概要・あらすじ
周囲から希代の不良として恐れられていた女子高生の保志野シホのもとに、突如として現れた宇宙最強の侵略者オメガ。知的生命体の恐怖の表情を嗜好とする凶悪なオメガにより、シホは生命の危機にさらされる。そこに、オメガによって母星を滅ぼされたという別の宇宙人、エリーザが乱入。エリーザの策略により、SEコントローラーと連携する特殊なアンテナを付けられ、力の大半を封じられたオメガは、成り行きでSEコントローラーを奪ったシホに対し、ボタンを押すように命令。
図らずも2体の戦いに巻き込まれてしまったシホは、言われるがままにボタンを押してオメガの力を解放し、エリーザの撃退に成功する。SEコントローラーを手中にしてオメガを自身の制御下においたシホは、彼の腐った性根を叩き直し、さらに破壊された実家の温泉旅館の修理代を払わせるため、オメガを住み込みとして働かせることを決意するのだった。
登場人物・キャラクター
オメガ
「セコンド」と呼ばれる宇宙戦闘民族セコ星人の中で最強とされる男。本名はデジラキオ・セコ・オメガ。知的生命体の絶望の表情を見ることを何よりの好物としている凶悪な宇宙人で、これまでにも数々の惑星を滅ぼしてきた宇宙最強の侵略者。地球に飛来した際、保志野シホの温泉旅館の天井を突き破って宇宙船を着陸させ、入浴中の彼女と出会うことになった。 力による支配を好む唯我独尊な性格で、他人から命令されることを特に嫌悪している。また、地球人を含むほかの生命体を下等生物として蔑んでおり、遭遇時に自分に命令してきたシホに対して激昂し、その場で絞め殺そうとしていた。単身で惑星を滅ぼせるほど、極めて高い戦闘力を誇っているが、エリーザとの戦いでSEコントローラーという枷をつけられて自由を奪われ、さらに一般的な成人男性の1/5にまで戦闘力を削減されてしまった。 その後は根性を叩き直すためと称し、シホの温泉旅館で強制的に働かされることになってしまう。最初は嫌々ながら労働に従事していたが、のちにシホと同じ高校に通うようになり、少しずつだが、地球での生活にも馴染んでいくことになる。 地球では一番風呂と猫が大のお気に入り。高い発電能力を備えているため、電気(セコ)エネルギーによる攻撃を得意としており、戦闘時には強大な電気ショックで対象を吹き飛ばす「スタンバースト」という大技を繰り出す。
保志野 シホ (ほしの しほ)
抜群のスタイルをした金髪の女子高生。実家は温泉旅館の星ノ温泉を営んでいる。並外れて腕っ節と正義感が強く、不正や弱い者いじめが許せない純粋な性格。いじめの現場に遭遇した場合は実力行使をいとわず、相手をコテンパンに打ちのめす。そのため、周囲の人間からは恐ろしい不良として扱われ、避けられている。当人は「正義の味方」であるという認識を持っており、周囲から煙たがられ、友人もほとんどいない現状を寂しく思ってはいるものの、自分を曲げることはない。 実家で入浴している最中に、突如として現れた侵略者のオメガと出会うが、成り行きから力を失った彼を支配下に置くことになり、腐った根性を叩き直すために、旅館で働かせることになった。最初は傍若無人なオメガに手を焼いていたが、さまざまな出来事や戦いを経るうちに、少しずつ彼に信頼を寄せていくようになる。 のちに宇宙人への対策やトラブル対応を担当するEBE対策本部から、オメガの保護者兼監視役に任命された。オメガのことは、本名をもじって「デジ郎」と呼んでいる。
田中 正義 (たなか せいぎ)
眼鏡をかけた男子高校生。保志野シホが通う高校で、新たに結成された風紀委員の長を務めている。風紀の乱れに対しては非常に厳格で、髪型や制服の着方が緩んでいるとみなしたシホとオメガを、即座に非行者として認定するなど、かなりお堅い性格をしている。品行方正かつ成績優秀で、さらには武芸にも秀でており、仲間からの信望も厚い人物。 表向きはシホのことを風紀を乱す厄介者扱いしているが、実は密かに彼女のことを想っており、自室のタンスの奥には、シホの特大ポスターが貼ってある。また、心の内ではシホを「ペロペロしたい」という強烈な欲望が渦巻いており、彼女との距離感が近すぎるオメガに対して激しく嫉妬。ついには決闘を申し込んでいた。戦闘時には使用者の身体能力を数千倍にするパワードスーツ「超蘭」と、思考探査メガネ「感波」を使いこなして立ち回る。 実はシホと同じく宇宙人の監視者でもある。病弱な妹の田中アンナには、厳しくも優しい兄として接しており、とても慕われている。
田中 アンナ (たなか あんな)
田中正義の妹。おっとりした人見知りな性格の少女。現代医学でも手の施しようがない血液の難病に罹っており、本来なら死を待つばかりの身だったが、宇宙から飛来したアンノウンが作り出したナノマシンによって、外を歩けるまでに回復した。病弱な自分の存在が、正義に負担をかけているのではないか、と密かに思い悩んでいる。保志野シホの自宅に、正義と遊びに行った際にシホを気に入り、一緒にお風呂に入った時には「なめてもよろしいですか!?」と無茶なお願いをしていた。
エージェントK (えーじぇんとけー)
EBE対策本部に所属する、「ホワイトメン」と呼ばれるエージェントの一員。左目に眼帯をしている。保志野シホをオメガの監視役に任命した人物で、田中正義の叔父でもある。宇宙人に対する敵意と憎しみが非常に強く、アンノウンの力を借りて田中アンナの延命を図っていた正義に、「吐き気がする」とまで言い放っていた。 かなり怒りっぽい性格だが、頭脳は明晰で責任感が強く、戦闘力や判断力にも秀でた優秀なエージェント。
アンノウン
綿のように小さく、丸っこい姿をした宇宙人の科学者。人類よりも高度な医学知識を持っており、田中正義から研究の資金や材料を提供してもらうことと引き換えに、田中アンナの病気を診ていた。身を隠すため、いつもは正義が作ったアザラシのぬいぐるみの中に入っている。
ルムル
観光客として阿多美に飛来した宇宙人の女性。本名は「ルムル・コンドライト」。当初は地球観光のみを予定としていたが、母親である「マダム・コンドライト」が星ノ温泉を欲していることを知り、温泉を我が物にすることに目的を変更する。柔和な物腰をした美少女だが、他人が欲しているものや大事にしているものほど欲しくなる、というわがままな性格。 地球人のことも内心では見下している。一発芸が大好きで、エージェントKに無理やりやらせた一発芸をいたく気に入っていた。また、ルムルが流す涙には、隕石を引き寄せる成分が含まれている。
ストレンジ
ルムルの部下である宇宙人の男性。炎を自在に操れる能力の持ち主で、戦闘力は高いが、無口かつ無愛想な性格をした一匹狼なタイプ。過去に傭兵として活躍していた頃にオメガと戦ったことがあり、その時はただの一撃で敗北に追い込まれている。地球にオメガがいることに歓喜して勝負を挑むが、力を封じられ、弱体化したオメガのことを偽者ではないか、といぶかしがっていた。
サイリウム
ルムルの部下である宇宙人の女性。本名は「サイリウム・アクタ」。自身の体を自在に水へと変化させられる特異体質。聡明なうえに気が利く常識的な性格をしており、ことあるごとに自分勝手な振舞いをするルムルとストレンジの面倒を、一手に引き受けていた。異星人との折衝も、彼女が中心となって行っており、ルムルが星ノ温泉を欲した時も、巨額のお金を事前に用意して保志野シホに渡していた。
エリーザ
キカイヤ星人の1人。オメガを倒すために地球へとやって来た。タコのような容姿をしている。戦闘力ではオメガに到底およばないが、ハイテク機器を開発することを得意としている。特殊なSEコントローラーを駆使して、一時はオメガを支配下に置くことに成功する。
ハヤト
保志野シホを世紀の大不良として崇めている男子高校生。シホに惚れ込み、舎弟にしてもらおうと、仲間と一緒に日々懇願していたが、ほとんど相手にされていなかった。正体は宇宙人の運び屋。「マダム・コンドライト」の依頼を受け、星ノ温泉をモノにするのを目的として活動していた。
集団・組織
EBE対策本部 (いーばたいさくほんぶ)
世界的な防衛組織。地球に飛来した宇宙人を危険度で分類し、監視する役割を担う。宇宙人の存在と同様、公にはなっていない。構成員はいずれも白い制服を着ており、「ホワイトメン」と呼ばれている。基本的には地球人と宇宙人の無用な争いを避けるために、日々活動している。宇宙人に戸籍を与えたり、特定の民間人に対し、宇宙人の監査役をお願いするなど、地味で事務的な作業もこなしている。
場所
阿多美 (あたみ)
保志野シホが住んでいる地方都市。年間500万人を超える観光客が訪れる温泉街だが、実はその中の5万人が宇宙人という、世界的に見ても特異な地域。その異常性の裏に何かがあると考えたEBE対策本部によって、重点的な調査がなされている。名産品はわかめと干物。
星ノ温泉 (ほしのおんせん)
保志野シホの実家である温泉旅館。一見すると何の変哲もない寂れた旅館。しかし、その温泉には外傷によく効く成分が含まれており、異例の速度で傷が治るのが特徴。銀河のここにしかないという効能を狙い、あらゆる地域から宇宙人が集まっていた。ルムルの母親である「マダム・コンドライト」も、運び屋を使って温泉を我が物にしようとしていた。
その他キーワード
SEコントローラー (えすいーこんとろーらー)
ハイテクなコントローラー。エリーザがオメガの力を封じるために開発した。対象に特殊なアンテナをつけると、コントローラーによって自由自在に操れるようになるうえ、戦闘力自体を大幅に低下させられる。オメガとエリーザの戦闘中に、保志野シホの手に渡った。
EBE (いーば)
地球外生命体の総称。EBE対策本部をはじめとする、特定の組織内のみで使用されている特殊なワード。宇宙人と同様の意味合いを持っており、組織内では宇宙人が差別語とされているため、ほとんどの構成員はEBEと呼んでいる。