あらすじ
始動編・激闘編(第1巻~第2巻)
人類が増え過ぎ、宇宙に移民させるようになって半世紀が過ぎた宇宙世紀0079。スペースコロニー・サイド3は「ジオン公国」を名乗り地球連邦政府に対して独立戦争を挑んで来た。その戦闘の中、ジオン軍のモビルスーツ・ザクを率いたシャア・アズナブルの部隊が、スペースコロニー・サイド7へと現れる。サイド7に住む少年アムロ・レイは、ひょんな事から地球連邦軍が極秘に開発したモビルスーツ・ガンダムに乗り込みザクを撃破する。アムロはブライト・ノアの指揮する地球連邦軍の新造戦艦ホワイトベースに、多数の避難民と共にガンダムのパイロットとして乗り込む事となるが、さらにそこへシャアの率いる新手が追撃して来る。ホワイトベースの任務は、地球連邦軍の本拠地である南米のジャブローへガンダムを輸送する事にあった。シャアの追撃をかわしながら、アムロ達は南米のジャブローを目指して地球へと降下する。だが、シャアから連絡を受けたガルマ・ザビがそれを待ち受けていた。
ガルマ編(第3巻~第4巻)
ジオン軍北アメリカ方面軍司令官のガルマ・ザビはガンダムとホワイトベースを追うシャア・アズナブルと合流する。シャアから情報を得たガルマはホワイトベースへと攻撃を仕掛けるが、アムロ・レイらホワイトベースクルーの抵抗により撤退する。そのガルマは、アメリカ・ロサンゼルス市長の娘であるイセリナ・エッシェンバッハと恋仲にあった。ジオン公国を支配するザビ家の末子でもあるガルマにとって、ガンダムを撃破するという事はザビ家内のみならず、イセリナとの結婚を認めてもらうためにも必要な事だった。そんなガルマに再びホワイトベース発見の報告が入る。ガルマは今度こそ戦果をあげると意気込んで出撃するが、それはザビ家に対して恨みを抱くシャアの罠だった。シャアからの情報によってホワイトベースの前におびき寄せられたガルマは、集中砲火を浴びて戦死する。
ランバ・ラル編(第5巻~第6巻)
ガルマ・ザビの仇討ち部隊として、新型モビルスーツ・グフを携え、ランバ・ラル率いる部隊がホワイトベースへ攻撃を仕掛ける。ガンダムを駆るアムロ・レイはグフの高い性能の前に苦戦を強いられながらも、辛うじてラル達の部隊を撃退。だが、ホワイトベースの指揮官であるブライト・ノアはアムロの戦い方に苦言を呈し、それに不満を感じたアムロはガンダムを奪取してホワイトベースから脱走してしまう。逃げ出した先で偶然にもラルと遭遇したアムロは、ラル達がホワイトベースを狙って戦闘を仕掛けようとしている事を知り、ホワイトベースの救援へと走る。再びラルのあやつるグフと対峙したアムロは、グフを破壊する事に成功するが、ラルからは自分の力ではなくガンダムの性能のおかげだと揶揄されてしまう。グフを失いながらもホワイトベースにゲリラ戦を仕掛けるラル達を、アムロ達は白兵戦の末に撃破するが、ホワイトベースのクルーであるリュウ・ホセイが重傷を負ってしまう。
ジャブロー編(第7巻~第8巻)
戦死したランバ・ラルの部下達の追撃、さらに重傷を負っていたリュウ・ホセイの戦死などを乗り越え、アムロ・レイ達の乗ったホワイトベースはついに地球連邦軍の本拠地がある南米ジャブローへと到達する。正式に地球連邦軍に組み込まれ、軍人となったアムロ達には新たな任務が与えられた。だがそこへシャア・アズナブル率いる新手の部隊が襲撃を仕掛けて来る。シャアが生き別れとなった兄キャスバルではないかと思っているホワイトベースのクルーであるセイラ・マスは、戦闘をかいくぐってシャアと再会する。シャアはセイラに自身がキャスバルである事を明かし、ホワイトベースを降りるように告げ姿を消すのだった。セイラの脳裏に、かつて兄と共に過ごした幼い頃の事が蘇る。
シャア・セイラ編(第9巻~第10巻)
宇宙世紀0068。のちにジオン公国を名乗る事になるスペースコロニーサイド3で、宇宙に移民した人々の自治を訴える政治家ジオン・ズム・ダイクンが演説中に命を落とした。ジオンの子供であるキャスバルとアルテイシアは、ジオンは政敵であるザビ家一党によって殺害されたという事を侍従のランバ・ラルから告げられる。ラルのもとへ身を寄せたキャスバルとアルテイシアだったが、程なくザビ家の長女キシリア・ザビによって母親のアストライアと引き離されてしまう。ラルの手引きによって地球へと逃れたキャスバルとアルテイシアは、テアボロ・マスという協力者の養子となり、キャスバルはエドワウを名乗り、そしてアルテイシアはセイラ・マスとなる。だがその直後、キャスバルは母親のアストライアが死亡した事を知り、アルテイシアのもとから去っていく。両親の死がザビ家によるものだと考えるキャスバルはシャア・アズナブルを名乗り復讐のために再びサイド3へと戻って来る。
開戦編(第11巻~第12巻)
宇宙世紀0074。ジオン軍の士官学校に入学したシャア・アズナブルは、そこでザビ家の末子ガルマ・ザビと出会う。明晰な頭脳に加えて優れた身体能力を持ったシャアに対して、当初は快く思っていなかったガルマも少しずつ打ち解けていく。その頃、スペースコロニー・サイド3では、地球連邦政府に対する不満が高まりつつあった。ギレン・ザビの扇動によって、サイド3では日増しに独立への機運が高まっていく。そんな折、シャアはガルマを焚きつけ地球連邦政府の施設に対して反攻作戦を実行する。作戦は成功するものの、その責を問われシャアは士官学校を退学となりサイド3を離れる。一方、サイド3は「ジオン公国」を名乗り、地球連邦政府との独立交渉を進めるが交渉は決裂に終わる。ジオン軍総帥のギレンは開戦を決意、地球連邦政府に対して宣戦を布告する。
ルウム編(第13巻~第14巻)
地球連邦軍と交戦状態に入ったジオン軍は、総帥であるギレン・ザビの指示で、地球連邦政府に恭順したスペースコロニー・ハッテを地球に落とし、さらにスペースコロニー・ルウムに対して攻撃を仕掛ける。そのルウムには、医師となったセイラ・マスがいた。戦場となり混乱するルウムで、セイラは兄であるキャスバルがシャア・アズナブルを名乗って生きている事を知る。そのシャアはジオン軍の中で頭角を表し、ルウムでの戦闘でも専用モビルスーツを与えられるまでになっていた。ルウムでの戦闘は、ジオン軍側の圧勝に終わり、地球連邦軍の総司令官であるレビル将軍を捕虜とする事に成功する。ジオン公国の公王であるデギン・ソド・ザビは、レビルと接見し戦争を終わらせる事の見返りとしてレビルの逃亡を手引きするが、地球に戻ったレビルは徹底抗戦を宣言する。そしてスペースコロニー・サイド7にて、新型モビルスーツ・ガンダムの開発を指示するのだった。
オデッサ編(第15巻~第16巻)
ホワイトベースは、地球連邦軍総司令官のレビル将軍より、ジオン軍への大反抗作戦「オデッサ作戦」への参加を命じられる。だがホワイトベースのクルーであるカイ・シデンは、軍人になる事を嫌ってホワイトベースを降りていく。町に出たカイは、ジオン軍のスパイとして生計を立てているミハル・ラトキエという少女と出会う。だが、ミハルはホワイトベースを追うシャア・アズナブルの指示で、ホワイトベースに潜入。ホワイトベース内でカイと再会し、交流するミハルだったが、戦闘に巻き込まれて死亡してしまう。その後、ホワイトベースはオデッサ作戦に参加、作戦は地球連邦軍の勝利に終わり、ジオン軍が地球に設営した拠点の奪還に成功する。この戦いでガンダムと共に多大な戦果をあげたアムロ・レイの名前は、地球連邦軍内部でも大きなものとなっていく。
ララァ編(第17巻~第18巻)
地球連邦軍はジオン軍へさらなる攻勢をかけるべく、ジオン軍の宇宙拠点ソロモンに侵攻を開始する。そのための陽動としてアムロ・レイ達ホワイトベース隊は、スペースコロニー・サイド6へと寄港する。サイド6は、地球連邦軍とジオン軍の両軍に対して中立の立場をとるコロニーだった。そのサイド6で、アムロは生き別れになっていた父親のテム・レイと偶然再会するが、テムは酸素欠乏症によって精神に異常をきたしていた。傷心のアムロはテムのもとを離れてホワイトベースへ戻ろうとするが、その途中で突然の夕立に遭い、雨宿りのため立ち寄った小屋でララァ・スンと出会う。さらにその翌日、アムロはララァを連れたシャア・アズナブルと遭遇する。その後、サイド6を出港したホワイトベースを襲撃するジオン軍のモビルスーツ部隊を一蹴するガンダムの姿に、シャアはガンダムのパイロットが「ニュータイプ」として覚醒しつつある事に気づくのだった。
ソロモン編(第19巻~第20巻)
ジオン軍の宇宙拠点ソロモンを指揮するドズル・ザビは、兄でありジオン軍の総帥であるギレン・ザビに援軍を要請していた。地球連邦軍はソロモンを攻略し、その勢いのままにジオン公国があるサイド3へと攻め込んで来る。それを防ぐための絶対防衛ラインが、ソロモンである事から援軍を求めるドズルだったが、ギレンからはモビルアーマーのビグ・ザムが届くだけだった。アムロ・レイはガンダムを駆ってソロモン攻略戦に参加する。地球連邦軍の攻撃の前にソロモンは陥落し、ドズルもまたビグ・ザムと共に出撃するもアムロの駆るガンダムの前に敗れ戦死する。ソロモンを陥とした地球連邦軍の次の標的がジオン公国のあるサイド3であると考えたギレンは、スペースコロニー1基を兵器に転用した「ソーラ・レイ」を開発、迫り来る地球連邦軍の艦隊を一網打尽にしようとする。
ひかる宇宙編(第21巻~第22巻)
ジオン軍の宇宙拠点ソロモンを攻略した地球連邦軍の次の標的は、ソロモンと並ぶ軍事拠点のア・バオア・クーだった。ア・バオア・クーの攻略戦に参加したアムロ・レイは、ララァ・スンを従えたシャア・アズナブルと対峙する。シャアはこれまで何度も戦って来たアムロが自分と同じニュータイプである事から、自身の理想実現のための同志になるように告げる。しかしアムロはシャアを拒絶し、激闘の末にララァを撃墜してしまう。その後、ア・バオア・クーに戻ったシャアは、ジオン軍総帥のギレン・ザビから新型モビルスーツ・ジオングを受領し、アムロと決着をつけるべく再出撃する。しかしア・バオア・クーの内部では、ギレンが妹のキシリア・ザビの反乱によって殺害されるという事件が発生。ジオン軍は指揮系統に大きな問題を抱える事となってしまう。
めぐりあい宇宙編(第23巻)
激闘の末、互いの乗機を大破させたアムロ・レイとシャア・アズナブルの二人は、ジオン軍の軍事拠点であるア・バオア・クーの内部へと入り込み、互いに生身のままで最後の対決を繰り広げる。そこへアムロ達と同様にア・バオア・クー内部に入り込んで来たセイラ・マスが現れ、アムロとシャアの戦いをやめさせようとする。妹セイラの登場に我に返ったシャアは、自身の目的であるザビ家への復讐を果たすため、アムロ達の前から去っていく。残されたアムロとセイラは、ア・バオア・クーから脱出しようとするが、既にア・バオア・クーは炎に包まれ脱出は困難なものとなっていた。だがその時、あきらめかけたアムロの耳にララァ・スンの声が響く。
登場人物・キャラクター
アムロ・レイ (あむろれい)
モビルスーツ・ガンダムのパイロット。16歳。ガンダムの開発技師長テム・レイ博士の一人息子。コンピュータ好きな内向的な性格の少年であったが、急襲されたサイド7でガンダムに乗り込み、これを操縦して敵のザク2機を撃破したことから、民間人でありながらガンダムのパイロットとなる。 地球連邦軍本拠地ジャブローをめざす強襲揚陸艦ホワイトベースの乗組員となったアムロは、シャア・アズナブル、ランバ・ラル、黒い三連星といった強敵との戦いを通して、モビルスーツ・パイロットとしての能力を急速に高め、地球連邦軍のエースパイロットに成長していく。 当初は民間人として例外的にガンダムのパイロットを務めていたが、オデッサの戦いを前にジャブローで正式に地球連邦軍に編入され准尉に任官した。この時、同時にニュータイプとしての検査をジャブローの研究所で受けている。オッデサの戦い以降、戦争の主舞台は宇宙へ移るが、ここでもアムロ・レイの能力は異常傑出し、ガンダムの名は敵ジオン軍にもとどろき始める。 そして運命の人ララア・スンとの出会いにより、アムロ・レイはニュータイプとして更なる覚醒を迎えることとなる。
シャア・アズナブル (しゃああずなぶる)
「シャア・セイラ編」「開戦編」「ルウム編」の主人公。「赤い彗星」の異名を持つジオン軍のエースパイロット。ジオン軍でもっとも古くからのモビルスーツ・パイロットのひとりであり、その愛機はザク、ザクⅡ、ズゴ... 関連ページ:シャア・アズナブル
セイラ・マス (せいらます)
本名アルテイシア・ソム・ダイクン。ムンゾ自治共和国議長ジオン・ズム・ダイクンの娘。シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンの妹。父親が暗殺された後、ザビ家の迫害を受け兄とともに地球へ逃亡。テアボロ・マスの養子となり、セイラ・マスと名を変える。 その後、サイド5テキサス・コロニーに移住するが、兄は打倒ザビ家を誓い出奔。離ればなれとなる。義理の父親が死去した後、サイド7に移住。医者志望の彼女は医療ボランティアとして働いた。しかし、兄シャア・アズナブル少佐率いる部隊の攻撃でサイド7は壊滅し、強襲揚陸艦ホワイトベースに避難。 その後乗組員となる。地球連邦軍本部ジャブローで地球連邦軍に正式所属した際の階級は曹長。金髪の美少女だが理知的でクールな印象を与えるため、男性クルーはやや近寄りがたい印象を持っている。兄シャア・アズナブルとは宇宙要塞ルナツーで遭遇したが、この時はまだ兄であるとの確信は持てなかった。 その後ジャブローで再会。会話によって兄であることを確認する。セイラ・マスは当初通信担当であったが、適性が認められ、オデッサの戦い直前にコア・ファイターのパイロットとなった。その後、宇宙要塞ア・バオア・クー攻略戦では、増加装甲タイプのジムで出撃。モビルアーマー・ブロウ・ブロ一機を破壊したが、同時に自機も大破させた。 コアパーツで脱出した彼女はア・バオア・クーに突入し、ジオン軍の捕虜となったが、そこで自身がジオン・ズム・ダイクンの遺児であることを明かした。結果、一部の兵たちがこれに呼応し、彼女を担ぎ上げることでギレン・ザビ総帥を殺害したキシリア・ザビ少将の対抗勢力となった。 このためキシリア・ザビはア・バオア・クーを掌握することができず、撤退を余儀なくされた。彼女の勇気ある行動が地球連邦軍を勝利に導き、戦争を終結させるきっかけとなったのである。
ブライト・ノア (ぶらいとのあ)
登場当初は補給艦ホワイトベースに搭乗する兵站部の若き中尉であった。ブライト・ノアはサイド7でシャア・アズナブル少佐率いるジオン軍の攻撃を受け、負傷したパオロ艦長に代わって、ホワイトベースの指揮をとることとなる。その後、新型モビルスーツ・ガンダムを地球連邦軍本部ジャブローに届ける使命を与えられ、民間人のアムロ・レイ、ミライ・ヤシマらを起用することで何とか任務を遂行する。 ジャブロー到着後は大尉に昇進。その後オデッサの決戦、ソロモン攻略戦、ア・バオア・クー攻略戦といった重要な戦いにホワイトベースを指揮して参戦。 勝利に貢献した。ナイーブな性格のアムロ・レイの扱いに失敗し、脱走騒動を起こさせるなどの失態を犯したこともあるが、ブライト・ノアは概ねよき指揮官として難局に当たり、地球連邦軍を勝利に導くことに貢献した。一年戦争終了後はミライ・ヤシマと結婚し、息子ハサウェイ・ノアをもうけた。
ミライ・ヤシマ (みらいやしま)
強襲揚陸艦ホワイトベース操舵手。ホワイトベースのメンバーが正式に地球連邦軍の所属となってからの階級は准尉。スペース・コロニー開発事業などを手広く行っていたヤシマ家の令嬢。サイド7がジオン軍に急襲されホワイトベースに避難した際、スペースクルーザーのライセンスを持っていたことから、操舵手となることを申し出た。 ミライ・ヤシマは落ち着いた面倒見のよい性格で、ホワイトベースのメンバーのお母さん的な存在である。艦長ブライト・ノアの信頼も厚く、一番の相談相手である。ニュータイプとしての素質もあり、戦闘中随所でその片鱗を見せた。 親同士が決めたカムラン・ブルームという婚約者がおり、ソロモン攻略戦前にサイド6で再会したが、彼女から結婚の意思がないことを申し伝えた。サイド6から出航する際、カムラン・ブルームとの間でイザコザを起こすが、この時スレッガー・ロウに平手打ちをされ意見される。これがきっかけとなり、ミライはスレッガー・ロウに惹かれるようになるが、彼はこの後のソロモン攻略戦で戦死してしまう。 一年戦争終了後はブライト・ノアと結婚し、息子ハサウェイ・ノアをもうけた。
フラウ・ボゥ (ふらうぼぅ)
強襲揚陸艦ホワイトベースの乗組員。サイド7でアムロ・レイの近所に住んでいた少女。家に引きこもりコンピュータばかりいじっていたアムロの世話を何かと焼いていた。ジオン軍のサイド7急襲により家族を亡くした彼女は、アムロらとホワイトベースに避難した。 ホワイトベースでもアムロの世話を焼き続け、彼が砂漠で脱走騒動を起こした際には、連れ戻す役目を果たす。彼女は医療ボランティアの立場でホワイトベースに乗り込んでいるため階級はない。治療アシスタントや生活の補助を役割としていたが、セイラ・マスがパイロットとなってからは、フラウ・ボゥは彼女の代わりに通信士もつとめるようになる。 アムロには一貫して好意を持ち続けていたが、物語の終盤では、数々の戦場を生き抜きニュータイプとして覚醒しつつあるアムロに対し、「わたしたちとはちがう」との思いを抱き始める。一年戦争後はハヤト・コバヤシと結婚し、カツ、レツ、キッカを養子として引き取った。
リュウ・ホセイ (りゅうほせい)
強襲揚陸艦ホワイトベースの乗組員。大柄で恰幅が良く、面倒見のよい青年。階級は軍曹。ルウム海戦では海兵団に所属。セイバー機に搭乗して偵察任務に当たったが、モビルスーツ・ザクⅡの攻撃を受け、機は破壊され、リュウ・ホセイは宇宙空間に放出されてさ迷った。 その後無事救助され、サイド7に向かう補給艦ホワイトベースに配属。サイド7でジオン軍の急襲を受け、大半の軍人が戦死してからは艦長ブライト・ノアを補佐し、アムロ・レイら民間人パイロットを導いて戦う役割を担った。主に搭乗する機体はガンタンク。南米クスコ近郊でランバ・ラル隊の生き残りが特攻攻撃を仕掛けた際、ホワイトベースを救うため、ハモン・ラルが搭乗したマゼラトップにコアファイターで体当たりして死亡した。
カイ・シデン (かいしでん)
強襲揚陸艦ホワイトベースの乗組員。主にガンキャノンのパイロットをつとめる。サイド7では不良グループのリーダーであり、留年してアムロ・レイと同じクラスにいた。コンボイ・レースの自称・花形レーサーである。サイド7がジオン軍の攻撃を受けたことで避難する際、エレベータのドアの開け閉めを巡って軽口を叩きセイラ・マスに「軟弱者ッ!!」と平手打ちされた。 皮肉な口調で話しがちだが、案外状況を冷静に把握しているリアリストでもある。軍人になる気は更々なく、オデッサの戦いを前に寄港したベルファスト港で一時的にホワイトベースから離脱したが、仲間を見捨てることができずすぐに復帰した。 その際、知り合ったミハル・ラトキエがジオン軍のスパイとしてホワイトベースに密航するが、これを見逃す。ミハル・ラトキエは戦闘中の事故で亡くなり、この事件の結末はカイ・シデンの心に深く傷を残した。地球連邦軍本拠地ジャブローで任官した際の階級は伍長だが、ソロモン侵攻作戦時には軍曹になっていた。
ハヤト・コバヤシ (はやとこばやし)
強襲揚陸艦ホワイトベースの乗組員。当初はガンタンクの射撃手をつとめることが多かったが、ソロモン攻略戦ではボールに、ア・バオア・クー攻略戦ではガンキャノンに搭乗して戦った。サイド7ではアムロ・レイの隣人でクラスメイトであった。 小柄であるが柔道の心得があり、南米の中立地帯クスコでは、難癖をつけてきたジオン軍兵士4人と1人でわたり合ったことがある。ホワイトベースの一員となってからは密かにアムロをライバル視しており、ソロモン攻略戦では、アムロに負けたくない思いからムリを押してボールで出撃した。しかし被弾して帰還。 怪我人となってフラウ・ボウの治療を受けた。以前より密かにフラウ・ボウのことが好きであったが、この時のやりとりから思いをいっそう強くし、1年戦争終結後に彼女にプロポーズした。
スレッガー・ロウ (すれっがーろう)
強襲揚陸艦ホワイトベースの乗組員。階級は中尉。ホワイトベースが地球連邦軍本部ジャブローに到着した際、新規に乗組員として組み込まれた。戦闘経験豊富で確かな腕を持つパイロット。元々はモビルスーツ・ジムのパイロットだったが、ジブラルタルでジオン軍シャア・アズナブル大佐のザクに自機のジムを破壊されてからは、主にコア・ブースターに搭乗するようになった。 陽気で男気あふれる性格で、サイド6ではかつての婚約者であるカムラン・ブルームの誠意を踏みにじるような言動をしたミライ・ヤシマに平手打ちして説教した。このことからミライ・ヤシマに好意を寄せられるようになったが、その直後のソロモン攻略戦でドズル・ザビが操るモビルアーマー・ビグ・サムを相手に戦い、アムロ・レイに勝機をもたらすため犠牲的な戦い方をして戦死した。 この戦いのさなか、スレッガー・ロウはミライ・ヤシマに母親の形見の指輪を託していた。
テム・レイ (てむれい)
アムロ・レイの父親。新型モビルスーツ・ガンダム開発プロジェクトV作戦の立案者。ガンダム開発の技師長。モビルスーツの産みの親T・Yミノフスキー博士の弟子である。テム・レイ博士はジオン軍によるサイド7攻撃で死亡したと思われていた。 しかし一命をとりとめており、息子のアムロ・レイとスペースコロニー、サイド6で再会する。だがサイド7での戦闘時に酸素欠乏症を煩い、性格が変貌し知性に劣化が見られた。この時にはアムロがガンダムのパイロットであることを知っており、「ガンダムの戦闘力が数倍にはねあがる!」として自ら開発した謎の回路を息子に手渡した。 しかし、これはまったく役に立たない古いもので、父親の変わり果てた姿に涙したアムロによって破壊され捨てられてしまう。その後、サイド6宙域での戦いでガンダムがリック・ドム12機を撃破する様子をTV中継で観戦し、その勝利に興奮して階段の踊り場で「地球連邦政府バンザーイ!」と叫び、勢いあまって階段から落下し、頭部を強打して気絶した。 その後の生死は定かでない。
ヨハン・イビラヒム・レビル (よはんいびらひむれびる)
ルウム海戦時は地球連邦軍の主力レビル艦隊司令官。階級は大将。この戦いではジオン軍ドズル・ザビ中将の陽動作戦に惑わされた結果、艦艇の80%を沈められ艦隊は壊滅。レビル将軍はジオン軍の捕虜となった。その後、デギン・ザビ公王の温情でジオン公国を脱出。 だがデギン公王の思惑を裏切り「ジオンに兵なし!」との著名な演説を行うことで、ジオン公国との和平に動いていた地球連邦軍に戦争の継続を促した。この後、レビル将軍は地球連邦軍総司令官に就任した。レビル将軍は一貫してホワイトベース擁護の立場を貫き、彼らをニュータイプ部隊の可能性ありと考え、オデッサの戦い以降の主要な戦局で重要な役割を負わせ起用し続けた。 レビル将軍自身にもニュータイプの素質が見られ、戦いの随所で予感めいた言葉を口にしている。決戦の場を宇宙に移行させた後、重要拠点ソロモンを奪取したが、その後ア・バオア・クー攻略を目前にして、ギレン・ザビ総帥の指示で放たれたソーラ・レイの餌食となり戦死した。
マチルダ・アジャン (まちるだあじゃん)
地球連邦軍兵站部中尉。ルナツーを出発し地球に降り立ち孤立していたホワイトベースに輸送機ミディア単機で補給を行った。その後もホワイトベースを本部ジャブローに導く支援を何度か行ったが、ジャブローにあと一歩と迫ったところで、ホワイトベースはジオン軍黒い三連星に急襲されてしまう。 この時、彼女はホワイトベースとガンダムを守るため、ミディア機で重モビルスーツ・ドムに体当たりを行い死亡する。毅然とした美しさと聡明な知性の持ち主で、アムレ・レイらホワイトベース乗組員の憧れ的存在であった。
デギン・ソト・ザビ (でぎんそとざび)
ジオン公国公王。ギレン・ザビ、サスロ・ザビ、ドズル・ザビ、キシリア・ザビ、ガルマ・ザビの5人の子を持つ。デギン・ソト・ザビはジオン・ズム・ダイクンの側近であったが、その死後スペースコロニー・サイド3ムンゾ自治共和国議長の座を引継ぎ、ジオン共和国に国名を変更した。 宇宙世紀0079には国名をジオン公国に変更し、地球連邦政府に独立をかけて宣戦布告した。だが、この頃ジオン公国の実権は長子ギレン・ザビに握られ、デギン公王は名目上の元首として棚上げ状態にあったとされている。宇宙要塞ソロモン陥落後、戦局の不利を悟ったデギン公王は旗艦グレート・デギンにて地球連邦軍総司令官レビル将軍に面談を求め和平交渉を行おうとする。 だがギレン・ザビ総帥の命にて発射されたソーラ・レイはグレート・デギンもろとも地球連邦軍主力を消し去り、デギン公王も命を落とした。ジオン・ズム・ダイクン存命の頃は大学で学部長の座にあり、その活動を補佐していたが、その死に関してはザビ家が関与しているとの噂が当時から絶えなかった。
ギレン・ザビ (ぎれんざび)
ジオン公国総帥。デギン・ソド・ザビ公王の長男。身長190センチの偉丈夫。父親デギン・ソド・ザビの片腕として青年時代から政治活動を開始。ジオン共和国となってからは実質上の最高指導者として辣腕をふるう。スペースノイドを優良種とする選民思想の持ち主であり、卓越した演説能力を用いてジオン公国国民を煽動し、独立戦争へと導いた。 政策・軍事においては守旧派であるデギン公王と対立することが多く、彼から「ヒトラーの尻尾」と評されたこともある。また、妹のキシリア・ザビとも反目し合うが、己の立場に絶対的な自負を持ち、歯牙にもかけぬ様子を見せていた。ソロモンが陥落した一年戦争終盤、ギレン・ザビは宇宙要塞ア・バオア・クーで地球連邦軍との最終決戦を行うことを画策する。 この時、デギン公王は単独でレビル将軍と和平交渉を試みようとしたが、ギレン・ザビが命じたソーラ・レイの発射により、地球連邦軍主力艦隊とともに謀殺された。だが、この行為が彼に破滅をもたらした。 決戦の指揮をとっていた中央司令室にやってきた妹キシリア・ザビに父殺しの罪を糾弾され、彼女によって背後からギレン・ザビは射殺されてしまったのである。激戦の中、最高司令官が射殺されるアクシデントが発生して指揮系統が保持される訳もなく、混乱の中ア・バオア・クーは陥落。ジオン公国は敗戦への道をたどることになった。
ドズル・ザビ (どずるざび)
ジオン宇宙攻撃軍総司令官。階級は中将。デギン・ソド・ザビ公王の三男。身長210センチの巨漢。妻はゼナ・ザビ。娘はミネバ・ザビ。顔に複数の傷があるが、これは次兄サスロ・ザビが爆殺された際、同じ車に乗っていて受けた傷である。政治に関わろうとしない生粋の軍人であるが、家族の情にもろい面があり、ひとり娘のミネバ・ザビと末弟のガルマ・ザビを溺愛していた。 ルウム海戦ではジオン軍主力艦隊の指揮をとり、地球連邦軍主力のレビル艦隊を壊滅させ英雄となった。その後はサイド1宙域に建造された要塞ソロモンを本拠地とし、宇宙を主戦場とする。 有能な士官としてシャア・アズナブルを重用していたが、弟ガルマ・ザビを守れなかったことで放逐し、仇を討つためランバ・ラル隊をホワイトベースへの刺客として送り込んだ。オデッサの戦いでジオン軍の主力が地球上から駆逐された後、地球連邦軍ティアンム艦隊をソロモンで迎え撃つが、地球連邦軍の新兵器ソーラー・システムによって要塞の大半を焼かれたことでソロモンは陥落。 ドズル・ザビはモビルアーマー・ビグザムに乗り込み敵艦隊に特攻をかけた。この攻撃でティアンム将軍の旗艦を撃破したが、アムロ・レイのガンダムとスレッガー・ロウのコア・ブースターによる連係攻撃によりビグザムを破壊され、戦死を遂げた。
キシリア・ザビ (きしりあざび)
月面基地グラナダを本拠とするジオン突撃機動軍総司令官。階級は少将。デギン・ソド・ザビ公王の長女。ギレン・ザビ総帥、ドズル・ザビ中将の妹。ガルマ・ザビ大佐の姉。諜報機関・キシリア機関の長でもあり、ジオン軍内部の綱紀粛正を行う役目を担っている。 乗艦はチベ級重巡洋艦パープル・ウィドウ。戦場では顔の下半分をマスクで隠すことが多い。キシリア・ザビは知略に長けた策略家であり、兄ギレン・ザビをもしのごうとする野心家である。そのために父デギン・ザビ、兄ドズル・ザビ、弟ガルマ・ザビを利用することもいとわず、血も凍るような策謀をめぐらせていく。 次兄サスロ・ザビの暗殺に関与していたとの噂すらある。地球連邦軍ティアンム艦隊がソロモンを襲撃した際、ソロモン陥落後のギレン・ザビとの勢力争いを考慮し、援軍を遅らせることで間接的に兄ドズル・ザビを死に追いやった。その後、密かに父デギン公王と面談し、レビル将軍との和平交渉へと向かわせる一方で、ソーラ・レイの照準上にデギン公王が向かった情報をギレン・ザビにリーク。 思惑通りギレン・ザビはソーラ・レイ発射を命じて、デギン公王をレビル艦隊もろとも謀殺した。デギン・ザビによる公王殺しの証拠を握ったキシリア・ザビは、ア・バオア・クーの中央司令室で兄を非難し後ろから射殺。 ギレン・ザビ総帥にかわってジオン軍の総指揮を執ることを宣言した。しかしア・バオア・クーで捕虜になった後、自身がアルテイシア・ソム・ダイクンであることを明かしたセイラ・マスに同調するジオン軍兵士たちが一大勢力を作ったこともあって指揮系統は混乱。キシリア・ザビはグラナダへの撤収を宣言する。 だがその後、パープル・ウイドウに乗艦したところをシャア・アズナブルのバズーカ砲により狙撃され、頭部を粉砕されて死亡した。
ガルマ・ザビ (がるまざび)
ジオン公国デギン・ソド・ザビ公王の四男。シャア・アズナブルとは士官学校の同期であり、彼自身はよき友人であると認識していた。ガルマ・ザビはルウム海戦でジオン公国が勝利した後、101空挺師団に少佐として配属され、ルウムの残敵の掃討にあたった。 この功績で大佐に昇進。北アメリカ方面軍指令に着任した。シャア・アズナブル少佐の追撃により北アメリカに降下した地球連邦軍ホワイトベースを撃破するため何度が出撃するが失敗。最後は、打倒ザビ家を誓うシャア・アズナブルの裏切りにあい、ホワイトベースの待ち伏せにあって戦死した。 ガルマ・ザビはジオン公国のプリンスであり、若くて美男子であったことから国民にアイドル的な人気があった。その死は長兄ギレン・ザビによって利用され、葬儀は国威発揚のためのイベントとして大々的にとりはかられた。北アメリカ赴任時に知り合ったロサンジェルス市長ヨーゼフ・エッシェンバッハの娘イセリナ・エッシェンバッハとは将来を誓い合う仲であった。
サスロ・ザビ (さすろざび)
ジオン公国デギン・ソド・ザビ公王の次男。宣伝活動や世論操作の才能があり、ジオン公国の前身ムンゾ自治共和国の国民運動部長として辣腕をふるった。気性の激しい面もあり、ジオン・ズム・ダイクンの遺児の拉致に失敗した妹キシリア・ザビを平手打ちして叱責したこともある。 その後、ジオン・ズム・ダイクンの葬送パレードに参加した際、車に爆弾をしかけられ、それが爆発して死亡した。この時同乗していた弟ドズル・ザビは全身に傷を負い火傷をしたが、一命はとりとめた。何故、サスロ・ザビのみが標的にされたかは不明。ザビ家の政敵ジンバ・ラルのしわざを示唆する記事が新聞をにぎわしたが、そのような事実はなかった。 キシリア・ザビが関与したという説もあるが定かではない。
ランバ・ラル (らんばらる)
ジオン軍大尉。ジオン・ズム・ダイクンの政治活動を支えたジンバ・ラルの長男。クラウレ・ハモンは内縁の妻。ジオン・ズム・ダイクンの死後ザビ家の迫害を受けた2人の遺児キャスバル・レム・ダイクンとアルテイシア・ソム・ダイクンの地球脱出の手助けをした。 その後、ドズル・ザビの誘いを受け、モビルスーツのテストパイロットとして実用化に尽力。地球連邦軍のガンキャノン一個中隊と交戦した雨の海海戦では、ランバル・ラルはプロトタイプ・ザクに搭乗してシャア・アズナブルと黒い三連星を率いて戦い圧勝。ジオン軍モビルスーツの優位性を証明して見せた。 1年戦争開戦当初はドズル・ザビ中将麾下の指揮官として戦闘に参加したが、サイド2の8バンチコロニー・アイランドフィッシュに毒ガスを注入する作戦の実行を拒んだことから軍務をはずされる。このためルウム海戦には参戦していない。しばらくは軍から干されていたが、ガルマ・ザビがホワイトベースとの戦闘で死亡したことにより、その仇討ちという極めて私的な任務をドズル・ザビ中将より拝命する。 機動巡洋艦ザンジバルで地球に降りたランバ・ラルは新型モビルスーツ・グフを駆ってホワイトベースを急襲し、ガンダムを翻弄した。しかしその後のガンダムとの戦闘でグフを破壊されたランバ・ラルは、歩兵戦闘車キュイに部隊を搭乗させ、ホワイトベースを乗っ取るべく白兵戦による戦闘をしかける。 しかし、戦闘のさなかセイラ・マスと遭遇し、彼女にかつて救出したアルテイシア・ソム・ダイクンの面影を認めたことで隙が生じ、リュウ・ホセイの銃撃を受け致命傷を負う。死を悟ったランバ・ラルは内縁の妻クラウレ・ハモンとの交信を行い、「戦いの中で戦いを忘れた」と伝え、最後は手榴弾を爆発させ自爆して果てた。 モビルスーツの開発段階からテストパイロットをつとめたランバ・ラルは最も経験豊富なモビルスーツ乗りであり、その実力はジオン軍の中でも群を抜く存在であったといえる。一方で、様々な苦難をともにした内縁の妻クラウレ・ハモンを誰よりも信頼し、戦場にも同行させるなど、軍人として型破りな面もあった。 ランバ・ラルが実戦で搭乗したモビルスーツは、プロトタイプ・ザクとグフの2機である。
クラウレ・ハモン (くらうれはもん)
ジオン軍大尉ランバ・ラルの内縁の妻。ザビ家の末子ガルマ・ザビの仇討ちを任務とするランバ・ラルに同行し、ホワイトベースと戦闘を繰り広げた。ランバ・ラルへの想いは深く、その死後、仇をとるため残存部隊を率いてホワイトベースに攻撃をしかけたが、リュウ・ホセイの特攻により阻まれ、命を落とした。 マチルダ・アジャンと並んでアムロ・レイに大きな影響を与えた大人の女性である。元はムンゾ自治共和国のクラブEDENのスタッフ。シャア・アズナブルとセイラ・マスの母親アストライアもかつてはこの店で働いており、2人は顔見知りであった。 アストライアがシャア・アズナブルを時計台で出産する際、手伝ったのも少女の頃の彼女である。
マ・クベ (まくべ)
ジオン軍地球侵攻軍総司令。中将。地球文化愛好家として知られる。地球連邦政府との休戦条約交渉のため派遣されたジオン公国一行の責任者。核兵器、生物兵器、科学兵器の使用禁止や捕虜の待遇保証などを取り決めた南極条約を交渉の末結ぶことに成功した。 マ・クベはその後、オデッサに本拠をかまえ支配地域を拡大していくとともに、地球の資源や富をジオン公国に送り続ける任務を遂行した。キシリア・ザビ少将に極めて近い立場にあり、終始その意向をくんでの行動だった。オデッサの戦いでレビル将軍指揮の軍勢に攻め込まれ状況が不利になると、南極条約を無視して核兵器の使用に踏み切るが、ガンダムを操縦するアムロ・レイに阻止された。 ギレン・ザビ総帥は、敗北時に手持ちの弾道ミサイルを地球連邦側の都市に向けて発射することを命令していたが、マ・クベはこれを「ジオニズムの理想など白磁の名品一個にも値しない」と拒否。残存する軍を撤退させるため、自らモビルスーツ・ギャンに搭乗し、数機のグフを率いて地球連邦軍のモビルスーツ部隊と戦い撃破した後、最後は自爆して果てた。
ララァ・スン (ららぁすん)
インド・ムンバイ出身。インド系の浅黒い肌にエメラルドグリーンの瞳を持つ美少女。ジオン軍独立300部隊に所属したニュータイプである。階級は少尉。傑出したニュータイプ能力を有す。ソロモン陥落後、シャア・アズナブル大佐に率いられ初出撃し、サイコミュシステムを搭載したモビルアーマー・エルメスのオールレンジ攻撃で、次々と地球連邦軍の戦艦を撃破した。 幼少時、超感覚をかわれてギャングのボスの虜とされたが、まだ建設中のジャブローでシャア・アズナブルと出会い、助け出される。その後、シャア・アズナブルの手引きでジオン公国のニュータイプ研究施設フラナガン機関にあずけられ訓練を受けた。 自分を拾い上げてくれたシャア・アズナブルに心酔しており、彼のために生きることを誓っている。アムロ・レイとは宇宙で戦う前にサイド6で出会い、短いながらも言葉は交わしている。戦場では敵としてアムロと対決するが、ニュータイプとして互いの意識は共鳴しあい、ふたりは惹かれ合っていく。 だが激しく戦うアムロとシャアのはざまでララァはシャアの身をかばって死亡。この死を機会にララァ・スンはアムロとシャアの永遠の想い人となった。
集団・組織
黒い三連星 (くろいさんれんせい)
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の登場人物たち。黒い三連星はジオン軍きってのエースパイロット・グループであり、ミゲル・ガイアをリーダーにマッシュ、オルテガの3人で構成される。元は荒くれ者の兵卒たちだったが、ドズル・ザビに見込まれて士官に任官し、ランバ・ラルとともにモビルスーツの開発テスト・パイロットとなった。 地球連邦軍のガンキャノン一個中隊と交戦した雨の海海戦では、ランバル・ラルに率いられてザクで戦い、圧倒的勝利をあげた。1年戦争開始後のルウム海戦では、バーニアを増加して憎槽を付けたザクⅡを駆使して、地球連邦軍の艦隊司令レビル将軍を生け捕りにするという殊勲をあげ、黒い三連星の名を一躍轟かせた。 この功績でミゲル・ガイアは大尉に、マッシュ、オルテガは中尉に昇進した。その後、彼らはオデッサの地球侵攻軍に援軍として派遣される。南米クスコ北方の高地で重モビルスーツ・ドムの慣熟訓練中、ホワイトベースと遭遇した彼らは、ドムを駆ってガンダムに挑んだ。 彼らは「ジェットストリームアタック」と称する三位一体のフォーメーションでガンダムを攻撃したが、アムロ・レイには通用せず、ビームサーベルで機体を貫かれマッシュは戦死した。この時アムロ・レイを助けようとミデア機で体当たりしたマチルダ・アジャンはオルテガのドムによる一撃を受け、機を大破させて死亡している。 マッシュを失ったミゲル・ガイアとオルテガは、この後ドム6機を加えた再編成を行い、仇を取るべく捲土重来を誓った。ジブラルタルのヴァン湖東でガンダムに遭遇した彼らは全員攻撃ダブル・ジェットストリームアタックをしかけるが、ニュータイプとして覚醒しつつあるアムロ・レイの敵ではなく、8機のドムはすべて撃破され、黒い三連星は全滅した。
場所
ジオン公国
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場する国家。地球からもっとも遠いスペースコロニー・サイド3を中心とする宇宙国家。その前身はムンゾ自治共和国でジオニズムの提唱者ジオン・ズム・ダイクンが国家議長をつとめていた。ジオン・ズム・ダイクンが演説中に急死したことで実権は側近のデギン・ソド・ザビに移るが、彼はジオン・ズム・ダイクンのその他の側近を排斥し、民衆を巧みに操って国名をジオン共和国に変更。 長子ギレン・ザビが中心となりザビ家の独裁体制が確立されていく。宇宙世紀0079年、完全独立の気運が高まると、ジオン共和国はジオン公国となりデギン・ソド・ザビはジオン公王に就任。 地球連邦政府に宣戦を布告した。1年戦争の始まりである。
その他キーワード
モビルスーツ
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場する人型有人機動兵器の総称。地球連邦政府との独立戦争を想定していたジオン共和国首脳陣がT・Yミノフスキー博士に依頼し極秘裏に開発した。戦場でミノフスキー粒子が利用されレーダーや集積回路が無効化されるようになると、戦闘の主役は戦艦ではなく、近接戦闘用のモビルスーツに移行。 一年戦争初期、モビルスーツ・ザクⅡを大量動員したジオン公国は各地で勝利し、圧倒的に優位な立場で戦局を進めた。劣勢に立った地球連邦軍は新型モビルスーツ開発計画V作戦を発動し、ガンダムを完成させることで戦局の巻き返しを図った。
ミノフスキー粒子
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場する架空物質。ミノスフスキー粒子はT・Yミノフスキー博士によって発見された粒子。この粒子は電磁波の伝達を疎外し、レーダーや集積回路の機能をダウンさせる働きをする。戦場でこの粒子を発生、散布させるとレーダーの使用は不可能となり、戦闘の主役は戦艦や誘導精密兵器から白兵戦を主体とする人型有人機動兵器モビルスーツに移行することとなった。 ミノフスキー粒子はモビルスーツの小型核融合炉エンジンの実用化やペガサス型強襲揚陸艦の浮揚システムにも利用されている。
ガンダム
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。アムロ・レイの搭乗機。地球連邦軍がジオン軍のザクに対抗するため開発したモビルスーツであり、型式番号はRX78。ガンダムはコードネームである。先行開発されたRX77ガンキャノンが対歩兵用途で設計されたのに対し、RX78ガンダムは対モビルスーツ戦を想定されて設計された。 設計・開発責任者はテム・レイ博士。博士の提唱によりスペース・コロニー・サイド7で極秘裏に製造開発された。全高約18メートル。メガ粒子砲であるビーム・ライフルを携帯装備とし、近接斬激兵器であるビールサーベルを二本背中に装備する。 頭部には60ミリバルカン砲2機内蔵している。ザクⅡの標準装備であるハイパーライフルの直撃を受けても破壊されず、ビーム兵器を装備するガンダムは、1年戦争の戦局を左右する兵器として両軍に認識されていた。アムロ・レイが搭乗したガンダムの型式番号はRX78-2である。
ガンタンク
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。地球連邦軍が一番最初に開発したモビルスーツ。型式番号RX76。全高約13メートル。二足歩行システムが完成する前の設計であり、戦車に人間の上半身を乗せたような姿をしている。両肩に120ミリキャノン砲を装備。また両腕にも4連装機関砲を装備している。 操縦手と砲手の2名を要する複座式で運用される。宇宙世紀0068年、ジオン公国の前身であるムンゾ自治共和国で起こった争乱デモの鎮圧に出動した記録がある。一年戦争時には完全に時代遅れの兵器と化していたが、ホワイトベースでは対空集中砲攻撃やガンダムの戦闘支援に活用された。
ガンキャノン
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。型式番号RX-78。アナハイム社に所属していたテム・レイ博士によって設計・開発されたモビルスーツ。宇宙世紀0078年に初号機が完成。全高約18メートル。両肩もしくは片肩に240ミリキャノン砲を装備している。宇宙世紀0078年、モビルスーツ同士の戦闘が初めて行われた雨の海海戦でガンキャノンの機械化兵団一個大隊はジオン軍ランバ・ラル大尉率いるザク部隊に完敗、全滅してしまう。 この戦いでジオン軍のモビルスーツ開発の優位性を認めた地球連邦軍は、テム・レイ博士が提案するRX-79ガンダムの開発にゴーザインを出さざるを得なくなった。 この後に開戦した1年戦争ではガンキャノンは旧式機として扱われたが、これを数機確保していたホワイトベースではガンダムの支援機として宇宙要塞ア・バオア・クー攻略戦まで有効に活用していった。
ホワイトベース
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場する軍用艦。地球連邦軍所属のペガサス級強襲揚陸艦に分類される。全長262メートル、全高93メートル。52センチ連装火薬式弾砲を2門、メガ粒子砲4門を主要攻撃装備とし、モビルスーツや戦闘機を数機格納するこができる。艦長はブライ・ノア。アムロ・レイが搭乗員となった軍用艦でその生活の場でもあった。 その特異なフォルムからジオン軍では「木馬」というコードネームで呼ばれていた。
ザク
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。ジオン軍が最初に実用化に成功した機種である。ジオニック社によって開発された。全高約17メートル。型式番号MS-04のプロトタイプ・ザク、MS-05ザク、MS-06ザクⅡといった機種があり、生産時期や仕様によって型式番号は異なる。 1年戦争初期に主力となったのはMS-06ザクⅡであり、作中でザクと言えば概ねこの機種を指し、MS-05ザクは旧型ザクと呼ばれることが多い。ザクⅡは140ミリハイパー・ライフルを主装備とし、1年戦争を通じて配属、運用された。
グフ
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。ジオン軍が開発した陸戦用モビルスーツ。型式番号MS-07。全高約18メートル。陸戦に特化し、対モビルスーツ用にザクⅡの格闘能力を強化した改良型である。右腕内部の伸縮自在の電磁ムチ、ヒート・ロッドを装着。左腕にはバルカン砲が内蔵されている。 ホワイトベース部隊への刺客として送り込まれたランバ・ラルが搭乗してガンダムと戦った機体である。青色の塗装を基本とする。
ドム
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。ジオン軍が開発した陸戦用重モビルスーツ。ツィマッド社によって生産される。全高約18メートル。型式番号MS-09。脚部に装着された熱核ホバーエンジンの推力により、地上を滑るようにして高速移動する。主な携帯武装は360ミリ・ジャイアントバズ。 背中に一本のヒート・サーベルを装備する。マ・クベ中将の地球攻略軍に増援として派遣された黒い三連星が対ガンダム戦でドムに搭乗したことはあまりにも有名である。また1年戦争後半には、ドムの脚部を改造して宇宙戦用モビルスーツとなったリック・ドムも登場した。
ゲルググ
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。1年戦争末期、ジオン軍が開発したモビルスーツ。ジオン軍としては初めてビーム・ライフルを標準携帯装備としたモビルスーツ。近接用兵装としてビーム・ナギナタを装備する。全高約19メートル。型式番号MS-14。
エルメス
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルアーマーの名称。1年戦争末期、ジオン軍がニュータイプ専用機として開発した攻撃兵器。サイコミュ・システムにより本体の制御とビットと呼ばれる小型ビーム砲を遠隔操作するため、パイロットには傑出したニュータイプ能力が必要とされる。1年戦争ではシャア・アズナブル大佐率いる独立第300戦隊所属のララァ・スン少尉が搭乗し、地球連邦軍戦艦数隻をまたたく間に撃沈するなど驚くべき戦果をあげた。
ジオング
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するモビルスーツの名称。型式番号MSN-02。1年戦争末期、初のニュータイプ専用モビルスーツとしてジオン軍によって開発された。全高約23メートル。前腕部に5連装メガ粒子砲を装備。この腕を切り離して多方向から攻撃することができた。その操作はサイコミュを用いて行われた。 前腕部は完全に切り離すのではなく有線式で誘導する方式をとっている。ア・バオア・クー攻防戦において、シャア・アズナブル大佐が急きょ搭乗し、ガンダムとの最後の死闘を繰り広げた機体である。この時はまだ脚部は完成しておらず、未完成の状態での出撃であった。あの有名な「足なんか飾りです。 エライ人にはそれがわからんのです」というセリフは、この状況から生まれたものである。
書誌情報
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 3巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉
第1巻
(2002-05-29発行、 978-4047134539)
第2巻
(2002-07-23発行、 978-4047135031)
第3巻
(2002-11-22発行、 978-4047135185)