概要・あらすじ
カフェーを1人で切り盛りする女主人・ベネット・クランリーは、ある日新聞にメイド募集の広告を出す。それに応募してきたのは若干13歳の少女・シャーリー・メディスンだった。メイドとしては幼すぎるものの、行くあてのない彼女を不憫に思い、ベネットはそのままシャーリーを住み込みメイドとして採用することにする。
ずぼらなベネットと真面目なシャーリーの関係は、穏やかで心地の良いものだった。日常の中で起こる、シャーリーの幼さやベネットの人間関係による様々な出来事が、19世紀イギリスを舞台に丁寧に描かれていく。
登場人物・キャラクター
シャーリー・メディスン
13歳のボブヘアーの少女で、メイド募集の広告を見てベネット・クランリーの屋敷にやってきた。採用後は住み込みで働くようになる。幼いながらも炊事、清掃をはじめとするメイド仕事は十分にこなし、裁縫や衣服のセンスについては特技と呼べるほどである。小さな体躯ながら、工夫や発想で仕事をやり遂げようとする熱意や向上心があるが、時にそれが空回りすることも。 また生真面目で頑固な完璧主義者の一面もあり、そのためか一度失敗すると気持ちを立て直すのに時間を要することもある。両親はおらず、以前は別の屋敷に勤めていたようだ。ベネットにプレゼントされた人形にマリーと名付け、暇を見つけては衣装づくりをしている。その様子を見たベネットによって、ドレスのリメイクなどを頼まれたこともある。
ベネット・クランリー
主人公シャーリー・メディスンの雇い主で、カフェーモナ・リザを切り盛りする女主人。ずぼらで抜けたところがあり、メイド募集の条件に年齢制限を書き忘れたため、他の屋敷では募集対象外であった13歳のシャーリーがやってきた。鳩のパテとティプシー・ケーキが好物で、それを作れるということでシャーリーを雇ったが、予想以上の働きぶりに「当たりを引いた」と言っている。 行くあてのない幼いシャーリーの過去を気遣い、人形を買い与えたりダンスを教えたりと、主人とメイド以上の関係を築いている。28歳独身。以前は婚約者がいたが、現在は婚約を解消している。
場所
モナ・リザ
グロスター通り82番に位置する、ベネット・クランリーが切り盛りするカフェー。以前は気が向いたときにだけ開く、早じまいするなど、気まぐれな営業をしていた。しかしベネットがメイドのシャーリー・メディスンを雇ってからは、朝9時から夜まで安定した営業をしている。ただ、利用年齢層が高いことや、ベネットの都合で客に営業の手伝いをさせるといった点は変わっていない。 カウンターに立つベネットの働きぶりは堂に入っており、美人女主人の店として評判。
その他キーワード
マリー
『シャーリー』に登場する人形。女主人ベネット・クランリーがメイドのシャーリー・メディスンに買い与えたロングヘアーの少女の人形。シャーリーによってマリーと名付けられた。シャーリーは、暇を見てはマリー用の衣装を制作しており、ベネットから「この家で一番の衣装持ちかもしれない」と言われた。 シャーリーがベネットからもらった給金で初めて買ったものはマリーの靴だった。これだけは裁縫が得意なシャーリーにも作れなかったようだ。首にシャーリーの給金が入った巾着を下げている。