あらすじ
舞台となるのは19世紀後半1880年の英国。由緒ある英国貴族・ジョースター家の当主ジョースター卿は、かつて九死に一生を得た事故の現場で出会った男・ダリオ・ブランドーを命の恩人と勘違いしていた。
侵略者ディオ・ブランドー(1巻)
ジョースター卿はダリオ・ブランドーの恩に報いるためダリオの息子であるディオ・ブランドーをやがては養子にするために迎え入れ、実子の一人息子ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)と共に育てる。それまで紳士となることを目指し不自由ない暮らしを送っていたジョジョの生活は「侵略者」ディオの出現で一変。ディオはジョースター家の乗っ取りを目論見、事あるごとにジョジョを陥れ、敵対心を露わにする。
ディオは、ジョジョの初恋の相手であるエリナ・ペンドルトンの唇を奪うが、激昂したジョジョの爆発的なパワーに逆襲され、手痛いダメージを受ける。ジョジョはディオの度重なる策略に対応することで、いつの間にか精神的にも肉体的にも成長していたのだ。
石仮面(2巻)
それから7年。共に大学生となったジョジョとディオは、表面的には友情で結ばれていたが、依然ディオは野心を秘め、ジョジョの殺害を計画。しかし、その企みをロバート・E・O・スピードワゴンとジョジョに暴かれ、逮捕される寸前、考古学を専攻するジョジョが研究していた古代アステカの石仮面によって、不死身の吸血鬼に変貌して逃走する。
さらに吸血鬼の犠牲となった者を屍生人(ゾンビ)とすることで、配下を増やしていく。一方、ジョナサンは、石仮面の秘密を知るウィル・A・ツェペリと出会い、吸血鬼や屍生人に対抗し得る「波紋」と呼ばれる特殊能力を習得。
それにより、ジョナサンとディオは、戦う運命へと導かれていく。宿命の敵ディオとの因縁の戦いに決着をつけるため、炎に包まれてゆくジョースター邸の中で、自らの命をかけディオに立ち向かっていくジョナサン。壮絶なる戦いがついに決着の時を迎え、ディオは滅びたかにみえた。しかし、石仮面が作り出した不死身の魔物であるディオの悪なる魂と肉体は生きていた。
切り裂きジャックと奇人ツェペリ(3巻~4巻)
ウィンドナイツ・ロットにディオがいるとの情報をつかんだジョジョの前にゾンビと化した、殺人鬼切り裂きジャック、古の英雄ブラフォードなどの強力な敵が立ちふさがる。次々と撃破していくが、伝説の騎士・タルカスとのチェーン首輪デスマッチに苦戦するジョジョ。そんなジョジョを救うことが自らの運命と信じツェペリはタルカスと対峙する。ツェペリから残された生命エネルギーの全てを注がれたジョジョタルカスを撃破し、ツェペリの仲間の波紋戦士ダイアーとストレイツォ、そしてツェペリの師であるトンペティと合流し、ディオとの最終決戦に挑む。
ディオとの戦いが終わり1889年2月にエリナと結婚したジョジョは豪華客船による新婚旅行へ旅立つ。そこへ突然、首だけになって生きていたディオが現れる。ディオは復活するためにジョジョの肉体を乗っ取ろうとする。ゾンビのあふれる船内で、ディオからの攻撃を受け、致命傷を負ったジョジョは、渾身の力を込めた波紋を放ち、ディオ共々船を爆破させようとする。脱出したエリナの胎内には、ジョジョの子が宿っていた。それはさらなる数奇な物語の始まりでもあった。
登場人物・キャラクター
ジョナサン・ジョースター
作中では主にジョジョと呼ばれる。英国貴族であるジョースター家の一族で、ジョースター卿の一人息子。少年のころより正義感の強い性格。ジョースター家に引き取られた同い年のディオ・ブランドーと共に育てられるが、財産の独占を狙う彼によって執拗な嫌がらせを受ける。 その後、大学の卒業が近いころには、身長195センチの体格に恵まれ、精神的にも成長。専攻は考古学で、父の所有する石仮面を研究している。しかし、その石仮面に秘められた能力により、ディオ・ブランドーが吸血鬼に変貌。それによって起きた惨事で父を失い、ジョースター邸も全焼する。そして石仮面の謎を知るウィル・A・ツェペリの導きで「波紋」と呼ばれる力を身につけ、仲間と共にディオ・ブランドーと、その配下の屍生人を打ち砕いた。 1889年2月2日には、少年時代に恋仲となり、ジョースター邸全焼の際に再会したエリナ・ペンドルトンと結婚。しかし新婚旅行としてニューヨークへ向かう洋上にて、首だけとなって生き延びていたディオ・ブランドーの襲撃を受け、自身を犠牲にして妻と船内にいた赤ん坊を救出した後、ディオ・ブランドーと運命を共にして死亡する。
ディオ・ブランドー
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』の登場人物であり、主人公ジョナサン・ジョースターの仇敵。ロンドンの貧民街に育ち、極めて強い上昇志向を持つ。父の死後にジョースター家に迎え入れられるだけでは飽きたらず、全財産の乗っ取りを画策。ジョースター家の実子であるジョナサン・ジョースターに対しては執拗な嫌がらせを繰り返した。 また、ジョースター卿も一目置くほどの礼儀作法を身につけているが、ジョナサン・ジョースターにケンカで負けた報復として、彼の愛犬であるダニーを焼却炉で焼き殺すなど、本性は陰湿かつ残忍。その後、大学の卒業が近いころにはジョナサン・ジョースターと表向きには友好的であったが、その裏ではジョースター卿の毒殺を計画。 真相に迫ろうとするジョナサン・ジョースターをも、彼の研究する石仮面の仕組みを利用して殺害しようと企む。しかし石仮面が人間を不死身の吸血鬼へと変貌させることを知り、すべての策謀が露呈して追い詰めらた際に自ら吸血鬼となる。さらに人間の精気を吸うことで生み出す屍生人の配下を増やし、人類の頂点に立つことを目的とするようになった。 不死身の能力に加えて、気化冷凍法や、空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)など、人間には不可能な必殺技を使う。
ウィル・A・ツェペリ (うぃる・あんとにお・つぇぺり)
生命エネルギーを高める特殊な技術である「波紋」の達人で、ジョナサン・ジョースターの師匠。派手なシルクハットに口ひげという身なりで飄々とした言動の男。かつては父に同行して遺跡の発掘を行っていたが、メキシコで彼が発掘した石仮面によって父が吸血鬼と化し、調査団のメンバーを殺害した後に太陽光を浴びて消滅。 そのため行方不明となった石仮面の探索に執念を燃やし、同時に吸血鬼への対抗策を模索していた。その過程で波紋の力と出会い、トンペティのもとで修行を積む。高い身体能力に加え、様々な波紋のテクニックに特に長けており、必殺技の波紋カッターをはじめ、様々な波紋の応用を見せている。 師のトンペティにはある状況で死を迎える予言をされており、巨漢の戦士タルカスとの対峙がその予言の状況と一致していることを知るが、運命を受け入れて戦い、鎖で体を真っ二つにされて敗北。しかしジョナサン・ジョースターに究極奥義である「深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)」によって残された生命エネルギーの全てを注ぎ、タルカスとの戦いを勝利に導いた。
エリナ・ペンドルトン
ジョナサン・ジョースターの妻となる女性。少女時代にいじめっ子からジョナサン・ジョースターに助けられ、やがて相思相愛の仲となる。しかし、ジョナサン・ジョースターを精神的に追い詰めようとするディオ・ブランドーにより強引にファーストキスを奪われてしまう。 その際にあえて泥水で唇をすすぐことで高潔さを示した。この件が原因でジョナサン・ジョースターとしばらく離れることになるが、7年後には看護師の職に就いており、ディオ・ブランドーが吸血鬼と化した事件によって重症を負ったジョナサン・ジョースターを献身的に看護。その再会がきっかけとなり、1889年2月2日にジョナサン・ジョースターと結婚。 エリナ・ジョースターとなる。しかし新婚旅行でニューヨークへと向かう洋上にてディオ・ブランドーに襲撃を受け、死の際のジョナサン・ジョースターに、船内に残された赤ん坊を助けるよう使命を託される。数日後にカナリア諸島沖にて無事に救出され、その時点でジョナサン・ジョースターの子を身ごもっていたため、ジョースター家の血統は続いていくこととなる。
ロバート・E・O・スピードワゴン
ジョナサン・ジョースターの友人。もとはロンドンの貧民街である食屍鬼街(オウガーストリート)を取り仕切っているチンピラ。大金槌と、つばの部分に刃が仕込まれたハットを武器にする。ジョナサン・ジョースターがディオ・ブランドーに毒薬を売った男を探すためにやって来た際、ナイフ使いの男と拳法使いの東洋人と共に彼を襲撃するが、自分のような者にも「親を悲しませたくない」という理由で手心を加える性根に惚れ込み、行動を共にするようになる。 人生経験からジョナサン・ジョースターに助言を与えたほか、ディオ・ブランドーの気化冷凍法によって凍結したウィル・A・ツェペリの腕を凍傷になることを顧みずに体温で解凍するなど、体を張って仲間をサポートすることもあった。 なお、ウィル・A・ツェペリの死後は、その形見であるシルクハットを身につけている。
ジョースター卿 (じょーすたーきょう)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』の登場人物で、ジョナサン・ジョースターの実父。伝統ある英国貴族であるジョースター家の当代当主。ジョナサン・ジョースターが赤子のころに一家を乗せた馬車が事故に遭い、妻のメアリを亡くす。その事故現場で遭遇したダリオ・ブランドーを、実は金品を漁っていたと知りながら命の恩人と認め、彼の息子であるディオ・ブランドーが身寄りをなくしてから、養子とするために迎え入れた。 それ以来、マナーや学業などについて実子のジョナサン・ジョースターには厳しく指導することも増えたが、それは愛情の裏返しであったことが後に語られている。その後、ふたりを大学の卒業が目前というところまで育てたころ、ディオ・ブランドーに遺産を目当てに毒殺を謀られる。 その計略はジョナサン・ジョースターによって阻止されたが、追い詰められたディオ・ブランドーの凶刃から我が子を守るために身を呈し、最期はジョナサン・ジョースターの腕に抱かれながら絶命する。なお、本名はジョージ・ジョースターだが、フルネームが判明するのは後の作品である『ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース』になってからである。
ワンチェン
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』の登場人物で、ディオ・ブランドーの配下。ロンドンの貧民街である食屍鬼街(オウガーストリート)で怪しい毒薬を売る東洋人。また、占いにも通じており、ディオ・ブランドーの左の耳に並ぶ3つのホクロから、彼の波乱に満ちた生涯を予見している。ディオ・ブランドーに西洋医学では分析できない毒薬を調達するが、その犯罪の証言者としてジョナサン・ジョースターに連行された。 そして石仮面によって吸血鬼となったディオ・ブランドーと、そこで起きた惨劇を目撃し。後日、金儲けのためにジョースター邸の焼け跡から掘り出した石仮面を持ち去ろうとするが、瓦礫の下で生存していたディオ・ブランドーに精気を吸われ、それ以降は屍生人としてディオ・ブランドーの忠実な下僕となる。
切り裂きジャック (きりさきじゃっく)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』の登場人物で、ディオ・ブランドーの配下。実在の殺人鬼・切り裂きジャックがモデル。作中では1888年にロンドンで女性を狙った殺人を繰り返していたところをディオ・ブランドーに魅入られ、屍生人として新たな力を手に入れたために姿を消したことになっている。 残虐性と異常性においてはディオ・ブランドーを上回ると評され、英国の小さな町であるウインドナイツ・ロットに通じるトンネル内においてジョナサン・ジョースターの一行を襲撃した際には、首を切断した馬の体内に身を潜めたり、戦闘とは関係なく自らの肉体を傷つけるなど、猟奇的な行動を見せている。さらに体内に埋め込んだ無数のメスを筋肉の収縮を利用して射出したり、中世の拷問器具を改造したと思われる巨大なカッターを使って攻撃する。
ブラフォード
ディオ・ブランドーによって、墓場から屍生人として蘇った伝説の騎士。かつて「黒騎士」と呼ばれ、盟友のタルカスと共にメアリー・スチュアートを護衛していたが、エリザベスI世の命によって彼女が処刑された際に騙されて斬首され、強い怨念を持ったまま絶命。 その怨念をディオ・ブランドーに利用されてジョナサン・ジョースターを襲撃する。生前のころから甲冑をつけたまま5kmも泳げるほど水中戦を得意とし、また長髪を利用して死角から攻撃する「死髪舞剣(ダンス・マカブヘアー)」という技を使っていたが、屍生人となってからは髪の毛が自在に収縮して敵を締め上げ、吸血することすら可能となっている。 しかし戦いの中でジョナサン・ジョースターの波紋を受けた影響によって、肉体の痛感と同時に本来の高潔な精神を取り戻し、最後はジョナサン・ジョースターを好敵手と認めた上で愛用の剣を託して散っていった。なお、作中では「学校で習った黒騎士」としてあたかも実在したかのように描かれているが、完全に架空の人物である。
タルカス
ブラフォードと共に、ディオ・ブランドーの能力によって墓場から屍生人として蘇った巨漢の騎士。しかし高潔な精神を持っていたブラフォードとは対照的に「殺戮のエリート」を目指した残忍な性格で、死者への敬意もまったく持ち合わせていない。巨体に見合った怪力が特徴で、剣の一撃で地割れを起こして崖を崩すほど。 かつて騎士たちの殺人修練場として使われた遺跡にある「双竜の間」にジョナサン・ジョースターたちを誘い込み、互いに鎖に繋がれた首輪を嵌めて殺しあう「チェーンデスマッチ」で対決。そして鎖でウィル・A・ツェペリの胴体を真っ二つに裂くと同時に、鎖に繋がれていたジョナサン・ジョースターの首の骨を折って一度は勝利するが、ウィル・A・ツェペリがジョナサン・ジョースターに生命エネルギーを注いだことで形勢が逆転。 ジョナサン・ジョースターに顔面を潰されるように波紋を受けて消滅した。なお、作中ではブラフォードと共に「英国人なら誰でも知っている」としてあたかも実在したかのように描かれているが、完全に架空の人物である。
トンペティ
チベットの山深くにある寺院で波紋法を伝える老師。ウィル・A・ツェペリも彼を師匠として波紋の力を身につけた。石仮面のありかを突き止めたウィル・A・ツェペリから救援を依頼する手紙が届いたことを受け、弟子のダイアーとストレイツォと共に渡英。 その際、パイプをくゆらせていた愛煙家。握手の習慣を持たず、合掌を挨拶とするが、その理由は相手に触れることで運命を予見する能力を持っているためである。ウィル・A・ツェペリは25歳のときに自らの使命を果たすために運命を知ることを望み、その覚悟を聞き入れたトンペティは、彼に死の予言を伝えていた。
ダイアー
トンペティと共に渡英してきた波紋の戦士。ウィル・A・ツェペリとは修行時代から共に苦行を乗り越えてきた20年来の親友である。「稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)」を必殺技とする。しかし、吸血鬼となったディオ・ブランドーに対してその必殺技は気化冷凍法によって阻止され、凍らされた全身を粉々に砕かれて敗北する。 だが絶命する直前、波紋のエネルギーを込めて放ったバラの花によってディオ・ブランドーの右目にダメージを与え、そのことがジョナサン・ジョースターが気化冷凍法を打ち破るヒントとなった。
ストレイツォ
トンペティと共に渡英してきた容姿端麗な波紋の戦士で、無駄のない動きが特徴。ディオ・ブランドーの配下であるペイジ、ジョーンズ、プラント、ボーンナムと名乗る屍生人による4方向からの血管針攻撃を一瞬でかわし、天井にあったシャンデリアのような照明器具を利用した波紋による攻撃で、4体の屍生人を一網打尽に溶かしてしまった。
ポコ
英国の小さな町であるウインドナイツ・ロットに住む少年。本来はたまにいたずらをする程度の気が弱い性格だが、ディオ・ブランドーによって催眠術をかけられ、ジョナサン・ジョースターたちの一行から荷物をひったくることで、ディオ・ブランドーと屍生人の群れが待つ墓地へと誘い出した。 催眠術が解けた後はジョナサン・ジョースターたちと行動を共にし、タルカスとの戦いで「双竜の間」にジョナサン・ジョースターが閉じ込められて仲間と分断された際には、姉の言葉を思い出して勇気を振り絞り、小窓から部屋に入り扉を解錠する活躍を見せている。
怪人ドゥービー (かいじんどぅーびー)
ディオ・ブランドーによって作られた屍生人のひとりで、誘拐されたポコの姉に恐怖を与えるために差し向けられた。通常は布の袋を頭から被ったような姿をしているが、隠されている顔に空いている穴をはじめとする体内に、無数の毒蛇や肉食の蛇を飼っている。 ジョナサン・ジョースターの隙を突いて毒蛇による攻撃を仕掛けるが、波紋の能力の前には無力に等しく、逆に蛇の血液に波紋を送り込まれたことによって自らが体内の蛇に食い尽くされ、あえなく敗北した。
警部 (けいぶ)
ジョースター卿とは古くから面識のある警察官。20年前にダリオ・ブランドーがジョースター卿の妻の形見である結婚指輪を質入れしたことを不審に思い投獄した人物で、ジョースター卿の寛大なはからいによりダリオ・ブランドーが無罪放免となる一部始終を目撃している。 ディオ・ブランドーの凶刃によってジョースター卿が殺害された現場にも居合わせ、ダリオ・ブランドーを流刑にしていればこのような悲劇は起こらなかったと後悔の念をにじませるが、直後に石仮面の能力で蘇生したディオ・ブランドーによって首を跳ね飛ばされ即死。吸血鬼と化したディオ・ブランドーによる最初の犠牲者となってしまった。
ダニー
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する犬のキャラクターで、主人公のジョナサン・ジョースターが少年時代に飼っていた愛犬。ジョナサン・ジョースターが幼少の頃にジョースター家に引き取られたときは、怯えから彼のことを噛んでしまい、それが原因でしばらくは虐待のような仕打ちを受けていた。 しかし、そんな時期があったにも関わらず、ジョナサン・ジョースターが川で溺れかけた際に身を挺して救出し、それ以降はジョナサン・ジョースターにとってかけがえのない存在として共に成長してきた。しかしジョースター家にディオ・ブランドーがやって来ると、もともと彼が「人間に媚びる」という理由で犬が嫌いだったために初対面で膝蹴りを喰らう仕打ちを受け、やがてジョナサン・ジョースターにケンカで負けた報復措置として、口を針金で縛られたうえで木箱に詰められ、そのまま焼却炉で生きたまま焼かれるという非業の死を遂げてしまう。
吸血鬼 (きゅうけつき)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する怪物。本作では人間が石仮面を被って骨針に脳髄を刺されることで吸血鬼となる。牙や手などから人間の血液や精気を吸うことで力を得ており、元が老人であっても外観上は20代に見えるほどに若返ると共に、すさまじい怪力と身体能力、さらに体を真っ二つに斬られても元通りになるほど不死身の再生能力を発揮する。 さらに精気を吸った人間や、あるいは墓場に埋まる死体に吸血鬼のエキスを注入することで、屍生人を生み出して操ることも可能。ただし日光には弱く、短時間浴びただけで蒸発するほどのダメージとなる。また、太陽の光と同じ波長である波紋のパワーに対しても、同様に致命的なダメージを負う。 なお能力が脳に由来するため、頭部を完全に破壊されることでも活動不可能になるとされているが、普通の拳銃で頭を撃ち抜いた程度のダメージでは、あっという間に傷が治癒してしまう。
屍生人 (ぞんび)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する怪物。吸血鬼によって精気を吸われたり、エキスを入れられた人間の成れの果ての姿で、いわゆるゾンビである。「亡者(アンデッド)」と呼ばれる場合もある。また、屍生人に血を吸われた被害者も屍生人となって数を増やしていく。屍生人となった者の多くは凶暴化し、思考力を失った醜悪な怪物となるが、中には体内の血管を触手のように用いた「血管針攻撃」などの特殊な技を使う者や、切り裂きジャックやブラフォードのように、元となった人間の記憶や嗜好を留めている者も存在する。 吸血鬼のような再生能力は無いため、戦闘などで破壊された肉体が元に戻ることはない。吸血鬼と同様に波紋によって消滅するほか、物理的な攻撃でも対抗が可能。
場所
屍食鬼街 (おうがーすとりーと)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する街。ロンドンに存在するとされる貧民街で、非常に治安の悪い地区。伝染病の流行もいつもここからだとさえ言われている。ジョナサン・ジョースターが初めて訪れたときは、いきなり金品目当てにロバート・E・O・スピードワゴンたち3人組の暴漢に襲われた。 また、ディオ・ブランドーがワンチェンから東洋の毒薬を入手していたのもここである。
ウィンドウナイツ・ロット
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』のに登場する町。ロンドンから馬車でまる一日かかる郊外にあり、総人口は517人。険しい山脈と断崖絶壁の海に囲まれた閉鎖的な地形で、中世時代に騎士を訓練するために作られた町だが、現在はその地形を利用して刑務所が建てられている。北の山には、かつてブラフォードとタルカスが挑んだ過酷な修行法である「77の輝輪(リング)」を行うための参道があり、崖壁には「双首竜の間」のある修練用の砦が存在している。 ディオ・ブランドーが火傷で受けた傷を癒やすために拠点と定めた町であり、ジョナサン・ジョースターたち一行との死闘が繰り広げられた。
その他キーワード
石仮面 (いしかめん)
もとは古代アステカで使われていたもので、血液に反応して仮面の縁の部分から何本もの骨針が射出され、それが被る者の脳髄に刺さることで人間に眠る力を引き出す。ただし被験者は超人的な力を得る代償として吸血鬼になってしまう。メキシコの遺跡より若き日のウィル・A・ツェペリが偶然発掘し、その後行方不明となっていたが、やがてロンドンの美術商を経由してジョースター卿の手に渡り、屋敷の壁に飾られていた。 それに偶然飛び散った血液に反応して骨針が発動したのを目撃したことがきっかけで、ジョナサン・ジョースターは大学で石仮面を研究し、ディオ・ブランドーはジョナサン・ジョースターの殺害に利用しようと企む。 しかしディオ・ブランドーが酔漢を使って人体実験をしたところ、吸血鬼に変貌。あやうく殺される寸前となるが、ちょうど昇ってきた朝日によって吸血鬼が蒸発し、命を救われる。そしてディオ・ブランドーの数々の策謀が露呈して追い詰められた結果、石仮面は彼が吸血鬼となって人間を超越するために使われる。
波紋 (はもん)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する特殊能力の一種。東洋に伝わる「仙道」のひとつとされ、特殊な呼吸法を行うことで血液の流れをコントロールし、生命エネルギーを高める秘術が「波紋法」であり、それによって生み出されたエネルギーの波動のことを「波紋」と呼ぶ。その波動は太陽光と同じ波長を持つため、吸血鬼に対して致命的なダメージを与える。 波紋は生体に作用するエネルギーだが、金属などの無機物に直接触れることで効力を伝達させることも可能となっている。また、治癒能力を飛躍的に高めたり、痛みを緩和させる効果もあり、ウィル・A・ツェペリが初めて出会った波紋の使い手は、その力で治療行為を行っていた。 さらには体内磁気を操ることで対象の動きをコントロールしたり、ワイングラスを用いて敵の位置を探知するなど、波紋の応用範囲は非常に広い。
波紋疾走 (おーばーどらいぶ)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する必殺技。強力な波紋エネルギーを伝達させることで様々な効果を生み出す。代表的なものとして、ジョナサン・ジョースターが打撃に波紋を込めて吸血鬼や屍生人に甚大なダメージを与える「山吹き色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)」や、水中で波紋を走らせる「青緑波紋疾走(ターコイズブルーオーバードライブ)」、ウィル・A・ツェペリがジョナサン・ジョースターに全生命力を与える際に使った究極奥義「深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)」などが存在する。
波紋カッター (はもんかったー)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する必殺技。ウィル・A・ツェペリが使う固有技。波紋の応用のひとつで、口に含んだワインに波紋で高い圧力をかけ、歯の隙間から円形のカッターのような形状にして射出する。その切れ味と正確性は、切り裂きジャックの体から高速で射出された無数の金属製のメスを、ことごとく空中で真っ二つにしてしまうほどである。
稲妻空烈刃 (さんだーすぷりっとあたっく)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する必殺技。ダイアーが使う固有技で、ゆっくりと空中に浮遊するような蹴りで相手のガードを誘い、相手の腕もろとも開脚して顔面がガラ空きになったところに波紋を込めた強力な手刀を叩き込むというもの。さらにその上位技として、手刀を十字に組んで頭突きや含み針による反撃を封じた「稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)」があり、これを破った格闘者はひとりとしていないとされる。
気化冷凍法
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する必殺技。吸血鬼となったディオ・ブランドーが、波紋の力に対抗するために編み出した。肉体を自由にコントロールする自らの能力を応用し、対象の水分を気化させることで一瞬にして温度を奪って凍結させる。波紋は血液の流れによって生み出されるため、凍らせることで波紋のエネルギーそのものを送り出せなくするのと同時に、凍結によるダメージを与える攻防一体の必殺技。 これによって体の大部分を凍らされたダイアーは、そのまま全身を砕かれる残酷な死を迎えた。
空裂眼刺驚 (すぺーすりぱー・すてぃんぎーあいず)
『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』に登場する必殺技。ディオ・ブランドーがジョナサン・ジョースターによって大ダメージを受けた際に初めて使用された。自らの眼球から高圧の体液をまるで光線のように見えるほどの速度で射出し、太い石柱も切断してしまうほどの威力がある。初めて使用したときは半ば悪あがきに近い形だったため、その威力を見せつけるだけに留まったが、首だけの姿となってからジョナサン・ジョースターを襲撃した際には、波紋のパワーの源である呼吸をできなくさせる致命傷を与えた。 なお「空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)」という名称は、後の作品である『ジョジョの奇妙な冒険 Part 2 戦闘潮流』になってから付けられたもので、『ジョジョの奇妙な冒険 Part 1 ファントムブラッド』の作中には登場していない。
関連
ジョジョの奇妙な冒険シリーズ (じょじょのきみょうなぼうけんしりーず)
荒木飛呂彦の代表作。最初は「週刊少年ジャンプ」、Part7『スティール・ボール・ラン』の途中から「ウルトラジャンプ」に舞台を移して長期にわたって連載。「日本のメディア芸術100選」(2006年)のマン... 関連ページ:ジョジョの奇妙な冒険シリーズ