麻雀激闘録3/4

麻雀激闘録3/4

無骨で不器用な主人公・堀場要が、さまざまな人たちとの勝負や出会いを糧に、プロの麻雀打ちとして成長していく姿を描いた麻雀劇画。麻雀における流れや牌勢というものを理論化した「ツモ牌相打ち」を闘牌シーンに取り入れており、麻雀漫画ではご都合主義になりがちな手牌の進行にリアリティーを与えている。「近代麻雀オリジナル」1984年8月号から1987年5月号にかけて掲載された作品。続編に、本作『麻雀激闘録3/4』の10数年後を描いた『3/4それから…』がある。

正式名称
麻雀激闘録3/4
ふりがな
まーじゃんげきとうろくよんぶんのさん
作者
ジャンル
麻雀
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概要・あらすじ

明都大学1年生の堀場要は応援部に所属していたが、後輩をいじめ同然にしごき抜く先輩たちの理不尽さに嫌気が差し、退部を決意する。部を抜けるには歓送会という名のしごきを受け、さらに徹夜で先輩の賭け麻雀の相手をしなければならない。しかも、先輩たちはイカサマをし放題で、最終的に退部者は100万円を超える借金を背負うという仕組みになっていた。

堀場は友人の相川に頼んで勝負の途中で雀荘に警官を踏み込ませ、逮捕されることで勝負をうやむやにする。完全に応援部を敵に回してしまった堀場は、きたるべき決着の時に備えるため、同じように博打の現行犯で逮捕されていた老人にイカサマ麻雀を教えてほしいと頼み込む。その老人は「先生」と呼ばれていて、豪勢なマンションに住む得体のしれない男だった。

堀場に麻雀打ちとしての才能があると見込んだ老人は、彼を元雀ゴロの魚地に紹介。堀場は魚地のもとで麻雀修行を開始することになる。

登場人物・キャラクター

堀場 要 (ほりば かなめ)

ゴリラのような風貌をした筋骨隆々のいかつい青年。男気あふれる無骨な男だが、天性の天邪鬼で人の忠告にあえて逆らおうとするところがある。明都大学の1年生で応援部に所属していたが、部の体質に嫌気がさして退部を強行。応援部との麻雀勝負で勝つために「先生」と呼ばれる老人に頼み込み、魚地の経営する雀荘で麻雀の腕を磨く。 同時に先生のもとで出会った占い師の村木ミドリといい仲になる。魚地と組んで応援部団長の藤崎良純に勝利したのを機に大学を辞め、本格的に雀ゴロになることを決意。奥野竹松、奥野梅松との勝負の際に「王牌打ち」に開眼することになる。

魚地 (うおち)

「先生」と呼ばれる老人に仕える凄腕の元雀ゴロで、素人同然だった堀場要に麻雀のイロハを教え込んだ。小さな雀荘のオーナーをしていて実戦からは離れていたが、内縁の妻の桜木珠枝と破局したのをきっかけにプロの麻雀打ちとして復帰。堀場と組んで藤崎良純、鎌田民夫と対戦した。心理戦に長け、ハッタリを交えた話術を駆使して相手のフォームを崩す嫌らしい麻雀を打つが、普段は涙もろく人の好い男で、堀場のことを何かと気にかけている。

村木 ミドリ (むらき みどり)

「先生」に飼われている占い師の女性。未来を予知する不思議な力があり、堀場要の持つ強運と麻雀打ちとしての素質を最初に見抜いた。やがて堀場に魅かれていき、彼と関係を持つようになる。先生が政財界に食い込むための手段として利用されていたが、自身の持つ力が決して自分を幸せにしないことを悟っており、先生の手から逃れるため、わざと詐欺事件を起こして警察に逮捕される。

鎌田 民夫 (かまた たみお)

食い仕掛けからの早上がりを得意とする名の知れた雀ゴロの男。「クイ鎌」の異名を持つ。堀場要と藤崎良純の麻雀勝負で良純の相棒を務めるが、魚地の心理的ゆさぶりの前に打牌のフォームを崩して敗北。麻雀打ちとしての自信を喪失しかけるが、自分と組みたいという堀場の気持ちを意気に感じて再起した。実は西陣の名門織物店の息子で、妾腹だったため家を飛び出したという過去を持つ。

藤崎 良純 (ふじさき よしずみ)

明都大学応援団団長。大手スーパーのマルフジストアの社長・藤崎道純の息子で将来の社長と目されている。堀場要が退部を賭けた麻雀勝負に警察を呼び込んだため、賭博の現行犯で逮捕。大学を停学になったことから堀場を恨んでおり、クイ鎌こと鎌田民夫を雇い、麻雀で堀場を叩きのめそうとする。何でも自分の思い通りにしないと気が済まない典型的なお坊ちゃんだったが、腹心の金山に叱責され、マルフジストア入社後は社長候補にふさわしい人物になった。

金山 (かなやま)

藤崎道純が経営するマルフジストアの男性社員で明都大学応援部OB。将来の社長候補である藤崎良純に巧みに取り入り、堀場要の麻雀勝負の際、良純に雀ゴロのクイ鎌こと鎌田民夫を紹介した。単なる太鼓持ちに見えるが実はかなりの切れ者で、堀場との勝負は、お坊ちゃんの良純を将来の社長にふさわしい人物に矯正する良い機会だと考えている。

相川 (あいかわ)

堀場要の大学の同級生。漫画研究会に所属していることから、堀場や魚地に「漫研」と呼ばれている。普段はおとなしい気の小さい男だが、酒を飲むとやたら気が強くなるという悪癖がある。「4分の3の状態がこらえどころで、ここを乗り越えればいつか4分の4になれる」が信条で、その後の堀場の生き方に強い影響を与えることになる。

先生 (せんせい)

堀場要が留置場で出会った本名不明の謎の老人。堀場の才能に興味を持ち、彼を子飼いの魚地のもとに預けた。ただの博打打ちではなく、予知能力を持つ村木ミドリの力を武器に政財界に食い込んでおり、ヤクザにも影響力を持つ裏社会の大物である。

奥野 竹松 (おくの たけまつ)

弟の奥野梅松と共に「松竹梅」というコンビで名を売った京都在住の伝説的な麻雀打ちの男。普段は鍼師をしていて、弟からは「竹さん」と呼ばれている。また、戦艦大和の乗組員であったという経歴を持つ。牌の温度の違いで次にくる牌が何かを読む「牌温読み」を会得している最強の打ち手。山本五十六が筆写したという好色本を賭けて堀場要、鎌田民夫と勝負。 ツモの流れを読んだ神がかり的な打牌で2人を圧倒する。

奥野 梅松 (おくの うめまつ)

兄の奥野竹松と共に「松竹梅」というコンビで名を売った京都在住の伝説的な麻雀打ちの男。兄と同じく鍼師をしていて、兄からは「梅さん」と呼ばれている。牌の温度の違いで次にくる牌が何かを読む「牌温読み」を使うとされているが、実は先ヅモの際に麻雀マットに牌をこすりつけてどの牌か識別する変形の盲牌であり、麻雀の実力は兄に大きく劣る。

藤崎 道純 (ふじさき みちずみ)

大手スーパーのマルフジストアの社長で藤崎良純の父親。将来の社長候補である良純の側近とするため、明都大学の応援団OBを多数採用している。優秀な経営者だがやや脇が甘いところがあり、野球賭博に嵌まって「先生」の組織に脅迫されることになる。

桜木 珠枝 (さくらぎ たまえ)

魚地と付き合っている19歳の元お嬢様。家出をしてヤクザに追われていたところを魚地に助けられ、そのまま彼のところに居ついた。以降、魚地の雀荘のママをしていたが、かつての雀ゴロ時代の輝きを失った魚地に失望し、彼のもとを去って実家に戻った。

秋野 啓作 (あきの けいさく)

「クイ鎌」こと鎌田民夫の幼なじみ。元西陣の織物店の息子だが、妾腹の子として自分を差別した西陣の者たちを恨んでいる。ヤクザと組んで西陣の文様を勝手に意匠登録し、織屋や問屋から大金を巻き上げようとするが、登録申請書を賭けた麻雀勝負で「クイ鎌」に敗れた。

その他キーワード

ツモ牌相打ち (つもはいそううち)

本作『麻雀激闘録3/4』で取り上げられている麻雀の戦術理論。「同じ色のツモ筋の牌が続く」「手牌が対子や暗刻になりやすい」などの麻雀におけるツモの流れに一定の法則を見出し、それをいち早く読んで牌勢に沿った最短の手作りをするというもので、堀場要や奥野竹松が駆使する。

王牌打ち (わんぱいうち)

堀場要が村木ミドリの示唆を受けて編み出した麻雀の戦術。4人の手牌は王牌によって左右されていて、王牌部分にツモ筋の啓示があるという考えからこのように命名された。ツモの流れにひとつの法則を見出し、その牌勢に沿って打つ「ツモ牌相打ち」と基本的な理論は同じ。

牌温読み (ぱいおんよみ)

奥野竹松が使う伝説の麻雀技。手や足のツボに鍼を打って体温を下げ、牌山に手をかざすことで積まれている牌が何か温度の差で見分けるとされている。当初は「ツモ牌相打ち」をカモフラージュするための演技と思われていたが、本当にわずかな牌の温度の違いを感知しており、堀場要や鎌田民夫らを震撼させた。コンビ「松竹梅」の得意技と言われているが、実際に使えるのは兄の竹松のみである。

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