あらすじ
第1巻
漫画の専門学校に通う櫻井遥斗は、同じクラスで雑誌デビューを果たしている秋山美織に感化され、初めて出版社にオリジナル漫画を持ち込んだ。しかし、その作品を見た編集者・柊司からは酷評を受けてしまう。ショックを受けた遥斗が柊にアドバイスを求めると、彼は遥斗に同人活動をする事を勧めるのだった。友人の五十嵐凪月と、妹の櫻井美晴にどうするべきか相談したところ、すでに同人活動を行なっていた美晴は、自分がシナリオを考え、遥斗が絵を担当する事で、兄妹で同人誌を作ろうと誘う。どうしてもプロになりたいと考える遥斗は美晴の提案を受け入れ、同人誌即売会に間に合わせるため、1か月という短期間で制作に挑む。しかし遥斗は、徹夜の日々と、さらに美晴が原案を手掛けたBLに大苦戦する。そんな遥斗を見かねて、美晴は同人活動の友達・朱華院紅椿を手伝いとして呼ぶのだった。これにより、遥斗はなんとか原稿を締め切りに間に合わせる事に成功し、初めての同人誌即売会に参加する事となる。
第2巻
櫻井遥斗は同人誌即売会で、同じ漫画専門学校を卒業した秋山美織と再会する。そこで遥斗は、美織の担当編集者が自分に同人活動を勧めてくれた柊司である事、そして美織が同人誌即売会の最大手サークル所属である事を知る。さらに、美織から同人活動と商業活動はまったくの別物であると聞いた遥斗は、同人活動がはたしてプロの道につながるのかどうか不安を抱きつつも、一方で同人活動の楽しさを実感していた。その後、遥斗は櫻井美晴の誘いで、最大規模の同人誌即売会である夏のコミックマーケットへの参加を決める。しかし、遥斗と美晴は参加抽選に落選してしまう。ひどく落ち込む美晴と遥斗を遊びに誘った美織は、複数人で作る合同誌に参加しないかと二人を誘う。それは美織の所属する最大手サークルにかかわる事を意味していた。遥斗はあまりのプレッシャーに、誘いを受けるかどうか悩んでしまう。
第3巻
櫻井遥斗は秋山美織の誘いを受け入れ、合同誌に参加する事を決めた。そんな中、遥斗と櫻井美晴は、SNS上で、自分達が大手サークルの美織にすり寄っているという、誹謗中傷の書き込みを見つけてしまう。二人は初めての事にショックを受けるが、そんな中傷をまったく気にしない美織の様子を見て、漫画制作に全力を尽くす事を決める。そして遥斗と美晴は、ついに夏のコミックマーケット当日を迎える。遥斗はコミックマーケットの参加者の多さや雰囲気に圧倒されながらも、売り子として必死に仕事をこなし、くたくたになりながらも何とか無事にイベントを終える。そこで遥斗は、柊司と久々に再会。柊は遥斗の上達を褒めるものの、同時にこれ以上の成長は難しいかもしれないと語り、遥斗は彼の言葉の真意がわからず戸惑う事となる。そんな遥斗のもとに、美織のファンだと名乗るBL好きの男子シンちゃろが訪ねて来る。そしてシンちゃろは、遥斗が美織と合同誌を出した事を知り、遥斗に興味を示す。
第4巻
櫻井遥斗と櫻井美晴のもとに、非公式の同人誌作品集を販売する出版社から、仕事の依頼が入った。しかしそれは、あくまで秋山美織といっしょに出した合同誌を前提としたものであった。個人誌を希望した遥斗と美晴はその申し出を断られ、二人は自分達がまだまだ駆け出しの新人である事を再認識するのだった。そんな中、シンちゃろからBL研究のための池袋散策に誘われた遥斗は、そこで大手サークル所属で、美織をライバル視する合田小百合と出会う。小百合は美織と親しい遥斗にも敵意を剝き出しにし、そのまま去ってしまう。その後、美織の家に来てほしいと美晴に呼び出された遥斗は、そこで美織から合同誌を出した報酬として、液晶タブレットを譲り受ける。遥斗はプロの商業漫画家としても、同人作家としても楽しそうに活動する美織の姿を見て、美織のような漫画家になりたいと告白。これを聞いた美織は、遥斗の漫画家に向ける本気の思いをくみ取り、柊司の仲介で、遥斗に人気漫画家・黒淵塞のアシスタントの仕事を紹介する。
第5巻
櫻井遥斗は、黒淵塞の勝手気ままな人柄に振り回されつつも、彼のアシスタントの仕事を続けていた。そんなある日、遥斗は仕事帰りに、秋山美織の漫画の宣伝ポスターを破ろうとしている合田小百合を見かける。小百合から商業誌での挫折や、美織へのライバル心を聞いた遥斗は、小百合が同人活動を楽しめていないのではないかと指摘し、彼女を半ば強引に黒淵のアシスタントとして紹介する。遥斗はそこで、小百合の実力の高さを知り、少しずつ彼女の人柄を理解していく。仕事から帰った遥斗は、妹の櫻井美晴から、来月開催のイベントに申し込んだと報告を受ける。すると、今度は黒淵から連絡が入り、二次創作ではなくオリジナルの本を出すイベント「コミティア」への参加に誘われる。二つのイベントが重なった事で大忙しとなる中、遥斗は黒淵に自分の漫画を見てもらい、推敲を重ねていく。そして迎えたコミティア当日、遥斗は黒淵に、沢山の編集部が集まるブース「出張編集部」への漫画持ち込みを勧められる。
第6巻
コミティア終了後の打ち上げで、朱華院紅椿が入籍していた事実を知った櫻井遥斗は、櫻井美晴と共に紅椿の結婚式に招待される。結婚式が終わり、美晴や秋山美織の妹・秋山美都と式の話で盛り上がるうちに、遥斗は徐々に自分の将来について悩み始める。そんな中、遥斗と美晴は冬のコミックマーケットの参加抽選に当選。しかし美織は、これまでとは別ジャンルの漫画の二次創作で参加を予定していた。大手サークルが創作ジャンルを変える事で、ファンが一気に離れる危険があると知った遥斗は、美織に未練はないのかと尋ねる。そんな遥斗に対し美織は、今描きたいものを描くという信念と、漫画家として生涯成長していきたいという情熱を伝える。美織の情熱に触れ、自分は成長できているのだろうかと考え込む遥斗を、美織は漫画専門学校の同窓会に誘う。
登場人物・キャラクター
櫻井 遥斗 (さくらい はると)
漫画専門学校に通う2年生の男性で、プロの漫画家を目指している。誌面デビューへの思いは強いが、漫画原稿の持ち込みや投稿の経験はない。柊司からの助言もあって、同人誌の作画担当として同人活動を始めた。絵はそれなりに描けるが、作風が古い事を悩んでいる。専門学校を卒業後は、本屋でアルバイトをしながら同人活動に精を出す。専門学校時代は怠惰に過ごしていたため、後悔の念が強い。 また、あまり体力がなく、イベントでの力仕事などは幼なじみの五十嵐凪月に任せている。素直な性格で漫画に対しても真っ直ぐだが、押しに弱く、いつも妹の櫻井美晴に振り回されている。同人活動の際の「ハルル」というペンネームも、美晴に勝手に決められたもの。ちなみに酒も弱い。
櫻井 美晴 (さくらい みはる)
櫻井遥斗の双子の妹。「メロ」というペンネームで同人活動をしており、同人活動に情熱をそそいでいる。遥斗に同人活動の知識を教え、彼に作画を担当させて、自らがシナリオを手掛けた漫画で同人誌即売会に参加している。強引な性格で、いつも遥斗を振り回している。手がけるシナリオはBLであり、WEBサイトに小説も投稿している。将来やりたい仕事などは決まっておらず、就職活動では苦戦している。 秋山美織の同人誌の大ファン。
柊 司 (ひいらぎ つかさ)
少年漫画雑誌「ヤングワークス」の編集者の男性で、眼鏡をかけている。気さくな性格だが、漫画に関しての指摘は的確で淡々とこなす。秋山美織、黒淵塞の担当を務める。
五十嵐 凪月 (いがらし なつき)
櫻井遥斗の家の近所に住む幼なじみの男性で、大学に通っている。イケメンでしっかり者、さらに優しく頼りがいのある人物。勉強も得意で、将来は弁護士を目指している。遥斗の同人活動も積極的に手伝っており、いつも遥斗に一歩引いたところから適切なアドバイスをするため、相談役としても頼られている。遥斗達の助けになると思い、車の免許を取って荷物の運搬なども手伝うようになる。
秋山 美織 (あきやま みおり)
漫画専門学校に通う女性で、櫻井遥斗とは同じクラスだった。専門学校に入る前から、同人活動や出版社への持ち込みをしており、漫画家のアシスタントも経験してきた事から、漫画への情熱は人一倍強い。その努力の甲斐もあり、専門学校生の時に読み切り漫画でデビューを果たした。専門学校を卒業後は「Cherry!」という題名の漫画を商業誌にて連載開始し、新人ながら重版がかかるほどの人気を得ている。 また、「おしり」というペンネームで、最大手サークルを率いる人気同人作家でもある。普段は天然でおっとりとした性格ながら、漫画の話になると豹変し、饒舌になって熱く漫画愛を語り始める。誹謗中傷などを気にしないタフなメンタルを持ち、つねに楽しく漫画に向き合っている。
秋山 美都 (あきやま みと)
秋山美織の妹で、美織の同人活動を売り子として手伝っている。地元の普通科高校に通っており、将来は服飾系の学校への進学を目指している。外見は美織に似ているが、性格は美織と違って思った事をズバッと言うタイプ。同人活動に詳しく、売り子として非常に高いスキルを持つ。
朱華院 紅椿 (しゅかいん べにつばき)
櫻井美晴のオタク友達の女性で、年齢は33歳。本名は不明。「朱華院紅椿」というペンネームで、同人作家だけでなく、コスプレイヤーとしても活動している。このペンネームは小学校時代から使っているため、強い愛着を持っている。少年漫画の肉体美にあこがれ、独学で漫画を勉強して作画の技術を身につけた。普段はOLとして働きながら、毎月同人のイベントで新刊を出している。 ゲームショーでコスプレしていた際に知り合ったゲームディレクターの男性と、結婚を控えている。
シンちゃろ
秋山美織の大ファンであるオタクの男性で、自称「腐男子」。本名は不明。BL本を好むが、普段の生活での恋愛対象は女性である。派手な恰好で、ノリが軽く、初対面の人ともすぐになかよくなれるフレンドリーな性格。櫻井遥斗を腐男子仲間だと思い、なかよくなろうと近づいた。オタク歴は8年で、同人誌は買うのが専門だが、いつか自分でも同人誌を出してみたいと考えている。 遥斗と五十嵐凪月がBLな関係ではないかと、勝手に妄想している。
合田 小百合 (ごうだ さゆり)
「リリアンダ」というペンネームで同人活動をしている女性。同人誌即売会では秋山美織のサークルに次ぐ人気サークルで活動している。美織のサークルに勝って一番になる事を目指している。そのため、美織に敵対心を剝き出しにして毒づくが、いつも美織にうまくかわされている。商業誌デビューしてコミックスも一冊出したものの、人気が出ずに同人活動に戻って来た。 デジタルでの漫画制作の知識が豊富で、作画技術も高い。不器用な性格で素直ではないが、礼儀はしっかりしている。
黒淵 塞 (くろぶち さい)
有名漫画家の男性で、ドラマ化や舞台化もされている「忘却のソルダート」という人気作を連載している。無精ひげにだらしない雰囲気を漂わせているが、仕事部屋はきれいに片づけている。好き嫌いが激しく偏屈な性格のため、なかなかアシスタントが定着しない。また、漫画論について語りだすと止まらず、新人のアシスタントには必ず漫画論を問う。 プロ漫画家を志望しながら二次創作をする者には嫌悪感を示す。しかし、ファンアートを見る事が趣味で、二次創作自体は否定していない。原稿の締め切りは平気で破り、人使いも荒い。「黒にんにく先生」というペンネームで、素性を隠してコミティアに個人参加し、オリジナル作品を発表している。
アオイ
コスプレイヤーの女性で、秋山美織の同人活動をいつも手伝っている。背が高くスレンダーな体型に、中性的な容姿のため、男性キャラクターのコスプレを得意としている。コスプレの技術を上げるために美容師を目指しており、美容師の専門学校に通っている。
ウホ男のウッちゃん (うほおのうっちゃん)
黒淵塞の職場で不定期にアシスタントとして働いている女性。本名は不明。男性向けアダルト漫画で同人活動を行っている。かわいらしく幼い女の子の顔に、肉感を誇張した身体のキャラクターという作風を特徴としており、日常会話ではやや下品な言葉が多い。アシスタントとしての作画技術は非常に高い。
続編
ドージン活動の、ススメ!? (どーじんかつどうのすすめ)
中条亮の『ドージン活動はじめました!?』の続編。プロ漫画家を目指す青年の櫻井遥斗は、アシスタントの仕事をしつつ、双子の妹の櫻井美晴とのコンビでBL同人誌も執筆している。そんな遥斗の職場に新しいアシスタ... 関連ページ:ドージン活動の、ススメ!?
書誌情報
ドージン活動、はじめました!? 全6巻 KADOKAWA〈it COMICS〉
第1巻
(2015-10-15発行、 978-4048654234)
第2巻
(2015-11-18発行、 978-4048656092)
第3巻
(2016-04-15発行、 978-4048659024)
第4巻
(2016-10-15発行、 978-4048924375)
第5巻
(2017-04-15発行、 978-4048927017)
第6巻
(2017-11-15発行、 978-4048934442)