ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース

ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの第3部となる作品。第2部「Part 2 戦闘潮流」から約50年後、1987年の日本から物語は始まる。本作より「スタンド」と呼ばれる、視覚化された超能力が登場し、主要人物はその能力で戦う。なお、副題の『スターダストクルセイダース』はのちになって付けられたもの。連載時の副題は「第三部 空条承太郎 ―未来への遺産―」。

正式名称
ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース
ふりがな
じょじょのきみょうなぼうけん ぱーとすりー すたーだすとくるせいだーす
作者
ジャンル
バトル
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あらすじ

DIOの呪縛(13巻~20巻)

1987年、『ジョジョの奇妙な冒険Part2『戦闘潮流』から約50年後の日本が舞台。ジョセフ・ジョースターの孫である空条承太郎は、ある日突然、悪霊が自身に取り憑いたかのような体験をする。周りの人々に危害を加えないように、承太郎は自ら留置場に入る。そこへ祖父・ジョセフ・ジョースターとその友人・モハメド・アヴドゥルが来訪し、悪霊の正体は精神エネルギーが具現化したスタンドだと説明する。

しかも、その原因は、かつて承太郎の曽祖父・ジョナサン・ジョースターを殺害した吸血鬼・DIOが、ジョナサン の体を乗っ取って復活し、スタンド能力を身につけたことにあった。復活したDIOは世界を支配するため、「肉の芽」を用いて洗脳したスタンド使いをどんどん増やしていた。

その肉の芽によって洗脳されたスタンド使い・花京院典明と承太郎は対決する。花京院を洗脳から解放するのは承太郎の勝利のみだった。突如、承太郎の母親・空条ホリィが高熱とともにスタンド能力を発現する。復活したDIOの影響で、ジョースター家の血を引く者にはスタンド能力が発現していたのだ。ホリィはスタンドを制御できず、生命の維持が困難なほど衰弱してしまう。

ホリィの命は持っても約50日。その期間内に元凶であるDIOを倒すしか彼女の命を救う方法はない。

DIOの世界~遥かなる旅路 さらば友よ(21巻~28巻)

DIOがエジプトに隠れ住んでいることが明らかになり、承太郎たちは回復した花京院も伴いエジプトへ向かっていく。DIOから放たれる刺客のスタンド使いたちと戦い、スタンド使い・ジャン=ピエール・ポルナレフを洗脳から解放し仲間に加える。スタンド使いの犬・イギーも仲間に加わった。途切れなく送り込まれる刺客たちを撃退しながら、承太郎たちはカイロのDIOの館を発見する。ついにジョースター家とDIOの100年間に渡る因縁に決着の時が迫る。

登場人物・キャラクター

空条 承太郎 (くうじょう じょうたろう)

17歳の高校生。第2部の主人公であるジョセフ・ジョースターの孫。身長195cmの長身で、長ランに学帽というスタイルが特徴。いわゆる不良のレッテルを貼られているが、自らの信じる正しいことを貫き通すタイプ。冷静沈着で鋭い観察眼を持つが、情には厚い。 口癖は「やれやれだぜ」。ジョースター家の宿敵であるDIOの呪縛により、「スタンド」と呼ばれる超能力が発現する。スタンド名は「スタープラチナ(星の白金)」。人型のビジョンで、攻撃の際は「オラオラ」の掛け声と共に拳撃のラッシュを敵に叩き込む。またスピードとパワーに加え、精密な動きや驚異的な視力を併せ持ち、写真に映る微小な昆虫をスタンド能力でスケッチしたことからDIOの潜む地域を特定する手がかりをつかんだ。 さらに最終決戦においてDIOが作り出す「静止した時間の世界」を認識することで、自らも一瞬から数秒間だけ時間を止める能力に覚醒している。

ジョセフ・ジョースター

空条承太郎の祖父。69歳。第2部での活躍ののち、ニューヨークで「ジョースター不動産」を経営する不動産王となっていたが、「スタンド」によって空条承太郎の身に起きた異変を説明するために来日。ただし娘の空条ホリィを「日本人に取られた」という意識から、あまり日本人や日本文化が好きではない。 青年時代と変わらず頭脳戦を得意とし、長年の経験も加わって駆け引きはより老獪さを増している。また、自身の乗る飛行機や船がことごとく遭難するというジンクスがあるが、そのたびに生き残る悪運の強さも持つ。発現したスタンドは「ハーミット・パープル(隠者の紫)」。 イバラのようなビジョンで、念写や千里眼の能力がある。初期はポラロイドカメラを叩き壊す必要があったが、次第にテレビや地面に撒かれた灰などを媒介にして知り得た情報を見られるようになった。あまり戦闘向きではないがイバラのビジョン自体で攻撃も可能で、それに波紋を流した攻防も見せている。

モハメド・アヴドゥル

空条承太郎たちと行動を共にする仲間。ジョセフ・ジョースターが3年前に知り合った友人で、職業は占星術師。タロットカードの暗示によって空条承太郎のスタンドに「スタープラチナ」と命名したのも彼である。性格は真面目だが直情的。 生まれついてのスタンド使いであり、DIOの差し向ける敵スタンド使いの数名に関する情報も持っている。自身のスタンドは「マジシャンズレッド(魔術師の赤)」。猛禽類のような頭部と人型の体を持つビジョンで、炎を自在に操る。炎のエネルギーをアンク型に収束させて打ち出す必殺技の「クロスファイヤーハリケーン」をはじめ、高い戦闘力と汎用性が特徴。 それゆえに敵に危険視され、ホル・ホースとJ・ガイルのコンビネーション攻撃によって戦線を離脱する重傷を負う。そして復帰後、DIOの館においてジャン=ピエール・ポルナレフを庇って帰らぬ人となってしまう。

花京院 典明 (かきょういん のりあき)

空条承太郎の通う学校に転入してきた17歳の高校生。初登場時はDIOによって頭部に肉の芽を植えられてコントロールされており、空条承太郎に対する刺客として現れた。しかし敗北後、肉の芽を除去されて洗脳が解けると共に、彼の身を呈した救出に感銘を受けてエジプトへの旅に同行することを決意する。 生まれついてのスタンド使いであり、他人に見えないものが見えるために内に閉じこもった少年時代を過ごす。スタンド名は「ハイエロファントグリーン(法皇の緑)」。人型をしているが、ひも状になって遠隔操作が可能なスタンド。宝石のようなエネルギー弾を発射する「エメラルドスプラッシュ」を必殺技とするほか、他人の体内に侵入して操ることもできる。 エジプトへの途上でンドゥールのスタンド攻撃によって両目を負傷。退院後に戦線復帰するが、DIOとの戦闘で致命傷を受ける。その際にDIOのスタンド能力が「時間停止」であるという重要なメッセージを仲間に残し、絶命した。

ジャン=ピエール・ポルナレフ

空条承太郎たちと行動を共にする仲間。22歳のフランス人で、生まれついてのスタンド使い。香港でDIOの刺客として立ち塞がるが、肉の芽で操られながらも失わない騎士道精神をモハメド・アヴドゥルに見抜かれ、洗脳状態が解けたのちに仲間となる。 元来の性格は単純かつ陽気で、美しい女性には目がない。旅の一行の中ではコメディ的な役回りが多く、不思議とトイレ関係のトラブルに度々見舞われる。しかし妹のシェリー・ポルナレフを「両手が右手」のスタンド使いに殺されており、その仇敵を追い求めて旅をしていた。スタンドは「シルバーチャリオッツ(銀の戦車)」。 中世の騎士のような甲冑姿のビジョンで、レイピアによる素早い攻撃を繰り出す。甲冑に攻撃を受けても本体にはダメージは無く、それを脱ぎ捨てることで防御力と引き換えにさらにスピードを上げることも可能。さらに最後の手段として、レイピアの刀身を射出することもできる。

イギー

『ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース』に登場する、スタンド使いの犬。空条承太郎たちエジプトに向かう途上で、スピードワゴン財団が助っ人として連れてきた。血統書付きのボストン・テリアで高い知能を持つが、性格はひねくれており、人間に対しては無関心かつ侮蔑的。ジョースター一行にも登場時は同様の態度だった。 しかし、同じく動物のスタンド使いであるペット・ショップの襲撃から犬好きの少年を助け、その死闘の後はDIOに対する怒りによって協力的となった。使用するスタンドは「ザ・フール(愚者)」。後ろ足がF1マシンのようなタイヤになった犬のビジョンで、砂と同化し、形を自在に変える能力を持つ。 また、砂で翼を作って滑空したり、砂で偽物の人物を作り出すこともできる。DIOの館では、ジャン=ピエール・ポルナレフと共闘。しかし、強敵のヴァニラ・アイスによって大きなダメージを受け、その状態でジャン=ピエール・ポルナレフの危機を救ったため、力尽きて死亡してしまう。

DIO (でぃお)

第1部よりジョースター家とは因縁の深い仇敵。空条承太郎たちの目的も、DIOを倒すことにある。かつてジョナサン・ジョースターと戦い、共に大西洋に沈んだと思われていたが、実際は彼の首から下を奪い、棺桶をシエルターとして生存。 そのまま活動を停止していたが、トレジャーハンターがその棺桶を引き揚げたため、約100年ぶりに復活した。そしてエンヤ婆と知り合ったことによりスタンド能力が覚醒。再び世界を我が手に収めるべく活動を開始し、配下のスタンド使いを次々とジョースターの一族と仲間たちに差し向けた。自らのスタンドは「ザ・ワールド(世界)」。 人型のビジョンで圧倒的なパワーとスピードを誇るが、最大の脅威は「時間停止」の能力。それによって攻撃を回避したり、敵に不可避のトラップを仕掛けるなど、一方的有利な状況を作り出す。しかし、「同じタイプのスタンド」であるスタープラチナを使う空条承太郎が「止まった時間」を認識することとなり、最後は怒りのパワーで押し負けて敗北を喫する。

エンヤ婆 (えんやばぁ)

DIOのスタンドを覚醒させ、時間停止の能力を成長させた老婆。ジャン=ピエール・ポルナレフが妹の仇として追うJ・ガイルの母親でもあり、息子と同じく「両方の手が右手」の変異的な特徴を持つ。自身のスタンドは「ジャスティス(正義)」。 巨大な髑髏のように見える霧状のスタンドで、墓地全体を覆って宿場町に見せかけている。そしてそのエリアで傷を負った者は、傷口にコイン程度の穴を開けられて操り人形のようにされてしまう。霧のように実体がないため、拳や剣の攻撃が一切通用しないが、空条承太郎の機転でスタープラチナに吸引されて敗北。その後、DIOの秘密を守るため、配下のスティーリー・ダンによって殺害される。 実際は瀕死の状態でもDIOの秘密を守り通しており、最期の瞬間までDIOに対する忠誠心は失わなかった。

J・ガイル (じぇい・がいる)

ジャン=ピエール・ポルナレフが妹の仇として追う男。「両右手の男」と呼ばれる異形の男で、卑劣な性格のスタンド使い。鏡などの反射物に映り込んだものの中で敵を暗殺するスタンド「ハングドマン(吊られた男)」を使う。反射物を破壊してもダメージは無く、通常の方法では攻撃不可能。 しかし、「光のスタンド」ともいえる特性を花京院典明に見抜かれ、別の反射物に移動しようとする直線軌道上でジャン=ピエール・ポルナレフのスタンド・シルバーチャリオッツに斬られ、「針串刺しの刑」に処される。その最期の姿は、まさしく「吊られた男」そのものであった。

ホル・ホース

ジョースター一行に送られたスタンド使いの刺客のひとり。銃のスタンド「エンペラー(皇帝)」を使う。DIOには金銭で雇われた刺客であり、一度はDIOの殺害を試みるなど、絶対的に服従しているわけではない。一方で「いざというときに助けてくれる」という計算もあるものの、女性に対しては常に敬意と優しさを忘れないという面もある。 そして何よりもホル・ホースを象徴するのが、「No.1よりNo.2」という信条。誰かと組んではじめて真価を発揮するタイプであると自己を分析しており、一度目はJ・ガイルと、二度目はボインゴとコンビを組んでジョースター一行を襲撃した。 また、J・ガイルが倒された際に逃走したことでエンヤ婆の恨みを買って殺されかけたこともある。最終的にはボインゴのスタンドであるトト神の予言の解釈を間違え、自らのスタンドの弾丸が額に命中。一命は取り留めるが再起不能となる。

呪いのデーボ (のろいのでーぼ)

ジョースター一行に送られたスタンド使いの刺客のひとり。もともと「アメリカインディアンの呪術師」という触れ込みで殺し屋を生業としており、雇い主には政財界の大物もいると言われる。使用するスタンドは「エボニーデビル(悪魔)」。スタンドを人形に憑依させ、遠隔操作で標的を殺害する。 そのパワーの源である「恨みの念」を高めるために、意図的に相手に攻撃させて自らの体に傷を刻む。そのため、全身に無数の傷跡が残されている。シンガポールのホテルの一室において、休息のためにひとりとなったジャン=ピエール・ポルナレフを襲撃し窮地に追い詰めるが、鏡を利用されてシルバーチャリオッツに人形を切り刻まれ敗北。 ホテルのトイレで死体となって発見された。

ラバーソール

ジョースター一行に送られたスタンド使いの刺客のひとりで、DIOに金銭で雇われている。「ハンサム顔」と自称するほど端正な顔立ちだが、言動は極めて下劣な男。使用するスタンドは「イエローテンパランス(黄の節制)」。生物を捕食するスライム状のスタンドで、吸収した肉質と同化するため一般人にも見ることができる。 また、そのスタンドを本体にまとわりつかせることで自在に変装することが可能となっており、花京院典明に変装して空条承太郎を襲撃した。まとわりつかせたスタンドは防護壁の役割も兼ねるうえに、触れた相手の肉を消化するため無敵に思われたが、水中に沈められて呼吸のために顔を出したところを狙われ敗北。 その後も反撃の機会を伺うが、最後はスタープラチナに完膚なきまでに殴られて再起不能となる。

ネーナ

ジョースター一行に送られたスタンド使いの刺客のひとり。ホル・ホースに心酔し、彼の危機を救う美女として登場するが、その正体は「エンプレス(女帝)」のスタンドを使う醜悪な女。血液をターゲットに付着させることで、そこに人面疽のようなものを生み出すのがスタンドの能力。 人面疽は勝手に食事をすることで成長を遂げ、やがて取り憑いた人間を攻撃する。またネーナ本人もその能力で均整のとれたスタイルと顔立ちに偽装しており、何くわぬ顔でジャン=ピエール・ポルナレフと行動を共にしながらジョセフ・ジョースターを追い詰めていた。しかしジョセフ・ジョースターが長年積んだ戦いの経験には勝てず、人面疽をタール漬けにされて活動を停止。 ハーミットパープルによる攻撃のダメージが本体にも及び、正体を露呈して再起不能となった。

スティーリー・ダン

ジョースター一行に送られたスタンド使いの刺客のひとり。ジョースター一行に捕らわれたエンヤ婆から秘密が漏れるのを防ぐために、彼女を殺害した冷酷な男。相手の耳から脳へと侵入する微小なスタンド「ラバーズ(恋人)」を使う。スタンドのパワーは「最弱」と自らも認めるところだが、自分に受けたダメージを数倍にしてラバーズを潜り込ませた対象に与える。 それによってジョセフ・ジョースターを人質にとり、空条承太郎に万引きを強要したり、橋の代わりにして踏みつけるなど好き放題にふるまうなど、非常に卑劣な性格である。しかし花京院典明の活躍でジョセフ・ジョースターの体内からスタンドを除去され、次に空条承太郎に侵入しようとしたところをスタープラチナに捕獲されて敗北。 積もりに積もった恨みを晴らされるようにボコボコに殴られて再起不能となった。

マニッシュ・ボーイ

ジョースター一行に送られたスタンド使いの刺客のひとり。生後わずか11ヶ月の天才児。すでに邪悪な思考を身につけ、喫煙も嗜む。使用するスタンドは「デス・サーティーン(死神13)」。大鎌を持った仮面のピエロのようなビジョンで、睡眠中の無防備な精神に入り込み、スタンドが作り出す「ナイトメアワールド」で対象を攻撃する。 そこでは全てが思いのままで、相手は眠る前に身につけていた物以外を使うことができない。また受けたダメージは肉体にも反映され、致命傷を受ければ死亡してしまう。赤ん坊であることを利用してジョースター一行の油断を誘い、疑惑の目を向ける花京院典明を攻撃。 そして彼が錯乱したと思わせるように仕向けた後に全員を夢の中で襲撃したが、眠る前にスタンドを出しておいた花京院典明の逆襲を受け敗北。「お仕置き」として自分の排泄物入の離乳食を食べさせられてリタイアする。

カメオ

紅海にある小島でジョースター一行を待ち受ける、スタンド使いの刺客。相手の「3つの願い」を聞き、それを土から創り出すスタンド「ジャッジメント(審判)」の使い手。まるで『アラジンと魔法のランプ』のようにスタンドをランプに潜ませていたが、スタンドのビジョンは3本指のマニピュレーターを持つロボットのような風貌をしている。 土から創り出したものが生物である場合はそれを意のままに操ることが可能で、ジャン=ピエール・ポルナレフが生き返らせて欲しいと願った妹のシェリーと、その時点では死亡したものと思われていたモハメド・アヴドゥルの土人形でジャン=ピエール・ポルナレフを追い詰めた。 しかし、実は生存していたモハメド・アヴドゥル本人の登場により形勢は逆転。カメオ本人は土中に潜んでいることを見破られ、呼吸用の竹筒に異物や小便を混入された末に再起不能となる。

ミドラー

エジプト上陸寸前のジョースター一行を襲撃した女性のスタンド使い。あらゆる無機物に姿を変えたり同化することのできるスタンド「ハイプリエステス(女教皇)」を使う。本来のビジョンは、呪術に使われるようなマスクから直接腕が生えたような不気味な姿。 ジョースター一行の乗る潜水艦に潜入し、カップや機械類などに紛れながら攻撃を繰り返す。さらに本体に接近することで強大なパワーを発揮し、海底の岩盤の一部となって全員を呑み込んでしまう。しかし、空条承太郎のスタープラチナに中から歯を全てへし折られて敗退。そのダメージは本体にも及び、声の印象からすると美女であるとも想像されたが、顔の確認が不可能な状態で再起不能となっている。

ンドゥール

ジョースター一行がエジプト上陸後に刺客として現れるエジプト9栄神の最初のひとり。盲目のスタンド使いだが、鋭敏な感覚を持つ。また、自身のスタンド「ゲブ神」によって、数キロ先の状況を音や振動を頼りに把握することも可能。ゲブ神は通常は鋭い爪を持った手首のような形状だが、液体のように変幻自在なスタンド。 一般人にも水として視認することができる。花京院典明の両眼を切り裂き、モハメド・アヴドゥルにも勝利した強敵だが、助っ人として合流した犬のイギーが嗅覚でンドゥールの存在を察知していることに気がついた空条承太郎に間近まで接近され、一騎打ちの末に敗北。 空条承太郎への礼儀として自らの名とエジプト9栄神の存在を明かすが、「悪の救世主」として心酔するDIOの秘密を守るため、自身のスタンドで頭部を射ち抜いて自決する。

オインゴ

エジプト9栄神のひとりで、弟のボインゴと共にアスワンでジョースター一行を襲撃。自身のスタンドは、姿を思い通りに変える能力を持つ「クヌム神」。ボインゴの持つ未来を予知する書物のスタンドに従って暗殺を試みるが、変身能力が仇となり、自らが予言にあった「爆発で顔面が真っ二つになる空条承太郎」となったまま自滅。 さらに道中で金品を巻き上げた男が連れてきた仲間に報復されて再起不能となる。結果的には、ジョースター一行には存在すら認識されずに敗北した。

ボインゴ

エジプト9栄神のひとりで、兄のオインゴと共にアスワンでジョースター一行の襲撃を試みる。兄以外とは会話すら困難なほど他人とのコミュニケーションが苦手だが、自身のスタンドである「トト神」の予言の的中率には絶対的な自信を持つ。 予言は所持する中身が白紙の本に漫画のような形で示され、一般人にも読むことができる。予言として現れた内容は必ず現実のものとなるが、その多くの過程は省略されているので、解釈を間違えると思わぬ結果になることもある。一度はジョースター一行の襲撃に失敗し、兄とともに地元の男たちに報復を受けるが、その後ホル・ホースによって強制的にコンビを組まされ、再び予言によって襲撃をサポート。 しかしまたしても予言の解釈を間違えて自滅したホル・ホースの様を見て、能力を正しいことに使おうと決意。だが、たまたま蹴飛ばした木箱がイギーに命中し、激しく噛みつかれてあっという間に意志をくじかれる。

マライア

エジプト9栄神のひとりで、ルクソールでジョースター一行を襲撃したスタンド使い。脚線美が特徴的な美女。スタンドはコンセントのような形状の「バステスト女神」。これに触れた者に磁力を帯びさせる能力を持つ。磁力は次第に強さを増し、周囲の鉄が吸着することで行動が困難となるが、さらに標的を誘導し、鉄道や電線などによって決定的なダメージを与えようとする。 ジョセフ・ジョースターとモハメド・アヴドゥルが術中にはまり絶体絶命のピンチとなるが、誘い込んだつもりの地点で逆にふたりを結ぶ直線上の中間地点に立ってしまい、互いに引き合う磁力によって押しつぶされてリタイアする。 ジョセフ・ジョースターのことは知的でユーモアがあり、顔もチャーミングと評価しているが、それでもDIOの魅力にはかなわないと語っている。

アレッシー

エジプト9栄神のひとり。38歳独身。弱い者イジメが好きな陰険な性格で、「えらいねェ〜」が口癖のスタンド使い。スタンドは影のような見た目の「セト神」。対象となる者と影が交差することで若返らせる能力があり、それによって相手を子供にして一方的にいたぶる。 影の交差した時間が長いほど若返りの効果は大きく、子供にされたジャン=ピエール・ポルナレフを助けた女性は、胎児の状態まで戻されてしまった。スタンド以外に銃や斧も使用するが、アレッシー本人の戦闘力はあまり高くなく、4歳児程度になったジャン=ピエール・ポルナレフにも手痛い逆襲を受けた末、幼少時はスタンドが使えなかった空条承太郎を子供にするも、ボコボコに殴られて敗北。 意識を取り戻した後、元に戻ったジャン=ピエール・ポルナレフと空条承太郎にあらためて攻撃を受け、はるか彼方にふっ飛ばされてリタイアする。

ダニエル・J・ダービー

エジプト9栄神のひとり。生粋のギャンブラーで、賭けに敗れた者の魂を奪うスタンド使い。ジョースター一行を言葉巧みに勝負へと誘い、ジャン=ピエール・ポルナレフとジョセフ・ジョースターに勝利した強敵。彼のスタンド「オシリス神」は、勝負に入る前に「魂を賭ける」と相手が宣言することで発動し、敗北した者の肉体から抜き出した魂をこねるようにしてコインにする。 そのコインはダニエル・J・ダービーのコレクションとなっており、いかなる理由によっても彼が死亡すると魂も死んでしまうため、取り戻すためには純粋にギャンブルで勝利するしかない。また、オシリス神も勝負には一切関与しておらず、さまざまなイカサマは駆使するものの、勝負強さはダニエル・J・ダービー自身の実力である。 しかしポーカー勝負で空条承太郎との激しい心理戦の末に、心の中で敗北を認めて気絶。最後は精神崩壊に至り再起不能となった。

ペット・ショップ

『ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース』に登場する、凶暴なハヤブサ。DIOの館をガードする「番鳥」と言うべき、スタンドを使う鳥。エジプト9栄神の一角でもある。翼竜の骨格標本のようなビジョンの「ホルス神」は冷気を操るスタンド。巨大な氷塊で標的を破壊したり、つららをミサイルのように発射するなど、極めて攻撃力は高い。 またペット・ショップ本体も、鳥でありながら水中にまで標的を追跡するほどの執念と身体能力を持つ。館に飼い犬を探しに来た少年を救おうとしたイギーと交戦となり、前足を切断させるほどの猛攻を仕掛けるが、最後は覚悟を決めたイギーに逆襲され、発射寸前の氷のミサイルが口内で爆発して死亡してしまう。

テレンス・T・ダービー

エジプト9栄神のひとりで、ダニエル・J・ダービーと10歳年の離れた弟。DIOの館で執事を務めており、ジョースター一行を迎え撃つ。兄と同じく勝負に敗れた者の魂を奪うが、ギャンブルではなくビデオゲームで勝負を挑む。1月5日生まれであることにこだわり、ゲーム内では必ず「15」のナンバーを使用。 また、奪った魂を手製の人形に宿らせてコレクションし、ときおり会話などを楽しんでいる。弟のスタンド「アトゥム神」は魂を奪うだけでなく、YESかNOの2択で答えられることに限るが「読心」の能力があり、そのため兄は弟に決して勝負を挑まなかった。花京院典明にレースゲームで勝利した後、ゲームはまったく素人の空条承太郎と野球ゲームで勝負し、その読心能力でゲームを有利に進めるが、ジョセフ・ジョースターの仕掛けた初歩的なイカサマを見破れず敗北。 卑劣な本性を晒した末にスタープラチナのパンチのラッシュを食らって再起不能になる。

ヴァニラ・アイス

DIOの側近的な立場の部下。DIOの館でジョースター一行を迎え撃ち、モハメド・アヴドゥルとイギーを死に至らしめた強敵。使用するスタンドは、口の中が暗黒空間になっている「クリーム」。そこに自らの体を飲み込むことで透明な球体となり、それに触れたあらゆる物質を暗黒空間へと消滅させる恐ろしい能力を持つ。 DIOを狂信的なまでに崇拝し、かつてDIOが血を求めた際には躊躇なく自らの首を跳ね飛ばしたほど。そして戦闘ではイギーが砂で作ったDIOの像を自分に攻撃させたことで激昂し、イギーが瀕死になるまで蹴り続ける異常性を露呈する。 さらにジャン=ピエール・ポルナレフを窮地に追い込むが、仲間の死が彼のスタンドの成長を促し、形勢が逆転。自分がDIOの血を与えられて吸血鬼となりつつあったことに自覚がないまま日光を浴び、灰となって消滅した。

空条ホリィ (くうじょうほりぃ)

45歳。空条承太郎の母で、ジョセフ・ジョースターとスージーQ・ジョースターの娘。ジャズミュージシャンの空条貞夫と結婚し、日本へと移住している。息子がまだ幼く、素直だった頃と変わらずに現在も溺愛しており、空条承太郎には表面的には邪険に扱われながらも中身は変わっていないと信じている。 非常に明るい性格だが、DIOの呪縛によってイバラのようなスタンドが悪影響として全身に発現し、医師には余命50日を宣告される。その原因であるDIOを倒すべく、ジョースター一行はエジプトへと向かうことになる。

集団・組織

エジプト9栄神 (えじぷときゅうえいしん)

『ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース』に登場する超能力者たちの集団、またはその超能力。タロットカードで能力が暗示されるスタンド使いに続いて登場したより強力な存在で、作中ではタロットカードの起源である神々のスタンドとされている。ただし実際にエジプト神話にあるのは「エジプト9柱神」であり、選ばれている神の種類も一致していない。 さらにタロットカードの起源についても諸説あり、エジプト9栄神及びタロットカードとの関係は、本作がオリジナルの架空の設定である。

その他キーワード

スタンド

『ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース』より登場した、超能力の一種。何らかのパワーや特殊能力を持ったビジョンであり、守護霊のように持ち主の傍らに立つ場合が多いことから「スタンド」と名付けられた。そして作中では、スタンドを発現させて使う者をスタンド使いと呼ぶ。初期のスタンドはタロットカードの大アルカナによって名前が示されていたが、カードが全て出揃った以降はそれに限らず命名されている。 スタンドにはいくつかのルールがあり、大原則としてスタンドはひとりにつき一体で、スタンドはスタンド使いにしか見ることができない。ただし、物質と一体化したり、何かに憑依している場合は一般人にも見えたり、触れたりすることが可能。 また、スタンドはスタンドでしかダメージを受けないが、本体がダメージを受けた場合はスタンドにも影響が出る。そしてパワーの大きなスタンドは射程距離が短く、非力なものほど遠隔操作が可能となっている。

肉の芽 (にくのめ)

『ジョジョの奇妙な冒険 Part 3 スターダストクルセイダース』に登場するアイテムの一種。DIOの細胞の一部であり、これを脳に植え付けられた者はDIOに対して忠誠心を抱き、意のままに操られることとなる。また、肉の芽を放置すると数年で脳細胞を食いつくされ、死に至る。作中では主に洗脳のために使われたが、スティーリー・ダンのスタンドであるラバーズ(恋人)がジョセフ・ジョースターの脳に侵入した際は、肉の芽によって殺害しようと試みている。

関連

ジョジョの奇妙な冒険シリーズ (じょじょのきみょうなぼうけんしりーず)

荒木飛呂彦の代表作。最初は「週刊少年ジャンプ」、Part7『スティール・ボール・ラン』の途中から「ウルトラジャンプ」に舞台を移して長期にわたって連載。「日本のメディア芸術100選」(2006年)のマン... 関連ページ:ジョジョの奇妙な冒険シリーズ

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