ナンバー7

ナンバー7

核戦争によって荒廃した地球で、100年間の人口冬眠から目覚めた大島七郎が、地球を狙う宇宙人の魔手から母なる星を守るべく、地球防衛隊のメンバーとなって戦うSFストーリー。「日の丸」1961年1月号から1963年2月号にかけて掲載された作品。

正式名称
ナンバー7
ふりがな
なんばーせぶん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
手塚治虫文庫全集(講談社コミッククリエイト)
巻数
既刊2巻
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

大島七郎は、父親から「明日の5時に世界中で戦争が起きる」と告げられ、父親の発明品とともに、未来への希望を託されて100年間の人口冬眠についた。その間、地球では水爆戦争が勃発し、現在わずかに生き残った人類は地球を離れて宇宙にある空中島へと移住していた。そんななか、目を覚ました七郎はコスミ博士から無人となった地球を乗っ取ろうと、多くの星から宇宙人たちが殺到していることを聞かされ、故郷の星を守るべく地球防衛隊の一員となって立ち向う。

登場人物・キャラクター

大島 七郎 (おおしま しちろう)

正義感の強い少年。父親が発明したイメージ現像機とともに、富士の樹海の洞窟で100年の眠りについていた。水爆戦争により人類がいなくなった地球で目を覚まし、コスミ博士の率いる地球防衛隊に保護される。その後、地球防衛隊の一員となり、地球を侵略しようとする宇宙人との戦いに加わる。

大島 一郎 (おおしま いちろう)

大島七郎の父親で、イメージ現像機を発明した。Y国で水爆のスイッチが押されるのをきっかけに、世界中で戦争が起きるという情報を得て、息子の七郎とともにイメージ現像機を安全な場所に隠すことを決意する。戦争が終わっているであろう100年後の未来に希望を託し、七郎を冷凍睡眠させて自らは命を落とした。

コスミ博士 (こすみはかせ)

地球に取り残された大島七郎を保護した、地球防衛隊を指揮する博士。七郎が眠っている間に起きた戦争について、今では人類が宇宙に住んでいること、宇宙人に侵略されていることを説明し、地球防衛隊に加わるよう頼む。キミコが宇宙人のスパイと知りつつ、油断させるために本当の父と娘のように愛情を注いでいるうちに、心から愛するようになってしまう。

キミコ

コスミ博士の助手の女性。その正体は大角星人という宇宙人で、体を水のように溶かしてどんな場所でも染み込んで潜入することができる。5年前にコスミ博士を探るために潜入したスパイだったが、本当の娘のように愛されているうちに、次第に心を通わせて地球人としての心が芽生えていく。敵対する宇宙人と地球人のはざまで思い悩んでいる。

隊長 (たいちょう)

地球防衛隊の隊長を務める男性。地球を宇宙人から守るという使命感に燃える、生真面目な性格。訓練に真面目に参加しない佐々木小次郎に頭を痛めている。仲間意識が強く、作戦行動中に命を落とした隊員のために涙を流すこともある。キミコの行動を怪しみ、宇宙人のスパイではないかと疑って始末しようとした。

ナンバー2 (なんばーつー)

地球防衛隊の1人。もとは落語家をしており、ほがらかで話し上手な男性。大島七郎の父親が残したイメージ現像機を探しに地球へ行った時にも、七郎と一緒に夜通し火の番をしながら、小話を語って聞かせた。しかし一度敵が現れると、冷静に対処する落ち着きを見せる人物。

ナンバー6 (なんばーしっくす)

地球防衛隊の1人。小学校の校長先生も務める男性。機械に強く、ロケットの知識がある。イメージ現像機を探しに地球へ行った時には、乗って来た宇宙船を宇宙人に壊されたあげく捕らわれてしまったが、知識を活かして宇宙人のロケットを乗っ取り、仲間たちを空中島に連れ帰った。

佐々木 小次郎 (ささき こじろう)

イメージ現像機を回収する作戦中に亡くなった以前のナンバー5の代わりに、新たに地球防衛隊に加わった14歳の少年。剣の使い手であることを鼻にかけており、地球防衛隊の訓練をダイコン剣法だと馬鹿にしている。キミコを宇宙人のスパイではないかと疑っており、大島七郎に忠告する。

イミテーション

観測衛星17号を全滅させた宇宙人。偵察にやって来た大島七郎を捕らえて変身することで入れ替わり、地球防衛隊の隠れ家に侵入する。さらにコスミ博士の自宅にも潜入してキミコと接触し、七郎の父親が発明したイメージ現像機の強奪と博士の誘拐に協力するよう要求した。

左右 前後 (さゆう ぜんご)

コスミ博士のもとを30年ぶりに訪ねて来た同窓生の男性。星から星を渡り歩いてめぼしいものを奪う宇宙海賊をしている。イメージ現像機の噂を聞きつけ、コスミ博士の命と引き換えにイメージ現像機を渡すよう大島七郎に要求し、七郎が用意した偽物をつかまされる。宇宙人に高く売りつけようと企んでおり、パトロールに後を追いかけられないようコスミ博士を人質に連れて行く。

マクロライフ

左右前後の率いる宇宙海賊がアジトにしている星に住む宇宙生物。単体では神経細胞のような形をしており、互いにつながって大きな塊になり、星のように宇宙に浮かんでいる。アジトの星がまるごとマクロライフの体であり、星を訪れる生物を無差別に殺していく。

スピードのジェーン

名うての宇宙空港荒らしの女性。おたずね者のため母国に帰ることができず、残してきた息子に会えないのを嘆いている。イメージ現像機の噂を聞き、息子のミッチに似せた人造人間を作るため、手下を使って盗み出した。自分は悪党だが、息子には立派な人になって地球人に尽くし、地球を救ってほしいとミッチに語る。

ミッチ

スピードのジェーンが一人息子に似せてイメージ現像機で作り出した人造人間。自分の身体を回転させながら、石つぶてやナイフを360度に投げる技を使いこなす。佐々木小次郎と対戦をして実力を見出され、新たなナンバー6として地球防衛隊に迎えられる。

女王 (じょおう)

昆虫型宇宙人の女王。自分の卵を他の虫に産みつけてロボットのように操り、卵からかえったハチの子がその虫を食べて育つという、ヤドリバチに似た性質を持っており、人間に卵を産みつけて餌にしている。地球に偵察に来た大島七郎、佐々木小次郎、ミッチを捕まえ、卵を産みつけようとした。

デネブ星人 (でねぶせいじん)

地球に偵察に来た際に、巨大なハエトリソウに飲み込まれてしまった大島七郎を助けた宇宙人。非常に穏やかで友好的、自己犠牲的な性質を持っている。体液には、どんな病気や怪我も治せる力があり、七郎と同じくハエトリソウに飲み込まれて命を落としかけていたナンバー2のために、自ら命を投げ出して体内のすべての体液を提供した。

カペラ星人 (かぺらせいじん)

地球を自分たちの植民地にして、地球人を奴隷として使おうと侵略して来た宇宙人。残虐な性質だが、高い文明を持っている。船に侵入して来た大島七郎たちを捕虜として本船団に連れて行き、解剖して標本にしようとした。

書記長 (しょきちょう)

国際的な秘密結社「黒帽子党」の首領。人類は地球を捨てて他の星へ移住するべきだと主張しており、地球を捨てることに反対する学者や政治家を暗殺し、地球人全部を従えて他の星を連れて行くという陰謀を企んでいる。実は大島七郎の遠い子孫にあたる。

ヒョウ人 (ひょうじん)

戦争後の地球で、宇宙人にペットとして飼われていたヒョウがヒト型に進化した生物。知恵をつける特別な注射を宇宙人に投与され、何世代もかけて独自の文明を築くまでに進化していった。人類が地球に調査隊を送っていることは知っていたが、人類に十分に対抗できる準備が整うまで時期を待っていた。地球防衛隊を捕らえ、互いに殺し合わせる処刑をしようとした。

場所

空中島 (くうちゅうじま)

世界最大の大戦争が起こった後、わずかに生き残った人間が、住むことができなくなった地球を捨てて宇宙に作った居住用宇宙船。各国がそれぞれに島を作っている。コスミ博士やキミコを始め、日本人の全員が日本の空中島に住んでいる。

その他キーワード

イメージ現像機 (いめーじげんぞうき)

大島一郎の発明した、頭に思い描いたものを形にすることができる機械。世界中で戦争が起きることを予期した一郎が、戦争後の新しい世界で役立てるために、息子の大島七郎とともに100年間、富士の樹海の洞窟の中に隠した。箱のような形をしており、七郎の声にのみ反応して扉が開き作動するが、録音した声でも動かすことが可能。

カブトガニ

地球防衛隊が開発した探知攻撃用のロボット車。人間の匂い、呼吸、体温を細かく分析して、地球人と宇宙人を判別する。地球人であれば攻撃しないが、そうでないという分析結果が出れば0.5秒で攻撃を開始する。空中島の完全オートメーション工場で製作されている。

書誌情報

ナンバー7 2巻 講談社コミッククリエイト〈手塚治虫文庫全集〉

第1巻

(2011-01-12発行、 978-4063738063)

第2巻

(2011-01-12発行、 978-4063738070)

SHARE
EC
Amazon
logo