あらすじ
絢音と琉世の出会い
恋も仕事もうまくいかない橋本絢音は深酒をし、今泉琉世が経営するチョコレート専門店「ショコラティエ ブリューム」の前で嘔吐してしまう。その縁で絢音は琉世が作るチョコレートの味にすっかり魅了され、何かと彼に付きまとうようになる。ドSな琉世は絢音に辛辣な態度を見せつつも、二人はチョコレートを通じて心を通わせていく。さらに、シングルマザーの永野美優妃や売れないお笑い芸人の恩田丞太郎も二人とかかわるようになり、「ショコラティエ ブリューム」はにぎわいを見せる。
ルメールとの再会とコンクールの優勝を巡る熾烈な争い
今泉琉世を異性として意識するようになった橋本絢音の前に、琉世の元恋人の紗良が現れる。紗良はフランスで最も有名なチョコレートブランド「グーデュマレ」で、日本人唯一のショコラティエとして働いていた。紗良は、琉世に自分といっしょに働かないかとスカウトをする。琉世は悩むことなく断るものの、紗良から世界の有名ショコラティエが集うコンクール「サロンデュショコラ」に出場しないかと誘われ、出場を快諾する。出場にあたり、琉世は自身の最大のライバルでもあるディティエ・ルメールと再会し、静かに闘志を燃やす。こうしてサロンデュショコラ開催の日を迎えるが、手伝いをするはずだったスタッフがインフルエンザに感染してしまい、代わりに絢音が参加することになる。
登場人物・キャラクター
橋本 絢音 (はしもと あやね)
不動産会社に勤務する会社員の女性で、年齢は28歳。仕事も恋もうまくいかず、居酒屋で課長から長々と説教を受けたあとに、深酒をして気分が悪くなり、今泉琉世が経営するチョコレート専門店「ショコラティエ ブリューム」の前で嘔吐したことから、琉世と知り合いになる。その際に琉世からもらったチョコレートの味に魅了され、以降何かと琉世に付きまとうようになる。非常に明るく人懐っこい性格で、失敗しても何度も立ち上がる芯の強さを秘めている。琉世と初対面の際、店頭で激しく嘔吐していたことから、彼からは「カエル女」と呼ばれている。
今泉 琉世 (いまいずみ りゅうせい)
東京都世田谷区にあるチョコレート専門店「ショコラティエ ブリューム」を経営しているショコラティエの男性。深酒した橋本絢音が店頭で嘔吐し、介抱したことをきっかけに絢音と知り合いになる。以降、今泉琉世が作るチョコレートの味に魅了された絢音に、何かと付きまとわれるようになる。絢音に対しては辛辣な発言を繰り返しているが、嫌っているわけではなく、店が忙しいときは手伝いを依頼するなど信頼している。容姿端麗のクールな外見をしており、ドSな性格の持ち主。フランス料理界では、最高峰の称号であるM.O.F.(国家最優秀職人章 ショコラティエ部門)を得た過去を持つ。3年前までパリの一流店「ショコラティエ バルテュス」で、ディティエ・ルメールと共にシェフショコラティエを務めていた。しかし、ルメールより早くM.O.F.を得たことによって嫉妬され、琉世自身が開業していたチョコレート専門店を放火されるなど激しい嫌がらせを受け、志半ばで日本に帰国することになった。自らが作ったチョコレートの味で、他人を屈服させることに喜びを感じている。
恩田 丞太郎 (おんだ じょうたろう)
WEB上で「丞太郎のじょう散歩」という番組を配信している、お笑い芸人の男性。街歩きをし、偶然立ち寄ったスイーツ店に突撃取材するのが定番の流れになっている。偶然、今泉琉世が経営するチョコレート専門店「ショコラティエ ブリューム」に立ち寄った縁で、橋本絢音や琉世と知り合いになる。以降、絢音からは都合よく扱われ、琉世からは下僕扱いされるようになる。現在はぽっちゃりとした体型ながら、元サッカー選手で、イタリアのプロチームに所属していた。しかしチームの環境に恵まれず、思うように結果が出せないことにストレスが溜まり、イタリア産のチョコレートを暴食したことで太り、チームを解雇された過去を持つ。既婚者で、最近第一子が生まれたばかり。
新木 勇一 (あらき ゆういち)
テレビ局でプロデューサーとして働く男性で、年齢は40歳。以前に恩田丞太郎と仕事をしたことがあり、その縁で丞太郎から今泉琉世を紹介された。ディティエ・ルメールの密着ドキュメントを制作しており、琉世をライバル視するルメールのあいだで板挟みになり、心労を重ねている。3年前にフランスのパリにある一流店「ショコラティエ バルテュス」で、琉世とルメールがシェフショコラティエを務めていた際、偶然店に立ち寄り、そのチョコレートの味に感動した過去を持つ。
ディティエ・ルメール
フランス出身の有名ショコラティエの男性。日本にも自分の店舗を出すことになり、来日した際、今泉琉世が経営するチョコレート専門店「ショコラティエ ブリューム」に立ち寄った。その際に偶然店にいた橋本絢音と顔見知りになる。3年前までパリの一流店「ショコラティエ バルテュス」で、琉世と共にシェフショコラティエを務めていたが、琉世の方がディティエ・ルメールよりも早く、フランス料理界最高峰の称号であるM.O.F.(国家最優秀職人章 ショコラティエ部門)を得たことに嫉妬し、激しい嫌がらせを繰り返す。琉世が日本に帰国してからも彼を強くライバル視しており、顔を合わせるたびに辛辣な言葉を口にしている。
紗良 (さら)
フランスで最も有名なチョコレートブランド「グーデュマレ」で、日本人唯一のショコラティエとして働いている女性。今泉琉世を「グーデュマレ」のショコラティエにスカウトすべく、日本を訪れたことで橋本絢音と顔見知りになる。艶やかな黒髪のロングヘアの美女で、サバサバとした性格の持ち主。琉世が3年前にパリの一流店「ショコラティエ バルテュス」に勤務していた時からの付き合いで、一時は交際しており、ディティエ・ルメールからの嫌がらせを受けていた琉世を励ました。
課長 (かちょう)
橋本絢音と同じ不動産会社に勤務する中年男性で、絢音の直属の上司にあたる。何かにつけて絢音をバカ扱いするなど、非常に口が悪い。その一方で、絢音の明るい性格や才能を誰よりも高く評価している。つねに厳しいことを口にするのは、取り引き先に細かなタイプの担当者が多いため。
久保 隼太 (くぼ はやた)
橋本絢音と同じ不動産会社に勤務する青年。営業成績は社内トップで、人事異動によって絢音が勤務している支店にやって来たことをきっかけに、絢音と知り合いになる。絢音の明るさに心惹かれ、仕事はもちろんプライベートでもかかわりたいと、積極的なアプローチを繰り返している。爽やかで都会的なルックスに加えて、優しく穏やかな性格であることから、女性から非常にモテる。しかし現在は彼女がおらず、社内の女子社員のあいだでは久保隼太争奪戦が起こっている。
永野 美優妃 (ながの みゆき)
橋本絢音と大学時代に親しくしていた女性で、年齢は28歳。勤務している会社の研修に参加した際、絢音が偶然同じ会場にいたことで再会する。大学時代はミスコンテストで優勝したほどの美貌を誇る。気が強く思い込みの激しい性格で、初対面の今泉琉世に対しても悪気なく嫌みな発言をし、以降彼から「よく吠える小型犬」だと認識されるようになる。5歳の息子を一人で育てているシングルマザー。
クレジット
- 原作
-
花形 怜