ハチミツにはつこい

ハチミツにはつこい

生まれた時からいっしょの、幼なじみの男女。高校生になったのをきっかけに互いを意識し恋人になり、やがて結婚に至るまでの二人の姿を描いた青春純愛ストーリー。「Sho-Comi」2012年第10号から2015年第8号にかけて連載された作品。

正式名称
ハチミツにはつこい
ふりがな
はちみつにはつこい
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
フラワーコミックス(小学館)
巻数
既刊12巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

となりの家に住む、生まれた時からの幼なじみの椎名小春杉浦夏生は、高校生になっても非常に親しく、周囲からは恋人同士と勘違いされるほど、仲睦まじく過ごしていた。しかし高校の入学式の日、夏生は、特進科の西園寺秋が泣いている姿を偶然目撃したのをきっかけに、秋に惹かれていくようになる。一方、小春は入学以降、自分が思っていた以上に夏生が女子にモテている事を知り、複雑な気持ちを抱くようになる。やがてオリエンテーションでの出来事を境に、夏生への思いを自覚する小春だったが、その直後の実力テストで、小春と夏生は学年最下位の点数を取ってしまう。見かねた担任の仁科雪弘は、小春と夏生をイベント実行委員に任命すると同時に、成績優秀なイベント実行委員である秋と都築冬哉に協力を頼み、小春と夏生が、委員会の仕事と並行して、秋と冬哉に勉強を教えてもらえる環境を作る。こうして四人の距離は、意外な形で近づくのであった。

第2巻

幼なじみの杉浦夏生への恋愛感情を自覚した椎名小春は、勇気を出して夏生に告白をする。しかし小春を仲のいい幼なじみと捉えている夏生は、その真意に気づかず、告白は失敗に終わってしまう。二人の関係は進展しないまま球技大会が始まり、夏生はそこで、またも西園寺秋が泣いている場面を目撃してしまう。そして、小春の気持ちをよそに夏生の秋への関心は増していき、ある日とうとう小春は夏生から、秋に片思いしている事を告げられる。小春は大きなショックを受けながらも、思い悩んだ結果、夏生の恋を応援する事を決める。そして体育祭の日、小春は夏生が秋に告白するのを後押しするのだった。

第3巻

体育祭がきっかけで、杉浦夏生西園寺秋は、友人としてではあるが、交際を始める事になった。一方、失恋した椎名小春は、ある日、校内にある旧音楽館で、何者かがピアノを弾いているのに気づく。その音色に惹かれた小春は、演奏者が誰なのか知らぬまま声をかけ、演奏者はピアノの音で返事をするという形で会話し、何度も通ううちに二人は親しくなっていく。さらに小春は、愛田好花のはからいで、男性を紹介してもらう事になる。そして小春、好花、河野誠と、誠の友人の三神直弘の四人で遊園地でのダブルデートをする事になるが、当日、現地には偶然にも、夏生と秋も訪れていた。夏生への思いを断ち切りたい小春は、直弘と親しくなろうとするが、その度になぜか夏生の邪魔が入る。結局その日一日、夏生は秋よりも小春の事ばかり気にして行動してしまう。さらに小春が現在失恋したばかりであり、新しい恋を見つけるために直弘達とダブルデートした事を知った夏生は、小春の思い人が気になってたまらず、ついに自分が真に思いを寄せているのは、秋ではなく小春であると気づく。秋に事情を伝えた夏生は校内放送を通じて、小春に告白する。

第4巻

夏。椎名小春杉浦夏生は、ついに両思いとなり、交際を始める事となった。しかし、仲がよすぎて、特にこれまでと関係の変わらない二人は、今後お互いを異性として意識していくため、今までのような「友人」としてではなく「彼氏彼女」としての初デートをする事になる。デートはうまくいき、幸せを感じる二人だったが、実力テストで、またもや揃って最低点を取ってしまう。二人を案じた西園寺秋は、都築冬哉も誘って、自宅で勉強会を開く事にする。そこで小春は秋とのわだかまりも解けて安堵するが、勉強会中、秋が思いを寄せているのは、実は冬哉なのではないかと考えるようになる。そこで小春は、秋と冬哉を近づけるため「夏休み委員合宿」という、希望した委員会だけが行う交流会に「イベント委員会」も参加する事を思いつく。そして引率の仁科雪弘も交えて五人での2泊3日の合宿が始まるが、合宿初日、小春は夏生と口論になってしまう。さらに小春は、海辺を歩いているうち、心配して追いかけて来た冬哉と二人で満潮で道のなくなった場所で立ち往生してしまう。そんな小春達の前に、夏生が救助に現れる。

第5巻

「夏休み委員合宿」2日目。西園寺秋が思いを寄せているのは、都築冬哉ではなく仁科雪弘であった。事情を聞いた椎名小春杉浦夏生は、雪弘がかつて秋の家庭教師であり、当時二人は交際していたが別れてしまった事、そして秋は今でも雪弘を思っている事を知る。秋と雪弘の関係を応援したいと思う小春は、雪弘を驚かせるため、秋をイメージチェンジさせようとショッピングに誘う。しかし、その途中、ナンパしてきた見知らぬ男性の失恋話を聞かされるうちに、帰宅が遅くなってしまう。そこに夏生と雪弘が駆けつけた事がきっかけで、秋は雪弘の真意を知り、再び交際する事になる。こうして「夏休み委員合宿」は終了。その後、小春と夏生は夏祭りの出来事をきっかけに、ついに互いの両親に自分達が交際している事を報告する。

第6巻

2学期が始まり、椎名小春ら「イベント委員会」は、文化祭で生徒会のサポートをしながら当日を盛り上げる事になった。そんなある日、小春は寝ぼけていた都築冬哉に突如抱きしめられる。冬哉が思い人の夢を見ていたのではと考える小春は、自分こそがその思い人である事を知らず、恋愛を軽視していたはずの冬哉の恋を応援したいと考えるようになる。さらにその直後、体調を崩した冬哉を小春が看病したのがきっかけで、二人の距離はさらに近づいていくのだった。

第7巻

椎名小春達の通う愛華高校の文化祭まであと少しと迫っていた。しかし小春は、杉浦夏生を異性として意識するあまり、以前のように自然に接する事ができなくなり、思い悩んでいた。一方、小春への思いを自覚した都築冬哉は、夏生の小春に対する子供っぽい態度が気になり「自分なら小春を困らせない」と宣戦布告をする。そのまま文化祭が始まり、小春達は生徒同士が告白しあう「告白ステージ」の司会進行を務める事になる。だが発表中、機材の故障で音楽が流れないというトラブルが発生。冬哉がとっさにピアノ演奏でフォローした事でどうにか切り抜けるものの、小春はこれをきっかけに、旧音楽館で何度も自分を励ましてくれた「ピアノの人」の正体が冬哉である事を知る。改めて冬哉に友人として感謝の気持ちを伝える小春だったが、小春を友人だとは捉えていない冬哉は、小春にキスをする。冬哉の気持ちを知った小春は悩むが、自分が好きなのは夏生だけであると告げ、冬哉とはやはり友人として付き合っていく決意をする。

第8巻

冬。10年前の12月に母親が家を出て行った杉浦夏生にとっては、つらい季節がやって来た。杉浦家の面々を案じる椎名小春は、クリスマスはあえて夏生と二人きりでは過ごさず、当日は椎名家と杉浦家合同で楽しむつもりでいた。その直前、夏生は男子サッカー部の遠征合宿へ行く事になるが、夏生と離れるのが不安な小春は、合宿期間中だけの臨時マネージャーとしてついていく事にする。そして楽しい合宿が始まるが、ある日、転倒しそうになったお弁当屋の女性を助けた小春は、なぜかその女性と初めて会ったようには思えず、そのまま彼女の仕事を手伝う事にする。すぐさま彼女こそが、夏生の母親の杉浦花であった事が発覚。小春は花が今でも夏生達を思っている事を知り、夏生と花を会わせようとする。しかし夏生はこれを拒み、兄の杉浦朋生や父親にもこの事は伝えないようにと告げる。

第9巻

椎名小春三神直弘、そして赤井の尽力により、一度は再会できないかに思われた杉浦夏生杉浦花は和解し、クリスマスイヴの日、花は杉浦家に戻る事になった。こうして杉浦家の問題も解決し、3学期に起きた愛田好花河野誠の破局の危機も乗り越え、小春達は高校2年生になる。新入生歓迎会で劇「白雪姫」を演じる事になった小春達「イベント委員会」は、小春が白雪姫、王子が都築冬哉という配役で準備を進めるが、そんなある日、冬哉が一人暮らしするアパートが火事にあってしまう。修繕が終わるまで冬哉は実家に戻る事を勧められるが、冬哉を案じた小春は、杉浦家とも協力して、一時的に椎名家で冬哉を預かる事にする。

第10巻

都築冬哉が椎名家と杉浦家で暮らすようになってから一週間。杉浦夏生は、有名サッカーチームの監督に見出され、見学に泊りがけで京都府へ行く事になった。しかしその直後、関東全域に大雨が降り、椎名家と杉浦家の家族は外出先から戻れなくなり、椎名小春は、冬哉と幼い妹の椎名こすもの三人だけで一晩過ごす事になってしまう。さらに深夜、こすもが体調を崩し、小春と冬哉は、冬哉の実家である都築総合病院へ向かう。そこで冬哉の両親と出会う小春だったが、小春は冬哉と冬哉の母親である都築小夜子がうまくいっておらず、そのために冬哉は一人暮らしを選び、実家にも戻りたがらないという事を知る。小夜子の冷たい態度に納得のいかない小春は、冬哉の異父弟である都築光哉に頼み、都築家を新入生歓迎会に招待する。そこでようやくゆっくり話をする機会を得た冬哉と小夜子はついに和解し、冬哉は実家に戻る事になる。

第11巻

夏。都築家の問題も解決し、平穏に過ごしていた椎名小春は、突如杉浦夏生からデートに誘われる。夏生の不自然な態度を不思議に思う小春だったが、デート中、夏生が、サッカーを本格的に学ぶため、京都府の蜂ヶ丘高校への転校を決めた事を告げられる。夏生が自分への相談なしに転校を決めた事にショックを受ける小春だったが、赤井のアドバイスもあり、笑顔で見送る事を決意。小春と夏生は、遠距離恋愛をする事になる。そして夏生と離れていても明るく過ごそうと考える小春であったが、転校先で夏生が、マネージャーの種田里香と親しくしている事にショックを受ける。不安を感じた小春は、8月10日の夏生の誕生日に、夏生に内緒で京都へ向かうが、そこで偶然出会った里香に「地元を離れて頑張っている夏生に対し、小春には、地元で頑張るべき事はないのか」と鋭い指摘を受けてしまう。里香の指摘を重く受け止めた小春は夏生に会うのをやめ、自分の将来について真剣に考え始める。

第12巻

冬。夏の京都での一件以来、自分を見つめ直した椎名小春は、特技の料理を活かして、スポーツ栄養士の道を歩む事になった。杉浦夏生もサッカー選手として順調に活躍し、二人は数か月会えないまま新年を迎える。しかし、愛華高校の修学旅行先が京都である事を活かして、ついに小春と夏生は再会する。つかの間のデートを楽しむ二人だったが、その途中で嵐に見舞われ、近くの旅館に泊まる事になってしまう。そこでお互いの気持ちを再確認した二人は、これからも自分達のペースで関係を続けていく事を誓う。そして時は過ぎ、高校卒業を迎えた小春は、駆け付けた夏生にプロポーズされる。それから2年後、20歳となった二人は、周囲に温かく見守られながら、結婚式を挙げるのだった。

メディアミックス

ドラマCD

本作『ハチミツにはつこい』は、3回ドラマCD化されている。最初は「Sho-Comi」誌上通販されたもので、原作者である水瀬藍自身がプロットを手掛けたドラマCD『ハチミツにはつこい~みんなでカフェバイトいらっしゃいませー!~』。2回目は株式会社アスガルドから2014年3月に発売されたドラマCD『ハチミツにはつこい 放課後の夜想曲(ノクターン)』。2回目は株式会社アスガルドから2014年3月に発売された、聞き手が杉浦夏生の恋人になった気分で楽しめるシチュエーションCD『ハチミツにはつこい おさななじみと恋人の関係』となっている。3作品いずれも、椎名小春役を寿美菜子、夏生役を木村良平、都築冬哉役を内山昂輝がそれぞれ演じた。

小説

本作『ハチミツにはつこい』は、2013年9月から、小学館ルルル文庫と、小学館ジュニア文庫の二つのレーベルで小説化されている。ルルル文庫では高瀬ゆのかが執筆を担当しており、『ハチミツにはつこい~アーリーデイズ~』『ハチミツにはつこい~ウィンターデイズ~』『ハチミツにはつこい~ハネムーンデイズ~』の3作品が刊行されている。小学館ジュニア文庫では金杉弘子が執筆を担当しており、『ハチミツにはつこい ファースト・ラブ』『ハチミツにはつこい アイ・ラブ・ユー』の2作品が刊行されている。イラストは、どちらのシリーズにおいても水瀬藍が担当している。

キャラクターブック

2014年12月、本作『ハチミツにはつこい』のファンブック「ハチミツにはつこい 小春に学ぶしあわせルール50」が発売された。本書は『ハチミツにはつこい』の主人公である椎名小春の生き方を参考に行動して、30日間で友人と恋人を作ろうというコンセプトのもとに制作され、作品に関する制作秘話や、本書が初出となる貴重なイラストをはじめ、単行本未収録の漫画も掲載されている。

登場人物・キャラクター

椎名 小春 (しいな こはる)

愛華高校1年1組に在籍する女子。のちに2年2組に進級する。「イベント委員会」に所属している。前髪を真ん中で分け、肩につくほどまで伸ばした茶色のセミロングヘアを、頭頂部で一つのお団子にしてまとめている。身長は148センチで、かなり小柄な体型。身体つきも同年代の女子に比べてやや幼いため、周囲からは「幼児体型」とからかわれる事もある。 明るく前向きで心優しい性格で、自分よりも他人を優先するタイプ。隣家に住む杉浦夏生とは生まれた時からいっしょで非常に親しく、誰よりも大切に思っていた。だが、高校に入学するまでは、それは幼なじみとしての愛情だと思っていた。しかし、愛華高校入学後、夏生を次第に異性として意識するようになり、やがて思いを寄せるようになる。 高校1年生の春は、夏生が西園寺秋に思いを寄せていたため、一度は恋を諦め、夏生と秋を応援する決意をする。しかし、夏生が自分の真の思いに自覚したのがきっかけで、1年生の夏から交際するようになる。父親は小説家、母親は料理研究家として働いているため取材などで家を空ける事が多く、椎名小桃、椎名小梅、椎名こすもという年の離れた幼い三人の妹の面倒をよく見ている。 特技は料理で、家族だけでなく、夏生にも毎日お弁当を作っている。悩んでいる時ほど豪華な料理を作る癖があるため、何か悩んでいる時はすぐに周囲に見抜かれてしまう。やがて、種田里香の言葉がきっかけで栄養士を志すようになり、20歳の時に夏生と結婚する。

杉浦 夏生 (すぎうら なつき)

椎名小春の幼なじみで、愛華高校1年1組に在籍する男子。のちに2年2組に進級する。部活動は男子サッカー部、委員会は「イベント委員会」に所属している。父親の杉浦直己、母親の杉浦花、兄の杉浦朋生、義姉の杉浦咲と五人暮らし。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、茶色のウルフカットをしている。あだ名は「なっちゃん」。 明るくお調子者で、誰にでも分け隔てない心優しい性格。小春とは生まれた時からいっしょで、周囲からは恋人同士と勘違いされるほどに親しいが、あくまで自分達は「世界一仲のいい幼なじみ」だと捉えていた。そのため、高校入学直後、小春ではなく西園寺秋に惹かれ、これが恋愛感情だと考えて告白をする。しかし、その直後に自分が真に思いを寄せているのは小春であると気づき、高校1年生の夏、自分から告白する形で小春と交際を始める。 両親は10年前に離婚しており、父親と朋生の三人家族だが、父親の職業は冒険家であるため、家を空けている事が多い。両親の離婚の際に、小春が「これからは夏生の母親の代わりに、自分がお弁当を作る」と約束した事から、毎日お弁当を作ってもらっている。 やがてサッカー選手を志すようになり、プロになるための本格的な指導を受けるため、地元から離れて蜂ヶ丘高校に転校する。その後しばらく小春と遠距離恋愛を続けていたが、高校卒業時に小春にプロポーズし、20歳で結婚式を挙げた。グラビアアイドルなど、胸の大きい女性が好きで、泳ぐのが苦手。

西園寺 秋 (さいおんじ あき)

椎名小春の友人で、愛華高校1年特進科に在籍する女子。「イベント委員会」に所属している。前髪を目の上で切り、胸まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。有名ホテルグループの令嬢で、容姿端麗および頭脳明晰に加え、人柄も優れた完璧なお嬢様。生真面目で落ち着いた性格で、何でもそつなくこなせるように見えるが、一方で非常に不器用で、ホチキスをうまく留める事もできないという意外な一面も持つ。 また、小春と親しくなっていく過程で、おっとりとした天然気味な一面も見せるようになっていく。小春とは、入学式で新入生代表としていっしょに挨拶をしたのがきっかけで知り合った。その後、成績を落とした小春と杉浦夏生を案じた仁科雪弘が、二人を「イベント委員会」に入れた事で親しくなっていく。 雪弘とは中学時代に家庭教師とその生徒として出会い、当時恋人関係にあった。その後一度は別れてしまったが、高校1年の夏の「夏休み委員合宿」がきっかけで、今でもお互い両思いだという事を知る。しかし、教師と生徒という関係であるため、西園寺秋が卒業するまでは交際せず、現在の関係を維持すると、雪弘と約束している。 特技はテニスで、好きなお菓子はマカロン。「スノー」という名前の猫を飼っている。

都築 冬哉 (つづき とうや)

椎名小春の友人で、愛華高校1年特進科に在籍する男子。母親の都築小夜子、義父、異父弟の都築光哉と四人暮らし。実の父親は亡くなっている。「イベント委員会」に所属している。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、黒髪のショートカットに眼鏡をかけている。クールで落ち着いた性格で、成績優秀な生徒が集まる特進科の中でもエリート的存在。 一方でややひねくれた一面があり、必要以上に他人と親しくしようとしない。特に恋愛に関しては、くだらないと冷めた意見を持っていた。しかし、小春との出会いがきっかけで、次第に人とかかわる事に前向きになり、小春に思いを寄せるようになって、考えを改めていく。小春とは、入学式で新入生代表としていっしょに挨拶をしたのがきっかけで知り合った。 その後、成績を落とした小春と杉浦夏生を案じた仁科雪弘が、二人を「イベント委員会」に入れた事で同じ委員となり、少しずつ親しくなる。趣味はピアノで、校内にある今は使われていない旧音楽館で一人ピアノを弾くのが密かな楽しみであった。しかしある日、偶然都築冬哉のピアノを聴いて小春が旧音楽館に訪れたため、姿は見せず、ピアノの音だけを使って会話するという方法で、正体を明かさぬまま親しくなる。 そのため、正体を知られるまでは、小春に「ピアノの人」とも呼ばれていた。実家は「都築総合病院」で、院長である母親の小夜子の後を継ぐ予定だった。しかし、そのための勉強に夢中になるあまり小夜子とのコミュニケーションが減り、さらに小夜子が現在の夫と再婚したうえ「後を継がなくてもいい」と言った事で亀裂が生じ、実家を離れて一人暮らしするようになってしまう。 しかし、それでも冬哉自身は医者になりたいと考えており、密かに勉強を続けていた。やがて高校2年の春に、都築家の事情を知った小春が家族全員を再会させた事で和解。実家に戻る事になった。小春にふられてしまったあとも小春を思い続けていたが、最終的にはよき友人として付き合っていく。 高校卒業後は勉強のためにアメリカに渡る。

愛田 好花 (あいだ このか)

椎名小春と杉浦夏生の友人で、愛華高校1年1組に在籍する女子。のちに2年2組に進級する。高校1年生の春から、河野誠と交際している。髪型は、前髪を目の上で切り、胸まで伸ばしたロングウェーブヘアを、高い位置で結んだツインテールにしている。ぽっちゃりした体型をしており、眼鏡をかけている。明るく世話焼きな性格で、恋愛に関する話題が大好き。 小春達とは中学時代から親しく、当時から小春と夏生は両思いであり、早く交際を始めるべきだと考えていた。そのため小春と夏生の関係を強く応援していたが、一方で成就が難しい恋愛は早めにあきらめて、次の恋に進むべきだという考えも持っている。その結果、高校1年生の春に夏生が西園寺秋に告白した際には、小春が次の恋愛ができるよう、三神直弘を紹介した。 しかし直弘が小春と夏生が実際は両思いである事をすぐに見抜いたため、直弘と小春は進展せず、その後、小春と夏生が交際を始めてからは、再び小春と夏生を応援するようになった。そのあとも誠との交際は続き、20歳で誠の子供を妊娠する。

小鳥遊 すみれ (たかなし すみれ)

椎名小春と杉浦夏生の友人で、愛華高校1年1組に在籍する女子。のちに2年2組に進級する。前髪を目の上で切り、胸まで伸ばしたストレートロングヘアを、頭の高い位置でポニーテールにしている。寡黙で男性のような口調で話し、恋愛に関してもあまり積極的ではない落ち着いた性格。密かにコタローと思い合っており、小春と夏生の知らないところで、いつの間にか交際を始めていた。 高校卒業後、20歳になってからも交際は続いている。

松本 蒼一郎 (まつもと そういちろう)

椎名小春と杉浦夏生の友人で、愛華高校1年1組に在籍する男子。のちに2年2組に進級する。前髪を左寄りの位置で斜めに分けたストレートショートカットヘアにしている。クールで大人びた雰囲気を漂わせており、夏生に対しては、恋愛についてアドバイスする事が多い。

コタロー

椎名小春と杉浦夏生の友人で、愛華高校1年1組に在籍する男子。のちに2年2組に進級する。「コタロー」は愛称で本名は不明。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたショートカットヘアに、小柄で中性的な、かわいらしい容姿をしている。友人の一人である小鳥遊すみれに思いを寄せているが、なかなか気持ちを伝えられずにいる。その後、小春と夏生の知らないところですみれと交際を始め、20歳になってからも交際は続いている。

仁科 雪弘 (にしな ゆきひろ)

愛華高校の若い男性教師。椎名小春や杉浦夏生の在籍する1年1組の担任で、のちに2年2組の担任となる。あだ名は「ニッセン」。前髪を右寄りの位置で分けたショートカットヘアに眼鏡をかけている。穏やかで落ち着いた性格をしている。小春達のクラスである1年1組を担任すると同時に、主に生徒会のサポートを行って行事を盛り上げる「イベント委員会」の担当教師も務めている。 そのため、小春達が1年生の春に、小春と夏生を「イベント委員」に任命し、西園寺秋、都築冬哉と親しくなるきっかけを作った人物でもある。秋とは秋が中学生の頃に知り合っており、当時は家庭教師と生徒の関係であった。その後、秋と交際するようになるが、年の離れた自分が恋人では、会える時間もうまく確保できず、秋に淋しい思いをさせてしまうのでは、という考えから別れてしまう。 しかし、秋の高校入学以降も秋を思い続けており、小春達が1年生の夏に行った「夏休み委員合宿」で、実は秋とまだ両思いである事を知る。しかし、教師と生徒という立場上、秋が卒業するまでは恋人同士にはならず、現在の関係を維持する事を秋と約束している。

杉浦 朋生 (すぎうら ともき)

杉浦夏生の兄で、杉浦咲の夫。椎名小春とも親しく「朋兄」と呼ばれており、小春の妹達にも非常に慕われている。前髪を右寄りの位置で分け、ふんわりとしたショートカットヘアにしている。穏やかな性格で、周囲が頼ることのできる兄的存在。飲食店を経営しており、小春もよく来店しては悩みを相談している。

杉浦 咲 (すぎうら さき)

杉浦朋生の妻で、杉浦夏生の義姉。前髪を真ん中で分け、胸まで伸ばしたロングヘアを、一本の三つ編みにしてまとめている。眼鏡をかけ、左目尻にほくろがあり、鼻の周りにそばかすがある。現在は穏やかで落ち着いた雰囲気だが、高校生の頃は不良だった。朋生とは、17歳の頃に飲食店の店員と客として知り合い、その頃から密かに朋生に思いを寄せていた。 そのため店に通い詰めていたが、朋生には恋人がいると勘違いしており、なかなか思いを伝えられずにいた。しかし、その間に少しずつ親しくなり、最終的には誤解も解け、2年の片思い期間を経て両思いになった。現在では、朋生に真相を確かめないまま過ごした片思い期間を後悔しており、椎名小春に、恋愛において一方的な思い込みは禁物なので、相手とはしっかりコミュニケーションを取るように、とアドバイスをする。

河野 誠 (こうの まこと)

愛華高校特進科に通う3年生の男子で、愛田好花の恋人。男子バスケットボール部に所属している。前髪を上げて額を全開にして顔の両脇に剃り込みを入れ、肩につくほどまで伸ばしたセミロングウェーブヘアにしている。のちに、受験を機に髪を切り、ショートカットになる。一人称は「おれっち」で、あだ名は「マコ先輩」。ピアスを開けて髭を伸ばした強面の容姿であったり、体育祭はさぼっていたりと、一見やや不良っぽい雰囲気ではあるが、実際は成績優秀で親切な性格。 好花とも仲がよく、好花の頼みで三神直弘を椎名小春に紹介し、四人で遊園地ダブルデートをした。その後も好花との交際は続き、22歳の時に第1子をもうける。

三神 直弘 (みかみ なおひろ)

愛華高校に通う3年生の男子で、河野誠の友人。男子サッカー部に所属し、部長を務めている。髪型は前髪を右寄りの位置で、斜めに分けたショートカットヘアにしている。爽やかで落ち着いた雰囲気の、穏やかな性格。椎名小春とは、失恋して落ち込んでいる小春を励ますため、愛田好花が誠を通じて三神直弘を紹介する形で知り合った。 そのため四人で遊園地デートをする事になるが、偶然訪れていた杉浦夏生の態度を見て、夏生は小春に思いを寄せていると確信。小春と夏生の関係が進展するよう、間接的に応援をする。その後も夏生とは、男子サッカー部の先輩と後輩として、恋愛においても、部活動においてもアドバイスする関係になる。密かに赤井と交際している。 高校卒業後は北海道の大学に進学し、赤井とは遠距離恋愛になる。

赤井 (あかい)

愛華高校に通う3年生の女子。男子サッカー部に所属し、マネージャーを務めている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、右寄りの位置で分けたショートカットヘアにしている。胸が大きいのが特徴。明るく世話焼きな性格で、椎名小春とは、小春が1年生の秋に男子サッカー部をのぞきに来た事がきっかけで知り合った。やがて三神直弘と交際するようになるが、高校卒業後、地元に残った赤井に対し、直弘は北海道の大学に進学したため、遠距離恋愛になる。

コパン

椎名家で飼われている犬。犬種は不明で、小型犬ほどの大きさ。まるでパンダのような白地に黒いぶちのある毛色で、「コパン」と名前の書かれた札を首から下げている。椎名小春と杉浦夏生が10歳の頃、河原で倒れているコパンを保護したのがきっかけで、飼われる事になった。小春と夏生が発見した当初は真っ黒に汚れていたが、洗ったところ、まるでパンダのような容姿をしている事がわかった。

杉浦 花 (すぎうら はな)

杉浦夏生と杉浦朋生の母親。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。穏やかで落ち着いた雰囲気だが、やや臆病な性格をしている。10年前の12月、冒険家の夫を待つ生活に疲れ果て、一方的に離婚し、家を去っていた。しかし、椎名小春達が高校1年の冬に、偶然男子サッカー部の合宿先で夏生と再会。小春や男子サッカー部の面々の協力のもと、杉浦家に戻る事になった。 小春と再会した際にはお弁当屋「北斗星」で住み込みで働いており、お弁当の配達中、転倒しそうになったところを小春に助けられたのがきっかけで再会した。夏生達と離れているあいだもずっと家族の事を思っていた。

都築 光哉 (つづき こうや)

都築冬哉の異父弟で、まだ幼い少年。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたショートカットヘアに眼鏡をかけている。冬哉とは父親が違うため半分しか血がつながっていないが、冬哉に非常によく似ている。性格も冬哉によく似てクールで辛辣だが、冬哉の事は、非常に慕っている。椎名小春とは、小春が高校2年の春、小夜子に会いに「都築総合病院」に訪れた事で知り合った。 その際、冬哉と小春が知り合いである事を知り、小春についていけば別々に暮らしている冬哉に会えるのではないかと考え、尾行して杉浦家までついて来る。そこで杉浦夏生とも知り合い、小春と夏生に、本当は家族全員で仲よくしたいが、冬哉と小夜子がすれ違っているために難しく、悩んでいる事を打ち明ける。 そこで小春の提案により、小夜子と父親を連れて愛華高校に訪れ、冬哉も出演する劇「白雪姫」を鑑賞する事になる。最終的に家族四人で再会する事ができ、冬哉と小夜子が和解した事で、四人そろって暮らせる事になった。

都築 小夜子 (つづき さよこ)

都築冬哉と都築光哉の母親で、「都築総合病院」の院長を務めている。冬哉の父親である元夫が亡くなったあとに現在の夫と結婚し、光哉をもうけた。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。芸能人のような美人だが、ついツンとした態度を取ってしまい、素直になれない性格。実の父親を亡くして以降、「都築総合病院」を継ぐために必死に勉強している冬哉の事を案じていた。 しかしそれをうまく表現できず、「後を継がなくていい」と言ってしまった事で冬哉との関係に亀裂が生じてしまう。さらに現在の夫と結婚し、光哉も生まれた事で関係はますます悪化し、冬哉が家を出てしまったため、長らく自分は冬哉に嫌われていると考えていた。しかし、椎名小春達が高校2年生の春、体調を崩した小春の妹が小春と冬哉に付き添われて「都築総合病院」に来院した事で冬哉と再会。 その後、小春と光哉の尽力により家族四人で話す機会を得て、冬哉と和解した。

種田 里香 (たねだ りか)

蜂ヶ丘高校に通う2年生の女子で、杉浦夏生の友人。蜂ヶ丘高校男子サッカー部のマネージャーを務めている。椎名小春達とは、小春が2年生に進学してから知り合ったため、年齢と学年は同じ。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。明るく面倒見のいい性格だが、以前遠距離になった事で恋人と別れた過去があり、遠距離恋愛とは非常に難しく、お互いに消耗するものだと捉えている。 そのため小春と夏生の遠距離恋愛に対しても否定的で、特に小春には辛辣。小春を遠距離恋愛には向いてない女性と考え、夏生に別れるように進言する。夏生に好意を抱いていたが、自分の気持ちに確証がないまま、軽い気持ちで恋愛しない方がいいと、やんわりとふられてしまった。

書誌情報

ハチミツにはつこい 12巻 小学館〈フラワーコミックス〉

第1巻

(2012-11-26発行、 978-4091347305)

第2巻

(2012-12-26発行、 978-4091347398)

第3巻

(2013-03-26発行、 978-4091348647)

第4巻

(2013-06-26発行、 978-4091351937)

第5巻

(2013-09-26発行、 978-4091354006)

第6巻

(2014-01-24発行、 978-4091356468)

第7巻

(2014-03-26発行、 978-4091357878)

第8巻

(2014-07-25発行、 978-4091360342)

第9巻

(2014-09-26発行、 978-4091362094)

第10巻

(2014-12-26発行、 978-4091365859)

第11巻

(2015-03-26発行、 978-4091366573)

第12巻

(2015-08-26発行、 978-4091372079)

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