カナリアたちの舟

カナリアたちの舟

『スキップとローファー』で知られる、高松美咲の初連載作品。地球とは別のある惑星が舞台。ある日突然、地球に巨大飛行体が出現。街が破壊されるなか、いつの間にか意識を失った宇高ユリは、北沢千宙という男性に起こされる。そこは、見たこともない植物や建物に囲まれた、奇妙な惑星だった。見知らぬ惑星に連れてこられたユリと千宙のサバイバルを描いたSFヒューマンドラマ。講談社「アフタヌーン」2015年8月号から2016年1月号まで短期集中連載。

正式名称
カナリアたちの舟
ふりがな
かなりあたちのふね
作者
ジャンル
異星人・宇宙人
 
パンデミック
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
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見知らぬ惑星を舞台にしたSFサバイバル・ミステリー

宇高ユリは、高校最後の陸上の大会を控え、進路に悩みながらも平穏な日々を過ごす女子高生。ある日の帰り道、ユリは空を覆うほど巨大な、クラゲのような形状の飛行物体に遭遇する。この宇宙人の襲来で、ユリの平和な日常は突然終わりを告げた。意識を失ったユリは、薬剤師の北沢千宙という中年男性に起こされるが、そこは舟の形をした奇妙な建物の中で、周囲は広大な森だった。本作は、見知らぬ惑星を舞台にした、ユリと千宙のサバイバルだが、事態の全貌と宇宙人の目的を探るSFミステリーでもある。

希望を捨てない女子高生と無気力状態の中年男性

見知らぬ惑星で目覚めたユリは、夢かもしれないと思いながらも、翌日には現実を受け入れていた。そのうえで、まだできることはあるはずだと希望を捨てなかった。母や友達はどこかで生きていて、力を合わせれば地球に帰れるかもしれないと考えていたのだ。一方の千宙は、何をやっても無駄だと、無気力な状態で日々を過ごす。それは、ユリとは異なり、かつての日常に希望や大切なものがなかったからで、宇宙の僻地で死ぬこともいとわないのだという。そんな対照的な二人だが、それでも協力しながら、惑星の秘密に迫っていく。

忽然と姿を消した宇宙人の謎

建物の周囲に広がる広大な森で、ユリと千宙は丸くて大きな「機械」と出会う。脳に直接語りかけてくるその「機械」は、森一帯の動植物を管理するシステムだった。「機械」によれば、地球人を乗せた大型船がこの星に帰還した数日後、宇宙人たちは忽然と姿を消したという。さらに、建物にあった黒い石版の読み方を教わったユリは、戻って石版を調査する。そこには宇宙人が実行しようとしていた計画らしきものが書かれていた。

登場人物・キャラクター

宇高 ユリ (うだか ゆり)

ショートカットが特徴の高校3年生の女子。明るくポジティブな性格。陸上部に所属。高校最後の大会を控え、部活に励んでいたが、進路希望調査を提出していないことを母親に責められる。ある日、巨大な飛行体に遭遇し、見知らぬ惑星に連れ去られ、北沢千宙という中年男性と二人でサバイバルすることになる。

北沢 千宙 (きたざわ ちひろ)

ボサボサ頭が特徴の、長身で細身の中年男性。職業は薬剤師で、白衣を着ている。宇高ユリ同様、宇宙人の襲来後、見知らぬ惑星で目覚めたという。地球に執着がなく、帰りたいという気持ちもない。ユリとはケンカになることもあるが、食べ物を見つけたり、森の危険動物から守ったりもする。

書誌情報

カナリアたちの舟 講談社〈アフタヌーンKC〉

(2016-01-22発行、 978-4063881134)

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