウノワヴィチ・ウルサズカは、恋人と世界旅行に出掛けようとした直前、突如として惑星モスリに転移される。その惑星の異星人は10年前にマルコが会ったことのある局長と呼ばれる人物で、マルコを果ての管理者の局員番号8747028に任命し、10年間の任期を与える。惑星モスリにいるナナギやフィッツィーら、果ての管理者の先輩たちはマルコを歓迎するが、マルコは恋人に会いたい一心で幾度となく逃亡を図る。ある日、次元の穴を経由して惑星モスリに迷い込んできたキアラ星人のレゾルタルパと出会ったマルコは、その次元の穴を利用して地球に帰ろうと画策する。
登場人物・キャラクター
マルコ・ロウノワヴィチ・ウルサズカ
地球人の男性。ロシア出身で、年齢は22歳。大学を卒業したばかりで、結婚を考えていた恋人と世界旅行に出掛けようとした矢先、突如として惑星モスリに転移され、強制的に果ての管理者の局員として10年間働くことを命じられた。地球に帰りたい、恋人と再会したいという一心で年中脱走を試みているが、ことごとく失敗している。子供の頃からピアノを弾いており、コンクールで賞を取ったこともある。12歳の時、雲一つない昼下がりに落雷を受けるが、これは局長の仕業だった。その際に負った切創が左眉の上に残っている。
レゾルタルパ
惑星モスリに迷い込んできたキアラ星人。外見は地球人の少女のような姿をしているが、頭に一対の虫の翅のようなものがある。キアラ星人の特徴は石を食べることだが、石以外のものもなんでも食べ、消化吸収することができる。マルコ・ロウノワヴィチ・ウルサズカからは「レゾル」と呼ばれている。
マウー
ロウトノギ星人のオスのクローン体。モフモフした毛の生えた、アザラシに似たような姿をしている。ロウトノギ星人のクローン体は本来、すべての個体が記憶を共有しているが、マウーとその双子の兄弟であったヌゥは特異な存在としてロウトノギ星人の記憶を持っていなかった。ロウトノギ星人の宇宙船から脱出の機会をうかがっていたところを、マルコ・ロウノワヴィチ・ウルサズカによって保護され、惑星モスリの住人となった。
局長
惑星モスリの果ての管理者の支部局で、局長を務めている第4アクズ星人。第4アクズ星の言語は他言語での発音が困難なため、便宜的に「局長」と呼ばれている。外見は一目で異星人とわかる容姿で、両腕が長く伸びる性質を持つ。マルコ・ロウノワヴィチ・ウルサズカを地球から連れ去り、惑星モスリに連れてきた張本人。
ナナギ
惑星モスリで果ての管理者の一員として働いているダ・ココバ星人。外見は地球人の青年のような姿であるが、ギザギザな歯を持つ。マルコ・ロウノワヴィチ・ウルサズカの教育係を任せられており、基本的には気のいい先輩。
フィッツィー
惑星モスリで果ての管理者の一員として働いているソルフェ星人の医師。外見は地球人の若い女性のような姿であるが、芋虫のような形状となって両手を器用にあやつる。機嫌がいいときは奇妙な鼻歌のようなものを歌う癖がある。
彼の方 (かのかた)
地球を創造した存在。かつて宇宙の管理者を務めており、地球以外にも多くの星々を創造していた。しかしある日、飽きたからという理由で職務を放棄して、その仕事を果ての管理者に引き継がせた。ホルシェ8の近くにある果ての管理者の中央本部にいるといわれているが、その姿を見た者はいない。「上の人」とも呼ばれている。
集団・組織
果ての管理者
彼の方と呼ばれる存在から宇宙の管理の任務を引き継いでいる。星々の創造や遭難した宇宙船の修理、医療サービスの提供などさまざまな業務を行っている。ホルシェ8の近くに中央本部が存在し、そこに彼の方がいるといわれているが、そこに行ったことのある構成員は一人もいない。果ての管理者はさまざまな星の住人の中から無作為に選出され、10年間の任期で働かされる。
場所
惑星モスリ (わくせいもすり)
果ての管理者の支部局がある極小惑星。第8銀河に存在し、面積は100平方キロメートルほど。外部は地表から伸びる樹木のような殻に覆われ、内部は常冬の世界であるが、マルコ・ロウノワヴィチ・ウルサズカらの暮らす管理局施設はその空洞状の中心部にある。
ホルシェ8 (ほるしぇはち)
果ての管理者の管理局の物資を生産している星。厳密には惑星などの星ではなく、巨大なコロニーで非常時には一部分を宇宙船として切り離すことができる。宇宙港や星についての博物館があり、旅行者もやって来る。地球の創造者でもある彼の方の創ったものであるため、技術や物品などは地球と共通するものが多い。
その他キーワード
閉じた星
宇宙に進出していない星のこと。異星人と接触のない地球は、この閉じた星のカテゴリに属する。レゾルタルパの出身であるキアラ星も、密集した衛星に囲まれているために宇宙船の出入りが困難であることから閉じた星となっている。対義語は「開いた星」。
ロウトノギ星
オスとメスの2個体だけが暮らしている星。その2個体は非常に長い寿命を持っていたが、オスの方が事故で致命傷を負ってしまったため、残されたパートナーを孤独にならないようにと、自身のクローンを作ってから死亡した。そのクローンは無数に作られたが、その寿命は100年程度しかなく、1個体を残して宇宙へと旅立った。
特製星間エレベーター
果ての管理者の管理局が誇る、一種のテレポーター。エレベーターという名が付いているが、上下移動をする機械ではなく、超空間によって幾万年先へも数秒で移動することができる。ただし、管理リスト内の星にしか転送はできず、特製星間エレベーターでは地球に行くことはできない。
次元の穴
特製星間エレベーターとは、別の空間跳躍手段の一つ。彼の方は次元の穴を任意に作り出すことができるが、基本的には偶発的に宇宙に発生するワープホール。危険であるため、果ての管理者は次元の穴を見つけ次第、中央に報告して封鎖を行っている。