テロルの箱船

テロルの箱船

堀川での清河八郎暗殺から伊東甲子太郎ら高台寺党との内部抗争劇まで、幕末に新選組が起こした数々の事件を通して、一人の隊士がテロルの闇にはまっていく過程を描いた歴史劇画。架空の人物を主人公にしたフィクションで、序章の終わりには「史実上の歪みは作者の表現上の意図によるものです」と断りが入っている。戯作は宮田雪。

正式名称
テロルの箱船
ふりがな
てろるのはこぶね
作者
ジャンル
幕末
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概要・あらすじ

文久3年、蘭医学を学んでいた横溝獏は京都四条堀川で新選組の沖田総司が清河八郎を斬る場面を目撃する。腑分け(遺体を使った人体解剖のこと)を見て嘔吐してしまい、師匠から外科医失格の烙印を押されていた横溝は、沖田の凍てつくような剣に魅かれ新選組への参加を志願する。入隊試験に臨むが、そこで彼を待ち受けていたのは局中法度に背いた裏切り者の斬首だった。

絶叫しながら隊士の首に何度も刀を振り下ろす横溝。これが彼の最初の人斬りとなった。こうしてどうにか新選組入りを果たした横溝はしゃにむに人を斬り、やがてテロルの闇に飲み込まれていく。

登場人物・キャラクター

横溝 獏 (よこみぞ ばく)

新選組の若き隊士。蘭学医を志していたが、死体を使った人体解剖を見て嘔吐したため出入り禁止となり、医師の道を断念。沖田総司の清河八郎暗殺の場面を目撃したことから彼の剣に魅入られて新選組に入った。入隊後は芹沢鴨の私設秘書となるが、芹沢一派粛清時には芹沢の暗殺に参加。以後、次々と要人を手にかけて沖田と並ぶ人斬りになるが、いつしか労咳を患い、喀血をくり返すようになる。

沖田 総司 (おきた そうじ)

新選組一番隊長。隊内四天王の一人に数えられている剣客で、その太刀筋は局長の近藤勇から「寒月のように冷え切った剣」と評されるほど。清河八郎や芹沢鴨の暗殺など数々のテロを実行するが、暗殺剣の業の深さを思い知っており、自分と同じようにテロリストの闇を突き進む横溝獏のことを案じている。実在の人物、沖田総司がモデル。

近藤 勇 (こんどう いさみ)

新選組の局長。当初は芹沢鴨のもとについていたが、芹沢一派を粛清して新選組の実権を握った。横溝獏を沖田総司と並ぶ人斬りとして高く評価しており、長州の吉田稔麿や新選組を脱走した山南敬助らの暗殺を命じる。実在の人物、近藤勇がモデル。

芹沢 鴨 (せりざわ かも)

新選組の初代局長。暴虐かつ残忍な性格で、入隊試験では横溝獏に裏切り者の斬首を命じるが、のちに彼のことを気に入り私設秘書とした。局長として好き勝手に振る舞い、無益な殺生を繰り返したため近藤勇一派と対立。沖田総司や土方歳三らによって寝首をかかれることになる。実在の人物、芹沢鴨がモデル。

土方 歳三 (ひじかた としぞう)

新選組副長。近藤勇のよき腹心で近藤と共に芹沢鴨の暗殺や山南敬助の粛清、伊藤甲子太郎率いる高台寺党の殲滅などを主導する。沖田総司や山南らと共に隊内四天王と並び称される剣の達人でもある。実在の人物、土方歳三がモデル。

山南 敬助 (やまなみ けいすけ)

新選組副長。沖田総司、土方歳三らと共に隊内四天王の一人に数えられており、新選組建設時から中堅として重きをなしていたが、突如として隊を離脱。生駒峠の旅籠に潜伏するが、追ってきた横溝獏によって斬殺された。実在の人物、山南敬助がモデル。

伊東 甲子太郎 (いとう かしたろう)

新選組の参謀。勤皇派の論客で、徳川びいきの旧帝(孝明天皇のこと)の死を機に新選組を脱し高台寺党を組織。近藤勇の暗殺と新選組の解体を目論むが、油小路にて横溝獏に斬られた。実在の人物、伊藤甲子太郎がモデル。

占いの女 (うらないのおんな)

巡礼姿の盲目の女。天涯孤独の身で、各地を巡礼しながら生き別れた兄を探している。ほおずきを使った占いを生業としていて、横溝獏に彼の背負っている因果とその行く末を予言。彼女の占いどおり、横溝は血を吐いて倒れることになる。

クレジット

戯作

宮田雪

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