概要・あらすじ
大野勇の一時的な引退を受け、行政書士大野勇事務所の所長に抜擢された田村勝弘。だが重森寛治、栄田千春らかつての上司や先輩は田村の力量を疑っており、事務所運営は思うように進まない。そんななか田村は、1人分の人手が減った穴埋めとして新しい職員の求人を出す。応募してきたのは、勤め先に嫌気がさして転職を考えていた不動産会社社員・加葉礼文だった。
ほどなくして田村と加葉は、それぞれ行政書士、不動産業者という異なる立場で宅地の境界トラブル解決に奮闘する。田村はドライな若者の加葉が事務所に新風を吹き込むと期待して、採用を決定。当初は合理主義一点張りだった加葉だが、さまざまな案件を通じて柔軟に成長していく。
登場人物・キャラクター
田村 勝弘 (たむらかつひろ)
行政書士大野勇事務所でのキャリアは重森寛治、栄田千春に次ぐ3番手だが、前所長・大野勇の一時的な引退にともなって所長に選ばれた。しばしば凡ミスも犯すが、苦境にもめげず粘り強い情熱でチャンスをつかむタイプ。事務所名の変更を重森、栄田らに却下されるなど、所長としての求心力がないのが悩みの種。 自分とは全く対照的な加葉礼文を新しい職員として採用する。
栄田 千春 (さかえだ ちはる)
行政書士大野勇事務所に勤務する中年男性。田村勝弘の先輩。後輩に親身な面もあるが、田村の所長就任を快く思っていない。先輩を先輩と思わない加葉礼文の態度に当惑させられっ放しとなる。
大野 勇 (おおの いさむ)
広島市中区で行政書士大野勇事務所を構えていた行政書士。とある事件で2年間の業務停止処分を受け、田村勝弘に大野事務所の所長を委ねた。その後は顧問、相談役の立場だが、事務所運営は田村に一任。幼い交通遺児・ツトムを引き取って養育しており、まるで初孫相手のような溺愛ぶりで事務所職員らを当惑させる。
重森 寛治 (しげもり かんじ)
行政書士大野勇事務所のベテラン職員。事務所の番頭役を務める。田村の所長としての力量に手厳しい批判を躊躇しない。ドライで実利主義的な加葉礼文の採用にも反対していたが、業務への情熱を見て考えを改める。
住吉 美寿々 (すみよし みすず)
行政書士大野勇事務所の女性職員。有能で決断が早く、依頼者には誠実。逡巡しがちで男女観が古い田村勝弘に対し、軽蔑の態度を隠そうとしない。田村の依頼者・茂手泰三の不倫問題では、対立する園木亜里沙の代理人役を自ら引き受けて慰謝料の支払いを勝ち取った。若くてドライな加葉礼文を後輩としてかわいがっている。
加葉 礼文 (かよう のりふみ)
元・堀建不動産社員。ドライで合理主義的な性格。日本の企業社会の硬直した慣習を嫌っている。堀建不動産でも職場の不合理な慣習に嫌気がさし、行政書士大野勇事務所の求人に応募した。面接を受けてから転職するまでの間、駒館夫婦の境界トラブルを堀建不動産社員として担当。駒館夫婦の依頼を受けた田村勝弘と、ぞれぞれ別の立場からトラブル解決に奔走した。 大野事務所に入った後、甥の多田憲治が不良仲間に窃盗の罪を着せられた件を担当。ドライ一辺倒な姿勢から、徐々に柔軟性を身につけていく。
宇奈月 黒士 (うなづき こくし)
収入を得るために手段を選ばない行政書士。仕事が減って依頼者の確保に苦心している。ママ友イジメ問題でシングルマザーの切内から田村勝弘が依頼を受けた件では、対立する主婦・陰口を唆して逆に慰謝料を取らせようと画策。だが田村に裏をかかれ、陰口の夫から依頼をキャンセルされた。 いっぽう盆倉博士が自転車で子供をはねた件では被害者側につき、田村の依頼者である盆倉の勤務先から慰謝料を引き出すことに成功している。
後付 (あとづけ)
後付探偵事務所の代表。加葉礼文の紹介で田村勝弘から依頼を受け、陰口らママ友がシングルマザーの切内を中傷していた証拠を押さえる。この際、行政書士大野勇事務所との初取引ということで、実費しか請求しなかった。同性愛者。
盆倉 博士 (ぼんくら ひろし)
清掃会社・ビルウォッシャーの社員。自転車で通勤する途中、子供をはねて重傷を負わせた。ビルウォッシャーは、田村勝弘が行政書士大野勇事務所に来る前に働いていた怒突ビルメンテでの同僚が起こした会社。田村は元同僚の依頼で、子供の過失相殺を最大化するよう腐心する。だが被害者側の母子家庭から依頼を受けた行政書士・宇奈月黒士は田村を出し抜き、ビルウォッシャーに慰謝料を満額で支払わせた。
茂手 泰三 (もて たいぞう)
家電量販チェーン・ヒマダデンキ社員。妻子持ちだが独身と偽り、派遣社員の園木亜里沙と男女の関係に。不倫を知って激怒した妻の直美が園木と夫の茂手に慰謝料を請求したことから、行政書士大野勇事務所に駆け込んだ。田村勝弘は茂手の代理人として解決にあたるが、同じ大野事務所の住吉美寿々は園木の代理人として茂手夫婦と対立。 住吉は逆に茂手夫婦を追い詰め、園木に対する慰謝料100万円を支払わせた。そのせいで茂手は直美に離婚されてしまう。