概要・あらすじ
中学1年生の秋。鴻田新(こうだあらた)は、鳥のようだが手足があり、言葉を話す変な生き物と出会う。クジマと名乗るその生き物は、自動販売機の下に潜り、小銭を集めていた。腹をすかせたクジマは、お金を集めておにぎりを買おうとしていたのだ。クジマを不憫(ふびん)に思ったアラタは、彼を家に連れ帰った。どうやらクジマは、夏はロシアで暮らし、冬になると日本にやってくる、渡り鳥のような習性を持つ生き物らしい。ロシアから初めて日本にやってきたクジマは、日本の美味(おい)しいご飯を食べたいと言うが、アラタの両親はいつも帰りが遅く、兄の鴻田スグルは受験浪人で部屋に閉じこもっている。料理経験のないアラタは、卵焼きに挑戦するが、やはり失敗してしまった。そんな姿を見たクジマは「初めて焼いたブリンは塊になる」とつぶやく。ロシアのことわざで「どんなことでも初めては失敗する」という意味らしい。クジマは、アラタのために、ロシアのパンケーキであるブリンを作ってやった。「いつもは一人だが、今日はちょっと楽しい」アラタはそう言ってクジマとの食事を楽しんだ。その後、スグルや両親の反対はあったものの、クジマは春にロシアに帰るまで、鴻田家で暮らすことになった。
登場人物・キャラクター
鴻田 新 (こうだ あらた)
中学1年生の男子。両親と兄の鴻田スグルの四人家族。優しい性格で、学校の帰り道、自動販売機の下にある小銭を拾っていたクジマと出会い、家に連れ帰る。大学受験失敗以来、部屋に閉じこもりがちのスグルとは不仲になっている。
クジマ
鳥あるいはペンギンのような外見をした謎の生き物。3歳。痩せ型、高身長で、人間のような手足があり、言葉を話す。ロシア生まれで、本来は人里離れた森の中でこっそり暮らす生き物で、夏はロシアで過ごし寒くなると日本にやってくるらしい。生後すぐに親を亡くし、人間に拾われて育ったため、仲間の群れに戻る練習のために日本にやってきた。鴻田新(こうだあらた)と出会い、春にロシアに帰るまで、彼の家に居候することになる。日本語は勉強中だがかなり達者。ことわざ辞典が大好き。短気なところがあり、怒るとロシア語で激しくキレる。朝日が昇ると外に行き、大声で鳴く習性がある。
鴻田 スグル (こうだ すぐる)
鴻田新(こうだあらた)の兄。浪人生。明るく清潔感のある青年だったが、第一志望の大学に落ちてから、神経質で陰気な見た目に変貌。目の下にクマをつくり、髪の毛もボサボサである。受験勉強で部屋に閉じこもっており、アラタと不仲になる。クジマとは馬があわず、罵りあいのケンカになることが多い。
書誌情報
クジマ歌えば家ほろろ 5巻 小学館〈ゲッサン少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2022-04-12発行、 978-4098510924)
第2巻
(2022-10-12発行、 978-4098513284)
第3巻
(2023-05-12発行、 978-4098520510)
第4巻
(2023-11-10発行、 978-4098530274)
第5巻
(2024-05-10発行、 978-4098533169)