シャカの息子

シャカの息子

シャカの息子を名乗る謎の男により、平穏な村が翻弄されていくミステリー漫画。1980年代前半に「週刊少年ジャンプ」に掲載された作品だが、少年誌連載作でありながら完全なる悪の姿を描いた異色作。

正式名称
シャカの息子
ふりがな
しゃかのむすこ
作者
ジャンル
推理・ミステリー
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概要・あらすじ

将棋谷村に暮らす止夫栗田聖子は恋人同然の仲。しかし、聖子は家庭の事情から、東京に働きに出なければならないことになっていた。そんな時、「シャカの息子」を名乗る謎の男が2人に救いの手を指しのべる。彼が聖子の父親が作った借金を肩代わりしてくれたおかげで、聖子は東京行きを免れることになった。そんなシャカの息子の行動に、止夫は何か裏があるのではないかと疑念を抱く。

そしてほどなく、村で500万円もの大金がばら撒かれるという騒動が勃発。ことを起こしたのはシャカの息子であった。不可解な行動で村を騒がせ続けるシャカの息子だったが、その行動の裏には恐ろしい陰謀が隠されていた。

登場人物・キャラクター

止夫 (とめお)

将棋谷村に暮らす男子高校生。いつの間にか将棋谷村に住み着いたうえ、不可解な行動を取り続けるシャカの息子に不信感を抱き、その目的を探り始める。栗田聖子とは恋人同然の仲だが、シャカの息子の登場により、その関係に亀裂が入っていく。聖子が青木に襲われそうになった際には、危険を顧みず体を張って立ち向かうなど、勇敢で硬派な男性。 また、村を襲った謎の病が新型の恙虫病だと判った際には、村人たちを助けるため、芥川と一緒に村中を奔走した。水泳部のキャプテンで、カッパも同然と自負するほど水泳が得意。

シャカの息子 (しゃかのむすこ)

将棋谷村にやって来た、不思議な雰囲気を持つ謎の青年。中東の男性が着るカンドゥーラのような服を着ており、穏やかな性格と相まって、その佇まいはまるで神のようである。村のはずれにある大きな別荘に住んでおり、何をやっているのかは不明だが、100万円をはした金とうそぶくほどの財産を所有している。困っている人のためであれば、その財産を惜しげなく使う博愛主義者で、栗田聖子の父親が作った借金100万円を肩代わりし、聖子が高校へ通うための学費も援助した。 また、500万円もの大金をうっかり突風で飛ばされた際には、村に散らばった120万円が猫ばばされていたにもかかわらず、全額が無事に返ってきたと村人たちをかばうような嘘をついた。他にも新型の恙虫病により村が窮地に陥った際には、アメリカ空軍機を使ってワクチンを取り寄せ、その危機から村を救って見せるなど、その救世主的な行動により村人から絶大なる信頼を得る。 だが、それらの行動はすべて、村を乗っ取り、地下に核兵器を備えた軍事施設を建設するという壮大な計画を遂行するために行ったもの。その正体は、世界の歴史を裏で操ると噂される闇の組織「フリーゾーン」のリーダーであり、500万円が飛ばされた一件も意図的にやったことで、新型の恙虫病から村を救ったのも、村人の信頼を得るための自作自演であった。 その力は政界にも及び、現職の内閣総理大臣であっても逆らうことはできない。三つ子の姉妹のミキ、マキ、アキを従えている。

栗田 聖子 (くりた せいこ)

将棋谷村に暮らす、村一番の美少女。恋人関係にある止夫とは同い歳。しかし、父親が100万円の借金を作っており、経済的に苦しい家庭環境にあるため、高校には通えていない。そんな事情から東京に働きに出ることになっていたが、シャカの息子が借金を肩代わりしてくれたことでそれを免れた。さらに高校に通う費用のすべてもシャカの息子が援助してくれたおかげで、来春から高校に通えるようになった。 新型の恙虫病が村に蔓延した際には、栗田聖子自身もその病に侵され生死をさまようが、シャカの息子により命を救われる。止夫とは恋人同然の仲だが、ことあるごとに救いの手を差し伸べてくれるシャカの息子に心を奪われていく。晴彦という小さな弟がいる。

青木 (あおき)

将棋谷村に暮らす不良少年。受け口が特徴で、いつもくたびれた学生帽を被っている。自己中心的で野蛮な性格で、栗田聖子に横恋慕し、恋人関係にある止夫を目の敵にしている。聖子が東京へ発つ前夜、止夫に会うために外へ出た聖子を襲おうとした。乱暴者で喧嘩も強いが、泳げないと言う欠点を持つ。子分が2人いる。

三つ子の姉妹 (みつごのしまい)

シャカの息子に仕える三つ子の姉妹で、名前はそれぞれミキ、マキ、アキ。プロポーション抜群の金髪美女で、3人とも見分けがつかないほどそっくりな容姿をしている。シャカの息子を慕い、ボディーガードから身の回りの世話まで行う。女性でありながら、並みの男では太刀打ちできないほどの高い戦闘能力を持つ。

芥川 (あくたがわ)

将棋谷村で唯一の男性医師。献身的で村人からの信頼も厚く、ネクタイを緩めたYシャツ姿で往診に回っている。丸い団子鼻が特徴。将棋谷村に蔓延した謎の病が新型の恙虫病であることを突き止め治療に奔走するが、その過程で芥川自身もその病に侵されてしまう。新型の恙虫病が村に蔓延した原因について、シャカの息子に疑いの目を向けた止夫にとって、良き協力者となる。

三限 (みかぎり)

新聞社「昭和日報」の男性記者。新型の恙虫病から村を救ったシャカの息子のもとに、県知事が足を運ぶことを聞きつけて取材を行っていたところ、シャカの息子が企む地下軍事施設の開発計画を知ってしまう。また、シャカの息子が、闇の組織「フリーゾーン」との関わりがあることを知ったことで命を狙われるようになるが、シャカの息子と敵対するジョーに救われる。

ジョー

スパイの下請け会社「バーミューダークラブ」に所属する男性スパイ。ソ連の諜報機関に雇われてシャカの息子の動向を窺っており、隙あらばその命をも狙っている。華麗に着こなした白のスーツ姿と、極端に黒目の少ない三白眼が特徴。一目見ただけでは分からないが、その正体はクローン技術で大量に複製されたクローン人間であり、何度殺されても次から次へとやって来ることから、シャカの息子にその存在を恐れられている。

内閣総理大臣 (ないかくそうりだいじん)

日本の内閣総理大臣を務める男性。シャカの息子の正体と、彼が将棋谷村にやって来た本当の目的を知る唯一の人物。先の総裁選にて、シャカの息子に100億円もの援助を受けたこともあり、その負い目から彼に逆らうことができず、絶対的ともいえる従属関係にある。

集団・組織

フリーゾーン

核の力で世界を操ろうと企む闇の組織。リーダーはシャカの息子。犯罪シンジケートで得た莫大資金を使い、本格的な軍事力を得るために設立された。その背景から圧倒的な経済力を持ち、年間収益は40兆円を超えるといわれている。組織のシンボルマークは、黒い三角形の中に目が描かれた球体をコンパスで挟んだ、フリーメイソンを思わせる形となっている。

場所

将棋谷村 (しょうぎだにむら)

止夫らが暮らす田舎の小さな村。今でこそ平穏な村だが、昭和20年に恙虫病が蔓延し、85人もの死亡者を出している。村のはずれに「竜神の門」と呼ばれる鳥居があり、恙虫病にかかったものは、そこを100回くぐれば助かるという昔からの言い伝えがある。

その他キーワード

恙虫病 (つつがむしびょう)

恙虫に刺されることで発症する病気。全身に赤いまだらの発疹、筋肉痛、しびれ、目の充血、気管支炎などの症状が現れ、死にいたることも多い。治療にはクロロマイセチンが有効。過去に将棋谷村で蔓延した際には多くの死亡者を出している。再び将棋谷村で蔓延することとなった今回の恙虫病は新型で、クロロマイセチンでは対応できず、シャカの息子によれば、スピリット・マイセチンという日本にはない薬でしか治すことができないという。

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