奇妙な出会いから始まるサクセスラブストーリー
北方啓介はハイスペック男子ながら運に恵まれず、納得できる結果がなかなか残せず自信喪失し、実に24回もの転職を繰り返してきた。現在は、人生の再起をかけて芸能事務所「ゴールドプロモーション」でマネージャーの仕事に全力を尽くしていたが、所属タレントの期待の新人・木ノ下美鞠が突然ドラマの主演を拒否したことで現場は大混乱し、またもや転職を視野に入れるようになる。そんな中、北方は偶然知り合った吉川塁に、これまで感じたことのない個性と魅力を感じ取り、衝動的にスカウトする。一方の塁もまた、これまで本気で自分を必要とされたことがなかったため、北方の真摯な態度に心を動かされ、芸能界の道へ進むことを決意する。こうして新人女優とマネージャーのコンビが誕生し、やがてゴールドプロモーションや芸能界に大きな影響を及ぼす存在となる。
女優とマネージャーが芸能界へ挑戦
吉川塁の専属マネージャーとなった北方啓介は、「この人と本気で仕事をしたい」という信念をもとに、塁の売り込みに奔走する。一方の塁は、仕事に対して真摯に取り組んでいるもののマイペースな性格は相変わらずで、よくも悪くも芸能人らしくなく、奔放に振る舞っている。また、塁に魅力を感じているのは北方だけではなく、若いながらも実力派俳優と知られる緒方南や、敏腕プロデューサーの大塚漂をはじめとする芸能関係者からも口説かれたりと、北方をやきもきさせている。本作は芸能界ならではのさまざまな問題が赤裸々に描かれているが、絵柄はコミカルで登場人物のセリフもギャグ要素を取り入れるなど、明るい雰囲気になるように工夫されている。
「続かない」二人に訪れる転機
北方啓介はマネージャーとして、吉川塁の女優としての躍進を間近で見続けることで、彼女へ特別な思いを抱くとともに、これまで長続きしていなかった仕事へのやりがいを強く実感する。のちにチーフから塁のマネージャーを外されてしまうが、それでも彼女の活躍と成長を一途に願い続けている。そんな中、北方への思いを自覚した塁は、北方に「賞をもらった暁には、必ずあなたをモノにして見せる」と宣言。北方は塁の自由奔放な言葉に呆然とするものの、その凛々しさと信念の強さを感じたことで、より一層塁が気になる存在となる。こうして、「仕事が続かない男」北方と「恋が続かない女」塁は、恋も仕事もさらに一生懸命に取り組むようになる。
登場人物・キャラクター
北方 啓介 (きたかた けいすけ)
芸能事務所「ゴールドプロモーション」に勤務する男性。年齢は32歳。黒髪で眼鏡をかけている。大学院卒業までは完璧な人生を歩んでいたと自負しているが、どんな仕事も自分に向いていると思えず、これまで24回もの転職を繰り返している。周囲からは高学歴、高収入、高身長のハイスペック男子と思われているが、実は恋愛もうまくいったことがない。担当する女優、木ノ下美鞠のマネジメントに失敗して転職を考えていた際、恋愛関係が続かない吉川塁と出会って強烈に惹(ひ)かれ、彼女をスカウトした。仕事に真摯に向き合っているが、他人にどう思われても構わないという一面があり、その点で同僚たちから面倒がられている。
吉川 塁 (よしかわ るい)
中小企業で事務員を務める女性。年齢は21歳。つねに怒っているような、印象的な目をしている。取引先への謝罪に出向いた際に北方啓介と出会って彼から熱心にスカウトを受け、一度でいいから誰かに本気で選んでほしいという自分の内心に気づいて、芸能界入りを決意した。誰かといっしょに暮らすという関係が好きで、特に恋愛感情を持っていない相手であっても、付き合っても別れることを繰り返していた。失敗しても落ち込むことなく、自分の中で悔しさを消化することに専念するタイプで、誰かに頼ることをよしとしない一面がある。
書誌情報
ゴールデンラズベリー 4巻 祥伝社〈FCswing〉
第1巻
(2021-03-08発行、 978-4396768188)
第2巻
(2021-11-08発行、 978-4396768454)
第3巻
(2022-07-08発行、 978-4396768607)
第4巻
(2023-07-07発行、 978-4396768898)