概要・あらすじ
少年の時、国会議事堂占拠事件を起こした染谷輝一は、甲斐慶一郎と共にNPO法人キーチズ・カンパニーを設立。「真っ当でいろ」を掲げ、様々な援助活動を行っていた。その人気と影響力は時の総理大臣も凌ぐほどだった。だが少しずつ輝一と甲斐の距離は開きはじめ、輸入牛肉偽装事件で窮地に陥った栗田冷蔵への支援をきっかけに、輝一はキーチズ・カンパニーと袂を分かつ。
カンパニーの運転手として潜り込んだ斎藤一の手引きで、殺人テロ集団・劇団波羅蜜多を訪れた輝一は、座長・田中あやに恋をする。彼女のためを思うまま、やがて輝一は社会を震撼させる事件を起こす。
登場人物・キャラクター
染谷 輝一 (そめや きいち)
鋭い目つきの青年。盟友・甲斐とともにNPO法人キーチズ・カンパニーを設立する。自分が不快と思う事と徹底的に戦い、「真っ当でいろ」と呼びかける彼の元には多くの信奉者達が集まっている。内部告発で国や業界を敵に回した栗田冷蔵を救おうとするが、甲斐や膳場虎ノ助らから反対され独自に動く。これを機に甲斐達と訣別した後、斎藤一の手引きで殺人テロを目論む集団・劇団波羅蜜多の座長・田中あやと出会う。 彼女に恋愛感情を抱き、殺人を回避させるために劇団波羅蜜多を乗っ取ってリーダーとなり、目的を要人の「殺人」から「拉致・監禁」に変更させた。劇団波羅蜜多のメンバーや、斉藤一の「殺し屋」時代の仲間・東京組とともに要人達の拉致・監禁を決行する。
甲斐 慶一郎 (かい けいいちろう)
眼鏡をかけたオールバックの青年。輝一と共にキーチズ・カンパニーを設立。膳場虎ノ助らの支援の元、政治・経済・法律などの英才教育を受けた。輝一の活動の中心を「鎌倉」に置き、自らは「六本木」で事務方を率いる。染輝経政塾を主催し、民進党代表・久我瑛昴に協力するなど輝一の政界進出を目指して行動していた。 しかし、それは輝一の意向を無視した行動だった。栗田冷蔵を救おうとした輝一がキーチズ・カンパニーを離れた後、税法違反の容疑で逮捕される。
田中 あや (たなか あや)
ショートヘアーの女性。劇団波羅蜜多の座長。上京してシングルマザーとなり、美容院で働きながら息子の翔を育てていた。ある日翔は在日米軍の兵士が運転する車に轢き逃げされ死亡する。日本の権力者達に復讐を誓い、劇団波羅蜜多を結成した。斎藤一によって 輝一と出会う。彼が自分に対して想いを寄せていることを知ると、次第に輝一に心が傾いていく。
久我 瑛昴 (くが えいこう)
当選5回の衆議院議員。民進党幹事長で、党代表以上の人気・支持を集める。次の選挙で与党・民自党との逆転が声高に叫ばれる中、総理大臣に最も近い男と言われる。膳場虎ノ助の手引きで輝一、甲斐と面会。輝一とは殴り合いになるが、その後政界進出を狙う甲斐からアプローチを受ける。
膳場 虎ノ助 (ぜんば とらのすけ)
短い白髪の老年の男性。本作の初登場時76歳。大日本グループ会長、日本民放連を務め、政財界の黒幕と言われる。輝一と甲斐がキーチズ・カンパニーを設立する際にスポンサーとなり、現在も有力な支援者。甲斐達からは御大と呼ばれ敬服されている。輝一とは互いに「小僧」「虎ジイ」と呼び合う。
栗田 政之 (くりた まさゆき)
栗田冷蔵社長。部下から、大口取引先のあおは食品に強要されて、輸入牛肉偽装事件に加担したと知らされる。悩んだ末に新聞記者に話し内部告発し、世間の支持を受けるが、結果的に官庁と業界を敵に回す。このため、会社が経営不振に陥った。窮地に陥り、キーチズ・カンパニーを訪れ、揮一に助けを求める。
斎藤 一 (さいとう はじめ)
鼻がつぶれ、唇の厚い男性。輝一と甲斐が設立したキーチズ・カンパニーに運転手として雇われる。元殺し屋で、過去を拭うために整形しているが、輝一からはその素性を見破られ、以来彼からは「殺し屋」と呼ばれている。真の目的は殺人テロ集団・劇団波羅蜜多の実行を止めてもらうことで、輝一と座長の田中あやを引き合わせた。
佐治 みさと (さじ みさと)
染めたロングヘアーの女性。小学生の時に父親から売春を強要されていたところを輝一に助けられた。その後、芸名UBUKA(ウブカ)として芸能界にデビューし、「下ネタの星・惑星アナールから来た宇宙人」というコンセプトで活動しているが、さほど売れていない。元カレに脅され、直接輝一を訪ねて助けを乞う。
秋本 弘恵 (あきもと ひろえ)
黒髪の中年女性。前作『キーチ!!』では事故で昏睡状態に陥っていたが、輝一に助けられた。本作では、輝一と甲斐が設立したNPO法人キーチズ・カンパニーの鎌倉のスタッフとなっている。助けを求めてやってくる人々の受付役で、脅されても動じない胆力を持っている。
ヒロ
小学生の少年。父が栗田政之の娘・夏奈と結婚したため、栗田政之の孫となった。物事を斜に構えて見る癖がある。栗田政之が輸入牛肉偽装事件を内部告発し、マスコミに取り上げられても冷めた目で見ていたが、輝一や甲斐の姿に触れ、次第に触発される。
日下 道雄 (くさか みちお)
初登場時54歳。本編冒頭から登場する。父は亡くなり、認知症の母親の介護のため無職になる。生活費もままならなくなり、鎌倉のキーチズ・カンパニーに行くが審査で落とされる。このため、輝一に恨みをもっていた。その後殺人テロ集団・劇団波羅蜜多へ入団。斎藤一に連れられてきた輝一に出会う。
シロヤマ
眼鏡をかけた小太りの男性。一見サラリーマン風だが、目つきは鋭い。斎藤一の殺し屋時代の仲間で、アカ、クロと共に東京組と呼ばれている。アメリカ大使館や外務省に出入りし、裏処理の仕事をしている。斎藤一から輝一を紹介され、要人の拉致監禁に加担する。
桂 邦正 (かつら くにまさ)
メガネをかけた坊主頭の男性。殺人テロ集団・劇団波羅蜜多の一員。座長田中あやの補佐役。気位が高く野心家で、当初は斎藤一の手引きで訪れた輝一に激しく反発する。のちに輝一と膳場虎ノ助の面会に立会い、以降2人の連絡窓口になる。
集団・組織
キーチズ・カンパニー (きーちずかんぱにー)
輝一と甲斐によって設立されたNPO法人。膳場虎ノ助らがスポンサーとなった。「会員、支援者、支持者とともに助けあいの気持ちを通してよりよい国をつくる」を活動目的に掲げている。「真っ当でいろ」を合言葉に、困っている人々の援助活動を行う。また、虐待児童の強制救出など、自治体では手の付けられない領域の援助も行っている。 鎌倉が活動拠点だが、甲斐が率いる事務方は六本木にオフィスを構えている。