サラリーマン祓魔師 奥村雪男の哀愁

サラリーマン祓魔師 奥村雪男の哀愁

加藤和恵の『青の祓魔師』のスピンオフ作品。現役高校生ながら中一級祓魔師(エクソシスト)である奥村雪男は多忙を極め、弱冠15歳にしてすでにサラリーマンの哀愁を漂わせている。そんな雪男の日常を描くコメディ漫画で、舞台は『青の祓魔師』と世界観を共有するパラレルワールドという設定になっている。一話完結の短編形式で、エピソードタイトルは「~の哀愁」で統一されている。

正式名称
サラリーマン祓魔師 奥村雪男の哀愁
ふりがな
さらりーまんえくそしすと おくむらゆきおのあいしゅう
漫画
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

正十字騎士団の中一級祓魔師(エクソシスト)にして現役高校生の奥村雪男は、日々多忙であり、その疲れからか、かけていた眼鏡を頭に乗せた状態で、スペアの眼鏡をかけて授業にのぞんでいる。しかし生徒達は、雪男がそんな変な格好をする訳がないと、眼鏡のダブル使いを雪男発信のファッションだと捉え、ダブル眼鏡は正十字学園内で大流行する。雪男はその誤解から生まれた現状を打破しようと、ダブル眼鏡は爆発に巻き込まれると破片が頭に刺さると説明し、ダブル眼鏡の使用禁止を訴える。(第一話「ファッションリーダーの哀愁」。ほか、12エピソード収録 )

第2巻

祓魔塾の塾生・杜山しえみは、世話になったお礼に、奥村雪男奥村燐に年越し鍋を振る舞おうと張り切っていた。奥村兄弟は、以前しえみが超自然派料理を作った事を思い出し、怖気づく。美味しくできたと満足げなしえみだったが、ネギを買い忘れたと、束の間家を留守にする。キッチンに入った二人は、まるで島のような外観の鍋を目にする。この際、どんな味でも食べると意気込んむ二人は、思い切って鍋の具材を口に運ぶ。(第十五話「年越しの哀愁 奥村兄弟としえみ編」。ほか、16エピソード収録)

第3巻

裏庭で卵を見つけた神木出雲は、可愛い悪魔の誕生を目の当たりにし、そのキュートな姿にメロメロになる。だが、いかにもその悪魔を祓いそうな奥村雪男に見つかってしまい、出雲は雪男に悪魔を自分に預けてほしいと懇願する。すると進化を始めた悪魔は、圧倒的にかわいくなくなってしまい、出雲は自身の母性を試される事になる。(第五十二話~第五十四話「出雲と とある悪魔の哀愁」。ほか、20エピソード収録)

登場人物・キャラクター

奥村 雪男 (おくむら ゆきお)

正十字騎士団の中一級祓魔師(エクソシスト)にして、正十字学園に通う現役男子高校生。祓魔塾では悪魔薬学の講師を務める天才でもある。奥村燐の双子の弟で、神父が育ての親。燐と学生寮で暮らしている。四角い黒縁メガネをかけ、燐より背が高い。左の頰に二つ、口元に一つホクロがある。性格は真面目で保守的であり、つねにポーカーフェイスを保っている。だが、内心では奥村雪男自身のキャラクター設定に支障が出ぬよう葛藤を繰り返している。半分悪魔である弟の燐が、本格的に悪魔にならないよう見張る事を自身の命題としている。講師の中では最年少の下っ端で、15歳にしてすでにサラリーマンの哀愁を漂わせている。

奥村 燐 (おくむら りん)

祓魔塾の塾生の男子。奥村雪男の双子の兄で、神父が育ての親。雪男と学生寮で暮らしている。雪男とは正反対の性格で、自由奔放で天真爛漫な乱暴者。半分が悪魔だが、本人はそれほど深刻には受け止めていない。お弁当作りが得意。徐々にサラリーマン顔になっていく雪男を人知れず心配している。

神父 (しんぷ)

奥村雪男と奥村燐の、今は亡き育ての親で、丸メガネをかけた神父。雪男には「神父(とう)さん」、燐からは「親父(ジジイ)」と呼ばれていた。たびたび、天使の輪をつけた足がない状態で現れ、雪男の気を揉ませる。生前は言いつけを守るが理屈っぽい性格の雪男と、突拍子もない行動をする燐の子育てに心を砕いていた。

杜山 しえみ (もりやま しえみ)

祓魔塾の塾生の女子で、かわいらしい容姿をしている。おっとりした女の子っぽい性格で、草花を愛している。奥村雪男と奥村燐から好意を寄せられている。奥村兄弟に鍋を振る舞おうとするが、以前作った料理が超自然派だったために、兄弟を困惑させてしまう。

勝呂 竜士 (すぐろ りゅうじ)

祓魔塾の塾生の男子で、京都弁で話す。センター部分を金髪にしたソフトモヒカンヘアで、耳にはピアスを多数付けている。成績は優秀で、記憶力がよく動体視力もいい。まじめな性格ながら思い込みが激しい。また守るべきルールを重んじるこだわりタイプ。親知らずが痛んだ際は、虫歯だと勘違いし、自分の不摂生を悟られぬよう人知れず苦しんでいた。また、父親が禿げ上がっており、将来自分も禿げるのではないかと悩んでいる。三輪子猫丸や志摩廉造からは「坊」と呼ばれている。

三輪 子猫丸 (みわ こねこまる)

祓魔塾の塾生の男子で、京都弁で話す。小柄で大きな黒縁眼鏡をかけ、坊主頭。写経愛好会に所属しており、HPの作成を担当するも、奥村燐達の意見を取り入れすぎて、インターネットを知らない年配の人が作ったセンスに仕上がってしまう。文脈を無視したりするのが苦手なこだわりタイプ。また、猫じゃらしで猫を魅了する猫使いでもある。勝呂竜士の事をいつも気に掛けている。

志摩 廉造 (しま れんぞう)

祓魔塾の塾生の男子で、京都弁で話す。志摩八百造の息子で、志摩柔造と志摩金造の弟。基本めんどうくさい事が嫌いで、武闘派の兄達の体育会系のノリを嫌っている。エッチな本が大好きで、気配を消すのが得意。また虫嫌いで、夏はセミに悩まされている。

神木 出雲 (かみき いずも)

祓魔塾の塾生の女子。ひな人形のように短いまろ眉をしたツンデレで、その内面は感情的な性格。猫などのかわいい生き物が大好き。プライドが高く、杜山しえみに助けられる事を屈辱的に感じる一方で、しえみのかわいい使い魔に愛しさを感じている。カメラを向けられると、スカートがめくれ上がるなど、奇蹟的なショットが写ってしまう特異な一面がある。

霧隠 シュラ (きりがくれ しゅら)

祓魔塾の講師を務める女性で、ロングヘアをポニーテールにしている。見た目はキュートで巨乳の持ち主だが、女子力が低く、居酒屋や臓物好きのオヤジ的な一面がある。悪魔祓いと講師の仕事に追われる多忙な日々を過ごしている。女子高校生に扮して正十字学園に忍び込むなどお茶目なところがあり、口をとがらせた独特の表情をしている事が多い。

アーサー・A・エンジェル (あーさーおーぎゅすとえんじぇる)

エリート祓魔師の男性で、称号は聖騎士。ロングヘアをハーフアップにしたセレブな人物で、いつもヘリコプターやジェット機で移動している。そのため、日本のサラリーマンがすし詰め状態になった満員電車に興味深々。天然な性格で、一点の染みもない純白を愛している。

メフィスト

正十字学園の理事長を務める悪魔で、長年人間界に住んでいる。アマイモンから「兄上」と呼ばれている。目の下にクマがあり、顎鬚を生やしている。頭には長い渦巻き状の角のようなモノがある。ふだんは奇妙な帽子をかぶり白いスーツ姿だが、家では「萌々」柄の浴衣姿で、「オタ充生活」を楽しんでいる。オンラインゲームやSNSなどにハマっているが、無難な勝ちを拾おうとする対戦相手に苛立ったり、SNSでは女性にブロックされたりとストレスを感じる事も多い。

アマイモン

メフィストを兄と慕う悪魔。頭頂部が一角獣のような形をしており、垂れ目で目にクマがある。いつも棒付きキャンディを舐めている。メフィストが「オタ充生活」を本当に楽しんでいるのか疑問視しているが、メフィストがハマったアニメ映画の「応援上映」をいっしょに楽しんだりもしている。

クロ

奥村雪男と奥村燐といっしょに暮らす黒い猫又で、巨大化する時もある。燐とは一番のなかよし。犬の姿をした使い魔の悪魔の匂いをつけて来た燐を怪しみ、友達のマリィから浮気を疑えとの忠告を受ける。さらに雪男にも浮気疑惑が浮上した事から、勘違いして大暴れするなどそそっかしい一面がある。

マリィ

太ったヒマラヤンのようなルックスをしたクロの友達の猫で、世故に長けている。犬の姿をした使い魔の悪魔の匂いをつけて来た奥村燐についてクロに相談された際、それはよそに友達を作っている浮気だと忠告する。

ネイガウス

祓魔塾の教師を務める男性で、左目に黒い眼帯をしている。同僚の椿先生に体育・実技の授業を押し付けられて散々な失敗をしでかし、内心はらわたが煮えくり返っているものの、生徒の前ではあくまでもクールを装っている。

狛太郎 (こまたろう)

正十字学園の書庫の番兵をしている狛犬。正十字騎士団に勤めて42年で、正式な祓魔師ではないが、騎士団の名に恥じぬ気概を持って職務にあたっている。まじめな性格で部下への目配りも利く人格者の犬。仕事一辺倒だったため、無趣味。そんな狛太郎に解雇通知を渡す役目を、奥村雪男は雲隠シュラから押し付けられる事になる。

アンジェリーヌ

祓魔塾の講師を務める、お局様的な存在の年配の女性。ふだんから小言が多く、語尾に「ザーマス」と付ける話し方をする。講師の懇親会で酔っ払った講師達からからまれ、同じく酔っぱらった奥村雪男に助けられた事から、雪男に好感を抱くようになる。

加藤 ミノル (かとう みのる)

漫画家の若い男性。自分の漫画はキャラクターが弱いため、グッズ化されるようなキャラクターを思案中に、悪魔モードで歩いていた、耳が獣で角が生えた藤堂を見かける。数年後、その時の藤堂を「萌えキャラ」とした「おじやぎ!」という漫画が大ヒットしアニメ化される。のちにネタに行き詰まった際、夜の公園で酒を飲んでいた藤堂を見かける事になる。

藤堂 (とうどう)

気の弱そうな中年男性。元祓魔塾講師で、悪魔落ちしており、現在は祓魔師免許は剝奪されている。道端で加藤ミノルとぶつかった際、うっかり耳が獣で角が生えた悪魔モードで歩いており、ミノルに「萌えキャラ」っぽいおじさんを強烈に印象づける事になる。数年後に藤堂自身が図らずもモデルとなった「おじやぎ!」という漫画が大ヒットしアニメ化され、ゆるキャラとして人気を博す。のちに耳が羽となった姿で酒を飲んでいるところを、ミノルに目撃される。

使い魔の悪魔 (つかいまのあくま)

雲隠シュラの同僚の使い魔の悪魔。モフモフとした大型犬の姿をしており、垂れ耳で眉毛がまろ眉。奥村雪男と奥村燐が使い魔の悪魔をその同僚に届ける事になる。人間に従順という話だったが、激しく唸って、雪男の喉笛を狙うなど狂暴な性格。飼い主にだけは従順な事がのちに判明する。

山田 (やまだ)

正十字学園で奥村雪男と同じクラスの男子高校生。たまに女子高校生の恰好で学園に忍び込んでいる霧隠シュラに本気で惚れており、シュラに告白しプロポーズする。病的な巨乳好きという噂がある。

ライトニング

「四大騎士(アークナイト)」の一人で、上一級の祓魔師の男性。ボサボサ頭で、無精ひげを生やしている。クローゼットに巨大なキノコが生えている汚部屋に住み、弟子の勝呂竜士が片付けを担当している。

ビッグ父さん (びっぐとうさん)

子育てにスポットを当てた大家族のドキュメント番組に出演している男性。奥村燐に似て感情的で適当な発言が多く、その妻は奥村雪男のようにいい加減な事が許せない性格。それを受けて、雪男が自分と燐が夫婦、勝呂竜士達塾生が子供達という設定で、ビッグ父さんの家庭を妄想する事になる。

志摩 柔造 (しま じゅうぞう)

上二級仏教系祓魔師の男性で、志摩八百造の息子。志摩廉造と志摩金造の兄で、志摩家の跡取りでもある。手合わせが趣味で、志摩廉造にはいつも本気でかかって来る事を要求する。そんなワイルドな性格ながら、父親の志摩八百造に恥をかかせる事を恐れる繊細な一面もある。兄弟からは「柔兄」と呼ばれている。

志摩 金造 (しま きんぞう)

中二級仏教系祓魔師の男性で、志摩八百造の息子。志摩柔造の弟で志摩廉造の兄。柔造と行動を共にする事が多く、短気な性格で、特に廉造には厳しい。廉造からは「金兄」と呼ばれている。

志摩 八百造 (しま やおぞう)

京都出張所の所長を務める、上一級仏教系祓魔師の男性。「明陀宗」の僧正血統である志摩家の家長で、志摩柔造、志摩金造、志摩廉造ら五男二女の父親。顔の右側に入れ墨のような傷がある。イマドキのカフェメニューが横文字ばかりな事を嘆きながらも、宝生蟒に指南を仰ぎ、無事カフェデビューするに至る。

宝生 蟒 (ほうじょう うわばみ)

「明陀宗」の僧正血統である宝生家の家長の男性。スキンヘッドで首の後ろから側頭部を通り左目の下にかけて矢印状の入れ墨が入っている。イマドキのカフェの常連で、50歳近いにもかかわらず、マイタンブラー持参でカスタマイズまでこなす。娘達には「父様(ててさま)」と呼ばれている。

集団・組織・グループ

祓魔塾 (ふつまじゅく)

『青の祓魔師』で、主人公・奥村燐たちが通う悪魔を祓う祓魔師の養成機関。名門私立正十字学園の内部にあり、塾生たちは学園に通いながら放課後になると祓魔塾へと向かう。授業科目は悪魔薬学、悪魔学、体育・実技などさまざま。奥村雪男は悪魔薬学を担当している。他、塾生には勝呂竜士、三輪子猫丸、志摩廉造、杜山しえみ、神木出雲などがいる。

クレジット

ベース

青の祓魔師 (あおのえくそしすと)

悪魔と人間の間に生まれた奥村燐を中心に、祓魔師と悪魔との戦いを描く加藤和恵の代表作。 関連ページ:青の祓魔師

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