世界観
舞台となる未来の世界は、深刻な環境・空気汚染が進行しており、有毒な細菌雲に覆われている。空気を浄化するため、都市の建築物は「生体素材」と呼ばれる特殊な素材で作られており、まるで岩のような外見をしている。また環境変化により、海には水の代わりに砂が満ちるようになっている。これらの事情から、もともとはマスクがなければ満足に外を出歩けないほどの状態にあった。なお、本作『ドミニオンC1』の物語開始時には有毒な細菌雲が取り除かれ、人々はマスクなしでも外を出歩けるようになっている。
あらすじ
ニューポート署で戦車隊の分隊長を務める尾崎レオナは、バーゲンの交通整理の帰りに航空機による高層ビル強盗と嫌がらせを専門とする広域指定犯罪者・うるし丸が発見されたとの通信を耳にする。うるし丸を逮捕しようと、頭上を横切るうるし丸の航空機に対して戦車による攻撃を行ったレオナだったが、航空機の装甲が予想外に分厚く、戦車の弾が通用せずに取り逃がすこととなった。一夜明け、うるし丸のことで頭がいっぱいだったレオナに朝礼の場で知らされたのは、過去に因縁のあるアンドロイドのアンナとユニが署に配属されるという事実だった。さらにはその内の1人、アンナがレオナの分隊へと配属されることが決定され、レオナは怒りを爆発させる。しかし、生活費がないというアンナたちが換金のために取り出した装甲板が、うるし丸の航空機のものであることが明らかになったことから、事態は徐々に動き出していく。
掲載情報
本作『ドミニオンC1』は、士郎正宗が「コミックガイア」に連載していた『アップルシード』の連載を中断した後を受ける形で、1992年から連載が開始された。しかし、全4話構成中の第1話である「NO MORE NOISE」の完結を前にして「コミックガイア」は廃刊。そのため、コミックスの刊行にあたっては、第1話の残りの部分が描き下ろされている。なお、残りの3話は未発表。
特殊設定
パトカーの延長線上として警察に戦車が導入されているという特異な設定が、本作『ドミニオンC1』の大きな特徴となっている。近未来の日本ではさまざまな犯罪が発生しており、飛行機を利用した凶悪犯罪も多発する。こうした凶悪犯を迅速に鎮圧・逮捕することを目的として、各地方の警察署に警察戦車隊が配属されている。なお、戦車で使用される弾頭は主にスタン弾などの非殺傷兵器であり、状況に応じて実弾を使用することもあるものの、あくまでも目的は犯人の殺傷ではなく逮捕である。戦車を使いながら「打ち倒すこと」を目的としないこの特異なバランス感覚と、民間人の身近に戦車が存在するという独特の世界観は、本作のスラップスティック・コメディとしてのドタバタを表現するうえで一役買っている。
関連作品
本作『ドミニオンC1』の前作として、『ドミニオンF』がある。ただし、一部のストーリーと設定を流用する形で描かれているものの、実質的にはパラレルワールドの物語であり、ストーリー等の繋がりはない。
メディアミックス
OVA
本作『ドミニオンC1』は「パーソナルCGアニメ」としてPROJECT TEAM DoGAにより映像化されている。タイトルは『警察戦車隊 TANK S.W.A.T.』で、監督はロマのフ比嘉が務めた。シナリオはOVA版の完全オリジナルで、警察庁から盗み出された日本国民の個人情報を収めたデータディスクを巡る事件が描かれる。ストーリー原案には原作者である士郎正宗も参加している。製作には他に、2004年5月にスタートした「デジタルときわ荘」プロジェクトが関わっており、本作がそのプロジェクト第1弾作品である。声優は尾崎レオナ役を雪野五月、葉花役を小西克幸、浅田役を阪田佳代が務めている。
作家情報
士郎正宗は、兵庫県神戸市出身の漫画家・イラストレーター。1961年11月23日の生まれ。1980年代初頭、大阪芸術大学時代に所属していた漫画研究団体「アトラス」というサークルで同人活動を展開し、デビュー前から一定の知名度を誇っていた。代表作は『攻殻機動隊』『アップルシード』など。イラストレーターとしては1992年発売のテーブルトークRPG「阿修羅 Fantasy」のパッケージイラストをはじめ、トレーディングカードゲーム「モンスターコレクション」へのイラスト提供などを行っている。また、ニンテンドーDS用ソフト『ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣』においては主要キャラクターのイメージイラストを提供するなど、幅広い活動を行っている。他にTVアニメ『RD 洗脳調査室』や六道神士の漫画『紅殻のパンドラ』の原作や原案も担当している。
登場人物・キャラクター
尾崎 レオナ (おざき れおな)
ニューポート署に所属する女性巡査部長。ショートカットの髪型をした活発な性格の人物。もとは大阪府警の白バイ隊に所属していたが警察戦車隊に転属し、戦車隊の第3小隊第1分隊分隊長を務めている。戦車に対して偏執的な一面があり、常人ならば耐えられないほどの狭苦しい戦車内に長時間押し込まれていても、逆にテンションが上がっていく性癖の持ち主。 剣道を嗜んでおり、警察署の道場に通う子供たちの教官を務めることもある。また、「ソードリーグ」という格闘スポーツ競技にも参加しており、警棒を振り下ろす際に足を撞木(丁字型)に構える癖が付いている。
葉花 (はばな)
ニューポート署所属の男性警察官で、尾崎レオナが分隊長を務める第1分隊の隊員。モヒカンの髪型に、割れ目のないくちばしのようなカップを口に装着した独特の外見をしており、普段から車椅子で移動している。分隊では篠崎とコンビで、誠実だがお人好しすぎる篠崎の悩みをそれとなく聞いては遠回しに手助けしたりと、部下想いな一面を持つ。 分隊の運営に関しても細々と手回ししており、レオナの副官的なポジションにある。妻帯者で、「智美」という妻がいる。
浅田
ニューポート署所属の女性警察官で、尾崎レオナが分隊長を務める第1分隊の隊員。ポニーテールの髪型をしている。分隊では清水とコンビを組んでいる。面倒見が良く、アンナや清水といった新人の教育を任されている。そのため、アンナや清水が起こした問題のとばっちりを受けては、何かと監督責任を問われる損な役回り。
篠崎
ニューポート署所属の男性警察官で、尾崎レオナが分隊長を務める第1分隊の隊員。七三分けの髪型にし、大柄な体格で、自他ともに認める誠実な人物。分隊では葉花とコンビを組んでいる。博愛主義者でテレビに影響を受けやすく、また誠実であるがゆえに心理面に弱いところがあり、友人に不正を頼まれた際には大いに悩み苦しんだ。
清水
ニューポート署所属の男性警察官で、尾崎レオナが分隊長を務める第1分隊の隊員。常にやる気のない表情を浮かべているが、実は博士号を持って警察に入った「1ヶ月組」と呼ばれるデスク組予備生。警察学校入学時点ですでにエリートコースに乗っており、大卒・高卒組や他からの転属組とは出世スピードが格段に違う。書類上の肩書を増やすためにさまざまな現場を点々としている最中で、文字通り1か月で別部署へと転属する予定にある。 一方で、腰掛けのような現在の部署に対して責任感ややる気が欠如しており、予備燃料の側で煙草を吸うなどといった問題行為も散見される。
アンナ
ニューポート署に新人として配属された女性型アンドロイド。もとは広域手配までされた極悪人。伸びてくしゃくしゃに乱れた長髪で、頭の上に猫耳を生やしている。また180センチ以上の長身で、関西弁で話す。ユニとは瓜二つの外見をしている。尾崎レオナの分隊に配属された。戦車搭乗員としては大きすぎる体格をレオナに突っ込まれていたが、出動したいがために体を収縮させるという荒技に出て問題を解決。 水を大量に飲むことでもとの体型に戻ることができる。レオナらニューポート署の職員らと因縁があるような素振りを見せるが、詳細は不明。葉花からはたびたび、「デカネコ」と呼ばれている。
チャールズ・ブレンテン (ちゃーるずぶれんてん)
ニューポート署所属の近畿庁第1大隊・第1中隊・第3小隊の小隊長を務める男性。伸ばした髪を後頭部で束ね、サングラスをかけて口ひげを生やした強面な外見をしている。また勤務中にも関わらず、頻繁に葉巻を咥えていることがある。体格はアンドロイドであるアンナよりも大きく頑強。プロレスラーであるブレイディの兄。また、妻帯者で「スマイザ」という妻がいる。
桜 源治
兵庫県警察本署所属の警視を務めている男性型アンドロイド。警察戦車隊の大隊長顧問を務めている俊英で、アンナが配属されるまでは戦車隊唯一のアンドロイドであった。眉目秀麗、さらに優しく穏やかで誰に対しても気配りができる性格。そのため、兵庫県警察本署のみならず、ニューポート警察署の女性警察官からも多大な人気を誇っており、恋のさや当てが頻繁に行われている。
署長
ニューポート署の署長を務める初老の男性。白髪を五分分けにした髪型で、立派な口ひげをたくわえ、恰幅の良いふくよかな体つきをしている。物事を冷静に、客観的にとらえる視野の持ち主で、事件の処理について兵庫県警本部長と話し合った際には、警察事情を鑑みた不自然な情報操作を良しとしないなど、毅然とした人物。
イ・チョンギル (いちょんぎる)
ニューポート署の次長を務める男性。愛妻家で机に妻の写真を飾っており、妻からプレゼントされた整髪料を大切にしている。元自衛官で、大改革による自衛隊の解体を機に警察に入った。この大改革がなければ、自衛官として高い地位についていたはずの人物であるとの噂がある。自衛隊当時の癖が抜けきっておらず、階級の上下を必要以上に気にしたり、命令を了承する際に敬礼してしまうことがある。 普段は皆から「次長」と呼ばれている。
ヨン
ニューポート署所属の戦車隊員の男性で、第2分隊の分隊長を務めている。野放図に伸ばした髪をリーゼントのような形にし、瓶底眼鏡をかけた縦にひょろ長い顔をしている。その特異な外見からどこかとぼけた印象を与えるが、尾崎レオナに手柄を先取りされそうになった際には悔しさをにじませるなど、その内面は戦車隊の分隊長に相応しいやる気の持ち主。
パク
ニューポート署所属の戦車隊員の男性で、第3分隊の分隊長を務めている。禿頭に耳元までを覆う顎ひげを蓄えた強面だが、表情が豊かで周囲からも親しまれている。勤務上がりには足の不自由な葉花を自分の車で送ったりと、部下や同僚想いな優しい性格。
梅田
ニューポート署の第3分隊に所属する隊員。角刈り頭に厳つい顔つきをした大柄な男性。埕春真樹奈に想いを寄せ、色々と気を回している。なぜか、真樹奈に親切にする梅田を見た伊東麗理香が複雑な表情を浮かべることもある。
難波
ニューポート署の情報処理課に所属する男性。短髪に刈り上げられた髪型をしており関西弁で話す。尾崎レオナと仲を取り持とうと考えた戸立真奈子の企みで、射撃場でレオナと面通ししたことがある。レオナとは言い争うことも多く甘い関係ではないが、単車がパンクして立ち往生していたレオナを車で送ったりと、まったく気がないわけではない。
ユニ
ニューポート署に新人として配属された女性型アンドロイド。もとは広域手配までされた極悪人。伸びてくしゃくしゃに乱れた長髪で、頭の上に猫耳を生やしている。また180センチ以上の長身で、関西弁で話す。アンナとは瓜二つの外見をしている。アンナとは別に交通課に配属された。尾崎レオナを含めたニューポート署の署員らと因縁があるような素振りを見せるが、詳細は不明。
徳
ニューポート署の鑑識係に所属する男性警察官。長く伸びた手入れのされていない髪型で、分厚い瓶底眼鏡をかけた太った人物。無口で、話しかけられるとペコペコ頷いたりと反応を示すものの、自身がしゃべることはほとんどない。アンナとユニのことを気に入ったらしく、初対面の際にはハートマークとともに名刺を差し出していた。 尾崎レオナからは「徳さん」とさん付けで呼ばれている。
斑田原
ニューポート署の捜査3係に所属する警部補で、ハの字型の特徴的なひげを生やした壮年の男性。何よりも捜査3係の面子を大事にしており、そのためならば調査情報や手柄の横取りなども辞さないずるがしこい性格をしている。
戸立 真奈子
ニューポート署の交通課の課長を務めている女性。他の女性隊員の面倒をあれこれと見る面倒見の良い人物。特に婚期にうるさく、何かと女性隊員と男性隊員の仲を取り持とうとする。口うるさく押しの強い女性ではあるが実務経験は豊富で、尾崎レオナにも戸立真奈子から学ぶところは多いと評価されている。
鈴代 鈴菜
ニューポート署の交通課所属の女性警察官。肩ほどの長さに切りそろえられた髪型をしている。同じ交通課所属の伊東麗理香や埕春真樹奈とはよく行動をともにしており、ミーハーな会話に華を咲かせる仲。まどろっこしいことが苦手で、要領の悪い麗理香のフォローなどでたびたび手を焼かされている。
埕春 真樹奈
ニューポート署の交通課所属の女性警察官。髪型は短めに切りそろえられている。同じ交通課所属の伊東麗理香や鈴代鈴菜とよく行動をともにしている。気が強く男勝りな性格で、相応に口も悪く、男性隊員が相手でも怯まない。戦車隊員である梅田に好意を寄せられている。
伊東 麗理香
ニューポート署の交通課所属の女性警察官。ウェーブのかかった長い黒髪をしている。職務に対して不慣れな部分が多く、交通課課長の戸立真奈子からは要領が悪いと見なされている。そのためか、今まで仕事について褒められたことがない。同じ交通課の鈴代鈴菜や埕春真樹奈と親しく、イケメンとして有名な桜源治の動向をお互いに伝えあったり、他の男性署員について噂話をする仲。
モリ
ニューポート署 で、戦車隊の戦車整備を担当する男性。安全帽を被り、ちょびひげを生やした壮年の人物で尾崎レオナらの注文にもすぐさま応えてみせる整備の腕を持っている。警察組織に所属しているわけではなく、企業から派遣されてきた整備スタッフという立ち位置にある。そのため、清水の立場などの警察組織独特の慣例等に疎い部分がある。
ゲン
軽犯罪によって留置場に拘束された老人3人組の1人。かつて南神戸海洋大学で12年教授を務めた後に一流企業「SEATECH社」に引き抜かれ、40年勤め上げた。その後、妻に先立たれてからアルツハイマー病を患い、軽犯罪の常習犯となった。のちに、留置場内で誰に気づかれることもなく死亡した。子供も兄弟もおらず、親戚もあるかどうかわからないという「孤独な死」であった。
桂
ニューポート署の警部補の女性。桜源治に気があり、さまざまなアプローチを仕掛けている。その様子はわざと書類をばらまいて拾ってもらうなど、尾崎レオナをして「10年前のC級ドラマをマジでやってる」と言わしめるほどに古典的。桜の車に乗せて貰ったレオナのことを目の敵にしている。
ブレイディ
チャールズ・ブレンデンの弟。身長が210センチもある大柄な体格の男性で、プロレスラーをしている。喧嘩っ早い性格をしており、兄のブレンデンに心配されている。兄弟仲は非常に良く、実家で両親と住んでいる関係からブレンデンとはよく家族の情報のやりとりをしている。格闘家として有名人で、騒動を起こしてニューポート警察署へ連行された際、警察署を訪れていた一般市民に身元がバレてしまう。
うるし丸
高層ビル強盗を専門に行う犯罪者の男性。赤鼻で口元にちょびひげを生やした、ずんぐりむっくりとした体型の人物。戦車の砲弾でも容易に落とせないほどに頑丈な航空機を駆使し、強盗から異臭を放つ爆弾の投下による迷惑行為など、さまざまな犯罪行為を行っている。女性の相棒が1人いる。
集団・組織
科学捜査研究所
犯罪捜査における科学鑑定や検査、研究などを行う機関。略称として「科捜研」という呼び名が定着している。本作『ドミニオンC1』では具体的に兵庫県警本部の研究所のことを指す。うるし丸が引き起こした事件の物証を鑑定していた。
警察戦車隊
日本全国に展開している警察組織所属の戦車隊。通常は1つの地方庁に1~2大隊が存在しており、日本全国で15大隊が存在する。そのうち11大隊が主力としてボナパルトMT-9を採用しているのに対して、北海道3大隊中の2大隊および九州庁・東北庁の各2大隊中の1大隊が、地勢的な理由から砲身の長いMBTを主力としている。戦車を運用していることから軍隊のように考えられるが、警察組織であるために、所属する戦車はパトカーの延長線上という扱いを受けている。 また、編成も大規模な戦闘には耐えられないレベルに過ぎない。なお、警察戦車隊に所属する戦車の整備は警察官ではなく、企業から派遣されたスタッフがやることとなっている。そのため、次期主力戦車の選定などによって戦車の種類が変更された場合は、スタッフやドッグ設備なども総取っ換えという一大事になる。
戦車隊
広義には警察戦車隊全体のことを指すが、そのうちニューポート署に配備されている警察戦車隊を指す。正式には「近畿庁第1大隊・第1中隊・第3小隊」という部隊であり、通常は他の署などから「兵庫第3小隊」と呼ばれている。小隊長はチャールズ・ブレンデン。分隊が3つ所属しており、それぞれ第1分隊から順に尾崎レオナ、ヨン、パクが分隊長を務めている。 また配備されている戦車は共通でボナパルトMT-9となっている。一方で、分駐所には「近畿庁広域機動隊第3小隊」と書かれており、レオナも自身の所属を名乗る時は「広機第3戦車小隊」と名乗ることもある。
剣菱重工
戦車開発を行う企業の1つ。現在、警察戦車隊の多くに配備されているボナパルトMT-9の製造元でもある。同じく戦車開発を行っている佐川兵装とは次期警察戦車車両の採用を争うなど、ライバル関係にある。戦車開発以外でも、飛行機開発分野などで両企業は争っている。
佐川兵装
戦車開発を行う企業の1つ。同じく戦車開発を行っている剣菱重工とはライバル関係にあり、現在は警察戦車隊に配属される次期警察戦車の受注を巡って対立している。戦車以外の分野では、軽飛行機の販売を広く市場に行っているが、犯罪者向けの飛行機と揶揄されることもある。商品であるハマー戦車は剣菱重工のボナパルトシリーズに比べて攻撃的に仕上がっており、被射体への殺傷能力に限ればボナパルトシリーズを上回っている。
場所
ニューポート署 (にゅーぽーとしょ)
尾崎レオナらが所属している警察署。近畿庁所属の警察署であり、署を置いているニューポートシティを中心とした警察業務に当たっている。純粋な日本人のみならず、多国籍な人種が所属する特徴があり、その他、解体された自衛隊からの転職組やアンドロイドの配備など、多様な人材が存在する。他に警察戦車隊より近畿庁第1大隊・第1中隊・第3小隊所属の戦車隊が3分隊駐在している。
その他キーワード
分隊長
分隊の主任のこと。1分隊は整備4人、2人乗り戦車3両の10名で構成される。階級は巡査部長。ニューポート署の戦車隊は3分隊と隊長1名によって構成されている。尾崎レオナは、第3小隊第1分隊の分隊長を務めている。
分隊巡察
戦車隊が行う巡察の形式。各車両が各々担当の区で個々に巡察を行うため、1両単独の行動が基本となる。対する臨戦巡察という形式は隊形単位で行う巡察形式であり、分隊3両が30メートル~50メートルの距離を取って、互いに援護ができる態勢を取りながら行う、3両連携行動となる。
ボナパルト
剣菱重工が開発している戦車。シリーズ化されているが、一般に「ボナパルトMT-9」と呼ばれる戦車のことを指す。警察戦車隊の主力戦車の1つとして採用されている。戦車としては小さい部類で、搭乗員は運転手と戦車長兼射撃手の2名。「ポッド」と呼ばれる車体上部に取り付けられた球体部は交換が可能で、さまざまなオプションポッドに取り替えることができ、汎用性に富んでいる。 また、車体後部にはさまざまな土木作業ユニットを装着することが可能で、シチュエーションに応じた運用が可能となっている。砲身の短い主砲は、暴徒鎮圧用のゴムスタン弾やさより14号をはじめとする徹甲弾など、複数種類の砲弾を使用可能。無限軌道が爪の生えた独特の形状となっており、状況に応じて爪を格納することで騒音を軽減するなど、機能性を持つ。
ハマー戦車 (はまーせんしゃ)
佐川兵装の新型戦車。警察戦車隊が採用する次期主力戦車の座を、剣菱重工のボナパルトと争っている。シリーズ化されているが、一般には「ハマー4型戦車」のことを指す。ボナパルトシリーズに対して高火力な兵装を搭載しているという特徴がある。また、戦車ではあるが無限軌道ではなく車輪を採用しており、片側3輪の計6輪のタイヤがある。
ソードリーグ
世界で流行している異種格闘スポーツ。武器を持って戦うスポーツであり、剣道、古武術、薙刀、大陸武術など、さまざまな要素が組み込まれている。作者の士郎正宗の解説によれば、実在する競技「スポーツチャンバラ」のようなものであるという。警察官の参加者も数多く存在し、尾崎レオナもその1人。
切腹の刑
本来の切腹ではなく、尾崎レオナの分隊で使われている隠語。何かしらの迷惑行為や監督不行き届きといった軽度のミスに対して、「関係者全員に自腹を切っておごる」ことを指す。新人であるアンナの監視を怠った浅田が刑に処されていた。
さより14号
戦車で使用するHEAT系弾丸。商品名であり、その名は魚のさよりから取られている。弾丸の名称としては他にサンマ、シイラ、カツオ、ヤツメウナギなどが存在している。
手錠 (てじょう)
通常の刃物で断ち切ることの難しい、特殊な繊維で出来たテープを巻き付けた手錠。テープは特定の波長をもったレーザーに反応することで溶けるという性質を持っており、グリップ状の持ち手にレーザーによって手錠を切断する機構が備わっている。テープは8メートルほどが内蔵可能で、これによって複数人数を制圧し、確保することが可能となっている。 またタグには所在確認用のICが入れられている。
銃 (じゅう)
警察が採用している銃。通常はベルトとカールコードで接続されているが、警察全員が常時携帯しているわけではなく、必要に応じて携行・使用される。貿易不均衡是正のために、アメリカで製造された銃を日本に輸入し改造を加えたもので、携帯用としては小型のハンドガンとサブライフルであるMN-23が存在する。スタン弾をはじめ、ガス弾や発信弾といったさまざまな銃弾に対応する多目的銃で、殺傷を主目的としたものではない。 犯人を威嚇するため、目立つように基本的にはグロス仕上げとなっており、MN-23はセーフティーが外されると同時にビデオカメラが作動し、被写体を撮影する機能を持っている。
警棒 (けいぼう)
警察が採用しているジェラルミン製の警棒。3段スライド式となっており、長さは35センチから85センチまで伸びる。なお、警察採用の手袋が防刃繊維でできているため、警棒には鍔はない。柄のネジキャップにはマイナスドライバー兼カナテコが隠されているが、警棒使用時に邪魔になるためこの機能は不評。警察官全員が常時携帯しているわけではなく、ロッカーでハンガー代わりに使用されている場合が多い。 なお車に乗車する際には、シートの横にセットされる。
ナイフ
警察が採用しているナイフ。ファーストエイド系の折りたたみミニナイフで、ペンチやハサミ、ノコ、ピンセットなども収納された多機能型。格闘には向かないため、実際に使用されることはまずない。
レポード
警察が採用しているレポート用の電子手帳。クリップボードほどの大きさをしており、警察業務における報告書をはじめ、日報などのレポートを記すために用いられる。署内に備え付けられたデータ転送用の端末に挿すことで、データ報告を行える。
手帳 (てちょう)
警察が採用している警察手帳。身分証明書の一種で、全員が勤務時間外も含めて常時携帯しているが、例外として潜入捜査時などは携帯しない。白黒のツートンカラーに、金文字が施された外見をしている。
通信機 (つうしんき)
警察が採用している小型・軽量化された通信機。カード状で、手帳にクリップして使うことも可能。外部マイクやイヤホンと繋いで使用する場合もある。遠くへ電波を飛ばすことができないため、車載の通信機や公共の回線などとネットワークを構築することで機能する、一種のトランシーバー的携帯電話といった装置になっている。