あらすじ
超高性能メイド型ロボット「オーダーメイド」は、その汎用性の高さとかわいい見た目から全世界で大ヒットしていた。今やオーダーメイドがいない家の方が珍しい時代に、平凡人(ボンド)はオーダーメイドを持っておらず、友人の金尾モツオに仕えるメイコを羨ましがる様子を、モツオや我知ゴリラ(ガチゴリラ)にからかわれる日々を送っていた。そこでオーダーメイドが欲しいとママに必死になって頼み込んだところ、一番安いものならと許可が出る。期待に胸を膨らませていたボンドのもとに届いたのは、一般的なオーダーメイドとはかけ離れた容姿のロボコだった。ロボコは料理や掃除といった家事がまったくこなせず、挙げ句の果てにはロボコが散らかした部屋が原因で、ボンドはママに叱られてしまう。ボンドはロボコに対して暴言を吐いて家を飛び出してしまうが、トラックに轢(ひ)かれそうになったところを駆け付けたロボコに助けられる。これによりボンドはロボコに謝り、ロボコは平家のオーダーメイドとして改めて迎え入れられるのだった。(第1話「ボンドとロボコ」)
モツオの日常は、早朝から夕方まで語学、茶道、バイオリンなどのスケジュールがぎっしり詰まっている。それでもボンドやガチゴリラと遊ぶ時間を作るため、モツオはすべての予定を半分の時間で終わらせると豪語する。努力を惜しまないモツオの姿を、メイコは心配そうに見守っていた。モツオは本来、父親の意向で海外の小学校に通う予定だったが、全国模試で1位を取り続ける限りバミューダ小学校に通うことを許可するという父親との約束を守っていた。中学校からは海外に進学する予定のモツオにとって、ボンドたちと同じ小学校に通える今はかけがえのないものだった。その日もなんとか課題をこなしてボンドたちのもとに向かおうとするモツオだったが、父親から人工衛星の理論軌道の方程式を解くまで外出を禁止されてしまう。あまりにも難解な課題に、解けるわけがないと泣き崩れるモツオ。主人の力になれないことを悩むメイコの脳裏に浮かんだのは、ロボコに教わったモツオを元気づける方法だった。(第12話「モツオとメイコ」)
ある月曜日、モツオとガチゴリラが学校へ向かうと、登校中のボンドがおはようと声をかけてくる。いつもと変わらない朝の風景。そう考えていたモツオとガチゴリラが目撃したのは、なぜかズボンを履いていないボンドの姿だった。さらに、ふだんの月曜日なら「週刊少年ジャンプ」を読みながら登校するボンドの手には「ジャンプ」がなかった。それもそのはず、先週は合併号だったことから、その日は発売されていなかったのだ。月曜日の朝に「ジャンプ」を読むことが習慣となっているボンドは、「ジャンプ」が読めない月曜日には寝坊や些細(ささい)なミスを重ねてしまう。そのことに気づいたモツオとガチゴリラは、学校に着くまでボンドのパンツを隠しとおしつつ、ボンドに気づかれることなくズボンを履かせることを決意する。メイコの協力も得て、背後からせまる円や我知ルリからボンドの姿を隠し続けるガチゴリラ。一方でモツオは、その頭脳から導き出した計算で、ロボコがズボンを届けに飛来するタイミングをうかがう。ついにロボコの姿を確認した二人は、ズボンを履かせるための作戦を実行に移す。(第25話「ズボンとボンド」)
オーダーメイドだけで結成されたアイドルグループ「ODM48」の新メンバー募集オーディションが気になるロボコ。家族が勝手に応募したことにしたいロボコは、ボンドに応募用紙を送るよう頼む。結果としてロボコは書類審査で落選するが、いっしょに応募させたメイコが受かり、その付き添いとしてオーディション会場に同行することになる。一方、会場を視察するプロデューサーは、集まった応募者たちに満足しつつも、究極のガールズグループを作るには何かが足りないと感じていた。その時プロデューサーの目に留まったのは、廊下で歌い踊るロボコの姿だった。書類審査で落とされたから関係者にアピールしていると恨めしそうに言うロボコに、プロデューサーは合格を言い渡す。そして、ODM48のセンターとして華々しくデビューしたロボコは、これまでいなかったアイドルとして一躍スターになる。連日のようにテレビに出演し、多くの雑誌の表紙を飾るロボコ。ボンドはがんばるロボ子を応援していたが、一向に家に戻ってこないロボコに対し、寂しさを覚え始める。(第37話「アイドルとロボコ」)
3年前、小学2年生の時にボンドはバミューダ小学校に転校して来た。父親の転勤が理由で転校が続いていたボンドは、今度こそ友達を作ると意気込む。円をはじめとするクラスメイトとすぐに打ち解けるボンドだったが、モツオとガチゴリラはその様子を睨(にらみ)みつけていた。当時の二人は、有名な悪童としてクラスの嫌われ者だった。ボンドはクラスメイトから二人に近寄らない方がいいと忠告されるが、悪い人には思えないと言い張ってモツオとガチゴリラにつきまとうようになる。そんなボンドを疎ましく思ったモツオとガチゴリラは、ツチノコを見たからいっしょに探そうとボンドを誘う。これはボンドを遠ざけるためのウソで、騙(だま)されれば二度と自分たちに近寄らないだろうと考えてのことだった。モツオとガチゴリラはかつて、友達が自分の陰口を叩いているのを目撃して以来、他人を信じられなくなっていた。しかし、約束の場所で二人を待ち続けるボンドを遠くから見たモツオとガチゴリラは、自分たちがしていることへの罪悪感に苛(さいな)まれる。(第49話「二人とボンド」)
パロディネタ
本作『僕とロボコ』はさまざまな作品のパロディを扱っているが、コミックスの表紙も他作品のパロディによって描かれている。『僕とロボコ』の第1巻の表紙は、藤子・F・不二雄の『ドラえもん』の第1巻の表紙イラスト。第2巻の表紙は、尾田栄一郎の『ONE PIECE』の第61巻の表紙イラスト。第3巻の表紙は、出水ぽすかの『約束のネバーランド』の「週刊少年ジャンプ」2017年8号の表紙のイラスト。第4巻の表紙は、芥見下々の『呪術廻戦』の第4巻の表紙イラスト。第5巻の表紙は、堀越耕平の『僕のヒーローアカデミア』の第1巻の表紙イラストのパロディとなっている。
コラボレーション
本作『僕とロボコ』の作者、宮崎周平が、芥見下々の『呪術廻戦』の大ファンだったことに加え、作中でも『呪術廻戦』のパロディを多く扱っていたことから、TVアニメ版『呪術廻戦』とコラボレーションしたPV『TVアニメ「呪術廻戦」EDテーマ踊ってみた/EDテーマ:ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」【JC『僕とロボコ』2巻発売記念】』が作成され、YouTubeの「ジャンプチャンネル」で公開された。このPVは原画や背景、特殊効果などをすべて宮崎周平が担当している。
テレビアニメ
2022年テレビアニメ化。12月4日より「3分間アニメ」としてテレビ東京系列で翌2023年6月19日まで放送。監督は大地丙太郎、アニメーション制作はぎゃろっぷ。主人公のロボコを松尾駿(チョコレートプラネット)、平凡人を津田美波が演じる。
登場人物・キャラクター
ロボコ 主人公
超高性能メイド型ロボット「オーダーメイド」。新たに平凡人(ボンド)の家に仕えることになった。ただし、周囲がそう思っているだけで、本当にオーダーメイドなのかどうかは不明。丸い顔に丸い鼻、黒髪のツインテー... 関連ページ:ロボコ
平 凡人 (たいら ぼんど)
バミューダ小学校に通う5年生の男子。丸眼鏡をかけている。仲のよい友人からは「ボンド」と呼ばれている。勉強もスポーツも苦手で、これといった取り柄のない平凡な少年。くせっ毛に悩んでいるため、父親からもらった帽子を愛用している。ロボコのツッコミ役を担うことが多いが、他人を思いやる優しい性格の持ち主。「週刊少年ジャンプ」をこよなく愛しており、学校に持っていく鞄(かばん)には教科書を入れずに「ジャンプ」を詰め込み、親友の金尾モツオや我知ゴリラと共に読みふけっている。合併号となり、「ジャンプ」が読めない期間が長くなると途端にポンコツになる。
ママ
平凡人(ボンド)の母親。ボンド同様に丸眼鏡をかけている。なぜかいつも片手に刃物を持っており、多くの場合は包丁を所持している。一般的な超高性能メイド型ロボット「オーダーメイド」とかけ離れた見た目のロボコや、ライオン疑惑のあるニョンタをすぐに受け入れるなど、非常におおらかな性格をしている。ボンドがかかわるエッチなことに敏感で、その雰囲気を感じ取ると鬼気せまる表情で駆け込んで来る。我知ゴリラの母親である我知ルコとは高校時代の同級生にして親友で、共にバレーボールチーム「バミューダツインテールズ」に所属している。
ニョンタ
ロボコが拾ってきた猫。タテガミがあり、尻尾の先にも立派な毛が生えていることから、平凡人には実はライオンなのではないかと考えられている。二足歩行でき、鳴き声は「ニョン」。最初はロボコからの過剰な愛情を嫌がっていたが、次第に打ち解け、ロボコのことを妹分と考えるようになる。ロボコのことを頑張り屋と認めているが、超高性能メイド型ロボット「オーダーメイド」にしては失敗ばかりで、いずれ捨てられてしまわないかと心配している。その影響もあってロボコの代わりに洗濯物を取り込んだり、洗い物をしたりすることがある。
我知 ゴリラ (がち ごりら)
バミューダ小学校に通う5年生の男子。平凡人(ボンド)の同級生。仲のよい友人からは「ガチゴリラ」と呼ばれている。金尾モツオを含めた三人でよくいっしょに行動し、モツオと共によくボンドをからかっている。一見するといじめっ子のようだが、実際は友人思いで、その発言はボンドの成長を願う優しさにあふれている。名は体を表すと言わんばかりにゴリラのような顔立ちで、語尾に「ウホ」を付ける口癖があり、大きく「ゴ」と書かれたTシャツを着ている。実家は動物病院を経営しており、五人兄弟の長男。驚異的な腕力を誇ると共に、ロボコに投げ飛ばされたり地面に埋められたりしても耐えられるほど打たれ強い。また、野球チーム「バミューダゴリラーズ」ではエースで4番を務めるなど、運動能力も高い。しかし非常に心優しい性格で、陰口や暴力を嫌っている。また、ボンドの家を訪れる時には、モツオと共にシュークリームなどの手土産を持参するなど、礼節をわきまえている。通常時のロボコをかわいいと感じている数少ない一人。
金尾 モツオ (かねお もつお)
バミューダ小学校に通う5年生の男子。平凡人(ボンド)の同級生。我知ゴリラを含めた三人でよくいっしょに行動している。ワイシャツに蝶ネクタイとサスペンダーを身につけていることが多い。超が付くほどの大金持ちだが、それをひけらかすようなことはない。本来は海外の小学校に通う予定だったが、全国模試で1位を取り続けているあいだはバミューダ小学校に通ってもいいという約束を父親から取り付けた。この約束に加えて、さまざまな習い事を過酷なスケジュールでこなしているが、それをボンドやガチゴリラには秘密にしており、二人と交友する時間を何よりも大切にしている。容姿端麗で、バミューダ町のイケメン金持ち小学生グループ「バミュ4」の一人に数えられている。
メイコ
最新式の超高性能メイド型ロボット「オーダーメイド」。金尾モツオに仕えている。目標のために努力を惜しまず、オーダーメイドに対して愛情をもって接するモツオのことを心から敬愛している。ロボコとはよくLINEでやり取りをする中で、モツオを笑顔にすることが多いロボコにあこがれている。非常にまじめな性格で、休みの日にはロボコに「押忍!!クソ男飯!!」の作り方や、膝の鍛え方を習いに来たりしている。
円 (まどか)
バミューダ小学校に通う5年生の女子。平凡人(ボンド)の同級生。読者モデルも務めている美少女で、クラスのアイドル的な存在。ボードゲームが非常に強く、過去に囲碁や将棋、チェスなどのネットボードゲーム界では「ボドゲの女王・マッド」の異名と共にレーティングトップを独占し、無敗のまま姿を消した過去がある。そのことに気づいたロボコとは、ボードゲームを通じてなかよくなる。何かに集中して感情が高まると、顔の画風が変化する。集中する内容によって顔つきも変わり、ボードゲーム中はギャンブル漫画に登場しそうな顔に、肝試し中はホラー漫画に登場しそうな顔に、渓流釣り中は釣り漫画に登場しそうな顔になるが、そのことに円自身は気づいていない。オバケをはじめ怖いものが苦手で、アウトドアを得意としている。ボンドのまじめで友人思いな優しい性格に惹(ひ)かれている。
我知 ルリ (がち るり)
我知ゴリラの妹。我知家の長女で、年齢は10歳。ベレー帽をかぶっている。小さい頃に尾田栄一郎の『ONE PIECE』を読んだことがきっかけで漫画を描き始め、尾田栄一郎にあこがれている。かつて漫画を描いていることを学校の男子にからかわれたことがあったが、その漫画を読んだ平凡人(ボンド)が面白いと言ってくれたことが励みになっている。それ以来、ボンドに恋心を抱くようになった。意外と力持ちで、ボンドに好意があることを他人に指摘されそうになると、相手を力ずくで地面に埋めたり振り回したりする。ロボコを恋愛の師匠として慕う一方、漫画家としてはロボコのよき先輩でもある。
我知 ルコ (がち るこ)
我知ゴリラと我知ルリの母親。我知動物病院を経営する獣医師を務めている。ママとは高校の同級生で、いっしょにバレーボール部に所属していた。口調はややきついが優しい性格で、ママからは「ルッコ」と呼ばれている。現在はママと共にバレーボールチーム「バミューダツインテールズ」に所属している。
モテ杉 シュン (もてすぎ しゅん)
バミューダ小学校に通う5年生の男子。平凡人(ボンド)の同級生。ドラマや映画に引っ張りだこの天才子役ということもあり、忙しすぎてあまり学校に通えていない。イケメンかつ頭脳明晰(めいせき)でスポーツ万能と非の打ち所がないが、有名子役であることを理由に必要以上に気を使って接する周囲に困っている。母親からは漫画やゲーム、外で遊ぶことなどを禁止されていたが、そんな時に気兼ねなく遊びに誘ってくれたのがボンドだった。これをきっかけにボンドたちとなかよくなるが、初めてできた友人に舞い上がってしまう。特に自分に声をかけてくれたボンドとは異常に近い距離間で接するようになる。
浦原 アカネ (うらはら あかね)
バミューダ小学校に通う5年生の女子。平凡人の同級生。ボーイッシュでクールな性格ながら、クラスで一、二を争う美人で男子からの人気は高い。我知ゴリラ(ガチゴリラ)が、浦原アカネ自身の失敗をかばって恥をかいてくれたことがあり、それ以来ガチゴリラに思いを寄せている。ガチゴリラに対してはバレンタインにチョコレートを渡したり、自宅で勉強を教えたりしているが、その好意にガチゴリラは気づいていない。「死神ちゃん」というアニメのキャラクターが好きでグッズも集めている。また、オカルトに興味があり、黒魔術に詳しい。家で飼っている愛猫「マカロン」はニョンタの子分。
芹澤 岳 (せりざわ がく)
ネイチャーライターを生業としている男性。1年の半分以上を山の中で過ごしている。髭面(ひげづら)で中年に見えるが、年齢は20歳。3メートル近い体長に500キロを超える体重の巨大熊「熊八」に襲われた際、ロボコに救われる。「ロボコ砲」を受けて優しい気持ちを取り戻した熊八とは、その後なかよくしている。テント設営や山菜採り、渓流釣りなど、アウトドア関係の知識が豊富で、自分が所有する山に平凡人たちを招いてキャンプ体験をプレゼントしたことがある。
Dr.モッコス (どくたーもっこす)
謎の科学者の男性。右目にモノクルを付け、白い髭を生やし白衣を身につけている。ロボコのことを「最強兵器」と評し、カニオと共にロボコを倒すために何度も戦いを挑んでいるが、いつもあっさり撃退されている。
カニオ
Dr.モッコスに造られたと思われるカニ型ロボット。ロボコに挑むたびに力技で地面に埋め込まれているほか、我知ゴリラの平手打ちで吹き飛ばされたこともあるが、エネルギー切れ状態のロボコに勝てる程度の能力はある。
ロボミ
ロボコの妹。一般的な超高性能メイド型ロボット「オーダーメイド」のようなかわいらしい見た目をしている。突然いなくなったロボコを探して平凡人の家を訪れた。ロボコに対する態度が非常に厳しく、その厳しさはロボコが泣きわめいて逃げ回るほど。厳しく接する理由は、ロボコが返品されるたびに荒(すさ)む様子を見ていられなかったからで、心を鬼にしてロボコを立派なオーダーメイドにしようと考えていた。しかし、その後も返品が続いた結果、ロボコは戦場に出て行方不明になったという過去がある。
2年目 (にねんめ)
集英社の「週刊少年ジャンプ」の編集者を務める男性。仕事のクオリティが入社1年目から2年目くらいの新人ぽいことから、「2年目」と呼ばれているが、実際は入社4年目。我知ルリの担当編集を務めているが、盗作をして集英社の地下施設で強制労働させられるなど、倫理観に欠ける一面がある。
書誌情報
僕とロボコ 19巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2020-11-04発行、 978-4088825090)
第5巻
(2021-10-04発行、 978-4088827605)
第9巻
(2022-08-04発行、 978-4088831961)
第10巻
(2022-10-04発行、 978-4088832906)
第11巻
(2022-12-02発行、 978-4088833378)
第12巻
(2023-03-03発行、 978-4088834320)
第13巻
(2023-06-02発行、 978-4088835549)
第14巻
(2023-08-04発行、 978-4088835907)
第15巻
(2023-11-02発行、 978-4088836898)
第16巻
(2024-01-04発行、 978-4088837963)
第17巻
(2024-04-04発行、 978-4088838793)
第18巻
(2024-07-04発行、 978-4088841274)
第19巻
(2024-09-04発行、 978-4088841663)